Re:聖なるかな…え? 原作になんて参加しませんよ   作:ぴんころ

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ところでこの作品、クロスオーバータグはいるのだろうか?


第五話

 最初のお化け屋敷で幼女は俺に抱きついて来た時に変な気配を感じたような気がしたが、それ以降は特に何もあるわけなく、コーヒーカップやらジェットコースターやら、とにかくいろいろと乗った。幼女と繋いでいる手を見るジトッとした視線はあったが、それは敵意を向けているわけではないのでどこぞのロリコンやら自称善良な人々やらが色々な思惑で向けているだけだろうと判断してガン無視することにした。

 

 

「普段からゆーくんに乗ってもっと変態的な機動してるはずなのに、どうしてあそこまで興奮するんでしょう」

 

 

 ジェットコースターから降りた直後の微妙に虚無った表情の幼女の最初のセリフである。すぐに元気いっぱいな表情に戻って「これはもう一回乗って確かめるしかないですね!」なんて言って俺を連れてもう一度乗りに行ったりもした。

 幼女の作った弁当を食べたりしながらも時間が過ぎていき、今は時間的に最後となるであろう観覧車に乗っていた。

 

 

「うわぁ……」

 

 

 キラキラしたお目目で観覧車から外の風景を眺める幼女。それを正面から眺めながらも思い返すはこいつが来てからのこと。

 

 

 なんてことはなく、前々世と前世を含めてたった一度だけのデート……それも異父兄妹に当たる妹とのデートなので悲しいことにデートと呼んでもいいのか謎なお出かけのことである。これが恋人と乗っていたり、好きな人と乗っていればこれまでのことを思い返したりするのかもしれないが、俺とこいつの間柄で考えると、思い返しても特別良い思い出などない。

 最初に出会ったころは殺そうとして来た妹も、なんだか途中から凄い懐いて来ていたことを思い返すと、最初から近くをうろちょろしていただけのこいつはまだマシな部類に思えて来るのが不思議だ。

 

 

「見て見て、お兄ちゃん。外綺麗だよ!」

 

「おー、そうだな」

 

「むっ。こういう場合は『お前の方が綺麗だよ』っていう場面だよ」

 

「恋人とのデートでもないのにか?」

 

「でも、です!」

 

 

 前世を思い返す度にこいつがだいぶマシに見えて来るから困る。前世の妹の場合はここでニッコリと笑って褒めることを強要して来たので、言葉にして来るだけのこいつが本当にマシに思える。まずいぞこれは。前世の場合は同じ隊で、しかもあいつの母親の親戚でもあるアヤに尋ねたら「アマツとは愛が重い種族ですので」と諦めるようにやんわりと言われたが、今回に関しては特別愛が重い族でもない。今から矯正しておけば「さようなら」する頃にはまともになるだろうか?

 

 

「お前の場合、見た目的には『綺麗』よりも『可愛い』の方が合ってる気がするけどな」

 

「あ……えへへ。私可愛い?」

 

「どっちかっていうと綺麗系より可愛い系だろ」

 

「えへへ……」

 

「……ん?」

 

 

 どこかから今敵意を含んだ視線を受けた気がしたが気のせいだろうか? いや、『調和』の能力からしてその辺りを間違うとは思えないし……

 

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

「グンヌヌヌヌヌ………!!」

 

 

 一方その頃、観覧車に乗らずに外から見張っている悠人、アセリア、時深の三人は、中の状況……何を話しているのかを確認できないために悠人(親バカ)が人様には見せられないような表情になっていることを除いては、そこまで険悪な仲ではなさそうなことにホッとしていた。

 

 

「観覧車という密室ですから、もしかしたら外では出せないような罵倒なども出るのではないかと思いましたがそんなことがなさそうなのはホッとしますね」

 

「ん。ユーフィーも良い子であろうとしてない。子供としての我儘もちゃんと言ってることが今日わかった。……ほら、ユウト落ち着け」

 

「どうにかして奴を殺さないと……! こうなったら奴が学校に向かう最中にオーラフォトンノヴァで狙撃して……クペッ!?」

 

「アセリアさん!? さすがにこの場で神剣をいきなり使うのは……」

 

「大丈夫だ、誰も見てない」

 

 

 時深は不安を感じている。

 

 

 具体的には、今奇跡的に成り立っている監視対象とユーフォリアの良好に見える関係が親バカ(悠人)の介入によって崩されて、最悪の場合は彼が敵に回るだけではなくユーフォリアも「パパなんて嫌い」と言い出して彼についていく未来に至るのではないかと。

 流石にそんなことはないと信じたいのだが、ぶっちゃけた話、未来視が勝手に発動したことでその可能性が見えた。

 

 

「悠人さん」

 

「グヌヌヌヌ……! ……どうかしたのか時深?」

 

「彼に手出ししてはダメですよ。それをしたらユーフォリアに嫌われるかもしれませんよ」

 

「な……ははは……ユーフィーに嫌われるなんてそんなバカな。あの子はあんなに良い子なんだ。そんな……そんな……ウワァァァアァ!!」

 

「落ち着け」

 

 

 もはや色物集団になっている。このままだとバレてしまうのも時間の問題だろう。時深はそう判断してアセリアと視線を交わして悠人を引っ張っていく。

 

 

「そうだ。こうなったらロウをけしかければ……」

 

「不可能なことを言わないでください」

 

「そうだぞ。それにユーフィーが危険だ」

 

「それに、ユーフォリアの様子を見ている限り彼のことが好きなようですし、ロウをけしかけた結果として彼が死んでしまうようなことになれば、それこそ『マモレナカッタ』と塞ぎ込みかねませんよ」

 

「グゥ……!」

 

「まあ、監視対象に感情移入しすぎるともしもの時にちゃんとした判断をできない可能性もありますので、何か対策は考えておきます」

 

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

「えへへ……」

 

「どうした夕陽。何でそんなに嬉しそうな顔なんだ?」

 

「お兄ちゃんに遊園地に連れてってもらえるなんて思ってなかったからね」

 

「それに関してはクラスメイトがくれたからなんだけどな」

 

「でも、もらったことを隠してもよかったのに連れて行ってくれたんだから、やっぱり感謝してるの!」

 

 

 感謝の言葉はちゃんと受け取りなさいなんていう幼女だが、ちょっとだけ驚いた。

 

 

「連れて行ってもらえないであろうことをしてる自覚はあったんだな……」

 

「う……そりゃね。さすがにいきなり『監視しにきました』はアウトかなーって」

 

「それが理解できてるならどっか出て行けよ……」

 

「うーん。それはちょっと……」

 

「おい今度は何があったこれ以上俺を厄介事に巻き込もうとするんじゃない」

 

 

 出ていくことを躊躇う幼女に対して、躊躇うだけの理由が何かあると驚き、今度はそれに巻き込まれるのではないかと問いただす。今ようやく幼女がいるこの生活にも悲しいことに慣れてきたところで、さらに面倒事をドンと送り込まれるとか嫌すぎるのだ。

 

 

「えっとね。私たちと敵対してる相手がこの時間樹に入ってきたらしくて……」

 

「お前らが目をつけている俺を殺そうと?」

 

「うーん、どうなんだろ? 時深さん……あっ、私のパパとママの知り合いなんだけど、その人から昨日、誰もついてなかったらついてなかったでやってきて無理矢理にお兄ちゃんを連れて行こうとしてたってことを聞いたんだけど。わざわざ警戒されてるタイミングで来るのかなぁ?」

 

 

 理由はわからないが、先にやって来ることだけでもわかっているのは大事なことだ。誰がやって来るのかはわからなくとも、誰かがやって来ることがわかっているだけでも警戒の度合いは変わる。

 

 

「……いや、別に接触して来るのは難しくないだろ」

 

「へ?」

 

「お前、俺が学校に行ってる間とか、学校から帰る途中とか傍にいないし」

 

「さすがにそこまで一緒にいたらクラスメイトさんから変に思われるし……」

 

「なんでそんな配慮ができるのに、俺に対しては一発目であんな発言を繰り出したのか」

 

「わ、忘れてー!」

 

 

 なんというか、前世のことを思い出すやり取りである。こんな光景もあの頃はよくよくあったものだけど……

 

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

「タキオス」

 

「はっ」

 

「私は今から、あの男の勧誘に向かいます。その間は任せますよ」

 

「わかりました」

 

 

 一方その頃、ものベーに乗っていた面々が『元の世界』と称する世界の片隅で幼女のような見た目のコアラ……失敬、コアラのような見た目の幼女が、筋肉質な男を呼び寄せていた。

 

 

「ですが、どうやらファンタズマゴリアで誕生したエターナルである聖賢者と永遠、その間に生まれた娘と時詠のが監視にいるようですが……」

 

「まあ、そこらへんはなんとかなるでしょう。これまでの様子を見ていると、どうやらあの男はロリコンのようですし。こういう時、この見た目は便利ですわね」

 

「はぁ……」

 

「……なんですか、タキオス。その気のない返事は」

 

「いえ、なんでもありません」

 

 

 そんな簡単にいくのかと思うタキオスと呼ばれた筋肉質の男だが、実際のところ自分に比べて頭が良すぎるこの幼女が『それで上手くいく』と考えているならそれに従うべきだろうと判断してそれ以上は何も言わなかった。実際、時詠がまだ本格的に接触していないので、今のうちに友好関係を築いておけば、悠久の小娘を騙してしまえばどうとでもなると考えている。

 

 

 しかし、この世界にいる誰も知らないことがあった。あの新しいエターナルはすでにこの幼女……法皇テムオリンのことを知っているということを。そして彼の中でのイメージがコアラであるということも。

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