俺の考え方は大体こうである。
レミリアとの話し合いからさらに3日が経過した。
この3日でレイジはさらに驚くべき回復力を見せつけ、あれほど酷かった怪我を完治させてしまった。
だがレミリアとパチュリーから怪我が完治するまでは絶対安静を言い渡されており、「こんなに暇なら寝てるより動いた方がましだ。」と、たまに様子を見に来る館の住人達に愚痴っていた。
だが、そんな退屈続きの日々は今日で終わりを迎える。
怪我が完治したため、レイジは早速紅魔館での仕事を始めるように言い渡されたのだ。
――――――
「…思ってたよりは狭いけど、それでも結構な広さがあるんだな。」
午前中、彼は咲夜に連れられて庭に来ていた。
一週間程前に彼の出現によって半分以上が灰になってしまった庭だが、今は修復工事も終了して元の状態に戻っていた。
「あら、規模が大きくて怖じ気づきましたか?」
「まさか。むしろ退屈しないで済みそうだ。」
ニヤリと笑いながら咲夜が問いかけると、彼も同じような笑みを返しながら肩を大きく回したのだった。
仕事の内容は庭の整備、そして門から館までの間の見張り。そこまで難しい物でもないが、そこそこの広さを持った庭を見張るため根気がいる作業だ。
「それでは、お願いしますよ。あ、最後にもう一つ。巡回途中に正門に行くことがあったら、門番が仕事をしているか確認してください。もししていなかった場合は、たたき起こしちゃって構いませんから。」
「たたき起こす?一体どういう状況なんだ?」
「まあ、見れば分かると思いますよ。」
そう言い残すと、咲夜はレイジの目の前から一瞬で消えたのだった。
当のレイジはと言うと、いきなり咲夜が目の前から消えた事実に驚きを隠せず、しばらくは咲夜がたっていた場所を調べたり踏んだり殴ったりしていた。
そう、彼はまだ『能力』と言う概念を知らないのだ。
――――――
その後は特になにもなく平和だった。
広大な庭を整備しながら巡回し、のらりくらりと過ごす。
別に侵入者がいなければ空いた時間は自由に使ってもいいとのことだったので、持ち場から離れない程度で庭を散策していた。
そして巡回しながら庭をぐるぐるしていると、仕事をしない門番がいると言う正門が見えてきた。
「…まさか本当に仕事をしていないとはな。」
正門に近づくと、咲夜が言っていた意味が理解できた。
驚くことに、チャイナ服を着た赤い髪の門番が堂々と正門に持たれて鼻提灯まで作って気持ち良さそうにいびきをかきながらよだれを垂らして眠っていると言う状態だった。
しかも、その閉じた瞳には上から黒いマジックか何かで開いている目のようなものが書き込まれていた。
これで門番が仕事をしないと言う言葉の意味がはっきりしたのだった。
ここまで気持ち良さそうに眠っていると起こすのも躊躇われたが、言われた事だから仕方がないと自分を納得させ、レイジは眠っている門番を起こすために横に移動した。
そして…
「起きろっ。」
もっとまともな起こし方は無かったのかとうかがいたくなるぐらいの勢いで、眠っている門番の頭に思いっきりチョップを繰り出したのだった。
バシィッと快い打撃音が辺りに響き、いきなりの攻撃を食らった門番は痛みと驚きですぐさま跳ね起きたのだった。
「痛ぁっ!?ね、寝ていませんよ咲夜さん!?寝ていませんし、しっかりばれないように眼も書いているじゃないですか!?」
「咲夜はここには居ねぇよ。そして自分で眼を書いた事も言っちまったじゃねぇか、意味ねぇよ。」
寝起きで状況が掴めて居なかったのか、門番はしばらく眼をぱちくりさせていたが、やがてしっかり開いた目でこちらを見てきた。
「貴方は確か、私が燃やした落ち葉の炎から出てきた人…ですよね?」
「そうらしいな。レイジだ。えーと…
「みりん!?そんな調味料みたいな名前じゃないですよ!
思いっきり名前を間違えたが、とりあえず門番を起こすと言う目的は達成したため、レイジはその後美鈴と二、三語言葉を交わし、寝ないようにと念を押した後、庭の巡回に戻ったのであった。
2話終了です。
次回は戦闘描写をいれる予定ではあります。
ついにレイジの持つチート能力が明らかになる…?