Re:聖なるかな…え? 原作になんて参加しませんよ 作:ぴんころ
・望の知り合いであり、望の紹介で望たちと一緒にやってきているからいきなり殺すのは、ってことで話を聞く気になった
・そもそも人を騙すことが壊滅的に苦手そう
・あと妹属性
っていうのがあります。ロウが来たら「エターナルは皆殺し!」になってた。色々と巻き込まれそうだからね。
幼女が我が家で暮らす上で必要となるであろう品を買ったことで休日は終了し、いつものように俺は学校にやってきていた。まさか学校にいる時間が休憩みたいな感じになるとは思いもよらなかったが、それならそれで学校の新しい楽しみ方が一つ増えるというもの。代わりに家という安らぎ空間が消えたことに目を瞑ればいいことである。
そんなこんなでやってきた昼休み、俺もいつものようにクラスメイトたちと集まって弁当を広げようとしたところで、ちょっとしたミスに気がついた。
「あ、やべっ。弁当忘れた」
「おいおい、何やってんだよ子岬」
「うっせ。こっちはこっちで昨日色々と大変だったんだよ」
別に弁当を作り忘れたわけではない。昨日も昨日で幼女が夜寝るときにしがみついて来たので、朝にあの幼女を起こすワンアクションが加わったことで少し遅くなっただけだ。……それにしてもどうしてあの人の迷惑省みないあの幼女を俺の監視に置いたのだろうか。どう考えてもロウが接触して来たらロウに着く要素にしかならないと思うんだが。
「お? お? まさか彼女できたとか言わないよな? 言ったら戦争だぞ? 『うちのクラスの人間は全員非リアであれ』と教師からの職権乱用で俺たちは非リアだと決まってるだろうが」
「毎度思うけど、それ頭おかしいよな」
「……言うな」
何が悲しくて担任のガチ泣きを見せられないといけないんだろうか。恋人ができた人が出るたびにいびり始めるのはやめてほしい。しかも相手のことを責めるための言葉ではなくて、相手にやましいことがある時にのみダメージを与えられそうな言葉を選んでるからいやらしいのだ。
「って、なんか廊下騒がしくないか?」
「ん、確かに……」
廊下の方から「きゃーかわいい」などの女子の姦しい声や、男子の「ハァ……ハァ……あの子、かわいい。僕のお嫁さんになってくれないかな」なんて声が聞こえてくる。最後だけやばいので通報しておかないとダメだろう。……なーんか嫌な予感がするな。
どんどんその声が近づいて来て、最終的に教室の扉が開く。その先にはつい最近ーーというか今朝も見た顔が立っていた。
「夕陽!?」
「うん! お弁当、届けに来たよ!」
テテテーっと走り寄って来て弁当の包みを渡してくる。一瞬俺が入れたのを抜き取って周囲に俺の妹と認知させる作戦かと思ったが、よくよく思い返してみると俺には今日弁当を入れた記憶がない。一応感謝しておくか。……こいついなければ多分忘れることはなかっただろうけど。
「ん、ありがとな」
「えへへ……」
こいつが持ってこなければ今日飯抜きで午後の授業を受けることになったことには違いない。とりあえず感謝の印として撫でていると、こいつの髪の毛サラサラだなぁ、などのどうでもいいことばかり思い浮かんでくる。こいつの顔も撫で始めると人様には見せられないほどに緩んでいるようにも見えるが、ギリギリ微笑ましい様子で済んでいる……はず。
「お、おい子岬。お前、ロリコンだったのか……」
「おいおい、待て待て。こいつ、弁当を届けに来てくれたらしいぞ。つまりそれって一緒に住んでるってことだろ?」
「ハァ……ハァ……そんなロリコンのところは危ないよ、お嬢ちゃん。飴さんあげるからこっちおいで……?」
「いやいや待て待て。俺はロリコンじゃない。こいつはうちの両親が拾って来て養子縁組したことでできた義理の妹だ」
「子岬夕陽です。よろしくお願いします!」
ほら、と促すよりも先に頭を撫で続けていた幼女が挨拶をする。なぜか今までよりも輝く笑顔に、可愛いもの好きの女子たちも、『義理の妹』という普通の人にはいないであろうものに気を惹かれるオタク男子たちも、さっきからやばい発言をしているロリコンどもも、フラフラと夕陽に近寄り始める。
「子岬くん! 妹さんうちに頂戴!」
「いや、そんな可愛い子ならうちに!」
「ハァ……ハァ……こっち、おいで」
「ひっ!」
さすがにちょっと危ない人たちの集団に詰め寄られるのは恐ろしいのか、俺の後ろに隠れようとしたのだが、俺としてもそこまで庇ってやる必要性がない。……まあ、さすがにロリコンの男子や性犯罪者っぽいやつらに明け渡すのはどうかと思うので女子に渡すとしよう。
「お兄ちゃん……」
しかし、そこでジィッと俺のことを見つめる幼女に気づく。ちょっと不安そうである。こうして見られるとギルベルトと戦う前夜の前世の妹のことを思い出してしまうのでやめてほしいのだが、そんなことを実際に口にできるわけもない。……というか前世の妹も前世の妹で、最初に会った時に俺は母方に引き取られたからあいつのことを知らないというのにいきなり「あなたが私の兄さん、なんだよね。ごめんなさい。こんなことは言いたくないけど死んで」なんて言って来たので、この幼女よりもひどい出会いだった気がするぞ……? なんであそこまで良好な関係を築くことができたんだ?……思い出したら怒りが湧いてきた。とりあえずギルベルトは殺す。
いや、今はそれは関係ないか。ここで重要なのは『この幼女を見捨てられるか』ってことで、さすがにこの目をしてる幼女を見捨てるのは……仕方ないか。
「悪いけど、こいつは俺の(妹)なんだ。だから他の誰かに渡すつもりはないぞ」
「あ、えへへ……」
ため息をついてからそう言うと、一瞬何を言われたのかわからなかったのか惚けて、直後先ほどよりも笑顔になる幼女。それと同時に周囲のクラスメイトがざわざわし始めるが、何かそんなざわざわするようなことが起きたのだろうか? 前世の知り合いのアッシュが普段から言ってそうな言葉だったはずだけど。
「お、お前。ロリコン兼シスコンだったんだな」
「は?」
こいつは何を言っているのだろうか。シスコンだけならともかく、ロリコンに関しては文句を言わざるを得ない。
「いや、だってお前今、『こいつは俺の(女)だ』って」
「おう、こいつは俺のだぞ」
「お、お兄ちゃん……!」
そんなことを言っていると、背後に隠れてひょっこり顔を出していた幼女が、潤んだ瞳ではあるものの俺のことを笑顔で見つめて次の瞬間顔を腹のあたりに埋めて来た。
「おう? どうした?」
「ぎゅーっ!」
しっかりと抱きついてくるのを見て微笑ましいものを見つめる目で周囲が見ている。と言うかこうして見ていると妙に前世の妹に被る部分が多いように思える。ええい、一度そう思うとそうにしか思えなくなって来たぞ!
………………
…………
……
えへへ……
【おーい、ユーフィー】
(はっ! な、なに、ゆーくん?)
【いや、別にあいつのことを好きになるのは勝手だけどさ】
(べ、別にお兄ちゃんのことなんて好きじゃないよ!?)
【はいはい、ツンデレ乙。僕にしか聞こえないツンデレには意味ないよ。ってそうじゃなくて、どう考えても第一印象最悪だから、なかなかその恋は厳しいと思うんだけど】
(だ、だーかーら!)
【ぶっちゃけ『監視しに来ました』はアウトな気しかしないし】
(……やっぱり、ゆーくんもそう思うよね)
さすがにあれは今思い返すと自分でもないなと思う。そもそも私も監視を命じられただけで、なんで監視しないといけないのか、何が起きたら報告しないといけないのかは教えてもらっていない。とりあえず今のところは、一日に起きた出来事を報告しているだけだけど、なぜかナデナデが気持ちよかった話をしたらパパが血涙を流していたのが印象的だった。なぜか時深さんもため息を吐いていたけど。
【一応、ロウ・エターナルが入って来たことは報告したけど、それって彼に関わることなのかもわからないんだよねー】
(うん。ロウの人たちが入って来たのは驚いたけど、やっぱりこのタイミングでこの世界にやって来たってことは、お兄ちゃんのことを狙って、ってことだよね。多分、接触させたらダメな感じの)
【時深さんはそのあたり何も教えてくれなかったからねー。まあ、接触させたらダメだと思うけど……】
今はこの世界にはいないみたいだけど、一度入って来た事実はかなり大きい。できればお兄ちゃんに接触する前にどうにかしたい。
【ま、仕事のことを忘れてないならいいよ。彼と恋人関係になるために全力を尽くすなら僕も手伝うし】
(うん、ありがとう、ゆーくん!)
【あ、今度は否定しないんだ】
絶対にニヤニヤしてるとわかる、生まれた時から一緒のゆーくんの言葉にちょっとため息をつきたくなるが、さすがにそれはこの場ですると目立つ。というかここまでの会話を全てお兄ちゃんに抱きついたまましているので、しばらくの間抱きつかれているお兄ちゃんが動けなくて困っている気配も伝わってくる。名残惜しいけど離れなければ。
(帰ったら時深さんに男性を落とす方法を尋ねてみよう!)
【やめておいた方がいいと思うなぁ……】
ゆーくんはどうして止めるんだろう? 時深さんは大人の女性だし恋に関しても百戦錬磨な感じがするけど。
主人公、昔の妹とユーフィーを重ねて微妙に受け入れるの巻。これでズレが出て来たら大変だぞー