Fate/UMA night 作:赤兎じゃないよ
彼――衛宮士郎は自宅の土蔵で青い槍兵に追い詰められていた。
それは、学校帰り赤と青の人間の形をした人間ではない者たちの……まっとうな人間であれば目撃してはならないものを見てしまったが故の追手。
一度学校で心臓を貫かれて殺されてしまったなんてのを思い返す暇もなく、自身の命を奪うために再度対峙した全身青タイツのぱっと見、変質者ともとれる格好の男に土蔵まで吹っ飛ばされてしまう。
「ふざけるな、俺は――」
こんなところで意味もなく殺されてやるものか――!!!
刹那、青い槍兵の一撃は何者かによって弾かれていた。
「え――?」
次の瞬間、士郎が目撃したのは、土蔵に差し込む月明かりに照らされた――
「――問おう。貴方が、私のマスターか」
四本の脚の他に、二本の腕を持つ白馬のようなナニカが意味不明な言葉を発しながら士郎の答えを待っていた。
……う、馬が喋ってる!? そもそも馬なのか!? 甲冑を着込んでいるのはまだいい。なんで腕が生えているんだ、この馬は!? 幻想種ってやつか!? 半人半馬はともかく、この生物は上半身も下半身も馬だ。腕が生えている以外はまっとうな馬のはず。いや、馬がいきなり現れるってなんでさ。
彼は完全に思考が明後日の方向に行っている。魔術の世界に踏み込むからには殺す時には殺すし、死ぬときは死ぬ。それは自覚していた。
しかし、目の前のソレは理解不能な現象としか映っていなかったのだ。
「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上しました。マスター、指示を。ブルルン!」
士郎とて魔術師の端くれ。契約の意味は理解している。それを問いただす前に、馬らしき不思議生物の視線は土蔵の外へと向かっていた。
その先には間違いなく、青い槍兵がいるはず。馬もどきがいる意味は理解できないが、ソレがやろうとしていることは瞬時に予想できた。
次の瞬間、馬と槍兵は激しい剣劇を繰り広げていた。それこそ、馬があんな剣技持ってるのなんでさってツッコみたくなるほどの規格外さで青いのを圧倒していたのだ。激しい攻防の後、間合いが離れ。
「どうしたランサー。止まっていては槍兵の名が泣こう。そちらが来ないのなら、私から行くが」
「どこからどう対処すればいいか分かるわけねーだろうが! 貴様、その姿はなんだ!? その見えない武具はおそらくは剣だろうが、どこの英霊だ!? 馬の恰好なんかしやがって!」
「ランサー、その目は節穴か? ここまで分かりやすい姿をしているというのに、私の真名に心当たりがないとは」
腕が生えてる馬の正体なんて分かるわけがない。チラッと士郎とランサーの目が合い、同じ思考で心が通じ合った様な気がした両者だった。
「この白い毛並み。青い召し物。そして白銀に輝く甲冑。見えない剣。そう――」
馬は何でか知らないが、名乗りたくてウズウズしているようだ。本当に馬かどうか疑わしい
「我が名はアーサー・ペンドラゴン。ブリテンの騎士王にして、聖剣エクスカリバーを携える者!」
瞬間、馬以外の時が止まった。馬のみドヤ顔で鼻息を荒くしながら、士郎とランサーの反応を楽しみにしているといった雰囲気だった。
「……き、騎士王? ブリテンは馬に統治されていたのか? 馬がどうやって国を治めたんだよ!? 騎士王の馬じゃないのかよ!」
「……なんでさ」
士郎もランサーも馬をあり得ないモノを見る目で凝視してしまっている。
「どこからどう見てもアーサー王その人でしょう。さてランサー、私、無性に貴方蹴り飛ばしたいので、蹴っていいですか? 魔力放出を持つ私の『ドゥン・スタリオンキック』は、貴方の霊核ごとき一撃で粉々にできます。さっさとかかってきて下さい」
今……、はっきり『ドゥン・スタリオン』言ってたな。今日あったことは、眠って全部忘れたい。
士郎がそんな現実逃避をしているうちに、ランサーも相手していられないとばかりに、屋敷の塀を一足飛びで飛び越え撤退していった。
セイバー
真名:アーサー・ペンドラゴン(嘘)
ステータス
筋力:B
耐久:EX
敏捷:B
魔力:B
幸運:B
宝具:C
スキル
直感(馬)A
魔力放出(馬)A
カリスマ(馬)B
続かないかもしれない。