INFINITE・JUSTIRISER   作:加古川託麻

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大変お久しゅうございます......。



紅白、紅碧

「全然わからん!!」

 

放課後、難しい用語が並ぶ教科書を読んだことで頭の中ハテナの森に迷った一夏は机に突っ伏していた。

夕日がやけに目に染みる様だ。

 

「...大丈夫か?」

 

「おう......あん時は一週間あれば基礎なんて完璧だと思ったんだよ........って箒!?」

 

勢い良く顔をあげた先に髪をポニーテールでまとめた少女。剣の同い年の姉、篠ノ之箒が覗き込むように見ていた。

 

「久しぶりだな一夏」

 

「おう、久しぶり箒。 聞いたぜ、剣道の全国大会で優勝したんだけっか、おめでとう」

 

「...あ、ありがとう」

 

「いやぁ人目でわかったぜ髪型あのときと変わってないもんな、剣はちょっと変わってたけど...そうだ剣は?あいつどこ行った?」

 

「あぁあいつは───」

 

「織斑くん! よかったです、まだ教室にいたんですね」

 

「山田先生!」

 

箒の言葉を遮るように教室へ来た山田先生がそのままかけよって来た。

 

「篠ノ之くんは先に寮へ向かいました。『勉強している織斑君の邪魔をしたくない』って言っていましたよ」

 

「寮? まだ自宅から通うんじゃなかったんですか?」

 

山田先生から説明を聞いた。なんでも政府の意向で保護と監視の観念から最優先で割り振ったためそれぞれ別々の相部屋になったらしい。 待てよ...別々?

 

「あれ?俺たち男子だから同じ部屋じゃないんですか?」

 

「ええっとぉ....それは....────」

 

 

 

 

 

夕暮れに照らされる並木道を一人で進む剣。

普段なら寮への道であるそこは沢山人がいるのだがその時に限っては不自然なほど人が居なかった。

 

「やぁ()()()()()、こんにちは」

 

「えぇこんにちは。 あなたは同じクラスの()()さんですね」

 

「........」

 

「..........」

 

先程までいなかった前方に突如現れたIS学園の制服を着た少女──藤宮 碧と柔らかい表情を浮かべ向かい合っていると、ふいに碧が我慢しきれないといった感じで笑い始めた。

 

「ぷっ...ふふふっ...やっぱ難しいねこういうのって...そうでしょ()()()?」

 

「やめろ。 馴れ馴れしいぞ」

 

浮かべていた笑顔を一転、能面のような無表情へと戻す剣。それに連動するかのように口調も冷たいモノへと変わる。

 

「ふふっ、まさか剣くんが来るだなんて思ってなかったよ。あんなしゃべり方してるの初めてみた」

 

「ふん...所詮お前の模倣だ。まだ不完全だがな」

 

碧の脳内に今日一日、密かに観察していた剣と織斑一夏の姿が浮かんだ。私ってあんな話し方だっけ?とも思うがそれはそれとして私を(実質)頼ってくれて嬉しいとも考えていた。今すぐにでもこの溢れるような気持ちを伝えようとも思ったがIS学園(ここ)では安全に...監視カメラの外で誰にも見つからずに直接会話出来る機会は少ないため、沸いてくるときめきに蓋を閉め不要な会話は我慢することにした。

 

「へぇ~...何でここに来ることにしたの?確かにここは最重要目標の一つだけど...適正のことは私の方がごまかすんじゃなかったっけ?」

 

「計画変更だ、残りのステラプレートよりもジャスティクリスタルの回収を優先する」

 

「クリスタルを......? でもあれはどこにあるかはわからないって....」

 

ジャスティクリスタル───それはある力が秘められた水晶であり代先祖々篠ノ之の家に伝えられている代物である。現在の在り処は不明。

 

「あの時、検査会場にあったISからジャスティクリスタルのビジョンを見た。おそらくはコアネットワークとこいつが共鳴したのだろう」

 

困惑する碧の言葉を遮り、剣は懐に忍ばせてあるものに触れた。四角い箱...印籠に似ているとでも云うべきか無機質な感触が伝わる。

 

「...それで? 何が見えたの?」

 

「白騎士だ」

 

白騎士。その名を聞いたとたん碧の顔がいぶしげな表情を浮かべた。零のIS、あの白騎士事件を引き起こした存在でありそのコアは研究所に提供されたあとクリスタルと同じく行方不明とされている。

 

「...白騎士ってあの白騎士?」

 

「そうだ、白騎士には篠ノ之束が持ち出したジャスティクリスタルが使われている」

 

「え、ちょっとまってそれ初耳なんですけど」

 

初めて聞いた情報に眼を丸くする。これまで付き合ってきた関係にもかかわらず伏せられていたことだ。さぞ重要な理由があるに違いない...。

 

「どうして言ってくれなかったの?...あ、何か大事な理由があったからかな...?」

 

「語る必要が無かっただけだ」

 

頭を抱えてため息を吐くが一切合切気にも止めず続けて話す剣。

 

「...これまで、奴の復活を阻止するためにステラプレートの探索を行ってきたがジャスティクリスタルがあるなら話は変わる......ジャスティクリスタルさえあれば奴を──()()()()()()()を今度こそ封印ではなく完全に滅ぼすことが出来る。それがこの学園の何れかにあるはずだ、僕は白騎士から見た」

 

「なるほど...白騎士さえ見つければすべて終わるってことだね」

 

「ああ、ノルンの悲願を叶える時だ。そしてIS自体も......」

 

その時、学園の方からチャイムの音が聞こえ女子生徒の声が聴こえてきた。碧は少し不満げに頬を膨らませる。

 

「...じゃあ、ここまでだね。またね篠ノ之くん」

 

「はい、ではさようなら。藤宮さん」

 

剣が再び表情を模倣し柔らかくする。去ろうと背中を向ける碧だったが振り替えった。印籠のようなモノ───インローダーを上着のポケットの中で撫でる。

 

「...最後に言っておくね剣くん。私達の心はこれでいつも繋がってること忘れないで..........とっても心配だから...」

 

「承知した」

 

最後の方を剣には何を言っているか解らなかったがその言葉を最後に碧は一つ瞬きする間に目の前から消え再び剣は一人寮へと歩んでいった。

 

 

 




白騎士→ISのコアネットワーク→剣(ビジョン)→IS学園?
はたしてこれが真実でしょうか......なんちゃって

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