Fate/UMA night   作:赤兎じゃないよ

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侍と対するUMA

 間桐慎二からの情報で、柳洞寺にマスターの一人がいるという情報を得て、自宅に帰宅後それをセイバーや凛にその事を話していると。

 

「シロウ! 乗り込みましょう! カチコミです! 最近誰も蹴っていないので、私は欲求不満なのです! そうしなければ、そこのいたいけなアーチャーを蹴ってしまうかもしれません!!」

 

「待て! 何故、凛や衛宮士郎が外れているのだ!? 私だけターゲットとはどういう事だ!?」

 

 一度白馬に蹴られて、重傷を負っているアーチャーが納得がいかないとばかりに抗議の声を上げている。

 

「当り前じゃないですか! シロウやリンでは一撃死しちゃいます! そんなのはいけない事です!!」

 

 力説する馬だったが、士郎は柳洞寺に向かうといった意見に真っ向から対立する姿勢を見せていた。

 

「セイバー……、あのな? せめてアーチャーが回復するまでは、手を出すのはよさないか? あそこのマスターが町中から生命力を集めてるんだったら罠とかありそうだろ? 入り口までの石段にトラバサミとかあるかもしれない……」

 

「つまり……、階段の一番下から一気に寺院の入口までジャンプすれば罠には掛からないんですね! 分かりました、マスターご忠告ありがとうございます! それでは行って、ちょっと蹴りを入れてきます!」

 

「私を咥えてどうするつもりだ!? 離さんか、この駄馬がーーーーーー!!」

 

「私、この町は詳しくは無いんです。アーチャーだったら目は良いでしょう? 寺院まで案内して下さい」

 

 話を聞いている様で、全く聞いていなかった馬さんは、アーチャーの襟首をハムっと咥えると猛スピードで寺院へと駆けだしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして士郎や凛が止める間もなく、並の人間であれば気絶する様なスピードで衛宮家から柳洞寺へと十分程度の時間でついたのも束の間。

 

「では、あの入り口までジャンプします……よ?」

 

 馬が柳洞寺に殴り込みをかけようとジャンプすると、山門の手前に着地をした。

 そこにいたのは……。

 

「侍……ですか……」

 

 馬はその和風な格好の人物――どう考えてもサーヴァントであろう、その侍を真剣な表情で注視していた。

 すると、その侍は……。

 

「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎」

 

 歌うようにその真名を口にしていた。それに対して、お馬さんは、

 

「セイバーのサーヴァント、アーサー・ペンドラゴン」

 

それがもう当たり前だと言わんばかりに、自分自身も名乗りを上げている。そして、二人が注目しているのは、この場にいる後一人の赤い外套の騎士であり。

 

「何故、名乗らねばならんのだ!? 貴様等、聖杯戦争だと分かっているのか!?」

 

「すいません、この人ちょっとズレてまして……。そちらが名乗ったのに名乗り返さないなんて、人の風上にも置けません。仕方ないので、アーチャーのサーヴァント、『ナナシノゴンベエ』とでも呼んでおいてください」

 

 馬は申し訳ないとばかりに頭を下げながら、アサシンに対して謝罪をしている。変な名前を付けられた当人は。

 

「『ナナシノゴンベエ』って、なんでさ!? せめて『無銘』とでも呼べばいいだろう!?」

 

「この国では名前の無い人をそう呼ぶと、聖杯からの知識でありましたが?」

 

 聖杯め、余計な知識を……。と、アーチャーは苦虫を噛み潰した様な顔を見せていたが、

 

「名の事は気にするな。言葉で語ることなど皆無。サーヴァントとはそういうモノであろう?」

 

「良かったですね、アーチャー。あちらは気にしていない様です。寛大な心に感謝して下さい」

 

もう、言葉を発するのも億劫になってしまったアーチャーだった。それからすぐに戦闘が始まったが、馬と佐々木小次郎のみ打ち合っていた。アーチャーは傷が万全ではないので、周囲の警戒のみに留まっている。

 

「姿は奇怪だが、その剣技は驚嘆に値する。さぞや戦場(いくさば)を潜り抜けて来たと見えるが?」

 

「そちらの太刀筋こそ驚かされます。剣と打ち合うには不向きの筈の刀で、ここまで私の剣を捌くとは……!」

 

 馬とのやり取りだけでどっと疲れてしまったアーチャーを尻目に、戦っている一匹と一人は互いの剣技を称賛しあっている。

 

「貴様ほどの相手ならば仕方あるまい。我が秘剣を見せてやろう」

 

 そうしてアサシンは身構えて、次の瞬間、彼の”秘剣”が放たれていた。

 

「こ……これは!? 多重次元屈折現象(キシュア・ゼルレッチ)!? ちょっとこの人ヤバいですよ! 剣技だけで宝具の域までイッちゃってます!」

 

 同時に放たれた二撃を階段を転がり落ちる事で回避したセイバーだったが、アサシンの秘剣、『燕返し』は本来、三撃同時に放たれる回避不可能な絶技。それに真っ向から対峙しても自分が亡き者になる。それを理解したセイ馬ーは。

 

「アーチャー、協力して下さい! 確か貴方は二刀使いと聞いています。三撃同時に放たれるのなら、私の剣とアーチャーの剣、計三つで止められます! 私に乗っかっても良いですから!!」

 

「い、いや……待て。いきなり何を……」

 

 アーチャーとしては馬のやる事には出来るだけ関わりたくなかったので知らない振りをしていたが、こちらを勝手に指名してきたのだ。狼狽えているアーチャーに納得いかないとばかりの様子だった。

 

「もしかして……、乗馬をした事が無いんですか? そんな騎士みたいな鎧と外套を着てるのに?」

 

「私には騎乗スキルは……無いが?」

 

「だとしても、乗っかるくらいはできるでしょう? とっととしてください! 三騎士なんですから!!」

 

 馬さんはこれしか方法が無いとばかりに、説得を繰り返している。ついには。

 

「もしかして、女の子に乗るのしか得意じゃないんですか? そんなのだとその内、マッチョの変態呼ばわりされて、いたいけなアイドルに指を突き付けて処女認定されたとか言われますよ! ついでに紳士動画にノミネートされたりもします!」

 

「言っている意味が分からんわ! 何だその私の名誉を著しく傷つける状況は!?」

 

「私の直感です! これほど確かな根拠はないですよ!!」

 

 アーチャーはもう勘弁してくれと言わんばかりに捲し立てていたが、アサシンは何やら気配に気づいたようで。

 

「そこまでにしておけ。どこぞの恥知らずが我らの戦いを盗み見ている。丁度、貴様らのマスターも来たようだ。そやつらが襲われぬうちに、今日のところは退くがいい」

 

 アサシンからの提案で勝負は一時預かる事になったお馬さんは、帰り道にて。

 

「ちょっとシロウ聞いてくださいよ。アーチャーは騎士の癖して乗馬は出来ないで、異性に乗るのは得意らしいですよ。サー・ランスロットですら両方出来たというのに。まったく、これだから最近の騎士は……」

 

 その発言を聞いた士郎だったが、何故か……。

 

「す、凄まじく……、他人事じゃない気がする……」

 

「良いですか? シロウはアーチャーみたいになってはいけませんよ? 女の子を変に泣かせたりしたら、月まで蹴り飛ばされると思ってください!」

 

 鼻息が荒い……お馬さんとは違い、漠然と自分の将来に不安を感じてしまった士郎であった。 




ステータスが更新されました。

アーチャー
真名:ナナシノゴンベエ(馬命名)
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