あの
後ろから迫ってくる弾丸を新体操選手さながらのムーンサルトで躱し、着地と同時にショルダーホルスターからマカロフを抜いて素早く8発の弾丸を発砲して、走りながら弾倉を入れ替える。
後方をから追ってくるのは、アメリカの機関ロスアラモスが遺伝子操作で作り上げて
「逃げるなんて非合理だよ!」
ボブカットに手に握られた
「待て!お前を捕まえてジーサード様に褒めてもらうのだ」
その隣を走る、頭からリュカ同様に獣の耳が生えている少女―――
最初はもっと居たのだが、長い逃走の間に何人かは妨害して走れなくすることが出来た。だが、今回の目的のGⅢは兎も角、部下のGⅣと九九藻はなかなか追ってくることを辞めない。
「一対三は流石に無茶がある。そこらの有象無象ならいいが、人口天才が二人にリュカの同類の人間?が一人。弾倉は残りが銃に入っているのも入れて四つ。マチェットが二本。流石に分が悪いか」
室外機や給水塔を乗り越えながら戦闘に適した
数分進んだ丁度よさそうなヘリポートに通りかかった。
ここ妥当か
「なんだ、逃げるのは辞めたのか」
「目的はお前だけど、オマケが多くてね」
帰ったら絶対にシャーロックに文句言ってやろう。
@@@
ガン!ギン!
GⅢの義手と俺の持つ二本のマチェットがぶつかる。
「良くそんな壊れかけの武器で戦えるな!」
GⅢの言った通り、俺の使っているマチェットにはよく見なければ分からないが数本の罅が走っている。義手の固さに加えて、異常な威力で襲ってくる拳はそれだけで凶器だ。そんな攻撃を幾度も防いできたマチェットにも限界が近づいてきている。
「ブッ壊れやがれ!」
「舐めんなよ!」
ヴォン!風邪を切るような音が聞こえてくる凄まじい速度の拳が顔面目掛けてとんできた。その拳に向かってワザと罅の入ったマチェットをぶつける。
マチェットは勿論砕け散り、刀身の破片が宙を舞った。両手の中に残っているのは柄と歪な形に折れた刀身の成れの果てだけだ。
「世話になったな」
壊れたマチェットの破片を捨て、両手を手刀の形にして構えをとった。
GⅢの構えは、俺の知識に該当するものはない、我流なのか、それともアメリカが新しい生み出したものなのか。
俺は中国拳法とCQCなどを混ぜ合わせた我流。
「ッハ!オモチャにばかり頼っていると思っていたが、格闘も出来るのか!」
武器での戦いではなく、拳を使った戦いが嬉しいのか笑うGⅢ。
拳と蹴りの高速戦闘。
顔、胴体、脇腹、鳩尾をとにかく狙ってラッシュ。
GⅢの攻撃は威力をメインとした攻撃。対して俺は八卦掌と至近距離の大砲とすら表現される一撃必殺の八極拳の混ぜもの。独特な動きに掴み技や投げ技は勿論。無理やり相手との距離を開ける事ができる技もある。
「げふ!」
殴られて肋骨からミシミシという音が聞こえてくる。感じる痛みからして折れてたか。呼吸度に痛みが走る。
「流石に俺の
流星ね。原理は見たら理解できた。体の各所連動させて威力の強化をしてる。
「俺も同じようなものを使えるぜ。ッハ!」
「ッガぁ!……げほ!げほ!」
手の平をGⅢの横っ腹に接触したさせ一拍の間を開けた瞬間、GⅢの体は一人でに3~5メートルほど吹っ飛んだ。
はたから見れば、一人でに吹っ飛んでいるようにも見えるが違う。俺が手の平を接触させた状態で衝撃を与えたのだ。
「…なんだ、今のは流星…違う。先に触れてたはずだ」
膝をつき呼吸を整えながら、GⅢは自分の受けた攻撃を分析していく。
「
衝弾の原理はGⅢの流星と極めて似てる。
左足から体を少しずつ内側に捻りを加え、衝撃を蓄える。そして、触れている手から放つ。簡単に説明するなら衝撃が弾丸で、弾丸の回転を俺の体で起こして威力のアップを図ってるだけの話だ。この技は手だけじゃない。足や肩からも衝撃を文字通り”撃てる”という所がいい。最初は漫画を面白半分で再現しようとしいただけなのだが、予想に反して使い勝手が良かったのでアレンジを加えて完全にした技だ。
「はぁ、はぁ、クソが!こっちもあばらが2、3本折れたか」
「いい加減、辞める、引き分けって選択肢は無いのかよ」
衝弾を使った事で悪化した脇腹を抑えながら、GⅢに問いかける。
「バカ言うなよ。俺とまともに殴り合える相手だぞ、逃がすわけないだろ!」
地面を殴り、立ち上がるGⅢ。
その顔は、少年が新しいゲームを始めようとしている顔と表現するべきものだろう。
こりゃ~、どっちかがぶっ倒れるまで付き合うしかなさそうだま。
「ッチ!こうなったら最後まで付き合ってやるよ!」
感じる痛みを痩せ我慢して再び、構えをとる。それを見たGⅢは満足そうに笑いながら構えた。
@@@
「いい加減、くたばれよ!お前!」
もはや、体の何処が痛いのかすら分からないほどに攻撃を受け所謂虫の息だ。そして、GⅢも俺と同様に虫の息だ。
「人口天才と張り合えるなんて、お前も相当化け物だな」
額からから流れる血を袖で拭いながら、不適に笑うGⅢ。
「当たり前だ。お前相手に素で戦えるほどに俺は強くねえよ。お前は
今、使っているのは、味覚と聴覚と色彩認識を切って代わりに、視覚情報の処理にリソースを回している、つまりそうしなければ、いまの体の状態では戦えないということだ。NACが切れてしまえは俺は立つことすらできなくなるだろう。
「へぇ、お前も俺と似たのが使えるのか」
「使わないと、お前なんかと渡り合えるわけないだろ」
相手は、アメリカの最先端技術が創り上げて人口天才。
俺は、親も分からない貧民街育ちの殺し屋。
月とスッポンどころか、月と鼠が良いところだ。
互いに地面を蹴り、激突した。
飛んでくる拳を躱して、蹴りをいれ。蹴り返されて、殴り返す。
血反吐を吐いて、攻撃を食らって、攻撃を当てて、
―――そして、互いに膝をついた。