赤龍帝の転生譚 作:かきなぐり
人の身に、人を超越した力を宿す
その伐刀者の所属する国家の重要な戦力であり、彼らを立派に鍛えることは当然のこと。
警察も、軍隊も――戦争も伐刀者なくして立ち行かない。
犯罪を犯す伐刀者や敵の伐刀者に対抗できるのは、やはり同じ伐刀者だけ。最高クラスの異能者などは時間や因果などというものまで操るのだから、非伐刀者ではどうにもならないのだから仕方がない。
そして、そんな超人とでも呼ぶべき伐刀者たちに、その手に持った大きな力の扱い方と、それに伴う責任を教育し、社会の為に役立ってもらおうというのが《魔導騎士制度》である。
国際機関の認可を受けたばっとう伐刀者専門の学校を卒業した者のみが、その異能を振るう『免許』を与えられ、『魔導騎士』という社会的立場を得られるのだ。
ただ、異能を振るう『免許』は学校で学んで
超常の力――それは生まれ持ったモノなのだから。
だからこそ、一般の人々は恐れる。隠れた超常の能力者を、教育を受けず己が欲望のままに凡人には対抗不能は暴威を振るう犯罪者を。
いくら伐刀者にとって最重要のステイタスである《
「ちゃんと力の扱い方と心構えを勉強してきて」と言われるのは当たり前。
そんなわワケで、周囲からの有形無形の圧力を受け流すことが出来なかった一誠は、『免許』を持った『魔導騎士』となるべく日本に7校ある『騎士学校』のひとつである『破軍学園』の入試に望んでいた。
7つの学校の中から、一誠が破軍学園を選んだ理由は単純だ。
まずは、実家から近いからである。
全寮制なので通う必要はないのだが、それでも遠いよりは近い方が良い。
さらに、破軍学園は試験に受かって入学さえすれば衣食住の保証と全額学費免除の特典があるのだ。
ついでに、仮に落ちたところで他の学校に通えば良いだけ。他の学校では学費などが必要だが、入学試験など基本的になく、伐刀者としての素質がありさえすれば誰でも入学可能。
盤石の滑り止めがあるのだ、これで学費やもろもろの費用免除を狙わない手はない。
一誠の伐刀者としての基礎的なステイタスは低い。恐ろしく低い。総合的なランクが最低クラスのFなくらい低い。
魔力量は平均の10分の1以下のミジンコ。それに合わせて魔力によって強化される攻撃力や防御力なども最低値。伐刀者である以上――警察か軍隊か分からないが――どうせ荒事は避けられないだろうと身体は鍛えてきたので身体能力はそこそこ自信があるが、それも「まあ普通に町道場で頑張ってきましたね」レベルである。
血反吐を吐くような訓練など、元貧弱一般人なメンタルで出来ようハズもなく……。
繰り返すが、一誠は基礎的なステイタスは最低のFランク。
破軍学園の一般的な新入生のランクはほとんどがそれより上位のDランクとEランク。Cランクは250人の人数内に5人もいれば良い方で、その年にBランクがいるかどうかは運次第というのが一誠が事前に調べたところだ。
それでも一誠は破軍学園の入試について心配していなかった。
「頼むぞ――《
こっそりと顕現させた赤い籠手を撫でる彼の目には、自分が落ちるわけがないという自信が満ちていた。
一誠自身はたいしたことのないヤツだが、彼の《
《赤龍帝の籠手》の持つ異能は、《倍加》。彼の《力》を2倍にするという単純なもの。ただそれだけならば、それほどたいしたものではない。最低ランクのステイタスを倍にしたところで、ひとつ上のEランクの伐刀者にも届かない可能性が高い。
だが、一誠の霊装の《倍加》は一度では終わらない。発動から10秒経過するごとに、さらに倍々に力を増加させて行くのだ――際限なく。
2倍が4倍に、4倍が8倍に……時間さえあれば、現状最高の総魔力量を誇るとされているどこぞのAランク伐刀者をも上回る。
それが一誠の霊装。赤い龍の帝王という、暴力の権化の概念を宿した籠手。
この力を最大限――一誠が
◆
試験会場で、一誠は倒れ伏していた。泡を吹いて、白目をむいて第六訓練場に転がる多数の脱落者たちの1人となっていた。
彼よりも前の順番の受験生が、病弱系美人試験官に喧嘩を売った結果がこれである。決闘を申し込むとかなんとか言い出したヤツの巻き添えである。
「《
全身を苛む圧倒的な苦痛を前に、凡夫メンタルが耐えられるハズもなく……。
「先生、試験が受けたいです……」一誠はそう言う事さえできなくされたのであった。
転生貧弱パンピーメンタルで折木先生に勝てるはずがない。巻き込まれただけでこの有様。
一誠君は能力増強系バフが得意だけど、先生は範囲バステてんこもり散布なんで、対策してないとどうにもね。