ハイスクールGEED   作:メンツコアラ

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すいません。
題名をハイスクールGEEDに変更させていただきました。
それと3話目の最後に出てきた『ヒュートム』を『ユートム』に変更しました。
誠に身勝手ですが、申し訳ありません。


秘密基地にようこそ

 陸たちが『はぐれ悪魔祓い(エクソシスト)』のフリードと出会い。そして、陸が自分の無力さを呪った次の日の放課後。

 パシンッ、とオカルト研究部の部室に乾いた音が響き渡った。

 

「何度言ったら分かるの? ダメなものはダメよ。あのシスターの救出は認められないわ。あなた一人の行動が私たちに多大な影響を及ぼすのよ。それを自覚してちょうだい」

 

 陸、朱乃、木場、小猫が見守るなか、リアスが一誠に冷たく言い放つ。

 一誠の頬には赤い紅葉が出来ていた。

 

「じゃあ、俺個人で行きます。眷属から外してもらっても構いません」

 

「バカ言わないでちょうだいッ! そんなこと、出来るわけないでしょッ!」

 

「でも、アーシアは俺の友達です。大切な友達を放って置くことは出来ません。それに、堕天使たちは敵です。敵をブッ飛ばすのがグレモリー眷属じゃなかったんですか」

 

「………………」

 

 睨み合う二人。二人の間に重苦しい空気が流れる。

 そんなとき、朱乃が険しい顔でそそくさとリアスに近づき、耳打ちをした。それを聞いたリアスの顔がさらに険しくなっていく。

 リアスは一誠を一瞥し、次に部屋にいるオカ研メンバーを見渡した。

 

「急な用事が出来たわ。私と朱乃は外に出るわ」

 

「待ってください、部長ッ! まだ話は終わってな───」

 

 扉へ向かうリアスを一誠が呼び止めようとするが、その時、彼女の人差し指が一誠の唇に触れた。

 

「イッセー。あなたは『兵士』を弱い駒だと思ってるみたいだけど、『兵士』には『プロモーション』という能力があるの。私が敵の陣地と認めた場所なら王以外になることが出来るわ。あなたはまだ悪魔になったばかりだから女王は無理だろうけど、それ以外なら問題ないはずよ」

 

 そして───、と一誠の唇に触れていたリアスの指が彼の胸の中心まで下がる。

 

「想いなさい。神器(セイクリッド・ギア)は想いの力で動き出すの。だからこそ、強く想いなさい」

 

 その言葉を残し、リアスは朱乃と共に部室を出ていった。

 残された一誠、陸、小猫、木場の四人。

 木場が一誠に問いかける。

 

「兵藤くん、本当に行くのかい?」

 

「当たり前だ。止めたって無駄だぞ」

 

「いや、止めるつもりはないよ。だって、部長も行くことを許可したんだし」

 

「は? 何を言ってんだよ?」

 

「なんであのタイミングでプロモーションの事を教えたと思う? あれは遠回しに『リアス・グレモリーが敵陣地と認めた』って言ってたんだよ。もっとも、一人で行かないことが条件付きだろうけどね」

 

「じゃあ───」

 

 一誠の問い掛けに、木場は自身の武器である剣をその手に持つ。

 

「僕も行くよ。教会には、個人的な恨みもあるしね」

 

「……私も行きます」

 

 そう言って、アーシア救出作戦に小猫も立ち上がる。

 

「……二人だけだと心配ですから」

 

「ありがとう、小猫ちゃんッ! 俺は心から感激しているッ!」

 

「……あれ? なんか僕の時と反応が違わないかい?」

 

 こうして、アーシア救出に行くメンバーが三人揃った。

 それを見ていた陸は一誠に少しだけエールを送った。

 

「イッセー。僕、力がないからさ、皆と一緒に行っても足手まといになるだけだから、皆の帰りを信じてることしか出来ないけどさ……アーシアさんを絶対に助けろよな」

 

「……おう。分かってるよ」

 

 一誠が陸に拳をつき出す。その拳に、陸は自分の拳をコツンッ、と軽くぶつけた。

 

 

 

 

 

 

 

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 一誠たちがアーシア救出に出発してから十数分後。

 陸は星雲荘に帰ってきた。

 

「ただいま……」

 

「おかえりニャンッ! ご飯にする? お風呂にする? それともワ・タ・シ?」

 

 いつもの着物姿にエプロンを着けた黒歌がお玉を向けてポーズをとる。それに対し、陸は『ご飯で』と小さく返した。

 

「(……あれ? なんか暗い? 何時もなら顔を真っ赤にするのに)リク? なんかあった?」

 

「別に? 大したことじゃないよ」

 

 そう言って持っていた鞄を片付ける陸に、黒歌はエプロンを脱いで陸の前に座り、

 

「───リク。そこに座って」

 

「え? なんでそんな事を───」

 

「いいから座ろ? ね?」

 

 そう言って笑顔を向ける黒歌。しかし、その笑顔は断ることをさせないほどの凄みがあった。

 陸が黒歌の前に座ると事情聴取が始まった。

 それから数分後。

 

「───なるほどね。それで自分から辞退したけど、納得できてない自分がいる、と」

 

「いや、納得できてない訳じゃないんだけど……胸の奥がモヤモヤするっていうか……」

 

「それを『納得できてない』って言うの」

 

 黒歌に言われて、顔を下に向ける陸。

 そんな彼に黒歌は一言。

 

「行っちゃえばいいんじゃない?」

 

「え、でも……」

 

「確かにリクは戦えないかもしれないけど、それでも何か出来るかもしれない。ジーッとしていられないなら、自分から探していかないと。

 こういうときこそ、『ジード』でしょ?」

 

 『ジード』。それは陸のポリシーの略語。

 

「ジーッとしてても、ドーにもならない……」

 

「そういうことニャ。もちろん、私も出来る限りのサポートはするから」

 

「黒歌……ありがとう。なんか、行ける気がするッ!」

 

「そのいきそのいきッ! それでこそリクニャッ!」

 

 陸は立ち上がり、黒歌と共に外に出ようとする。しかし、扉を開け、階段に向かおうとしたとき、ゴチンッ!、と陸の額に鈍い音が響いた。陸はそのまま後ろに倒れ込む。

 黒歌は陸を慌てて受け止めた。

 

「だ、大丈夫、リク?」

 

「いってぇ……何だ、今の?」

 

 陸は目の前……正確には自分の額があった位置を見た。そこにあったのは、

 

「───ボール?」

 

 そう。そこにあったのは銀色の模様が描かれたオレンジ色のボール。その中央には赤いランプが付いていることから、機械だと言うことが分かる。

 陸たちが『何だこれ?』と警戒するなか、ボールから音声が流れた。

 

〔細胞を入手。DNA検索を開始。

 …………検査完了。Bの因子を確認。

 基地の全システムを起動。

 …………起動完了。権限が上書きされました。これよりマスターの転送を開始します〕

 

「はッ!? ちょっと何を───」

 

 『言ってんだ?』、と陸が言おうとしたとき、陸たちの足元に機械的な魔方陣が現れ、彼らはその中に消えていった。

 

 

 

 

 気がつくと、陸たちは星雲荘とは別の場所にいた。

 

 そこは周りが金属の壁に包まれた部屋。陸たちの後ろにはスライド式の扉があり、二人の前……正確に言うと、部屋の奥には大きな電球のような黄色い球体が天井から吊り下げられている。

 

 陸たちが目の前の光景に眼を丸くするなか、ボールが黄色い球の真下にある円形の台まで飛び、その台の上に降りる。すると、黄色い球体がヴゥン、という独特の音と共に起動した。

 黄色い球体からボールと同じ声が流れる。

 

〔ようこそ、マスター。私は報告管理システム。声だけの存在です。

 ここは駒王町の地下五〇〇メートルに位置する中央指令室。ここの基地はマスター、貴方に譲渡されました〕

 

「……えっと……マスターって、僕のこと?」

 

 陸の問いに黄色い球体……報告管理システムが『はい』、と肯定した。

 

「……僕のこと、誰かと勘違いしてない?」

 

〔いいえ。DNA検査を行っているため、誤認などではありません。

 マスター。貴方にお渡しするものがございます〕

 

 報告管理システムがそう言うと、台の上に、二重螺旋を模したようなシリンダーが中央に付いた赤いアイテムと、持ち手と二つの穴が空いた黒いアイテム。そして、掌サイズのカプセルが数本とそれを収める為のケースが現れた。殆どのカプセルの中には何もないが、二本だけ例外があった。

 その内の一本には銀と赤の色合いの人の絵、もう一本には黒と赤色の体を持つ人の絵が、どちらも上に手をつき出すように描かれていた。

 

〔フュージョンライズ専用のマシン『ライザー』と『ナックル』。そして、『ウルトラカプセル』です〕

 

「……ねぇ。僕にくれるって言ってたけど、なんで?」

 

〔これは運命です。

 これらを使うことによって、マスター、貴方は本来の姿と力を取り戻す事が出来ます〕

 

「本来の、姿……?」

 

〔単刀直入に言います。あなたは()()()()()()()()()

 

「───ッ!?」

 

 報告管理システムの言葉に自分の聴覚を疑う陸。

 

「ちょっと待つニャ。リクが人間じゃない? そんな出鱈目を言って何を企んで───」

 

〔出鱈目ではありません。それに、貴女は猫又の上位種と見受けられます。そのような存在がマスターの存在が人間か否か、分からない筈がありません〕

 

 報告管理システムの言葉に、黒歌は言葉に詰まってしまった。そんな彼女に、陸は問い掛ける。

 

「……黒歌。黒歌は始めから分かってたの?」

 

 陸が黒歌を見つめる。その目は『嘘だと言って』、と訴えかけていた。しかし、

 

「…………ごめん、リク」

 

 黒歌は俯き、そう小さく言った。

 

 黒歌は陸と初めて出会った日から分かっていたのだ。陸の放つ気から、陸が人間ではないと。それを今まで黙っていたのは、偏に陸の事を思ってのことだった。

 その事を言えば、陸は悲しむと思ったから。

 その事を言えば、自分から離れていってしまうと思ったから。

 

 黒歌は固く眼を閉じ、来るであろう怒声に身構える。だがしかし、それらが陸の口から出てくることはなかった。

 

「頭を上げてよ、黒歌」

 

「……怒って、ないの?」

 

「確かにちょっとイラッとしたけど、黒歌は僕の事を思って黙ってたんでしょ? だったら、怒る事なんて出来ないよ」

 

 陸の言葉に、黒歌は涙を流しながら抱きつく。

 陸は泣く黒歌をなだめ、改めて報告管理システムと向かい合う。

 

「ねぇ。僕が君の言う本当の姿に戻ったら、どんな事が出来るの?」

 

〔どんな、とは?〕

 

「えっと……例えば、テレビのヒーローみたいに誰かを助けたりとか」

 

〔それは、貴方次第です。マスターがその気になれば、その力は善にも悪にもなります〕

 

「どういうこと?」

 

〔それほどまでに貴方の力が強大だということです。

 なぜなら貴方は

 

 ───ウルトラマンの遺伝子を受け継いでいるのですから〕

 

 その言葉に、陸は再び自分の聴覚を疑った。それは黒歌も同じだった。

 『ウルトラマン』。クライシス・インパクト時に確認された光の戦士たち。その遺伝子を自分が持っている。

 そう思った陸は、自然と台の上のカプセルを手に取っていた。その時、陸の手の中にある『ウルトラマンカプセル』と『ベリアルカプセル』が僅かに熱を放ったように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 一方、その頃。

 アーシア救出に向かっていた一誠は因縁の相手、堕天使レイナーレとの決着をつけようとしていた。

 

「レイナァァァァァレェェェッ!!」

 

『Explosion !! 』

 

 傷だらけの体を動かし、一誠はレイナーレにとどめをさす為に、神器に包まれた左拳を握り締める。

 一誠の神器から音声が流れ、手の甲の宝珠が一際強く輝く。

 始めは手の甲を覆うだけだった一誠の神器は、今や肘から下全てを覆う籠手になっていた。

 

「この腐れ悪魔がぁぁぁぁぁッ!」

 

 レイナーレが光の槍を片手に飛びかかり、それに対して一誠は左拳を構えて殴りかかる。

 重なる二つの影。 

 勝利したのは……、

 

「うおらああああぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 一誠だった。レイナーレの槍は一誠の体に触れることはなく、一方の一誠の拳はレイナーレの顔面をとらえていた。一誠はそのまま腕を振り抜き、レイナーレの体を前方の壁までブッ飛ばした。

 顔面を殴られた衝撃と壁にぶつかった衝撃で気絶したレイナーレはそのまま床に倒れた。

 それを見て、自身の勝利を確信した一誠は体力の限界により、その場に膝をついた。

 

「イッセーさんッ!」

 

 一誠の名を呼ぶのは、彼の戦いを離れた場所で見ていたアーシアだった。

 アーシアは一誠に駆け寄り、自身の神器『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』で一誠の傷を治していく。

 

「サンキューな、アーシア」

 

「お礼を言うべきなのは私ですッ……こんな傷だらけになりながらも、私を助けてくれて、ありがとうございますッ……」

 

 涙を流しながら感謝の言葉を述べ続けるアーシアの頭を、一誠はそっと優しく撫でる。

 そんな彼らの元に、祭壇の裏の隠し階段から少しボロボロになった木場と小猫が姿を現した。

 

「お疲れさま、イッセーくん」

 

「……お疲れさまです」

 

「おっせーよ。ボロボロじゃねぇか」

 

「今の君ほどじゃないさ。それに、部長から手を出すなって言われてたしね」

 

「部長が?」

 

 一誠がそう問い掛けた時だった。

 カツンッ、と乾いた音が教会に響き渡る。見ると、隠し階段の登ってリアスが姿を現したではないか。彼女の後ろには朱乃の姿もあった。

 

「よくやったわね、イッセー。流石は私の兵士(ポーン)だわ」

 

 リアスは一誠の頭を愛しい子に触れるように撫でる。

 そんなときだった。

 

「ぐッ…………」

 

「あらあら。汚ならしいカラスが起きたみたいですわよ」

 

 朱乃の言葉にその場にいた者たちの視線が起き上がろうとするレイナーレに集まる。

 リアスはそんなレイナーレに体を向ける。

 

「ごきげんよう、堕ちた天使さん」

 

「貴様ら……ただで済むと思うなよ……ッ! 直に応援が───」

 

「残念だけど、他の堕天使は始末させてもらったわよ」

 

 そう言ったリアスはスカートのポケットから二枚の羽を取り出す。微妙に色合いが違うそれらを見たレイナーレは眼を見開いた。

 

「貴女なら、この羽根が誰の物か分かるわね? ここの羽根の持ち主たちにちょっと挨拶したら、今回の一件は貴女の独断行動だって、すんなりと答えてくれたわよ」

 

 それを聞いた一誠は、自分が苦戦した堕天使を二人も倒したリアスに戦慄する。そんな彼に、朱乃たちはリアスが『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』と呼ばれるほどの実力者であることを教える。

 

「さて、堕天使レイナーレ。貴女の敗因はイッセーの神器を勘違いしたことよ。これは『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。十秒毎に所有者の力を倍加させる神滅具(ロンギヌス)よ」

 

「神滅具だと……ッ!? 神すら屠れる力を、そんな下級悪魔が……ッ」

 

(ブーステッド・ギア……そんなスゲェ物を持ってたのか……───まてよ? ってことは、俺の悪魔出世伝説は約束されたようなモノなのではッ!?)

 

 リアスたちの会話を聞いていた一誠は自分が悪魔として出世していき、夢であるハーレムを築く自分の姿ににやけてしまう。

 そんな浮かれた彼を見たリアスは『今回は相手が油断していただけだ』と釘を指しておいた。

 リアスは改めて、レイナーレの方を向いた。

 

「さて……それじゃあ、貴女には消えてもらうわ」

 

 リアスは冷たい目でレイナーレを見下ろし、両手に滅亡の魔力を籠める。その姿を見た一誠は味方だとしても恐怖を抱いてしまった。しかし、

 

「…………フフッ……フフハハハハハハッ!!」

 

 レイナーレの口から出たのは命乞いではなく、大笑だった。

 恐怖のあまりにおかしくなったのか、と一誠たちは思ったが、彼女の瞳は一切恐怖に染まってなかった。

 

聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)ッ! そして赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)ッ! 強力な神器が今目の前に二つもあるッ!

 なんて私は運がいいのかしら? これをあの御方に捧げれば、私はあの御方の側に置いていただけるッ!」

 

「何を言ってるのかしら? 堕天使の総督がそんな事で貴女を側近に───」

 

「堕天使の総督? そんな奴ら、あの御方に比べればゴミ屑にも等しい」

 

「───何ですって?」

 

 リアスはレイナーレの言葉に思わず問い掛けてしまう。それほどまでに驚いてしまったのだ。それは朱乃、木場、小猫も同じ。

 堕天使や悪魔等にとって、上級は憧れの存在。それがその種族のボスともなれば尚更だ。しかし、レイナーレは自身のボスを『ゴミ屑』と言ったのだ。

 

「私が忠誠を誓うのはアザゼルやコカビエルではないッ! あの御方こそ、この世界を───いや。全ての宇宙を支配すべき御方ッ! その御方の側に立つために、貴様らの神器は絶対にいただくッ!!」

 

 そう叫んだレイナーレはスカートの下に手を伸ばし、太ももに着けていた持ち手の付いた黒いアイテム『装填ナックル』を取り出した。そして、ポケットから二つの黒いカプセルを取り出し、その横に付いたスイッチを入れた。

 

「ゴモラッ! レッドキングッ!」

 

 スイッチを入れた事で光を宿したカプセルをレイナーレはナックルに装填し、どこから取り出したのか、シリンダーの付いた赤いアイテム『ライザー』を顔の横に掲げた。

 

「───さぁッ! 終焉の時間だッ!」

 

 レイナーレはライザーにナックルに装填したカプセルを読み込ませる。すると、シリンダーの二重螺旋にカプセルが放つ光が宿った。レイナーレはライザーのトリガーを押すと胸前に掲げた。

 

【 フュージョンライズ !】

 

 シリンダーが回転し、そこに宿っていた光が混ざり合い、別の光となってレイナーレの体を包み込む。その光に危機感を覚えたリアスは魔力弾を放つが、その光に拒まれてレイナーレに当たることはなかった。

 

【 ゴモラ! レッドキング!

 ウルトラマンベリアル! スカルゴモラ!】

 

 どす黒い音声が教会に響き渡ると光は巨大化を始めた。

 このままでは潰されると判断したリアスたちはその場を撤退し始めた。

 

 そして、リアスたちが教会の外に出たとき、ソイツは教会の屋根を突き破って姿を現した。

 

「グルゥシュアアアアアッ!!」

 

「な、なんなんだよ、あれ……ッ!?」

 

 雄叫びを上げるレイナーレだったそれに一誠だけがそう呟いたが、その言葉は誰もが言いたかったことだ。アーシアに至っては恐怖のあまりに気絶しそうになる。

 

 所々に黄土色のゴツゴツとした鱗が並ぶ、五〇メートル以上はある黒い巨体。頭部には血のような赤黒く太い双角が生えており、瞳は爛々と双角と同じ色に輝いている。その姿を一言で表すのなら『怪獣』以外に何があるだろう。

 

「……祐斗、小猫。イッセーとアーシア・アルジェントを連れて逃げなさい。朱乃、ここに残ってあれの足止めをするわよ」

 

「部長、何言ってんすかッ!? 部長も逃げないと───」

 

「あれの目的はあなたたちなのよッ! アーシア・アルジェントが一緒にいる今、転移は使えないッ! だけど、固まって逃げれば町の方に被害が及ぶわッ! 私たちが時間を稼ぐからその間に逃げなさいッ!」

 

 そう言ったリアスは朱乃に合図を送り、共に怪獣、『ベリアル融合獣 スカルゴモラ』に向かって飛び立った。

 一誠は彼女についていきたかったが、祐斗たちがそれを止め、四人は町の方に逃げていった。

 

 

 

 

 

 

 

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 駒王町の地下五〇〇メートルにある地下中央指令室。

 陸は報告管理システムから渡されたライザー等をベルトに装着しながら、モニターの映像を見ていた。そこには突如町に現れた怪獣……つまりはスカルゴモラが映っていた。

 

「これ、どこの番組?」

 

〔球体型偵察機ユートムが撮っているリアルタイムの映像です〕

 

「ちょっと待つニャッ!? リアルタイムってことは、こんなのが上で暴れてるのッ!?」

 

 黒歌の問いに、報告管理システムは肯定で返す。さらに、

 

〔どうやら悪魔が二名交戦中のようです。映像を拡大します〕

 

 そう言った報告管理システムは映像の一部を拡大する。そこに映っていたのは、

 

「部長ッ!? それに姫島先輩ッ!?」

 

「えッ!? その人たちって、今教会にいるはずだよねッ!?」

 

〔どうやら怪獣は教会から出現したようです。なお、そこから町に逃げ込む悪魔を三人とシスターを一人確認しています〕

 

 報告管理システムがハッキングした教会周辺の監視カメラの映像を映す。そこに映っていたのは一誠たちだった。

 一応、無事であることにホッとする陸たちだが、このままでは怪獣は町に入ってしい、逃げる一誠たちに被害が出るかも知れない。

 そう考えた陸は報告管理システムに問い掛けた。

 

「ねえ。僕が本当の姿になったら、どれくらいの大きさになるの?」

 

〔およそ五〇メートル程と推測されます〕

 

「リク……? まさかとは思うけど……」

 

「僕があいつを倒す。多分、あいつをどうにか出来るのは僕だけだから。そうだろ、レム?」

 

〔レム、とは私のことですか?〕

 

「報告管理システムって呼びづらいからさ。……ダメ、かな?」

 

REM(レム)……Report、Managementのイニシャルですね?〕

 

「えッ、あ……えーっと、うん。そんなところ。あっ、それと僕はリクって呼んで」

 

〔分かりました、リク。それでは、転送を開始します。連絡は装填ナックルを触れることで可能ですので〕

 

 報告管理システム改めて、レムの言葉に陸は『分かった』と答える。

 陸の目の前に魔方陣が現れる。陸がそれを通ろうとするなか、黒歌がエールを送った。

 

「リクッ! 絶対に帰ってきてねッ!」

 

「───ああッ! 約束だ、黒歌ッ!」

 

 陸は魔方陣の中を通っていく。

 その向こう側は、人気のない公園だった。 

 町にはサイレンが鳴り響き、少し離れた所からは人々の叫び声も聞こえる。

 その反対側にはスカルゴモラの姿があった。

 

『聞こえますか、リク?』

 

 ナックルからレムの声が聞こえる。陸はナックルに触れ、その通信に答えた。

 

「ああ。大丈夫」

 

『怪獣が町に入りました。このままでは、避難している人々に到達するのも時間の問題でしょう』

 

「マズイッ! 早くなんとかしないとッ!」

 

『やり方、覚えていますね?』

 

「……えッと、どうすればいいんだっけ?」

 

『カプセルを二本起動してナックルに装填。それをライザーで読み込めば、フュージョンライズ出来ます。

 フュージョンライズ後の呼称を決めてください』

 

(呼称……ってことは、名前だよね? えッと…じゃあ───)

 

 陸は自分が決めた……自分を表すその名前を高らかに言った。

 

「───ジード…ウルトラマンジードッ! そして、これは僕が使うライザーだから『ジードライザー』だッ!

 ────よし……

 

ジーッとしてても、ドーにもならねぇッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 そう叫んだ陸は左腰のケースからウルトラマンカプセルを取り出し、そのスイッチを入れる。

 

「融合ッ!」

 

 ウルトラマンカプセルをナックルに装填し、次に取り出したのはベリアルカプセル。

 

「アイ、ゴーッ!」

 

 ベリアルカプセルをナックルに装填。次にライザー……いや。ジードライザーを掲げた。

 

「ヒア、ウィー、ゴーッ!」

 

 起動させたジードライザーに、ナックルに装填したカプセルを読み込ませた。するとシリンダーにカプセルの光が宿る。

 

【 フュージョンライズ!】

 

「決めるぜッ! 覚悟ッ!」

 

 決め台詞を言った陸はジードライザーを上に掲げ、そして、胸元まで下ろしトリガーのトリガーを押した。

 

 

「ジイィィィィィィドッ!!!」

 

 

 シリンダーから光……いや。カプセルに宿っていたウルトラマンとウルトラマンベリアルの力が溢れだし、決して一つになることがなかった光と闇が混ざり合いながら陸と一つになっていく。

 

 

【 ウルトラマン! ウルトラマンベリアル!

 

 ウルトラマンジード! プリミティブ!】

 

 

「シュアッ!」

 

 ジードライザーから流れた音声と共に陸は……いや。その戦士は右腕を掲げ、光と共に夜の空へ飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 辺りがすっかり夜に包まれた午後八時。

 本来なら静寂が包む時間帯だが、今日だけは違った。

 そこらじゅうから聞こえてくる悲鳴と走る人々の足音。鳴り響くサイレンは鳴り始めてから十分経った今も鳴り続けている。

 逃げる人々の中には、教会から逃げてきた一誠たちの姿もあった。

 

「大丈夫か、アーシアッ!」

 

「は、はいッ!」

 

 アーシアの手を引っ張って走り続ける一誠。その後ろを走っていた祐斗たちはレイナーレが持っていたライザーについて考えていた。

 

「……先輩。先程のあれ、まさかとは思いますが」

 

「いや。あれは神器(セイクリッド・ギア)じゃない。僕も神器持ちだから分かるんだ」

 

 『だからこそ、あれが何かは分からない』と答える木場。

 彼らの後方からは今もスカルゴモラの足音が聞こえる。リアスたちも奮闘しているのだろうが、その音の間隔が変わらないところから大して効いていないのだろう。

 それでも一誠たちは彼女たちの行動を無駄にしないために走り続ける。

 

 

 ────そんなときだった。大地と空気が大きく振動したのは。

 

「───ッ!? 今度は何なんだよッ!?」

 

 一誠たちは……いや。逃げていた人々はその衝撃に足を止め、後ろを振り向いた。そこにいたのは、

 

「───光の、巨人?」

 

 一誠の言った言葉は振り返った誰もが思ったことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 空中でスカルゴモラの進行を少しでも妨害しようと奮闘していたリアスたちも、突如現れたその巨人に攻撃の手を止めてしまった。

 

「なんなの、あれ……ッ!?」

 

 光の巨人がゆっくりと立ち上がる。

 五〇メートル程ある、赤と黒の模様が走った銀色の体。胸の中心と瞳の蒼いクリスタルは暗闇の中で爛々と輝いていた。

 

「───ッ!? あの瞳の感じ……まさかッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、フュージョンライズに成功した陸……いや。ウルトラマンジードは自分の身に起きた変化に少し戸惑っていた。

 

「僕、どんな姿になったんだ?」

 

 見えるのは首から下の部分のみ。

 手を握ったり開いたりして感覚を確認する。その際に返ってきた感覚は変身する前と変わらないことに少しホッとする。

 だが、それはほんの少しの間だけだった。

 

「グルルルル……」

 

 スカルゴモラの唸り声がジードの耳に入る。見ると、スカルゴモラが歩きながら真っ直ぐ睨み付けているではないか。

 

「これ以上先には行かせないッ! ハアァァッ!」

 

 ジードは跳躍し、スカルゴモラとの距離を一気に縮める。

 スカルゴモラの目の前に降り立ったジードはスカルゴモラの頭部に掴みかかった。しかし、それを振り払ったスカルゴモラに頭突きを放った。それを諸にくらったジード、側にあったビルに倒れ込んでしまい、そのビルはいとも容易く崩壊してしまった。

 

(いってぇ……けど、なんだこれ? ビルってこんなに柔らかかったっけ?)

 

『リクッ! 聞こえるかニャッ!』

 

「(黒歌ッ!? なんで───て、そうか。基地からナックルを通して通信しているのか)黒歌、どうなっちまったんだッ!? 建物も道路も、まるで砂で作ったみたいに柔らかいッ!」

 

『今のリク…まるで……───ッ! リク、前ッ!』

 

 黒歌に言われ、ジードは倒れる自分を踏みつけようとするスカルゴモラに気づく。慌てて横に転がって回避したジードはすぐさま起き上がって構える。

 スカルゴモラはそんなジードに対して自身の豪腕を振るってきた。ジードはスカルゴモラの脇を潜ってそれを回避。背後に回ったジードはスカルゴモラに一発殴ってやろうとしたが、そこにスカルゴモラのテールアタックが炸裂。避けることが出来なかったジードは再び地面に叩きつけられた。

 

「キシュアアアッ!」

 

 スカルゴモラが再び豪腕を振るう。ジードはすぐさま立ち上がり、バク転で避けながら距離を取っていく。

 

「(単純な力は僕の敗けだ)───ならッ!」

 

 ジードは再び跳躍し、今度はスカルゴモラの背中に馬乗りになった。そして、スカルゴモラの太い首を力いっぱい締め付ける。

 

「グルアァ、アア……ッ」

 

「よしッ! 効いているッ!」

 

 悶え苦しむスカルゴモラ。必死にジードを振りほどこうとするが、ジードはスカルゴモラの首にしっかりとしがみつき離れようとはしない。

 このまま行けば勝てるッ!、と自分の勝利を確信したジード。

 しかし、現実はそう甘くなかった。

 

「グルゥゥ……アアアアアアッ!」

 

 スカルゴモラが背中から倒れ、ジードを地面と自分の体でサンドした。

 スカルゴモラの体重は約五九〇〇〇トン。その圧倒的重量に押し潰されたジードは腕を離してしまった。

 スカルゴモラはすぐさま立ち上がり、ジードに突撃していく。

 ジードはなんとか立ち上がり、それを受け止めた。しかし、突如スカルゴモラの双角が光だし、そこから放たれた『スカル超振動波』をゼロ距離でくらってしまった。

 ブッ飛ばされるジードの体はそのまま後方にあったビルを崩しながら倒れ込んでしまう。

 

「くそッ……なんて破壊力だ……ッ」

 

 そのときだった。

 フィコンッ、フィコンッ、フィコンッ……と胸のクリスタル『カラータイマー』が音を鳴らしながら点滅を始めた。その現象に戸惑うジードに、レムが報告する。

 

『まもなく活動限界です。エネルギーが尽きた場合、変身が解除され、次にフュージョンライズ出来るのは二〇時間後になります』

 

「そんな……ッ!? 今なんとかしないとッ!」

 

 彼の前ではスカルゴモラが背を向け、再び逃げる人々の方へ歩み始めている。このままでは、逃げる人々も、その中にいる一誠たちも蹂躙されてしまう。

 陸は怪獣をどうにかして倒す方法がないか聞く。それに対してレムは、

 

『光子エネルギーを放射すれば可能です』

 

「光子エネルギー? やり方はッ!?」

 

『既に御存知のはずです』

 

「はあッ!? お前、何を言って───」

 

 そのときだった。ドクンッ、とジードの中で何かが脈動し、彼の頭の中にある情報が流れ込む。

 その情報がなんなのか。

 ジードはすぐに理解した。

 

「───いや……今、頭の中に思い浮かんだッ!」

 

 ジードは立ち上がり、本日三度目の跳躍をする。今度はスカルゴモラと人々との中間地点に降り立った。

 ここから先へは行かせない。その思いを胸に構えるジード。

 スカルゴモラはそんな彼に怒りを覚えたのか、双角にエネルギーを滾らせて駆け出した。

 

 それに対して、ジードは両腕を下でクロスさせ、エネルギーを貯めていく。エネルギーが貯まるにつれ、彼の両腕から黒い稲妻が迸った。

 

「ハアァァァァァァ……ッ!」

 

 その稲妻は、ジードがクロスさせた腕を上に掲げ、横に広げていくとこで強まる瞳の光と共により激しくなっていく。

 そして、エネルギーの稲妻が最高潮に達した時、ジードは雄叫びと共に放った。

 

「アアァァァァ────ディアッ!!!」

 

 十字に交差させた腕から放たれた、黒い稲妻を纏った光の光線はスカルゴモラに直撃。その光はスカルゴモラの全身に巡り、その巨体を爆発、四散させた。

 

 

 

 

 

 

 

 その光景をすぐそばで見ていた人々。その内の一人が、『助かった……』と呟いた。助かったことからの安心感か、その喜びはすぐさま全体に広がり、夜遅くの町に人々の喜びの声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 地下の中央指令室では、

 

「か、勝った……ニャ?」

 

〔はい。先程の光線は『レッキングバースト』です〕

 

「よ、よかった……けど、リクのあの姿。まるで……」

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカルゴモラが四散した中心。

 そこにはボロボロになった一人の堕天使、レイナーレが倒れていた。彼女の前には煙を放つ黒いカプセル、『ゴモラカプセル』と『レッドキングカプセル』が落ちていた。

 

「ぐッ……まだ、私は……ッ」

 

 レイナーレがカプセルに手を伸ばす。しかし、その手がカプセルに触れることはなかった。

 別の手がカプセルを拾い上げる。

 レイナーレは『誰だッ!』と叫ぼうとしたが、その人物を見て止めた。

 

「貴様は……ストルム、星人……」

 

 『ストルム星人』。そう呼ばれたフルフェイスのヘルメットを被った黒ずくめの男はカプセルを仕舞いながらレイナーレを見下ろす。

 

「随分と無様な姿だな。堕天使 レイナーレ」

 

「なにを……バカにしに来たのか……」

 

「いいや。私はあの御方の言葉を伝えに来ただけだ」

 

「あの御方のッ!?」

 

 レイナーレが目を見開き、驚きを露にする。

 そんな彼女に、ストルム星人は言った。

 

「あの御方はこう言っていた。

 『堕天使 レイナーレ。

 

 ───貴様はもう用済みだ』、とね」

 

 

「へ───」

 

 次の瞬間、堕天使 レイナーレはこの世界から消え去った。

 さっきまで彼女がいた場所を一別したストルム星人は踵を返し、その場から去っていく。

 

「さぁ……物語は始まった。貴様はどうする。あの御方の遺伝子を持つ者よ……」

 

 

 

 

 

 

 




ウルトラカプセル

各々のウルトラマンの力を宿したアイテム。掌に収まる程の大きさしかないが、たった一つで戦局を大きく覆す可能性を秘めている。
同じように怪獣の力を宿した『怪獣カプセル』が存在するが、それらの関係は……。




ライザーとナックル

フュージョンライズ専用アイテム。これにウルトラカプセルを読み込ませればウルトラマンに、怪獣カプセルを読み込ませれば怪獣へと変身することが出来る。
しかし、変身するには条件を満たさないといけない。その条件とは……。



報告管理システム『レム』

駒王町の地下五〇〇メートルに位置する中央指令室のサポートAI。なぜ、自分がこんなところにいるかは覚えていないが、とある資格を持つ者を全力でサポートしないといけない、という使命は覚えていたらしい。
では、その資格とは……。




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はい。今回はここまでです。
感想、評価を心から御待ちしております。


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