ハイスクールGEED   作:メンツコアラ

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 はい。今回はエピローグと閑話を少し。
 ちょっとぐだぐだした感じはありますが、それはまぁご了承下さい。
 それではどうぞ。





エピローグ

《戦いを終えて》

 

 

 クライシス・インパクトを起こしたウルトラマンベリアル。その息子であるウルトラマンジードの名は瞬く間に冥界中に広まった。

 ただでさえ不死身の強者であるフェニックス家の才児、更には謎の力で強化されたライザーを倒したのだから無理もないだろう。

 

 ジード……陸は殆どの悪魔に恐れられ、貴族たちから討伐対象にされる筈だったのだが、

 

 

『彼は私の妹の為、その眷属の為。そして、大切な友の為に戦った。そんな優しい心の持ち主が、はたしてベリアルと同じ危険な存在だろうか?』

 

 

 サーゼクスのその一言が貴族たちを黙らせ、陸は何時ものとはいかないが、日常に戻ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、陸とライザーの対戦から2日。

 陸はリアスたちを地下秘密基地に連れてきていた。

 

 

「ど、どうぞ……」

 

『おぉ~』

 

 

 転移を終え、目の前の光景に驚きの声を上げるリアスたちにレムが自己紹介をする。

 

 

〔ようこそ、リアス・グレモリーとその眷属の皆さん。私は報告管理システム『REM(レム)』と申します。声だけの存在ですが、以後お見知りおきを〕

 

「あら。随分と高性能なAIね。冥界でもこれ程の物は無いわ」

 

「に、日本ってスゴいんですねッ!」

 

「いや、俺も聞いたことないっす」

 

「というよりも、これはこの星の技術では無理だと思いますわ」

 

〔ええ。私は地球人製のAIではありません〕

 

「……返答もスムーズ」

 

「驚くしかないね、これは」

 

 

 レム程のレベルが高い人工知能を見るのは皆初めて。それ故に関心がレムに集中している為、どのタイミングで話を切り出せばいいのか陸は迷ってしまう。

 しかし、そんな陸の心情を察してか、リアスたちから問いかけてきた。

 

 

「……それで、リクはどうして私たちをここに呼んだのかしら?」

 

 

 皆が陸の方に向き直り、代表してリアスが問いかける。

 また、陸の心を恐怖が埋め尽くすが、勇気を出し、陸は皆の前で頭を下げた。

 

 

「ごめんなさいッ!」

 

 

 突然の謝罪に戸惑うリアスたちだが、陸は頭を上げようとはしない。

 

 

「俺がウルトラマンだってもっと早く打ち明ければ、グレモリー先輩が悲しむ事なんて無かったし、イッセーたちが傷つくこともなかったかもしれない……なのに、俺h「顔を挙げろよ、リク」───え?」

 

「確かにお前の言う通りかもしれないけどさ、それって結局は予想論だろ? 最後には、お前は俺や部長、悪魔全員を敵に回す覚悟で助けに来てくれた。結果は俺たちの勝ちだろ? それに、サーゼクス様のお蔭で敵に回ることもなくなった。なら、何の問題もねぇよ」

 

 

 一誠の言葉にリアス、アーシア、朱乃、小猫、祐斗が頷く。

 

 

「イッセー……みんな……」

 

 

 受け入れられた……いや。最初からそうだったのだろう。恐らく、リアスがベリアルの話をしたとき、自分がウルトラマンだと伝えても問題はなかった。

 他の者たちはともかく、一誠たちはそうだ。そういう人たちだ。

 なのに、自分はビクビクと怯えていた。それが情けなくて、でも受け入れてくれたことが嬉しくて、気がつけば陸は泣いていた。

 

 

(良かったですね、リク)

 

(リク、良かったニャア)

 

 

 レムは声に出さず、黒歌は別室でモニター越しに陸の事を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《閑話 その一》

 

 

 

 あれから数日。

 星雲荘の一室では、慌ただしく引っ越しの作業が行われていた。

 

 

「よし。服はこんな物かな」

 

「……食器、纏め終わりました」

 

「後は運ぶだけですわ」

 

「ありがとうございます、姫島先輩、塔城さん」

 

 

 動きやすい服装で陸の引っ越し作業を手伝う朱乃と小猫。黒歌は用事があると言って、二人が来る前に出掛けていった。

 

 ───さて、そろそろ説明するとしよう。

 何故、陸は引っ越しをしているのか。その理由は陸自身……正確には、陸のおサイフ事情にあった。

 きっかけは先日の家賃の振込の時。陸は学生だからと、晴雄が家賃を安くしてくれているとはいえ、電気代や水道代などを加算すると一人の高校生としてはかなり痛い出費になる。バイト代の殆どはそれらに消え、食費を抜けば自由に使えるお金はほんの僅か。オタクの陸にとって、それは辛い事だ。

 そんな陸にレムが一言。

 

 

『なら、地下秘密基地(ここ)に住めばよろしいのでは? ここなら電気代、水道代、その他諸々は必要ありませんし、現マスターはリクですので、ここはリクの家のような場所です』

 

 

 それを聞いた陸はすぐさま地下室に移り住む事を決定。

 昨日の内に晴雄に引っ越す事を伝え、今まで御世話になりましたと挨拶を終えた。

 勿論、金が理由で引っ越しますと正直に言える訳もなく、学校近くで寮が出来たからそこに引っ越すと嘘をつき、朱乃の催眠術で誤魔化した。

 

 

 

 話を戻して、荷造りをある程度終えた陸たちは休憩をとることに。今は卓袱台を囲んでお茶を飲んでいた。

 

 

「ふぅ……改めて、ありがとうございます。態々手伝って貰っちゃって」

 

「いえいえ。陸くんには御世話になりましたから」

 

「……借りを残しておくのが嫌だっただけです」

 

 

 朱乃は小さく笑い、小猫は何時ものように答える。

 

 

「そう言えば、グレモリー先輩も引っ越ししたんですよね……イッセーの家に」

 

「ええ。今頃おもしr───大変な事になってるでしょうね」

 

「……今のは聞かなかった事にしてあげます」

 

「あらあら。何の事でしょう───」

 

 

 お茶を片手に話を弾ませる三人。

 そんなとき、部屋にインターホンの音が響いた。

 陸は二人に断りを入れ、玄関へ。扉を開けると、そこには紙袋を抱えたレイヴェルが立っていた。

 

 

「ごきげんよう、リク───って、頭にタオルなんて巻いてどうしましたの?」

 

「あ、ごめん。今、引っ越しの作業をしていて。それで、レイヴェルは何でここに?」

 

「先日のお礼をしに来ましたわ。これを」

 

 

 そう言って、レイヴェルは手に持っていた紙袋を差し出した。受け取った陸は許可を貰い、袋を開けると、中には前に買い損ねたドンシャインのフィギュアが入っていた。

 

 

「これって……ッ!」

 

「あの後、観賞用と保存用とで二つ買っていましたの。その内の一つを差し上げますわ」

 

「いいの?」

 

「ええ。お兄様を助けてくださったお礼ですので。むしろ、まだ足りないくらいですわ」

 

「そうなんだ……まあ、ありがとう。引っ越しが終わったら、すぐに飾るよ」

 

「そう言えば、どこに引っ越されるのですの?」

 

「あー、えっと……」

 

 

 まさか『地下に引っ越す』なんて素直に答えるわけにも行かず、とりあえず『近くに引っ越す』と答える陸に、レイヴェルは少し遠慮しながら問いかけた。

 

 

「その……引っ越しが終わったら、遊びに伺っても宜しいですか? またドンシャインの話をしたいので……」

 

「───うん。何時でも電話して。迎えに行くから」

 

 

 陸の言葉にレイヴェルの表情がパァッと明るくなった。

 

 

「それでは、私はこれで失礼しますわ」

 

「うん。また、今度ね」

 

「……と、すいません。一つだけ忘れ物をしましたわ。リク、目を閉じて下さいまし」

 

「え? 何d「いいから」───は、はい」

 

 

 レイヴェルに言われた通り、陸は目を閉じ、視界を黒一色に染める。結果、敏感になっていく視界以外の五感。

 その時、

 

 

  ────チュッ。

 

 

「───え?」

 

 

 僅かな時間、唇に感じる柔らかい感触。

 目を開けると、顔を赤く染めるレイヴェルの姿。

 

 

「レ、レイヴェル? 今のって……」

 

「そ、それではッ! 今度こそ失礼しますわッ!」

 

 

 そう言って、走り去っていくレイヴェルを陸はただ見つめることしか出来なかった。

 唇には先程の感触がまだ生々しく残っている。

 

 

(今のって、やっぱり……───)

 

 

 指先が自然と唇に向かい、

 

 

 

 

「「ジー…………」」

 

「にゃあああッ!!?」

 

 

 背後から感じる二つの視線がそれを拒んだ。

 

 

「ふ、二人とも、何時から見てたのッ!?」

 

「わりと最初からですわね」

 

「最初からって……?」

 

「……ごきげんよう、リク」

 

「本当に最初からだったッ!?」

 

「……すけこまし」

 

「それは違うッ! 違うからッ!」

 

 

 絶対零度にも等しい視線を向ける小猫に、何故か『誤解だ』と言い続ける陸だった。

 

 

 

 

 

 一方、星雲荘の近くでは、

 

 

「あの泥棒焼き鳥めぇッ! 私だってキスしたことニャいのにぃッ!!」

 

 

 と、隠れて見ていた黒歌がハンカチを噛んでいたのは、また別のはなし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《閑話 その二》

 

 

 

「~~~♪」

 

 

 とある教会。その建物の廊下で、聖歌とはまったく違う歌を歌う、聖職者の衣装に身を包んだツインテールの少女がいた。

 聖歌のように落ち着いた曲ではなく、日本の特撮アニメのオープニングに流れるような、リズミカルな曲。

 

 

「~~~~「ミス紫藤ッ!」は、はいッ!」

 

 

 名前を呼ばれ、慌てて歌を止める少女『紫藤イリナ』は自身の後ろに立っていた上司に当たる男性の方へ体を向ける。

 

 

「聖歌以外の曲はできる限り歌うなとあれほど言ったのに、また歌っていましたね」

 

「申し訳ございません、牧師ッ! ですが、ドンシャインは私のヒーローd「言い訳は結構ッ!」す、すいません……」

 

「まったく……これから任務を与えようと思った矢先でこれとは……」

 

「任務、ですか?」

 

「ええ。重大な任務です。貴女には日本に向かって貰います。詳しい任務の内容はn「日本ですかッ!」急に大声を出さないッ!」

 

「す、すいませんッ!」

 

「まったくッ! 貴女と言う人は───」

 

 

 少女に対して説教を始める牧師だったが、当のイリナは殆ど聞こえていなかった。

 

 

(やったぁッ! 久々の日本ッ! ()()会えるッ!)

 

 

 少女の頭の中に、まだ幼い『彼』の姿が思い浮かぶ。

 元気にしているだろうか。どんな風に成長しているか。

 彼女は今すぐにでも日本に向かいたい気持ちで一杯になった。

 

 

(早く会いたいなぁ───リっくんに)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《閑話 その三》

 

 

 

 場所は陸たちがいる宇宙から遥か彼方。

 一人の戦士が旅立とうとしていた。

 

 

「本当に行くのですか?」

 

「俺たちを置いて、一人で向かうのか?」

 

「あぁ。バラージの盾も、あの戦いの傷が完全には癒えてない。お前らと一緒は無理だ」

 

「なら、完全に修復するのを待つべきだ」

 

「いや。それだと手遅れになる気がするんだ」

 

「それはどういうことだ?」

 

「今も頭から離れねぇんだよ。あの時の……炎に包まれた中で嘲笑うような、ベリアルの野郎の笑い声がな」

 

 

 

 

 

 

 




次回は少し時間を置いてから投稿します。
それでは今回はこれにて。

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