ーーおかしい。
一夏のクラス代表決定祝賀会に出席しつつ疑問に頭を悩ませる。
疑問とは、クラスメイトの自分を見る目だ。
何か恐ろしいものを見るような目をして私を見ているし、セシリアは一夏の影に隠れている。
ーー何かしただろうか。
いや、命が危ない感じにしたりしたのは一夏だけだし、教室で不意に暴れたりはしてない。
「諸君。どうかしたかね?」
「いや、七海。あのビーム見たら誰でもこんな空気作るぞ」
「なるほど。スターライトブレイカーが悪いのだね?」
「お前もな」
「星を軽く破壊する者、か……」
そっちのライトじゃない。
「確かに軽くいけそうだよね……」
「大丈夫だ諸君。あれは収束砲撃だからな。打つまでに時間がかかるし、逃げ切れるとも。そうだね?セシリア・オルコット代表候補生」
セシリアに話を振ると、目があった瞬間に青褪めてガクガク愉快に震え出した。
「ピ、ピンクの壁が、壁が、ひぃいいい」
ついにはピンクピンクいいながら頭を抱えてうずくまってしまう。
一夏の同情の視線が可哀想感を助長させ、中々シュールな絵面の完成だ。
「程よくトラウマなセッシーは放置で行こう。結論、逃げ切れる、と」
「なぁ、あのビーム、収束しながら周り込めたりしないのか?」
「箒か、びっくりした。結論は不可能、だ。どうやら競合しているらしくてな。収束しながら回り込むとあのエネルギー塊の中に入ってしまって中々愉快なシェイク状態になってしまうのだよ」
神にも同時使用は不可能だと言われているし、遡行中の座標設定が問題なのだろうね。
というか、トラウマスイッチ入ったセシリア放置で話を進めるとは、中々肝が座ってるね。
「なるほど。では絶え間なく攻撃していれば良いのだな」
「箒は気付いていたか」
流石は侍。
「うむ。ちなみに、あの周りこみは攻撃された時にしか発動しないのだろう?」
「そうとも。カウンター能力だからね」
見破られたところでどうにかなるものではないので簡単に説明しておく。
「ふむ。中々破るに苦労しそうだな、その単一仕様」
単一仕様じゃないが。
とりあえずそういうことにしておく。
「あれ、でも七海、千冬姉に同じ事してなかったか?」
「頑張って再現した」
「……お前も人外か……」
いや、生身で瞬時加速する姉を持つお前には言われたくないぞ一夏。
「投擲は正確無比で殺意高いし、攻撃したら背後からカウンター、か……」
投擲は生身だけだがね。
そろそろ新聞部が来る頃合いだろうか。面倒臭い事この上ない。
とはいえ、ここでいなくなるのも無粋だろう。
「食べることに集中しておくか」
「その前に取材いいなぁー?」
噂をすればなんとやらか。
「一夏だけでは不満かね?」
「いやぁ、セシリアちゃんがあんなんだからさぁ。あ、最後のあのビーム、どうやったの?」
ふむ。ならば仕方あるまい。
「ふむ。最後のアレは溜めて撃った、ただそれだけだね」
「ほうほう、気合、と」
概ね間違ってないので何も言えない。
「では食に戻らせてもらうよ」
「はいはーい、じゃああとは適当に捏造しとくねー!」
元気がいいことだね。
後で彼女の個人情報を丸裸にしておこう。
記念撮影にはちゃんと入り込んだ。
瞳の色を見なければチキンを無表情で咥えてダブルピースな束にしか見えないが。