ハイスクールGEED   作:メンツコアラ

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 ハイスクールGEED二章『戦闘校舎のソリッドバーニング』スタートです。





戦闘校舎のソリッドバーニング
二章 プロローグ


 駒王町に謎の怪獣と巨人が現れてから数日。

 あと一週間足らずでGW(ゴールデンウィー)が訪れようとしているなか、陸は町の中を一人でトボトボ歩いていた。

 

「はぁ……」

 

 自然と溜め息が出てしまう。

 理由はもちろん自分の父親が、世界を破壊しようとしたウルトラマンベリアルだった事だ。

 

(ベリアル…世界の破壊者……そして、僕はその息子……)

 

 現在の心情のせいか、あれ日からオカルト研究部には行けていない。授業も上の空だ。

 それを見かねた黒歌が陸に『気分転換でもしてみたら?』と外に出したのだ。

 

「……まあ、僕の気分転換はこれしかないけどね」

 

 そんな彼が訪れたのは、商店街にあるホビーショップ。

 中に入った陸は五分もしないうちに目的の物を見つけた。

 

「見つけた……ドンシャインのフィギュアの限定版ッ!」

 

 そのパッケージを見た瞬間、先程まで暗かった陸の表情が嘘のように明るくなった。

 

 『爆裂戦記ドンシャイン』。陸が物心つく前に放送開始した特撮番組。今でも絶大な人気を誇っており、多くの世代に愛されている作品だ。

 

(今回は劇中名シーンのポスター付きッ! 一三〇〇〇以上と下手すれば半月分の食費になりかねない値段だけど、仕方ないよネッ!)

 

 ……とまあ、仕方ない事は無いことを考えながら陸はフィギュアの箱に手を伸ばす。しかし、その手が箱に触れることはなかった。

 

「え───」「あら───」

 

 横から出された自分のものよりも小さい手。見ると、彼の横にはロールを巻いたツインテールが特徴的な金髪の少女が立っていた。

 

(誰だろ、この子? ここら辺じゃ見たこと無いけど……)

 

 女の子がこのような店に来ることが珍しかったのか、陸はついつい見つめてしまう。

 

「……なんですの? さっきからジロジロと」

 

「あっ、いやっ、ごめんなさい……」

 

「まったく……罰として、これは貰いますわよ」

 

 そう言ってフィギュアの箱を手に取ろうとする少女。

 陸は慌てて少女を止めた。

 

「いやいや待って待ってッ! 何をどうなったらそうなるのッ!?」

 

「貴方は私にジロジロとイヤらしい視線を向けてたのだから、私にこれを譲る義務がありますわ」

 

「イヤらしい視線で見てないしッ! だからってドンシャインを譲るつもりはないッ! それに僕は半月分の食事を白米だけで過ごす覚悟で此処に来たんだからッ!」

 

「そういうのは生活を優先すべきでしょッ!? それに、私はこれを手に入れる為にわざわざここまでやって来たんですからッ!」

 

「なんだよ、その言い方ッ! なら此処に来ないで通販で買えばいいじゃんッ!」

 

「こういうものは直接買うことに意味があるんですわッ! そうでなかったらこんな所に来ませんッ!」

 

 二人は口論を続ける。

 さて、ここで問題だ。先程から二人はそれなりに大きな声で口論している。さらに言葉の中には『こんな所~』や『わざわざ此処に~』等のワードが飛び交っている。そんな事を言われ続けられている店はどんな行動をとるのだろう?

 まだ口論を続ける陸と金髪の少女。そんな二人に店の制服のエプロンを身につけた、やたらがたいのいいサングラスの男性店員が近づいた。その男が取った行動は……。

 

「お客様。他の方々のご迷惑になりますので、他所でやってくれませんか?(さっさと店を出ていきな)

 

 二人は店員に襟を捕まれ、あっという間に店の外に放り出された。

 二人の間に沈黙が流れる。それを先に破ったのは少女の方だった。

 

「……あなたのせいですわよ。あなたがさっさと渡さないからこうなってしまったんですッ!」

 

「僕だけのせいッ!? 君だって『こんな所』とか『わざわざ』とか貶してるような言い方してたじゃないかッ!」

 

「それはあなたも同じでしてよッ! どうせ、ドンシャインをあまり知らない癖に限定版って言葉に目をくらませたくちでしょうッ!」

 

「そんなことないしッ! 少なくとも、君よりかは詳しいッ!」

 

「なら、ドンシャインの身長、体重、ジャンプ力、走力、パンチ力、キック力の設定を全て答えられるかしら?」

 

 少女の出した問題はかなりマニアックな物だった。どんなファンでも、全部を答えることは困難を極める。

 しかし、

 

「身長 1.8メートルッ! 体重 90キロッ! ジャンプ力 20メートルッ! 走力は100メートル6.6秒台にパンチ力は25トンッ! そしてキック力 7トンッ!」

 

「な───ッ!? まさかの全問正解ッ!?」

 

「バ~カッ! こう見えて、僕は自他共に認めるドンシャインオタクなんだッ! それくらいは基本だよッ!

 今度はこっちだッ! 

 ドンシャインに出てきた怪人、ベースボール伯爵が出たのは第何話のなんという題名の時か? そして、伯爵の必殺フォームはッ!」

 

 またもやマニアックな問題。しかし、先程ドンシャインの身体能力設定を問題に出した少女だ。答えられないわけがなかった。

 

「第43話『炎の一球勝負 ドンシャイン対悪魔球団』。ベースボール伯爵の必殺打撃フォームは『ダークネス一本足打法』ですわ」

 

「一秒も経たない内に答えたッ!?」

 

「ふふん。私、これでもファンクラブに所属していますの。そこら辺のマニアとは違いますわッ! 

 次の問題ッ! 『危うしタカコ! ドンシャイン危機一秒前!』に出てきた────」

 

 こうして、二人のドンシャイン好き対決は続いた。

 端から見たらうるさいとしか思わないやり取りはどんどんヒートしていき、最終的に───

 

「───で、そこで明かされたタカコの正体には驚きましたわ」

 

「分かるッ! 僕、再放送の奴で見たんだけど、内容知ってた幼馴染みがネタバレしてきてさ。そのときは結構怒ったなぁ」

 

「確かに。ドンシャイン好きとして、それは許せませんわね」

 

「でしょうッ!」

 

 何故か和解していた。

 しかも、場所は変わってファミレスに。二人はドリンクを片手に談笑していた。

 

「……それでさ、さっきは色々とごめん」

 

「謝る必要はありませんわ。ドンシャインを思う気持ちを考えれば、当然のことですから」

 

「ありがとう。……なんか、いいよね。こうやって、誰かとドンシャイン話すの。僕の周りさ、ドンシャイン好きがあんまりいなくて。さっき言ったネタバレした幼馴染みは幼い頃に遠いところに引っ越して、こういうこと話す人いないんだ」

 

「それは私も同じですわ。私にはお兄様がいるんですけど、年中スケベなことばかりで……」

 

「なんか……苦労してるんだね。僕でよかったら何時でも話し相手になるから」

 

「本当ですの? なら、連絡先を交換しませんか?」

 

「別にいいよ。……あ、そういえば、名前言って無かったね。僕は陸。朝倉 陸。気軽に『リク』って呼んでよ」

 

「私は『レイヴェル・フェニックス』。これから同じドンシャインファンとして、よろしくお願いいたしますわね」

 

 互いに名乗った後も談笑を続ける陸と金髪の少女『レイヴェル』。二人は一時間もの間、ドンシャインについて語り合った。連絡先を交換し、別れる時の二人の顔はキラキラと輝いていただろう。

 

 

 しかし、近い内に再会することを、この二人はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 




今回はプロローグなので短め。
レイヴェルのキャラ崩壊に、レイヴェルファンの皆様、誠に申し訳ありませんでした。
しかし、後悔も反省もしていないので、そこら辺は御了承してください。





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