ハイスクールGEED   作:メンツコアラ

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長きにわたって、この作品を待ってくださっていた方々。
誠に申し訳ありませんでした。
本日より、ハイスクールGEEDを復活させます。
投稿スピードは遅いですが、御了承ください。
それでは本編をどうぞ。







少女の願い

 GW(ゴールデンウィーク)。多くの若者がその日を笑顔で過ごしており、逆に暗い顔で過ごしている者もいるだろう。

 銀河マーケットでは、後者に分類される者がいた。

 

 

「はぁ………」

 

「十三回目。そろそろウザくなって来たニャ」

 

 

 納品の間にちょくちょく溜め息を吐く陸に、黒歌はジト目で睨んでいた。

 

 

「ねぇ、酷くない? 心を痛めてる相棒を慰めようとは思わないの?」

 

「横であからさまにはぁはぁはぁはぁ溜め息を吐き続けられたら、そんな気も失せるニャ。ジーっとしてても、ドーにもならないって言ってるのに、なんで一緒に行かなかったの? あの焼き鳥野郎を倒すために修行するんでしょ?」

 

 

 そう。今、陸以外のオカ研メンバーはライザー妥当の為にとある山で修行を行っていた。

 もちろん、オカ研に所属している陸も行こうとしたが、

 

 

「一般人の僕を悪魔の争い事に巻き込むわけにはいかないからって、グレモリー先輩に……」

 

「で、いざというときの転移用魔法陣だけを渡され、自分は残ってバイトに勤しむと……ちょっと前に似たような事で後悔したのは何処の誰だったかニャ?」

 

「う゛ッ……それは、そうだけど…………」

 

「もうさ、さっさと話したら? 自分はウルトラマンだって」

 

「言えるわけないよ。だって、クライシス・インパクトを起こしたベリアルの息子だよ? それに……」

 

 

 陸が顎で示したのはテレビの画面。そこにはちょうど前に陸……正確にはジードの話題を取り上げられていた。

 

 

『ベリアルに似た謎の巨人ッ! 敵か、味方かッ!?

 当局ではあの巨人に対しての世論調査を行いました』

 

 

 写し出される円グラフ。そこにはジードの事をベリアルと同じ存在だと思っている人が85%を占めていた。

 

 

「これって、皆が僕に怯えてるって事でしょ? 先輩たちも警戒しろって言ってたし、僕があの時のウルトラマンだって言ったら怖がるに決まってる」

 

「そうか二ャ? 意外とすぐに受け入れてくれるんじゃない?」

 

「……無理だって」

 

(逆ジード状態か。めんどくせぇ~……)

 

 

 逆ジード……すなわち、『ジーっと考えすぎて、ドーにもなってない』。そんな陸に黒歌は深く溜め息を吐く。

 

 そんなとき、レジをしていた晴雄が陸に声を掛けた。

 

 

「陸。お前にお客さんだぞ」

 

「僕に……?」

 

「おお。しっかし、お前も隅に置けないなぁ。あんな可愛子ちゃんと友達なんて」

 

 

 晴雄がどうぞどうぞと外に立っていた客を中に招く。

 その招かれた客は、

 

 

「……お久しぶりですわ、リク」

 

「レ、レイヴェル……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「これ、粗茶だけど……」

 

「ありがとうございますわ」

 

 

 場所は変わって、星雲荘の陸の部屋。晴雄が気を利かせ、休憩時間をずらしてくれたので、陸はゆっくり話が出来るように招いたのだ。

 

 お茶を出した陸は机を挟んでレイヴェルの向かい側に座る。

 

 

「それで、今日はどうしたの?」

 

「リク……あなた、リアス様とお知り合いだったのですわね」

 

 

 レイヴェルの口から出てきた自分の先輩の名前に、なぜ知っているのかと驚き、困惑する陸だったが、彼女のフルネーム……『レイヴェル・フェニックス』を思い出した。

 

 

「まさか……レイヴェルって……」

 

「おそらく、そのまさかは正解ですわ。私はライザー・フェニックスの妹であり、お兄様の僧侶(ビショップ)ですわ」

 

「悪魔の駒って家族にも使えるんだ……」

 

「ええ。もっとも、なったのはつい最近ですけれど」

 

 

 苦笑混じりで返答するレイヴェルだったが、陸にはその表情がとても疲労しており、同時に辛そうに見えた。

 

 

「……それで? なんで、僕の所に?」

 

「……本来ならリアス様に直接言うべきですが、連絡が取れませんでしたから、何処にいるか知っているであろうリムに言伝てを頼みに来たのですわ」

 

「ことづて? なにそれ?」

 

「伝言のことです。それで、その内容なのですが……

 

 

 ───レーティングゲームを棄権して欲しいのです」

 

「───……は?」

 

 

 陸は思わず聞き返してしまう。

 

 

「……ちょっと待って。棄権してってどういうこと? 先輩たちに負けろって言うの?」

 

「そういうことですわ」

 

「言えるわけないッ! だって、グレモリー先輩は自由の為に、他の皆はそんな先輩の為に一心になって戦おうとしてるんだよッ! そんなことを言えば───」

 

「無理なのは百も承知ですッ! ですが、そうしないと……」

 

 

 

 

 

 

 

「───リアス様の眷属の誰かが死ぬ可能性があるんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───と、いうことがありまして……」

 

『まさか、あなたが彼女と友人だったとはね』

 

 

 携帯越しに、リアスの驚く声が聞こえる。

 あれから暫くしてレイヴェルが帰った後、陸はリアスに連絡を取り、レイヴェルとの会話を報告した。

 

 

『しかし、私の眷属から死者が出る、ね……』

 

「レーティングゲームって、そこまで危ないもの何ですか?」

 

『いいえ。出場者の命に関わると判断された場合はすぐさま戦線離脱(リタイア)させられるわ。死者が出るなんて絶対に起きないの』

 

(でも、レイヴェルのあの表情……あれは嘘をついているようには見えなかった……)

 

『とりあえず、こっちも警戒はしておくわ。それじゃあ』

 

 

 リアスとの通信が切れる。

 

 ライザーとの試合まで後僅か。

 陸の内を埋め尽くすのは、得たいの知れない不安だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 遂にレーティングゲームが始まった。

 陸は特別観客者として、VIPルームに案内された。

 

 

「それでは、ごゆっくり」

 

 

 陸を部屋まで案内したグレイフィアがその場を去っていく。

 残された陸は一生に一度見れるか見れないかの豪華な内装に圧倒されていた。

 

 

(なんだろう……この圧倒的な場違い感……)

 

 

 丁寧に整えられた内壁。並べられた椅子やテーブル。壁際に置かれている机の上には高級そうなワインやウイスキーなど。圧倒的な高級感が、貧乏な陸にとって眩しく見える。

 だからなのだろう。自分が来たときには既に先客がいたことを気づかないでいるのは。

 

 

「───そんなに珍しいかな?」

 

「────ッ!?」

 

 

 見れば、並べられた椅子の一つにリアスのような紅毛の男性が座っていた。驚く陸に男性は座るように言う。

 

 

「立ったままでは疲れるだろう。さあ、座りたまえ」

 

「は、はい……」

 

 

 男性から溢れ出るセレブ感に、陸は圧倒されていた。

 正直、今すぐにでも部屋を出るか、それが出来ないにしても椅子を離れた場所に移動させたい。だが、逆にそれが失礼だと思い、とりあえずは言われた通りに男性の隣の椅子に座った。

 

 

「確か……君はリアスの協力者、だったかな?」

 

「そ、そうですけど……貴方、は?」

 

「私かい? 今はリアスの関係者とだけ言っておこう」

 

 

 二人の会話はそこで一旦ストップした。

 時々、男性が『飲むかい?』をグラスを差し出して来たが、陸は未成年であり、かつ今の状況で水も喉を通りそうになかったので断っていた。

 

 試合開始まで残り一分。

 男性はどちらが勝つと思うか、陸に尋ねてきた。

 

 

「君は今回のレーティングゲーム、どちらが勝つと思う?」

 

「それは…………えっと……」

 

「おや? リアスが勝つとは言ってくれないんだね」

 

「本当は、そう言いたいんですけど……実は相手の眷属の一人とちょっとした交友関係があって……それで、その子から、ちょっと……」

 

「そうか……まあ、何はともあれ、彼らは今、自分が出せる全力で戦うだろう。我々はそれを見守ろうじゃないか」

 

「…………はい」

 

 

 

 

『これよりレーティングゲームを開始します』

 

 

 VIPルームにグレイフィアの声が響き、レーティングゲームが開始させる。陸は胸の内に不安を抱きながら、試合の行く末を見守ろうとモニターに視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一時間後、リアスたちは負けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回は出来たらソリッドバーニングを出そうと思います。

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