次からIS世界になるからユルシテ...ユルシテ...
---夢を見た。まだ自分が小さな子供だった時の平和な...幸せで、世の中の薄汚いことを何一つ知らずに生きていたときの夢を。
父親が居て、母親がいて...とにかく幸せだった。今は名前すら思い出せないが夢の中でいたところは実に美しい街だった。桜が咲いていて...ちょうど入学式でもあるようで、私の服装はその年代の子供には不恰好なスーツのような子供服を着ていた。言葉に起こそうとしても何も浮かんでこないほど幸せで、満ち足りた夢だった。だが、その夢はかくも崩れ去る。気が付けば街は赤々と燃え、市民の悲鳴が響き渡っていた。一瞬の出来事だった...街の人々がタイタンやミリシアの歩兵に見つかり撃たれ、嬲られ、蹂躙され...私は、見ていることしか出来なかった。ふと気づいてみればすでに父親の姿が無く、母が私の手をしっかりと握り締め、ひたすらに走っていた。走る。走る。走る。気が付けばしらない場所にいた。どこかのマンションの路地であろうか、とにかく狭くて薄暗らい場所だった。---母が必死に大丈夫だから、大丈夫だからとうわごとのようにいい続ける。だが、その声で気づかれてしまったのだろうか...ミリシアの兵士がこちらに来る声が、足音がした。またしても母が私の手をつかみ走ろうとするも、現実は非常だった。その路地の出口---そして反対側からも、ミリシアの兵士が到着してしまったのだ。---母がこの子だけは!この子だけは殺さないで!と必死に叫ぶ。兵士たちはその顔色を変えることなく---撃った一瞬の出来事だった。どさり、と母だったモノが崩れ落ちる。ごとり、と崩れ落ちたモノの首がこちらを向き、見てしまった。顔に小銃弾の連射を受けたものの顔が地に落ちた柘榴のようにぐちゃぐちゃで---いろいろとナニカが飛び出ているのを、幼い自分は見てしまった。目の前で人の死を見たからだろうか、恐ろしくて寒くなり、歯がガチガチとかみ合う...そんな私に対しやつらは何も感じた素振りを見せずに銃を向け---
「ーッ!!」
ガバリ、と体を起こす。ひどく懐かしく忌々しい夢を見たものだ...朝から気分が悪い。吐き気こそこみ上げてこないが、夢の中ですらあんなモノを見せ付けられては堪ったもんじゃない。そう考えている間に気が付けば隣のベッドで寝ていたはずの傭兵仲間---ペルチェネンコフが心配そうにこちらを見て声をかけてきた。
「...大丈夫か?酷く魘されていたぜ」
「問題ない...クソみたいに寝覚めの悪い夢を見ただけだ」
吐き捨てるように答える。今は余り誰かとしゃべりたい気分じゃない...
「へっ、その調子なら大丈夫っぽいな。俺は先にシャワー浴びてくるぜ」
そういってさっさと仲間がシャワー室に入り込むのを見届けつつ、手元の端末に目をやる。
そこには[マーセナリーの悪魔、再びミリシアの作戦を阻止!!]と書かれた見出しのニュースが流れていた。
「マーセナリーの悪魔、か。私もずいぶんと有名になってしまったものだ...」
どこか自虐するように吐き捨てる。コーヒーでも眠気覚ましに淹れるか、と思いベッドから腰を上げた瞬間---世界が揺れた。
■■■
マーセナリーの悪魔。元IMC第303特殊歩兵大隊所属、今は傭兵部隊「血濡れの鴉」所属のパイロット---オリヴァー・ダウェンポート大佐とそのタイタンの異名である。ミリシアの勢力範囲圏内の惑星マーセナリーにおける強襲制圧作戦が実行された際、ミリシアの誘導包囲作戦により孤立、包囲された大佐が極少数の味方歩兵とともにその包囲網を殲滅、撃破したことからつけられたこの付近の部隊に幅広く知られている異名。また、大佐の駆るタイタンが漆黒に彩られていることから余計に悪魔を連想させるとの報告もある。随伴した歩兵部隊の戦闘記録兵がすでに死亡していたこと、大佐のタイタンの録画機能も使用不能になっていたため正確なことは不明。だが間違いなく20機以上は存在したであろうミリシア所属のタイタン部隊をわずかな歩兵部隊と自身が搭乗しているイオン級プロトタイプタイタンで脱出、殲滅せしめたことは間違いが無い。だがこの作戦以来大佐はIMCを離反、それ以降小規模混成タイタン傭兵部隊である「血濡れの鴉」に所属。傭兵部隊に所属は変わったとはいえ今もIMCの任務しか受けておらず、IMC側の理想に反して傭兵になったわけではなく、ただ捨て駒にされるような任務に嫌気が差したために離反したと推測される。---今はIMC勢力範囲圏内、タイフォンの秘境に存在する基地、第401戦術特殊兵器運用施設の防衛任務についているとのこと。
■■■
---無線から緊迫した声が響いてくる。それが悲鳴だけであったり命乞いの言葉であったり命令であったり多種多様だったが...この基地が敵の攻撃を受けたのは、間違えようが無かった。けたたましいサイレンの中、IMC側からの仕事の命令が来た。
「こちらIMC特殊作戦司令官のソーダース少将!総員に通達!総員に通達!現在この基地はミリシアの大規模艦隊及びタイタン部隊に攻撃を受けている!全IMC要員は第5防衛ラインに集結!詳しい説明は無線を通じて行うため良く聞いとけ!」
「また傭兵部隊はタイタンに搭乗した状態で第四防衛ラインに集結!集結しだいIMC歩兵部隊、及びタイタン部隊の援護を要請する!」
今まで暇な監視任務だけだったがやっと楽しくなりそうだ。無線で今いる仲間に第一級戦闘装備を装着した上でタイタン格納庫に集結するよう命令すると同時にペルチェネンコフを急がせる。何でこんな状況でいつまでもシャワーを浴びてられるんだこの男は...思わずため息を吐きそうになるがぐっと堪える。---こんなヤツでも戦闘中は優秀だ。出来る限り士気は削がないでおきたい。自分も急いでパイロットスーツをロッカーから取り出し装備する---銃器は旧式だがR-101Cとアーチャー対タイタン用携帯式ミサイルを持っていく。最新式のR201自動小銃やサンダーボルト対タイタン用特殊戦術兵器でも良いが確実性が足りない。緊急時には少し古いタイプのほうが輝くことがあるのだから。パイロットヘルメットの機能チェックを進めつつ自身のパイロットスーツの拡張領域---パススロットに大量の弾薬とミサイル、緊急用サバイバルキットを放り込む。いつの間にやら準備を終えていたペルチェネンコフと共に格納庫へと向かった。
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格納庫に着いた時には、すでに我々の仲間の一人が準備を終えていた。
「遅いぞあんたら...何をちんたらしていたんだ...敵は待ってはくれないぞ...」
呆れたようにこちらを見ている黒髪の男---ケイ・マサキが既ににタイタンに搭乗していた。
「すまないなケイ、
とりあえず責任を擦り付ける。俺のほうが準備が遅かったとかそこは気にしない。
「またお前かウォッカ野郎...いつまでもウォッカ飲んでるからそうなるんだ---」
ぐちぐちと文句を言われるペルチェネンコフ---俺じゃない。とかオリヴァーのほうが準備遅かったぞと言い訳しているが---あいつがそんなことするわけ無いルルォ!?と一蹴されている。こんな些細な喧嘩で防衛が失敗、報酬を減らされたらたまったものじゃないのでひとまずこの場を諌める。
「そういう愚痴は無事に生きて帰って報酬をもらってからにしておけ...さっさと支度しろ...ケイもいつまでも文句を言うな」
そういいつつタイタンのシステムチェックを開始する。
SYSTEMCHECK...
TITAN PROTTYPE I.O.N
OS,AI SYSTEM --- Activated.
REACTOR CORE --- Activatad.
SHIELD ENERGY --- Full.
PROTTYPE ENERGY SYSTEM --- Activated.
Weapon System...
40mmTrackerCannon --- Ready.
ShoulderLaser --- Ready.
VotexShield --- Ready.
TripWireMine --- Ready.
LaserCore --- Ready.
TitanKit...
VotexAmplifier --- Ready.
AllWeaponSystem And TitanSystem HasBeenOnlined.
SystemCheck...AllOK.
「お帰りなさいパイロット。丁度14時間ぶりですね。」
「ただいまタイタン。今回もよろしく頼む」
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システムチェックを終えタイタン格納庫から出撃、第5防衛ラインに到着した我々傭兵部隊は順次防衛ラインに到着、ひとまずIMCのタイタン部隊と合流、指揮を受けることにした。
「ミリシアのタイタン部隊及び歩兵大隊が南側から多数進軍してきている。ここ南ウィングは我々でも何とか持ちこたえられているが...西ウィングにSRS特攻兵団が展開したのを確認。味方部隊が壊滅的被害を受けている...我々はここから動けないから、そ西ウィングの敵タイタン部隊の足止め、及びSRS特攻兵団の殲滅を要請する」
「了解した。西ウィングの具体的な状況は?」
「敵ヴァンガード級が5機、トーン級が3機降下したのを確認...味方歩兵部隊はほぼ全滅...タイタン部隊も半数がやられた...お願いだ。彼らを助けてやってくれ」
「分かっています。我々はそのために雇われたのですから」
「頼んだぞ...マーセナリーの悪魔の異名を存分に証明してくれ」
言われなくてもこちらは最初から暴れる気でいるのだ...存分に壊し尽くしてやる...嗚呼、顔がぐにゃりと歪んでいくのが止まらない...第三者から見たら俺の顔はそれはもう凄いことになっているだろう...そんなことは予測できる。だが体の疼きが止まらない。やつらのタイタンを壊し、蹂躙するのが楽しみで仕方が無い。だが焦りは禁物だ。きわめて平静を装ってケイとペルチェネンコフに指示を出す。
「よし、全員指示は聞い手いるとは思うが早急に西ウィングへ向かうんだ。やつらは待ってはくれない。」
「ペルチェネンコフ、ローニン級タイタンに乗っている君が一番早く戦場に到着するだろうが...少し待て。足の遅いスコーチに乗っているケイを待つんだ。」
「全員到着次第、ケイの焼夷トラップを展開...敵を焼き尽くせ。炎が治まったら、ペルチェネンコフは突っ込め。遠方から援護するから損傷度が高いタイタンから素早く仕留めるんだ。俺が遠方から援護してやるから安心して突っ込んでいくといい」
「相変わらず俺が特攻とはイカレタ作戦立てるねぇ....ま、だからこそ面白いんだがなぁ!」
威勢のいいペルチェネンコフの声が返ってくる。文句を言いつつも敵を蹂躙できることに喜びを隠せないようだ。
「私は今回は地味な役割ですか...少し残念ですね...」
そんなことを話しているうちに最前線に到着した。うまい具合に敵タイタン部隊の横を取れていることが確認できているのでケイに指示を出す。
「前回暴れまわったんだから文句は言うな...ほら、トラップをを準備しろ!
---はいはいわかりましたよっという声と共にケイのスコーチから煙を噴出しているタンクが2つ発射される...敵タイタンはまだ気が付いていない...ガスも程よく散布されている..絶好のタイミングだった。
「殺れ」
その言葉と同時にケイがテルミットランチャーを発射...敵タイタン部隊を火達磨にした。同時にペルチェネンコフと一緒に射撃を開始し、テルミットの範囲外にいた歩兵部隊を物言わぬ肉の塊へと変貌させていく。火が収まり始めたとき---ペルチェネンコフが突撃を開始した。火達磨にされ装甲の大部分が劣化、剥がれ落ちたタイタンが多数、その上陣形が崩れきっているタイタン部隊に対してさながら鬼神のように止めを刺していくペルチェネンコフ。ローニン級タイタンの高機動力に加え本人の非常に高い対タイタン戦闘技術---敵タイタン部隊は壊滅した。非常にハイテンションな声を上げ、銃弾を避けながらも一機ずつ確実にコックピットを自身の持つ刀「ブロードソード弐式」で突き刺しパイロットをミンチにしていくその姿は---まさに鬼であった。また、彼が突撃して敵の半数以上を減らしたと同時にケイも乱入。スコーチのヒートシールドを存分に活用してタイタンをを焼き尽くしていた。敵タイタン部隊は火達磨に二回もされ全滅。これ異常ない戦果だった。
「ミリシアのSRSもたいしたことが無いなぁ...こんな見え透いたトラップに引っかかるなんてまるでIMC部隊だけしか眼中に無いみたいな感じじゃないか。俺たちがいること知らなかったのか?」
「文句を言うなペルチェネンコフ...お前の言うとおりなのは間違いが無いが、俺たちは命令どおりにここを守るだけだ。IMCと合流するぞ...」
同時にIMC側の無線が飛び込んでくる---
「こちらIMC防衛部隊!支援感謝する。お前たちが来ていなかったら本当に全滅していたよ。ありがとう」
「礼には及ばない...被害状況は?」
「タイタン部隊は一機を残して全滅...歩兵部隊はまだ20名ほど生きてはいるが、弾薬も乏しい。」
「了解、出来る限り集結して火力を集中できるような陣形に---」
しておけ、と言おうとした瞬間---凄まじい爆音と閃光が我々を襲った。
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何が起こったのかはわからなかった。ただIMCと合流、その後の防衛戦に関する連絡をしていたときにいきなり爆音と閃光が自分の身を襲ったのだから。体が痛い...どれだけの衝撃波だったかは一瞬で気絶してしまったため分からないが---タイタンのメインカメラが強制終了し、自信の視界が全くなくなったのは不幸中の幸いであろう。あれだけの閃光を1秒以上見続けたりしたらいかにパイロットの強化された肉体でも耐えられるか分からない。とにもかくにも外の状況が分からないと話が始まらないため、タイタンのサブカメラを起動、外の様子を確認しようとした瞬間---困惑が彼を襲った。
---何だこれは。何が起きたらこんなことになる?つい先ほどまで自身の足でしかと立っていた地面は消え去り---浮島のようになっていた。先ほどまで隣にいた戦友やIMCの兵士も消え失せている。浮島の下がどうなっているか確認しようと思いタイタンを動かそうとするが、動かなかった。タイタンのダメージ確認システムに目をやればそれは一瞬で分かった。無いのだ、腕部と脚部が。また、頭が冷えてきたからか自分の身体の痛みがダイレクトに彼の痛覚を襲う。
---痛い。痛い。イタイ...推測だが、内臓もいくつかやられている上に強化人口骨格の肋骨が何本か折れている...それでも悲鳴を上げずにいられるのは屈強な肉体と精神を持つパイロットゆえであろう。
「はぁ...」
思わずため息がこぼれてしまう。思い返してみれば短い人生であった。ミリシアに町を襲撃されて両親を失い、否応なしに入れられた孤児院でパイロットの広告を見つけて試験を受けて---合格してしまった日のことが昨日のように浮かんでくる。任務をこなしていくうちにまーセナリーの悪魔だの何だのと呼ばれていき---最後がこんな無様な死に方だった。
「願わくば、来世はもう少し身体に優しい生活を送りたいね...」
そんなことは有り得ないか、と一人自己完結した瞬間---再び彼を閃光が襲った。
プロトタイプイオン:とある以依頼の報酬で受領したイオン級タイタンの初期型。腕部へのエネルギー還元システムが未完成でありイオン級タイタンの特徴的な武装のすぷリッターライフルが使えない代わりに、トリップワイヤーや肩部レーザーへ回せるエネルギーが多くなっており、通常のイオン級より汎用性は高い。
主人公であるオリヴァーは40mmとラッカーキャノンを装備、殺意高めな装備構成になっている。
惑星タイフォン:今回の舞台。説明が面倒なのでYoutubeにあがっているストーリー動画を見ることを推奨...