提督が異世界に着任しました。   作:Arcelf

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タイトル通り機内で魔が差して書いたんだ。
そして投稿したんだ。



異世界に立つ

物心付いた時には別世界に転生したと理解した。

何故かって?それは過去の記憶があるからだよ。それに髪の色も違う。綺麗なライトブルーだ、早速持って意味不明だった。どんな色素をしたら明るい青色になるんだ?まだアルビノ体質で白髪とかの方がマシだったね。それに瞳の色も綺麗なライトブルーだ、困惑を通り越して落ち着いたね。しかしその髪や瞳の色も十数年以上暮らせば気にならなくなる。慣れというのは非常に恐ろしいな。

そんな私を生んだ両親も普通ではない。父は綺麗な金髪にブルーの瞳とThe 外国人と言った見た目に母は綺麗な白銀の髪にアイスブルーの瞳をしていた。両親の要素を合わせて瞳の色は何となくわかるが、髪の色はどうしたらライトブルーになるんだ?先祖返り的なアレか?とも一瞬考えたが転生している時点で元の常識を当てにしてはいけないと思った。

既に両親にボロを出しまくっているが親バカなのか(きっとこの子は凄い事になるぞ!)や(ハラショー、それは素晴らしい)などボロと言うか明らかに子供の範疇を超えた事をしても都合の良い解釈をしてくれる。なにこの子不気味何ですけど的な感じで引かれるよりはマシだが、なんとも複雑な気分だ。今に始まった事ではない無いので既に慣れたがそれが原因か高校に上がる頃に両親が言ったのだ。ちょっと数年新婚旅行に行ってくる!と、数年!?と突っ込んでしまったがお前なら何があっても大丈夫だろ!と言いながら旅行に行ってしまった。今は何処にいるのか把握できないがこの前来た贈り物から察するに中東辺りに居るだろう。まぁ両親とは色々とあったが新婚旅行のお陰で一人気楽に家で過ごせる。自分の性格を少し偽っていたがそれを気にしないと言うのはなんと清々しい気分か。両親が帰って来る頃には一人暮らししたいものだ。もう既にしているが、やはり自分の家と言うのは外せない。

そうと、こっちでは元いた世界と殆ど一緒だった。…何故私だけ髪がライトブルーなんだ?周りは皆黒いぞ?時折変わった髪の色を見かけるが9割以上が黒髪だ。

既に慣れたがやはり周囲からの視線はある。出歩けば毎日の様に視線を感じる、生まれ持ったものだから考えた所で何も変わらないが。一度黒に染めようと思ったことがある、黒色のヘアカラー買って行って母に染めてくれと頼んだら殴られた、父ではなく母に…だ。母は物凄いパワーがあるらしく殴られ、いや殴り飛ばされた。勢いで家の壁突き破って家の外にまで飛ばされたね。あの時の記憶は一生忘れまい、それにしてもこの体は丈夫らしく大した怪我はしなかった。この世界の住人は皆体が頑丈なのかと思ったが父は違った、照れた母に背中を叩かれ、勢いよくソファーから飛び出してテレビに突撃した。慣れているらしく(相変わらず力が強いな!)と頭から血を流しながら笑っていた。そんな事もあり髪を肩より上に上げる事を禁止されてしまった。どうしてなのか意味不明だ、父に頼んで説得してもらう様に言っても無理の一言だけ返ってくる。仕方ないので髪を……腰まで伸ばした。どうしようもないんだ、そっちの方が母の機嫌が良いんだもの。そして伸ばしてから思った、女顔でよ良かったと。若干のコンプレックを感じていたが、髪が長くなってから気にならなくなってしまった。不思議である。それはそうとそろそろ学校の時間だ。

 

 

 

 

 

――登校

 

 

 

「ラズルーっ」

ズラルとは私の名前だ、正確にはラズルシェーニエと言う名だ。ロシア語で破壊を意味する名前だ。両親はどんな願いを込めてこの名前を付けたのか謎である。

「おはよっ」

ニコニコと爽やかな笑顔で真横に付いた。

白のブレザーにブラウンのスカート、胸元には学校のエンブレムを示す刺繍が入っている。

金色のツインテールに金色の瞳だ、髪は艶やかで腰に届く程の長さがある。ツインテールを下ろせば腰より下程の長さだろうか。

 

そして珍しい金髪である。

 

何時も挨拶してくる良い子だが、毎日の様に近くに居ないと気が済まないのか週明けは大体ソワソワした雰囲気を放っている。そのソワソワした雰囲気を醸し出しながら真横にピッタリと付くものだからどう見てのカップルにしか見えない。彼女はどう思っているのだろうか、雰囲気からは気にしている様子が見て取れないが、恐らく天然か鈍感の類だろう、チラリと周りに目を向け様子を伺えば、まただよと言った仕草を感じる。

「おはよう、皐月さん」

「うんっ、今日は早いね!」

「そうだね、簡単な食事で済ませたから何となく早めにね」

嘘である。何時もの様に出れば必ず合うと思って早めに出たのだ。しかしそれでも会ってしまった、待ち伏せされてないかと周囲を警戒していたが確認できなかった。私の警戒網をかいくぐったのなら相当な潜伏能力を持っている事になる。この体になってから異様な程の察知能力を得た。最初はよく分からない感覚だったが、小学生あたりの時に気付いた。教室から壁越しに誰かがいると言う事に、最初の頃は壁の裏にモヤの様なものを感じていたが小学校を卒業する辺りには壁の裏どころか別の階に何人いるか何をしているかまで把握出来るほどになった。そして高校に進学した今では範囲数百メートル程なら手に取るほどである。更には集中する事で広げたりピンポイントで目標を把握する事も出来るようになった。つまり常時数百メートルの範囲を把握している私は彼女行動もハッキリと分かるのだ。毎日毎日真っ直ぐ私の方向に向かってくる事が。余りにも毎日の様に私の元へ来るものだから偶には逸らしてやると別のルートを通っても何故か真っ直ぐ私の元に来るのだ。早速持って不気味であるがもう既に慣れた。いっそのこと直接聞いてしまおうかと考えていると彼女の肩にナニカがしがみ付いているのを見てしまった。大福に胴体と手足をくっつけたような二頭身程の人形だ。何故登校中にそんな目立つ人形を肩に乗せているのか…ん?しがみ付いているだと…?。

 

 

 

ジーっと皐月の肩を凝視してしまった。周りからの視線が増えた感覚を感じるが気にしないでおこう、そのうち肩に乗った人形に視線が移るだろう。しかし何故そんな目立つ真似を?構って欲しいのだろうか?別段無視はしていないが話しかけて欲しいのだろうか、思えば私から話しかける事はほとんど無いな。そのせいだろうかなどと考えていると皐月は私の制服を掴んで足を止めた。

「何かな?」

「この子が見えるの…?」

すると皐月は左手を右肩に持って行き手のひらを水平にした。まさかと思った瞬間人形が立ち上がり手のひらに飛び乗った。流石異世界…実にファンタジーである。

「やっぱり見るんだね」

何処と無く嬉しそうな雰囲気を漂わせている。そして小さく(やっぱり)と呟いた。

「人形の事か?」

「ううんっ、ねぇ!放課後時間ある?」

「誘われるのは初めてだね」

「うん!この子の事お話ししたくてっ、ダメかな?」

「ふむ、構わないよ」

本音で言えばファンタジー要素全開の人形が凄く気になる、これまでこの世界で生きてきて初めて見たTheファンタジーである。少しでもソレについて聞きたい。何かしらの方法で作り出したのか、あるいは何処かに生息しているのか気になる事だらけだ。

「ねぇ、何処かで食べながらでも良いかな?」

「デートのお誘いかな?」

「うん!」

からかうつもりが肯定で帰ってきた。何となく分かっていたがこうもあっさり認められると少し驚く。アレ…上手を取られたか?初めてだ、まぁ良い代わりに放課後の食事でお高い店に行って戸惑う顔を見させてもらおうか。

「驚きだよ」

「?」

道端でずっと立ち止まっていても仕方がないので一言だけ言って歩き出した。皐月は言葉の意味が分からなかったのか首を傾げていたが、置いてかれると思ったのか真横まで小走りで来た。そして今までと雰囲気が違い、肩が触れる程の距離で並んで歩いている。と言うか肩が触れている、近いと思い数センチ横に離れたがそれに合わせて数センチ近付いてきた。いつ好感度を上げたのか、思えば最初出会った時から既に好感度高かったような。

「おやおや?いつも以上にラブラブですね〜!」

この子は青葉、所謂情報収集マンと言うか校内新聞でいつも何かしらの問題を起こしている子だ。レッドなのかブラウンなのか分からない髪色で常にメモ帳とペンを手に持っていて凄く目立つ。

「普段からカップル風味醸し出している皐月さんがぞっこんする程の事があったのでしょうか!是非とも取材をしたいですね!」

私からしたらいつも以上にハイテンションの青葉に近付きたくないのが本音である。発言からし皐月の変化に興味津々といった所か。そして皐月の肩に乗っている妖精を見て何か納得した様な様子が見て取れる、ほんの微かの変化だが分かる。その微かな変化を皐月も感じ取ったのか。初めて見せた、明らかに相手を見下しているような、敵対しているような様子だ。そして私の前に出て来て青葉に言った。

「君には関係のない事だよ」

「余計気になりますね!それは肩に乗っているよ・う・せ・いの事でしょうか?それでしたら尚更放って置けないですねぇ?」

「後からやって来て何様のつもりだい?あまり調子に乗っているとタダじゃおかないよ?」

明らかに険悪な雰囲気だ、止めるべきか、止めてしまおう。

「喧嘩は止してくれないか?」

2人はビクッと反応して、私に謝って来た。

「ごめんなさい!提督っ!」

青葉は一言だけで何処かに走り去ってしまった。

「ごめんね、てい…ラズルっ」

青葉に釣られたのか明らかに別の何かを言おうとしていた。彼女達の中では私に何かあるようだ、でなければあの反応は少し可笑しく感じるし、別段私に謝る事でもない。それに余計噛み付いて来るかとでも思ったがあの焦りよう、やはり何かあるな。気になるがもう校門も目の前だ、放課後皐月に聞くとしよう。

それにしても黒髪の人が殆どだ。私の髪色がライトブルーだからか絡んでくる子は皆髪の色がカラフルだ、絡みやすいのか?

それと世界に生まれてから父以外の男性は皆黒髪だ、女性だけ時折変わった色をした人が居る、何とも不思議な世界だ。

「ラズルくん、おっはよう!」

「ラズルさん、おはようございます」

後ろから名指しで挨拶された。振り向け女の子が2人、髪色はやはり目立つ。

1人はロングのシャンパンゴールドを赤いリボンでツインテールに纏めていて、もう1人はアイスホワイトのショート。2人とも髪や瞳の色こそ違うが顔がそっくりだ、姉妹だろうか?それよりも挨拶しておこう。

「お早う、村雨さん、海風さん」

「今日も早いね!」

「皐月さん、それ…」

海風が皐月の肩に乗っている妖精に気が付いた。そして村雨もつられて視線を追った直後勢いよく私の方に振り向いた。

「やっぱり…」

「ダメだよ」

村雨が何か言おうとしたが皐月が遮った。やはり気になる、と言うか余計気になった。肩に乗った妖精と私が一体どう繋がるのか、妖精を見る度に何故私を見て来るのが気になる、凄く気になる。この際だ聞いてしまおう。

「その肩に乗った妖精?は、私と何かあるのか?」

その直後黒髪以外の人たち全員が私の方を向いた。全員と言っても全体からすると1割にも満たないが、それでも15人近くは居る。校門の前で立ち止まる黒髪以外の子たち、いや黒髪の子も混ざっているな。ほぼ全員が私の方に向いている、そして1人1人と私の方に来ては囲まれていく。たった数十秒で全員に囲まれた。何だこれは…世間一般的にはハーレムと呼ばれる状態だが、喜ばしいものではない。明らかに品定めしているような様子だ、皆私の顔を見ている。どうしたものかと見渡せば原因の一端である皐月が校門横の壁際でしゃがみ込んで頭を抱えていた。

(やっちゃった〜)と言う呟きが聞こえる。私の聴力でこそか、まぁ良い、いや良くない今の状態をどうしたものか悩ましい。

私を囲っている子はヒソヒソと話しているが、目の前なので丸聞こえだ。(やっぱり)(だよね)(でも…)などと断片的な会話であるが内容からして前々から目を付けられていたのは明らかだ。

 

もうこの際だ、全部聞いてしまおう。

 

「聞きたいのだが、あの人形が見えると何か問題か?」

すると(どうする?)(誰が…)(私っ私っ)などと何かの順番を決めているように聞こえる。そこへ皐月が割り込んで来た。

「ダメーっ!!僕が最初に気づいたんだからね!?」

すると周りの子は皆押し黙った。何か言いたげな様子を見せている時点で彼女達の間で何か決まり事があるようだ。そして私と皐月を囲む様な空間が出来上がった。周囲は皆興味深々といった目で見ていて正面の皐月は妙にモジモジとしていて緊張した雰囲気を漂わせている。少しして決心が付いたのか大きく息を吸っている。

「睦月型5番艦、皐月、着任っ」

そう聞こえた直後にキスをされた。頰などでは無く口にだ、初めてである。いや、それどころではない。強引なキスである、前触れが無くはなかったがアレが前触れと思いたく無いしまず分からないだろう。

「んっ…」

数秒してから離れてくれた、どう反応したものか悩ましい。なんと言うべきか悩んでいると皐月が光り出した。ん?光り出す…?なんで光ってるの…?周りの様子を伺っても皆反応を示さない、ただジッと光っている皐月を見ている。すると光が消えていき皐月の姿が見えるように…、姿が変わっている…。髪が更に明るく輝く様な金髪に、瞳も同じく明るい金色に変化した。キスを交わすと姿が変わるのか、流石異世界、ファンタジーだ。

「改二…」

皐月の呟きの後、周囲の子が押し寄せて来た。

「私!私!次私がいいっ!」

「ぽいっぽいっ夕立と契約するっぽい!」

「あの、宜しければわたくしとも…」

このままではキリがないし朝早めの校門前、人がより増えるだろう。既に大勢の人が此方を向いている、注目や噂が広まるのは諦めるとして通行の邪魔になる。移動した方が良いだろう。

「君たち、話は後で聞くよ」

そそくさと立ち去る、それが賢明だろう。彼女達をかき分けて外に…出れない。進行方向を明らかに阻害するかのように彼女達が立ちはだかる、外に出してくれない様だ。

「退いてくれないかな?」

目の前の子に話しかけた、すると彼女はビクッとして目を逸らした。それでも目の前に立ちはだかったままだ。抜けられる隙間は…無いな、押し退けるにしても此処まで密集されると無理がある。

「第十七駆逐!浜風っ」

目を逸らして挙動付番になっていた子からの不意打ちキス。大人しそうな子だったから予想外だ、ビックリだよ。その子も案の定か光り輝いた。本当にどうなっているんだ?

その子も皐月と同じく数秒程して光が収まった。

君も姿が変わるのか…髪が若干伸びたか?身体も成長しているな…胸の辺りがキツそうだ。いや、そうでは無い、どうすんのこれ?ファンタジー的なアレで言うとコレは明らかに契約的な何かだ、どうしようか悩んでいると口を開いた。

「…乙改…浜風着任しましたっ」

それを聞いた直後彼女たちの伽が外れた。一人が腰に誰かがしがみついて来た、好意的なものではない、力強く逃さない的な感じでホールドしている。てか、力強くない?

「…済まないが、退いてもらう」

力ずくでこの包囲から逃げようと眼の前の子の肩に手を当て横に押し出し…押し出せない。それどころか押し出そうと伸ばした腕を両手で掴んだ、逃さないつもりか。そんな事を思っていると反対の腕も掴まれた。誰だ…それより彼女たちも超人的な存在なのか、腕に力を入れてもびくともしない。私は片手で車を持ち上げる程の力がある、おそらく母親譲りの力なのだがそれが今全く動かせない。あれか、この子達も母親と同じ存在なのか?

それよりも完全に捕まってしまった。いや、足は動かせるが選択肢が蹴りか踠くしか無い。足なら軽く腕の数倍以上の力が出る、しかし彼女達を蹴るのは憚られるし、彼女たちの様子を見るに蹴りを放てば、その足を全力でホールドしてくるだろう。

「落ち着け、お前たち…っ」

そう言ったものの彼女たちは聞く耳を持たない、というよりは暴走している感がある。

 

そして形振り構わずと言った形で彼女達にキスをされた。

 

 

 

 

※※※※米※※※※

 

 

 

 

あれから10分程続き彼女たちから開放された。案の定というべきかやはり皆姿が変わっている、ガッツリ見た目が変わった子もいれば、変わったのか分からない子もいる。知っている子で言えば村雨、何をどうしたら瞳がオッドアイに髪がボリューミーに…何がどうしてそうなるの?と、この状況で何が基準なんだとズレた事を考えていると校舎側から大声で叫びながら一人走ってきた。

「コラァァー!!校門前で何をしている!」

現状を把握しているな?何故最初から来なかった畜生め。などと心の中で考えていると彼女たちは物騒なことを口走った。

「こいつヤルっぽい?」

「どうしよっか」

「耳障り…」

そして全員の視線が教員に移った。明らかに敵意を含む視線だ、この状況でヤレと一言出せばどうなるだろうか。おかしいなヤツの首が飛ぶイメージが湧くぞ。教員は若干の尻込みをしながらも此方を見渡しては私に目を付けた。女性に囲まれた一人の男性だ、とても目立つな。

「君が原因だね?一緒に教員室まで来てもらう」

私の元へ歩いてくる教員、その前に立ちはだかる彼女たち。

「ど、どいてくれないかね」

彼女たちの様子に気づいたのか威圧されているのか分からないが教員の顔が真っ青に。

「ま、まさか…。あ、後で教員室に来てく…くれますか…」

「消えてくれないかな?僕は君を殺してしまいそうだよ」

一番大人しそうな雰囲気の子が驚きの発言をした。はやりキスは何かの契約のようなものだろう、でなければ私を守るかのような立ち振舞は理解出来ない。

流石異世界、略して(さすいせ)……語呂悪いな。

「ひぃっ」

教員は尻もちを付いて後ずさり、そのまま走って校舎の方に逃げていった。その様子を見るに逃げていった教員は彼女たちについて何か知っているようだ。でなければ、あの逃げようは理解できない。

しかしこの状況どうしたものか、もう散々な目にあった。このままサボってしまおうか、そうだなサボろう、そして彼女たちから逃げよう。善は急げと校門とは反対方向に振り向き歩き出そうとしたら声を掛けてきた。この集団に声を掛けるとか勇者だな。

「やぁ、おはよう。潮さんに皆さん!」

一人だけ名指しである、潮という子に好意があるのは明白だな。…潮って誰だ?

ヤツの視線を追うと黒髪巨乳が居る。いや、黒髪というより若干青みを帯びている色だ。記憶が正しければもう少し黒かったはずだがキスの後に髪の色がネイビーブルーに変わった。その潮を見てニコニコと爽やかな笑みを浮かべている。てか、こいつは誰だ?別のクラスなのは確実だな。

「潮さん、教室まで一緒に行きませんか?」

好意を微塵とも隠していないな。

「えっと、彼と行きますので…」

そう言って私の服を掴んできた。おい待て、何故私の服を掴む、横にいる別の子でも良かっただろ。女の子同士の方が絡みやすいだろ?それにタゲが私に移るじゃないか。ヤツを見てみれば案の定私を睨んでいる。

「君は…Aクラスのズラルシェーニエだね?潮さんとどんな関係なんだい?近づかないでくれるかな?」

…な、何だコイツは…潮の彼なのか?いや、潮の嫌そうな様子からコイツが付きまとっているだけでは?まだ決めつけるのは早計か。それよりも名前を間違えているラズルシェーニエだ、訂正しなくては。

「名前が違う、私はラズルシェーニエだ」

とりあえず訂正した、それより潮さん?私の腕に両手を絡ませてくるのはどうかと思うよ?それに心なしか嬉しそうな顔をしていない?これだとどう見てもカップルだよ?このままだとヤツのヘイトがどんどん増えていくんだけど?

案の定か、ヤツは大声で言い放った。

「ラズルシェーニエ、覚えたぞ。それより貴様!潮さんに何をした!」

潮さんに何をした?キスを強要されたぞ。一見大人しそうだけど中々にアグレッシブな子だよ。それにしても眼の前で騒がしいヤツだ、てかヤツの名前を知らないが、まぁヤツで良いだろう知りたくもない。

「君には関係の無いことだ」

「なに!?やはり何かしたな!」

やたらに噛み付いてくるな、しつこいレベルだ。そして潮の方に歩いて……いや此方に来た。潮は真横で私の腕を掴んでいる、つまり潮の方に行けば必然的に私の方にも来るわけだ。そんな事を悠長に考えていると眼の前まで来ては潮の手を取った。この女所帯に突入してきて女の子の手を取るとは軽く勇者だよ、君。

「潮さん!コイツに何かされたなら僕に言ってください!僕が成敗して差し上げます!!」

何を言っているんだ?ナニかをされたのは私の方だ、しかも力ずくで、だぞ?

「あの…手を離してください…」

「どうしてだい?まさか、脅されているのか!」

理解した、コイツあれだ自分の都合の良い事しか聞こえないタイプだ。なんて面倒くさいヤツに絡まれてしまったのか。などと考えていると周りで様子を伺っていた彼女たちが潮とヤツを引き離した。

「君たちもどうしたんだい!まさか君たちもズラルに何かされたのか!?」

ここまでくるとキリが無いな。彼女たちはまず当てにならないとして周りの人に…。周りに目を向けると皆一斉に視線を逸らした。まて、何だそれは?たしかに私も同じ状況なら目を逸らすかもしれないが一人ぐらいは居ないのか?教員は当てにならないどころか逃げていったし今頃校舎内からこっそり此方を伺っているだろう。ちらっと校舎の方を見てみれば望遠鏡手に持った先程の教員が…望遠鏡を逸らした。いや待て、何故望遠鏡がある。てか、サラっと名前を間違えたな?覚えてないではないか。流石の私もイライラしてきたぞ。

「ねぇラズルもうチャイム鳴っちゃうよ!いこっ」

皐月のその発言で彼女たちは私の手と服を掴み校舎の方に引っ張っていく。先程の力強さはないが、脱出できる気がしない。両手は左右で掴まれ引かれて、背中は誰かに押されている。なんか護衛された要人とかじゃなくて囚人の気分だよ。でもまぁ、このまま押されていけばヤツから離れられるかな?帰れないけど良いかなー。などと考えているとヤツの声が飛んできた。

「まて!逃げるきか!!」

これが逃げているように見えるらしい、随分と都合の良い頭をしているな。そこまでポジティブ?な解釈を出来ると逆に尊敬出来るよ、しかし逆恨みされると面倒くさい、何か手を打つべきか。などと考えながら校舎に連れて行かれてしまった。

 

 

 

 

そしてこの日を堺に私の生活は一変した。

 




続けるなら日常っぽい感じにしたいなー。
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