Re:聖なるかな…え? 原作になんて参加しませんよ   作:ぴんころ

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第六話

「おっ、子岬。どうだった遊園地?」

 

「夕陽のやつは結構喜んでたよ」

 

「そりゃよかった。……さて、ところで相談なんだが」

 

「なんだよ」

 

「あの子の写真を俺にくれぇぇぇぇ!!」

 

「捥ぐぞロリコン」

 

「そこをなんとか! お義兄さん!!」

 

「誰がお兄さんだ」

 

 

 週明けの月曜に学校にたどり着くと、ペアチケットをくれたクラスメイトが話しかけてきて暴走を開始した。暴走そのものは十分程度で終了したが、その後の「遊園地に遊びに行ったことが楽しかったのか、それともお兄ちゃんと一緒に過ごせたのが嬉しかったのか。一体どっちだろうなぁ?」とニヤニヤしながら聞いてきたのはうざかった。つい殴ってしまう程度には。

 

 

「そういや、今日はなんだか妙にクラスがざわついてないか?」

 

「いや、なんだか今日は転校生がやってくるとかなんとか。そんな情報が隣のクラスの情報通からもたらされたせいでうちのクラスの情報通が『う、嘘だ。僕を騙そうとしてる……』とか言い出して叫んでから倒れ伏したんだよ。……そんなに隣のクラスのやつに情報を手に入れる速度で負けたことが悲しかったのかね?」

 

「でも、この間は逆に向こうのクラスのやつがこっちよりも手に入れる速度が遅くて、『くっ、負けてしまったことはしょうがない。ならば、貴方に、忠誠を、誓おう!』とか叫んでなかったっけ?」

 

「そうそう」

 

 

 そんな会話をしながらも、時間は平等に過ぎていく。朝礼前のチャイムが鳴り、だべっていた面々や、チベットスナギツネのような顔をしていた情報通、さらには普段から己の才能を信じている自称神などが自分の席に座っていく。

 

 

「はい、皆おはようございます。今日も特にうるさくしてませんよね? 結構な頻度で職員室に轟いているこのクラスの悪評とか気のせいですよねー? 今日から新しくクラスの仲間になる人間がいるんですし、このクラスの地味に濃いメンツは普通の人間っぽく振舞ってくださいねー? 特にそこの自称神とか、チベットスナギツネとかのこと言ってるんですよー」

 

「せんせー、神が『神の才能持ってしても勝ち目が見えないあの教師は何者なんだ』とかうるさいでーす」

 

「まともに聞き取れないほど早口なので問題ないです。っていうかこんなこと言わせるんじゃないって言ってるんですよ!」

 

『はーい』

 

「無駄に揃ってるのがムカつくなぁ!」

 

 

 ……ちょっとこのクラス、本当に大丈夫なんだろうか? これまでも感じていたけど、濃さで言ったら物部学園よりもこっちの方が上な気がするぞ?

 

 

「ま、そういうわけなので、新しいお仲間ですよー。倉橋さーん、入ってきてー」

 

「はい」

 

 

 そう言って入ってきたのはどこかで見たことのある人物。名前と、その髪の……色素の薄い茶に近い色と感じ取れる神剣の反応からして、もう俺の考えている人物で間違い無いだろうが、とりあえず自己紹介を聞くしか無いだろう。……微妙に顔が引きつっているような気がするのはこのクラスのメンツが濃いからだろうか?

 

 

「倉橋時深です。2年の終わりという時期に転校してきましたがどうかよろしくお願いします」

 

『美少女きたー!!』

 

【うるさいねー?】

 

(そうだなー)

 

 

 考えていた通りの人物だった。なので一言だけ、心の中で言わせてほしい。

 

 

 ーー年齢考えろ。おbsn……!?

 

 

 殺気を感じた。しかも黒板の前に立つ倉橋から。まさか……考えていたことがバレたというのか!? 微妙にこちらを見つめる顔に青筋が浮かんでいるように見える。……ああ、なるほど。こんな色物枠だからうちのクラスに配置されることになったのかこいつ。

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

 倉橋はうちの濃いメンツにも結構簡単に馴染んでいたので特に問題など起こることもなく昼休み。俺は少しでも離れたくて屋上に来たのだが、なぜかそこにすでに倉橋がいた。

 

 

「初めまして、子岬さん」

 

「……初めまして、倉橋さん。うちにいる幼女引き取ってもらえません?」

 

「おや? もしかして私がユーフォリアと同じ組織に所属していることを知っているのですか?」

 

「土曜日、あの幼女と一緒に出かけた時に『時深さん』って名前が出て、その翌週の月曜日に神剣の反応がある当人がやってくるとか、それ以外考えられないと思うんですが」

 

「……それは確かに」

 

 

 多少は『幼女』という共通の話題で気が緩んだところで、一気に本題に入ることにする。

 

 

「それで、貴女も監視ですか?」

 

「ええ。申し訳ないですけど、仮にロウに接触されでもしたら面倒な事態になるので、学校に関しては私が監視することになりました。後、ユーフォリアの父親が『ユーフィーを何処の馬の骨ともわからんやつにはやれんぞぉぉぉぉ!!』とうるさいので、特にそんなことはないということも確認させてもらうことも目的です。……なんでああまで親バカなんでしょう」

 

「それは、うん。なんというかお疲れ様です……」

 

 

 なんというか美人であるというだけで疲労の色が見えると心配してしまうのが悔しい。いや、幼女よりもまともそうなイメージはあるっていうのも理由にはあるのだが。

 

 

「……一応聞きますけど、貴女も我が家に侵入してこようとか考えてませんよね?」

 

「さすがにしませんよ、そんな非常識なことは」

 

「ですよね。さすがにそれは非常識ですよね!」

 

「とはいえ、不測の事態が起きた時のためにも家は近くですし、後でユーフォリアにも伝えるために家にお邪魔させてもらうことにはなると思いますが。……今日は予定などは?」

 

「特にないですよー。……そのまま幼女も引き取ってもらえると楽なんですけど」

 

 

 無理なんだろうと思うとため息をついてしまう。いくら慣れてきたとは言っても、幼女(異物)がいる生活とか早くなんとかしたい。ロウが接触しようとしているのが理由ならカオスに入ってしまうのも手なのだろうけど、それをしたら戦いを強要されるわけだし。かと言ってニュートラルであっても狙われる……というか今ニュートラルなのに狙われてるのだから、そこも意味はない。

 その事実を再認識して、もう一度ため息をつくのだった。

 

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

 放課後。今日はまだこちらに越してきたばかりということで荷解きがある時深は一緒ではないのだが、今となっては無理にでも一緒に帰った方が良かったのではないかと思ってきた。なぜなら……

 

 

「……」

 

 

 なんか、いる。

 

 

 具体的にはコアラと前世で揶揄されていたエターナルっぽい何かが。ガチムチの褐色っぽい肌の男性がその前で漆黒の大剣を振り上げている。今すぐに飛び出せば助けられそうだが、俺は飛び出す気になれない。滅茶苦茶全力で感知しないとコアラ……”法皇”テムオリンに関しては神剣の気配を感知できないが、ガチムチの男性の方はわかりやすい

 

 

 ーーあれ、『黒き刃のタキオス』だよなぁ。

 

 

 なんでこんなところで仲間割れしているのかは謎だが、関わる必要もない。これがあいつらのことを何も知らない神剣使いなら『あんな小さい子が神剣使いに襲われてる! 助けないと!!』ってなるのかもしれないが、知っている俺からすれば全てが嘘っぱちにしか思えない。特にあの法皇が怯えてる様とか、知らない人間なら『ただの小さな女の子』としか取れないだろうけど、知ってる俺からすれば『ただの演技なんだろうなぁ』としか思えない。

 

 

 つまり助ける意味はない。

 

 

 少し離れて、この光景の写真を撮る。そしてそのままさらに離れて携帯の電話としての機能を使う。

 

 

「えっと、110っと」

 

『!?』

 

 

 背後で驚愕している気配がするが、そこらへんはどうでもいい。とりあえず警察につながってしまえばこちらのものだ。

 

 

「ええ、ええ。〇〇って交差点で幼い少女がガチムチの男性に殺されそうに……」

 

『!?』

 

 

 次の瞬間、投げられた杖が俺の携帯電話を打ち抜き、破壊した。

 

 

「ちょちょちょ! どういうつもりですの!? いきなり電話だなんて!?」

 

「いや、当たり前に一般人がやることとしては何も間違ってないだろ……」

 

「……それもそうですが」

 

「それに、神剣使い同士が戦った結果なら介入する方が失礼だし」

 

「へぇ……」

 

 

 その言葉を受けた直後の法皇の表情を見て返事をミスしたことを悟るも、倉橋ではない俺からすれば過去に戻って発言を変えることなど不可能。

 

 

「貴方、私が神剣使いだと気づいていたんですね。……ふふっ、なかなか面白そうな人材ですわね」

 

「帰ってください」

 

 

 

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

 

 

「お兄ちゃん、おかえ、り……?」

 

 

 結局家にまで付いてきたコアラを見て、幼女はキョトンとしている。うん、俺も気持ちはわかるのだが、下手によくわからないところから監視されるよりも、幼女がいるところで幼女に一緒に監視してもらった方がいいかなと思ったのだ。

 

 

「あー、うん。俺のついでにこいつも監視しといて」

 

「ほへ?」

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