鮮やかなコントラストをどうか   作:harune

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途中で死んだので未完、全然イントロだし冗長


ありまほしきせかい

しょーせつ!

× × 、好きだよ。

その言葉、景色、そして空の蒼さを僕はまだ忘れることが出来ていない。

 

 

自分の物語はハッピーエンドにもバッドエンドにもなれないのだろう。厳密に言うとハッピーとバッドは対義語ではないからこんな二つに括られるものではないと珍しく冴えた頭が言っていた。

 

 

......い、おい、起きろ。頭上から声がした。山田の顔だ。怒ると面倒だからいつもは寝ないようにしていたのに。物理はどうしても理解できないけどせめて話だけは聞く気はあったんだ。信じてくれ。誰に聞かせるわけでもないから胸の奥にしまっておく。すっかり進んでしまっていた授業はさっぱり分からずに隣りの人にプリントを写させてもらうことにした。写し終わるころには授業が終わる数分前になっていて今更やる気が出てくんなよな、と溜息をつい漏らした。

 

休み時間になっていそいそとイヤフォンをつける。去年の誕生日に親から貰ったワイヤレスのものでネットで調べてみるとなかなかにいいものらしい。何せアップル社が出してるものだ。中途半端な出来では水没でもしていたに違いない。

 

気づけば三時間、自然と続いてしまう会話。

sweet tweetが流れている。今年に入って今までよりもずっと売れているバンドの曲だ。はじめこそ聴かず嫌いをしていたものの、今となっては自分から聴くようになっていた。しかしどうしてミュージシャン達はいつも愛のうたを歌っているのだろう。そんなことを考えながらも顔を伏せて聴覚だけに集中する。

 

適当に三曲ぐらいを聞いていたらいつの間にか休み時間の終わりを告げる音がなり始めた。みんなが焦る様子もなく席に座る。あぁ、お手洗いに行っていたりもしくは購買の辺りに行っていたりした人達はそれなりに急いではいたが。どうせ授業が始まってからこっそりと、又は許可をとって慌ただしく教科書やプリントを廊下に取りに行くのに。

 

高校生になってからやたらと小テストが増えた気がする。中学校のころこんなに英単語や古典の小テストを受けていた気がしない。多分学校の授業にやる気がなく覚えていないだけなのだろう。通っていた塾ではやり過ぎなくらいに小テストをやっていた記憶があるのだ。しかしどうしても直前に詰め込んでその時をやり過ごそうとしていたから追試だったり居残りさせられることは日常だった。

 

そんなことを考えていたら古典のプリントが配られていた。この先生は配られた人から始めさせる人だから自分より後ろの人にディスアドバンテージを与えてしまった。申し訳ないと心の中で謝っておく。

 

やはり分かってはいたがさっぱり問題が解けない。今回は直前の悪足掻きをすることさえしていなかったからしょうがない。いや、成績に関わるからしょうがないで済ませてはいけないのにな。幸いにもテストは自己採点だった。解説を聞きながら少し反省をしてプリントの右下に綺麗な丸をつけた。

 

いよいよ授業が始まるが小テストはたかだか五分やそこらしか時間を削ってはくれない。それなりに億劫な45分で一コマの授業。割合にしたら10%はもう終わっているにもかかわらずあまりそんな気はしていない。この学校は能動的学習を謳っており、確かに能動的に問題に向かっているテストの時間は直ぐに過ぎ去ってしまう。そう考えたら時間は大切だと、些細な時間も無駄にするな、と言うその方針はとても正しいように思えた。いや、でも授業は出来る限り能動的に受けようとはしているのにな。

 

古典の授業は他のものと比べてやけにペアワークが多い。それも一文単位での和訳を交互に確認するというものだ。これは古典に強い人でなければ相方にひどく迷惑をかけてしまう。それを分かっているので古典だけは授業の前に、今日は朝学習の時間に適当なサイトを調べて、分からない単語や訳を確認しておいた。どうにか今日もやり過ごせそうだ。

 

そんな悠長なことを考えていたからか不幸にも先生の目に止まって当てられてしまった。事前に予習していたとはいえクラスの人達に訳を聞かせるのはあまりいい気はしない。だから訳を教科書に書いていてもところどころ分からないと主張する。そうすれば間違えたことにはならない。きっと他の人たちも同じような浅はかな思考を持ち合わせているのだろうけれど。

 

案の定調べていた訳もニュアンスが若干違っていた。次からは違うサイトを参考にしようと他人任せにする。同時に自分の中でその差異には納得できるものも少なくなかったので自省もしていた。その後に当てられた人もところどころつっかえている。日頃使わない言語である古典である以上仕方ないと、自分の力不足ではないと割り切ろうと思う。

 

その日は珍しく授業終了時刻と同時に終わった。いつもは2分程度オーバーしているのに。軽い休憩時間もお手洗いに足を運んだらもう残りの時間はどうしようもなくなってしまう。しかしその間にも無理矢理弁当を食べ進める人もいる。昼食を持ってきていない自分にはなんら関係の無いことであるが。もちろん誤解をしないでいただきたいのは決して親から嫌がらせを受けているのではない。単に朝に急いで用意をする時間が無いのだ。それだけなのだ。

 

それから数学、世界史の授業を"いつも通り"受けて、その日の授業が終わった。

 

 

放課後、決まって向かう場所がある。英語で表記するとAVroom、いかにも男子が喜びそうな見た目をしている。しかし実際は大学の講義室を縮小しただけのようなただの視聴覚室なのに。そこは軽音学部の部室でもある。それだけが毎日足を運ぶ理由だ。

 

-あぁ失敬、軽音楽部に所属していることを伝え忘れていたよ。一応バンドに所属しているただのしがないギター弾きさ。周りと比べて特に才がある訳でもない典型的、と言ったら怒られるかもしれないが典型的な一般人でもあるよ。-

 

お世辞にも他のギタリストと同じくらい弾けるとはいえなくて、でもそれでよかった。全体的に上手いかどうかではなくてやる曲をどれだけ上手く聞かせられるかだけで十分で、どちらかと言えばメンバーとどれだけ仲良く過ごせるかが自分達にとって重要だった。

 

もちろんお客さんを楽しませるようなパフォーマンス、演奏をしようとみんな努力してるし手を抜いてるつもりは誰にもなかった。ただ他のバンドの人達の方がもっと上手に聞かせようとしているだけで。そこの優劣をつける基準なんてホントはありはしなくて各々が個人的な好みと誰の演奏を聞きに来たのかに非常に左右されるものだから誰がどう思おうとも自由だ。だからそんな小さなことは気にしない。

 

今日もバンド練習が始まる。

 

うちのボーカルは人を惹く声をもっていて、それを使いこなせる人だ。きっとそこには計り知れない努力があって何もしていない自分が嫉妬するべき天才じゃあないのだろう。もちろん人としてとても否定できるような部分は持ち合わせていなくて、それでいて好かれるような小さい欠点さえ持ち合わせている。ただ、そのせいで一部の人には嫉妬、また一部の人には羨望の対象となっている。その事さえも少し羨ましく思っている自分がいた。

 

うちのベースはとても快活で話していて自然とこちらの口調まで変わらせてしまうようなそんな人だ。そして何故だか知らないけれど歌が上手い。聞くところによるとカラオケの点数が高い歌のうまさと、ボーカルとしての歌のうまさは若干の差があるらしくて、そのどちらなのか判別は音痴にはつけ難かった。それでも自分より上手いのだけは確かで、一回ボーカルないしはコーラスをしてみて欲しいと思う。

 

うちのドラムは基本的にはふざけているように見えて案外真面目で多少叩けない譜面が出てきた時もそれを嘆きはするが練習の時にはしっかりと出来ているように思える。どれだけ練習したのかふと聞いてみたことがある。すぐ出来たよ、と。天才ですから、なんておどけてみせた。その割には練習が無い日も部室でドラムを叩いてたし、その摩耗したスティックと両手はどう説明するのか、まさかスティックを持ったまま転んだとでも説明するのか。気づかないふりを決め込むことにした。その方がお互いに楽なのだろうと。

 

うちのキーボードはとても優しい。だからこそとても繊細だ。それなのに弾く音はその性格からは考えられないほど大きくて、そのギャップからとてもキャラクター性があるなと感じる。キーボードをバンドでやる人はもともとピアノを習っていた人が多くて、彼も例に漏れずピアノをやっていたらしい。それも幼稚園の途中から中学を卒業するまでとピアノの腕前は素人目、この場合は耳だが、それにとっても同じ部活にいる誰よりも上手いと思う。

 

あっという間の二時間だった。

 

部員が少ないといったら嘘にはなる程度の部員数。それゆえに練習場所を毎週の木曜日に占領できている。

 

部活の開始時間から音を出していいリミットまでの二時間。ぼうっとしていたら長く感じるはずの二時間。それがつい今さっき練習が始まったかのような速さだった。

 

練習が終わったらみんなで片付けをして揃って帰る。鍵を返すのも終了報告を顧問にするのもじゃんけんで決める。決まって負けるのは自分だから最近はほとんど儀礼的なものとなってきているが。顧問の先生は別の部活の顧問も兼ねていることが多くて、職員室にいないことも多い。むしろ職員室にいる日を数えた方が速いとさえ思うくらいだ。今日もいなかったので比較的仲のいい先生に伝言をお願いして職員室をでた。

 

下駄箱は違うがいつも門の前でみんな待っていてくれている。そんな様子を見ていつも小走りで向かう。そして約1.5kmの帰り道を30分かけて最近のゲームの話をしたり、点数がとれない定期試験の話をしたり仲良く帰る。

 

「今日の合わせよかったんじゃない?」とボーカルが、「でもちょっと自分のテンポが揺れちゃった気がする...」とベースが。「確かにちょっとズレたかもしれないね。でもまだ次のライブまで時間があるし、それ以外の部分は本当に弾いてて気持ちよかったよ」とキーボードが言う。そう、確かにと思う。夏のはじまりにある文化祭ライブが終わり、次のライブまであと一ヶ月半あるのだ。ゆっくり着実に完成度を上げていけばいいと思う。それより、何故だかこの一緒に帰っている時間はとてもいいものだと実感した。

 

駅に着く頃にはボーカルが途中で塾に向かったので一人減っていたが特に気にする様子もなく使う路線が違うからと一人、また一人と解散していった。

 

帰りに使う電車は座れる席を確保するためにいつも一本見送っている。それで多少帰宅の時間が遅くなったとしても30分を立ちながら揺られるよりはいくらかマシなように思っているからだ。今日は10分ほど待って電車に乗り込んだ。そして端っこの席に座り、出発まで数分を待つ。

 

朝に使う電車は急行か特急と相場が決まっているが、昼以降に使う電車は好んで鈍行を選ぶことが多い。特に急ぎたい訳でもないのも理由の一つだが、速い電車はたいてい混むので移動している時間に何も出来ず、無駄な時間に感じてしまうからだ。その点鈍行だと自分のスペースを十分に確保出来ることが多く、比較的自由な時間として使える。その事が少し安らぎのようにさえ感じることも少なくない。

 

ただ、自由な時間と言ってもやることはだいたい固定化されてしまっていて、SNS、暗記すべき単語帳等を眺めているか、本を読んでいるかだ。

 

今日は何となく本を持っていたので本を読むことにする。どこにでもあるような恋愛小説だ。たまに推理小説のようなものだったり、ミステリーだったりを読むけれど、恋愛小説を読むことが多い。誰にでもわかるように物語が簡略されて作られていることが多く、大衆向けなので非常に読みやすいからだ。逆に、似たような理由で古典を借りはしてもしっかりと読み切ったことはまだ一度もない。

 

最寄り駅の一つ前の駅に着く頃、読み始めてから約20分程度だろうか、50ページを読み終え本をしまう。物語が始まって恋に落ちるまでのワンフレーズが終わり、いよいよ本番が始まるぐらいだ。非常に続きが気になる。それだから朝の登校の時間にも読めたらいいなと思うが、遅刻しないようにそれでいて座ろうなどと考えたら朝も6時よりも前に家をでねばならず、すぐにとうてい無理だろうと諦めた。

 

本を読んでいても100パーセントの意識を本に向けている訳ではなくて、バンドでやる曲、自分の好きな曲、気になっているバンドの曲、なんでもイヤホンから流れてくる音楽に耳を傾けてもいる。いつも他のメンバーは自分の知らない音楽を聞いていて、少しでも追いつこうと思っているからだ。始めて聞く曲にはいつも緊張している。しかし、30秒やそこらですぐに惹き込まれて、また30秒もすれば同じバンドの他のものに対する欲求が高まる。自分はその繰り返しでレパートリーを増やしているが、他の人はいったいどうやっているのか、降りる準備を整えながらそう思った。

 

まだ本格的な夏が始まっている訳でもないのにホームに降りるとムワッとした空気が顔にくる。乗り換えのために降りる人も多く後ろから押されてしまった。少し腹が立つ。

 

改札を出てコンビニに寄り、チュッパチャプスを買って帰る。少し嫌なことがあった時にする一種のルーティンのようなものだ。ただ、自分でしっかりと信条にしている訳でもないので忘れることもしばしばあるし、そのルーティンのせいで嫌なことを思い出すこともある。

まだ夜も深くなっていないので駅の周りにはそれなりの人がいる。家へはほとんど一本道で大通りに沿って歩いて少し曲がる程度だ。さすがに横浜とか東京のように複数の車線がある訳でもないけどそれなりに車の音はうるさく響く。イヤホンの性能がもっと良ければどうにかなるのか、とか思いながら仕方なしにボリュームをあげた。

 

人との交流があまり得意ではない。というのも、浅い関係を即座に構成するのは長けているが、長期的な繋がりを保てることが今だないからだ。バンドメンバーとは上手く続けばいいと思う。友達と連絡をあまりとる事がなかったのでどの程度連絡をとるものなのかの基準があやふやなようにも感じる。そのせいで中学の頃の友達とはもう連絡を取らなくなってしまった。

 

よく言えば素直、悪くいえば考えなし。策略を巡らせる時と巡らせない時の差が顕著で、片方は様々な伏線、根回しを行う。はたまたもう一方はほとんどその場の感情に乗っ取られてしまう。これが良くない性格であることは重々承知しているが長年連れ添ってきたものとやすやすと別れられるものではない。ゆっくりと矯正していこうと思う。

 

そんな直球な性格だからか秋口にある他校の文化祭にSNSで知り合った人と行くことになった。

 

実は一度少しの時間会ったことがあるのだが覚えてくれているのだろうか。それほど強烈な出会いではなかったが少しの間おふざけをするようにはなれていた。時間が経って会うとなるとまた違ったハードルを感じる。単に向こうが異性であるだけかもしれないが。

 

いや、今はそれどころでは無いのだ。順調に練習は進んでいるのだが如何せん納得がいくものとは言い難い現実に悩まされている。各自の演奏はしっかりと成り立っているし、音色自体も悪くなくむしろいい方とさえ思える。多少各自が自分の世界に入ってしまっているのだろうか、とりもあえず早急に解決しなければいけない、とだけ意識しておこう。

 

高校に入って、勉強と部活の両立を謳う広告は少なくない。では実際に出来ているのか。やはり個人差はあるもので難なくこなせているように見える人と傍から見ても"ヤバい"人がいる。悲しいことに自分はその後者に当たってしまう。この話を持ち出した時点である程度の察しはつけられてしまってはいただろうが。

 

それならほかのメンバーは?ともなるだろう。何故か出来ている。それを知った時は驚いた。さすがに学年のトップを走っているわけではないが中の上ぐらいをキープしているらしい。これには何も言い訳をする弁もないし、ただ感心するばかりだ。忙しそうに友達との交流もこなし、楽器の手を抜くわけでもなく。夜に勉強している筈だが、いったいいつ寝ているのだろうとさえ思ってしまう。きっと大人にとって無駄な時間を作っていないだけなのだろうと独り言ちる。

 

ある夏の日。耳をつんざくようにも感じる騒音。はたまた一つの音楽。暑さにあてられたのか、演者たちの熱気によるものかもはや判別がつけられない複雑さが過ぎ去った。

 

各人が感じていた課題は全て解決できた訳では無いがあの人の盛り上がりをみて満足を分かちあった。次はもっと、みんなで口を揃えて言う。そこには求めているものが、仲の良い健全な関係があった。片付けをする際にも別のバンドの人とお互いに褒めあい、部活の雰囲気としても非常に良好な様相だ。

 

「今日は塾に行く前にみんなで打ち上げをしよう」お金が有り余ってる訳では無いから駅の近くにあるマックでささやかながら楽しい打ち上げをする。冷静になって見つけた反省点を伝えあったり次にやる曲の候補をいくつも出して、それで耳を寄せあって一つの音源から流した。そんなことをしているうちに二時間程が経ち、解散する運びとなった。これでようやく本当の意味で夏のライブが終わったのだ。

 

 

夏季休業。時間があると大人も自分も想像しがちだ。しかし実際は惰眠を貪ったり趣味を久しぶりに再開してみたりと意外とやることは尽きない。バンドに所属いるため当然練習が入る日もある。その日までにできる限り準備を進めなければならないのでいつも切羽詰まっているように感じた。

 

さらに通っている高校では夏期講習なるものを実施しており、任意と書いて強制と読むような参加率をしている。自分もそれに参加する一人ではあるためバンドばかりにかまけている訳にもいかず、悪い成績とにらめっこするばかりだ。まぁ休業のはじめの一週間やもう少しだけの辛抱と割り切って考える。

 

必然的にクラスメートと会う機会がへり、多少物寂しく感じることが増えた。そのせいかSNSを眺める時間が増えたような気がする。あぁそうだ秋に会うのか、と楽しみに思う気持ちも大きくなった。関わる人は大抵いつも同じになってしまうけれど、夏休みはお互いに時間が比較的あるため交流を広げるにはちょうどいいタイミングだろう。今まで絡みが少なかった人にリプライを飛ばしてみることにした。

 

あまり高校に馴染めていない訳では無い。ただ仲良くなろうとする時期が多少遅くて気づいたら周りの人達でグループができる程になっていた。それはSNSにおいても同じように思えて、存在は知っているものの足を踏み入れることの出来ない繋がりも知ってはいた。参入しようとする勇気さえも無かった。それでも一部の人とは関わりがあって、とても良い人だと思える人もいる。

 

そんな訳であまり自分の高校事情に詳しくなく、他校の人と話す事が多くなった。秋口の予定もその結果だろう。他校の人とまた別の高校の文化祭に向かうなんてちょっと面白い様子だ。きっとこれも何かの縁だろう。

 

ギターを30分程度弾いて、返信が来ているか確認してみたがまだ返信は来ていないようだった。また練習を再開した。

 

結局返信が来たのは日も沈みかける頃だった。短いながらも優しい返信が来ていた。やはり気を遣わせてしまったのだろうかなどという不安が頭をよぎる。大丈夫だと自分に言い聞かせるように数回繰り返した。

 

 

終わった。夏季休業がと、課題がだ。予期していなかった夏期講習の後半戦や新しく発掘された課題。既に課題が間に合う予感はしていなかったのにも関わらず容赦なく量が増えた。もう無理だと察して余計にやる気が無くなってしまう。やっぱり時間に余裕なんてないのだろうな。

 

課題も終わらず、普段の休日に比べたら比較的勉強したようには思えるが、普段が普段だ。これでバンドもうまくいっていなかったら本当に夏休みを無駄にした気しかしなくなるところだった。すっかり忘れていたが夏休み明けに諸々のテストがある。復習テスト、模試、定期テスト。今更悪あがきにしかならないから諦めることにした。

 

やはり長い間あっていないクラスメートは新鮮で髪型も、中には雰囲気さえ少し変化したと思わせるような人がいた。各々しっかりと勉強を済ませて来ているようでテストの前にもさほどあせっているようには見受けられなかった。羨ましい。


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