GⅢとの戦闘は結果、引き分けという形で終了。歩くどころか立ち上がることすらできない俺とGⅢは、互いの部下に救出されて言葉も交わす事なく別れた。
長年、愛用してきたマチェットは粉々、服は擦り傷だらけで、多機能ゴーグルも砕けた。装備は銃を除いて調達と整備が必要となった。
「んじゃ、ココ。頼むぞ」
目の前にいる小学生位の身長の少女―――ココに念を押す。
『
「了解ネ!シアンは値引きしないから良い客ヨ」
「リサに随分と値切られたみたいだな」
ココはリサの名前を聞くと、苦虫を噛みつぶしたような顔をしながら頷いた。
「リサと交渉すると損する率の方が高いヨ。それでマチェットなのにナイフと同じ位の刃渡りで本当にいいのカ?」
「ああ、短剣としてじゃなくてナイフとして欲しいからな。そろそろ素手をメインに鍛えようかと思ってるから」
GⅢ戦で素手をメインに戦って気づいた。俺が素手の方がやり易い。暗殺は武器があってもいいが、正面きっての戦闘なら素手の方が戦い安い、ならそれに沿った装備を揃える所から始めないとな。
「まあいいヨ。お客の注文に対応するのが商人の仕事ネ」
そう言って、ココは軽い足取りで帰って行った。
「支払いの時に吹っ掛けられないようにしないとな」
そんな独り言に誰かの言葉が返ってきた。
「そうだよ!ココに払うお金があったら、理子にプレゼントでも買うといいよ」
後ろを振り返ると存分にフリルがあしらわれて可愛い服を着た理子がそこには立っていた。
「ふむ………んじゃ、デートでも行って好きなもの買ってやるよ」
「……ふぇ?」
理子の何気ない一言は自分の意中の相手とのデートをするというイベントへのフラグを立てる事となった。
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シアンside
日本にあるオタク文化の街―――秋葉原。
その中を金髪のロリ巨乳に可愛い服を着た理子と身長167にして灰色の髪に緑の目という稀有な目を持つシアンがカップルように手を繋ぎながら歩いていれば、非リア充の巣窟である秋葉原で目立つのは必然である。
「やっば!あの子超可愛くね」
「あの男、羨ましすぎるぜ」
男性陣はシアンに対して嫉妬視線を送り。
「ねぇねぇ!あの人、カッコ良くない?」
「ほんとだ!髪とか灰色だしあれって地毛だよね。背はちょっと低いけど、彼女さんの荷物を持って上げてる所はポイント高いね」
「いいな~、私もあんな彼氏欲しよ!絶対、大事にしてくれそうじゃん」
女性陣は理子に羨ましいという視線を送っていた。
まさか、ここまで目立つとは。
こうも視線を向けられると無意識に警戒をしてしまう。
「やっぱり、シアンは目立つね。あ!次はあのお店が見たい!」
俺の手を引っ張りながら女性服専門のお店へと入っていく。
必然、お店の店員やお客含めて、女性ばかりだ。そこに彼女に連れられて入ってきた彼氏は目立つ。もちろん、出ていけ、みたいな感じではないが心地いいものじゃない。
そんな俺とは関係なく。手当たり次第に服を鏡で合わせては戻し、新しい服を手に取ってはを繰り返していく理子。
「最初に会った姿が嘘みたいだな」
自然と笑みを零れてしまう。
妹のように娘のように可愛がっていた理子が”女の子”として成長してことに。
「どっちが良いかな?シアン!」
理子が両手には、俺から見て左側が白いワンピース。右側がTシャツに白いスカートのセットになったものが持たれていた。
頭の中で想像する。それぞれを着用した理子の姿を―――ワンピースかな。
「ワンピースかな。理子はフリルとかが付いてるの多いからさ、少し大人しめなのも似合うと思うよ」
「う、うん」
顔を赤くしながら理子は、ワンピース持って静かに更衣室に入って行った。
「ん~あのワンピースは良いけど、肌が見えすぎだな」
外を少し歩くいただけでも、理子は人の目を引いた。もしかしたら俺と一緒に歩いていたからかもしれないけど、やっぱり他人に舐めるように理子が見られるのは好きじゃない。
理子が着替えている間に、白いワンピースに似合う上から軽く羽織れる上着を探し始める。
理子side
「はぁ~、シアン……」
鏡に映る自分自身の下着姿。
背こそあまり伸びなかったけど、胸なら大きくなった。食生活も気にしてお肌やくびれにだって気をつかっている。
胸に手を当てれば、シアンの事を考えた分だけ肌が熱くなる。
シアンだって可愛いって言ってくれるけど、何回も隙を見せたって襲い掛かってくる様子も見せない。やっぱり、シアンは理子の事、女の子として見てないのかな?
好きな人に振り向いて欲しいという恋する乙女として普通の感情を胸にひっそりと
壁にかけてあった、シアンが選んでくれたワンピースに袖を通す。
ハニーゴールドの下着は透ける事はなく、丈も丁度いい。少し肌が見えすぎる気もするけど、上着でも買えばいいかな。って、うわ!高!9800円もするよこれ!一人で来たなら買わない、を選ぶけど、シアンが選んでくれたやつだものな……欲しい。
よし!まずはシアンに見てもらわないと!
勢いよく更衣室の幕をスライドさせる。
「シアン、どう!」
「ああ、よく似合ってるよ」
やた!シアンが似合うって言ってくれた!
心の中がガッツポーズをしている理子。
「うん?」
手渡されて薄いピンク色の服を受け取り、広げると少し薄めにカーディガンだった。
「流石に肌が見えすぎだから、使うと良いよ。さて、会計を済ませてデートの続きと行こうか」
「///うん」
結局、シアンがお金は出してくれた……合計で14800円。シアンはお金持ちだ。
購入した服に着替えて、次は理子がどうしても行きたかったお店。ギャルゲーの売っているお店だ。
デートで来るのはどうかと思うけど、シアンは理子のそういうオタクの部分も理解してくれているから行くことに抵抗は無い。まあ、男のオタクからリア充が爆ぜろ!みたいな思念は感じたけど。
「おぉ~~!これは、理子が探していたやつ。こんな所で見つかるなんて、流石はオタクの街秋葉原だよ」
ギャルゲーを掲げてテンションマックスで喜ぶ理子の隣で、理子に似た女の子がパッケージになっているギャルゲーを手に取っているシアン。
「なに~、シアン。理子とそんな事がしたいの~」
理子似のキャラが乳首を腕で隠し、口にコンドームを加えているイラストが描かれている。
ニヤニヤ、しながらシアンの顔を覗き込むと、シアンは無言でギャルゲーを棚に戻した。
「…そりゃ俺も男だからな。女を抱きたいっていう欲求はあるよ」
「シアン、ストレート過ぎだよ」
「誰かを好きになったり、愛し合いたいっていうのは生物としては当たり前の欲求と感情だと思うけどな」
「…理子はシアンのこと好きだよ。家族としても好きだけど、女としても好きなの。好きなんだよ」
あ~、言っちゃった。しかもなんでギャルゲー売ってるお店で告白とか一体何考えているの理子!確かに、お客さんはいないけどさ、だからってムードとかあるじゃん!
早く何か言ってよ、シアン。
「えと、ありがと?でいいのか……やっぱり、好きって言われると照れ臭いな。―――俺も理子の事好きだぞ」
顔を少し赤くしながらもシアンはしっかりと口にしてくれた、好きだって。
胸の中に広がる心地よさ。無理に言葉にするならぶわっー!って感じかな、熱くてでも心地いい。
これが誰かを好きになるって事―――恋なのかな。