恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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 第11話 「ハル、はじめてのでぇと」

 青い髪をしたかわいらしい少女が蜂に刺された子供のように泣いている・・・

近くに親の姿は・・・なし。それどころか大人もいやしない。

 

「迷子か・・・?」

「ひっく、おか~さん、どこ~?」

 

―――間違いないないな・・・迷子だ・・・

さて・・・ここで俺には二つの選択肢がある。

一つ、見なかったことにしてあの子を見捨てる。

二つ、あの子を助けて時間をつぶす。

 

・・・考えるまでもないな。どうせ時間をつぶそうとは思っていたんだし、暇をつぶすくらいなら、あの子の親を探してやるか。

 

泣いている彼女に近寄って

 

「ねぇきみ、どうしたの?」

「おかあさんがね・・・いないの・・・」

 

その少女はしゃっくり上げながらそう言った。

 

「じゃあ、俺と一緒にお母さんのところまでいかないか?」

 

急にこっちを向いて

 

「お母さんがどこにいるか知ってるの?!」

「悪いけど、君のお母さんがどこにいるかは知らない、でもね手を貸してあげることはできるよ・・・だからさ、泣かないで、一緒にお母さん探そう?」

 

そう俺が言うというとその子は、まだ泣きそうな顔だったが、こっちを向いて首を縦に振った。

 

「俺の名前はハル。よろしくね!君の名前はなんていうの?」

「・・・な」

 

涙声だったからよく聞き取れなかったが、最後の文字だけは聞こえた。また聞き返すのも悪い気がするな・・・なら!

 

「よろしくね!なーちゃん!」

「う・・・うん!よろしく!ハル!」

 

 よし!つかみはオッケーか?ちなみに俺の記憶には女性と話した記憶があまりない・・・まて・・・よく考えるとそれは、おかしくないか?

もしかして、俺前世で彼女とかいなかったのかな?

・・・・このことを考えるのはよそう・・・なんか事実が明らかになったら立ち直れない気がする。

 

「じゃあ、なーちゃんお母さんは今日、どんな服着ていたか覚えてる?」

「う~んとね、今日は・・・青い色だった。」

「なるほど・・・」

 

俺はあの朝の後から、父にわたされた携帯を取り出すと、ネットを検索して色を調べ、その中からいろいろな青を表示して

 

「どんな青色?この中にある?」と聞く

「これ!」そう言って、なーちゃんは藍色を指差した。

「ありがと。あとお母さんの髪の毛はなーちゃんみたいな青色なの?」

「うん!」

 

 よし、大体の情報は絞れた。藍色の服に青い髪ね。にしてもこの世界はほっんとにいろんな髪の色があるよな・・・幼稚園に入って驚いたことは、日本人なのに赤髪や緑髪の子供がたくさんいることだった・・・

 それはそうと、この情報を使って聞き込みからしてみようか。

 

「じゃあ、探しに行こうか?」

「うん・・・ありがと・・・」

 

そして俺たち二人はなーちゃんの母親を探して公園の中を歩きだした。

 

     ◆             ◆

 

 見つからねぇ・・・二人で公園内にある売店の店員やや遊具の周りにいた大人などに話を聞いてみたが、そんな女性の話は影も形もなかった。

さて・・・どうするか?

正直警察を頼った方が楽なのはわかっている・・・

だが、その手段はできればとりたくない・・・

この状況で交番にでも行こうものなら、俺まで迷子の子供として交番でお世話になることになりそうだからだ。

 そんなことを考えていると、隣から「くぅ」というかわいらしい音が聞こえた。

横を向くと真っ赤になってうつむくなーちゃんの顔・・・そういえばそろそろ昼飯にするにはいい時間だよな。

 

 ・・・決めた!こうなったら意地でも、なーちゃんのお母さんを見つけてやる。

そのために、携帯を取り出して、父さんに遅くなるからこっちで昼を食べる旨を書いたメールを送信する。

さて・・・これから頑張るためにまずは・・・・

 

「ねぇ、なーちゃん俺おなかがすいちゃったから、いったん休憩してご飯食べない?」

「え・・・でも私お金持ってない・・・から」

「いいよ。それぐらい俺が出すから、行こう!」

 

そういって彼女の手を取って公園内の売店に向かう。

 

      ◆                  ◆

 

 先ほど聞き込みをした売店で、ホットドックとドリンクを買ってベンチに座る。

俺の手の中のホットドックを不思議そうに眺めているなーちゃんに、ホットドックを手渡す。

 

「これ・・・なに?」

「えっ・・・ホットドック・・・知らない?」

「うん」

 

 おいおいまさか今のご時世に、ホットドックを知らない子供がいるなんて・・・そんなくだらないことで驚きを覚えつつ、ホットドックのおいしい食べ方をレクチャーする。

 

「この料理はホットドックっていうんだ。アメリカでできたもので、野球場なんかで食べたりするだよ。それで、食べるときはお好みでっと」

 

マスタードとケチャップを絞りつつ

 

「マスタードとケチャップそれとピクルスなんかを入れて、こんな感じで!」

 

俺は、手本を見せるように大口でホットドックにかぶりつく。

「食べるんだ」

 

それを見て目をキラキラと輝かさせながら、俺を見つめる なーちゃん

 

「へー・・・じゃあ野球って何?」

 

 野球も知らないのか?・・・なにか変な気がするな?

 

「野球っていうのは、さっきなーちゃんのお母さん探しているときに、棒とボールと大きい手袋した人がいただろ?」

 

「うん!いたね!」

 

「その三つの道具を使ってする遊びのこと。本当は9人でやるんだけど少ない人数で練習することもできるらしいよ」

 

「ふ~ん・・・蹴鞠みたいなんだね」

 

蹴鞠?今この子・・・蹴鞠って言ったか?この現代の日本で遊びのイメージで蹴鞠が出る?

やっぱりこの子、不思議な子だなぁ・・・

そんなことを思っていると、なーちゃんがホットドックにかじりついて表情をほころばせた。

どうやら・・・お気に召したようだ。

 

「おいしい?」

「うん!こんなの初めて!」

「おいしいならよかった」

 

そうこうしているうちにホットドックはあっという間に、俺たちの腹の中に消えた。

俺がドリンクとして選んだコーラを飲んでいると

 

「ハルくん・・・何飲んでるの?」

「コーラだよ」

「こーら?怒られてるみたいだね!ちょっと飲ませて!」

 

それだけおっしゃると、なーちゃんさんは俺が今まで飲んでいたコーラをひったくり、何気なく・・・口をつけた。

 

あれ、これってもしかして・・・関節キスってやつじゃね?

あ、あ、あ、あわ、あわ、あわてるな、しかしこれはもしやデェトというやつじゃ・・・2、24歳児はうろたえねい!そんにゃことよりこれはまずい、こっちを見ているなーちゃんの無邪気な笑顔が・・・心に刺さる!!

 

・・・落ち着くんだハル・・・冷静になって・・・

 

「おいしかった!ありがとうハルくん!」

「・・・どういたしみゃ・・・!どういたしまして」

 

もぉ、俺は冷静だ。冷静なんだ!このことを考えるのはよそうほかのことを考えるべきだ。

 

「へんなの~みゃだって!猫みたい!」

「もう、この話は禁止!」

「え~」

 

そういってお互いの顔を見合わせ笑い会う俺たち。

俺はこの後、どうやって人探しをするか考えていると・・・

 

「刀奈・・・探しましたよ」

 

音もなく・・・青い髪をした藍色の着物の女性が現れた。

 

「おかあさん!」

 

その女性に向かって、椅子に座っていたはずのな~ちゃんが駆け出す・・・どうやらあの人がなーちゃんのお母さんみたいだ。

それにしても、美人だな・・・二人一緒だと実に絵になる・・・そんなことを思っていると

 

「もし、あなたが刀奈の面倒を見てくれたのですか?」

「はい。なーちゃん、お母さんが見つかってよかったね!」

 

おれはなーちゃんの方を向きながらそう言った。

 

「うん!ハルくんありがとう!」

「私からも、刀奈の面倒を見ていただきありがとうございます。それでずいぶんとお若いようですが、あなたのご両親はどちらにいらっしゃいますか?」

「今、僕は一人なので両親はいませんよ」

 

そういうと、なーちゃんのお母さんは悲しそうに顔をしかめ、

 

「そう・・・若い身空で大変ね・・・」

「そ、そういうわけじゃなくて・・・これから父の仕事場に向かう途中で泣いている彼女を見かけて、放っておけなくて探すのを手伝っていただけです。あなたが思っているようなことではありませんから、安心してください」

「あら、そうなの?ごめんなさいね、早とちりしちゃって」

 

ころころと笑っているなーちゃんのお母さんに俺は、

 

「では、父も待っていると思いますので、そろそろいきますね」

 

別れを告げた。

すると、うれしそうだったなーちゃんが急に、悲しみで顔をにゆがめてこっちを見た。

 

「なんで行っちゃうの?ハルくん、もっと一緒にいたいよ」

「これこれ、刀奈。あまりハルくんを困らせてはいけませんよ」

「でも、お母様・・・」

 

そういとなーちゃんはうつむきつつ、俺の服の裾をつかんで離しそうにない。

これは弱ったな・・・俺もそろそろ、父さんの研究室に向かわないと時間がさらに遅くなっちゃうし・・・そうだ!いいことを思いついた!

 

「なーちゃん、いいものを上げるから顔を上げて?」

「いいものって、なぁに?」

 

案の定、顔を上げたなーちゃんは目に涙を浮かべていた。

そんな彼女に俺はバックから人形を取り外し、人形を手渡した。

 

「これな~に?」

「俺が尊敬する、ヒーローの人形だよ。ウルヴァリンっていうんだ」

 

「ウルヴァリン?」

「うん!そうだよ。彼はね・・・すごくつらいことも乗り越えて、平和を願う人なんだ。きっと別れの時も泣いたりなんかしない」

「でも・・・」

「大丈夫!きっとまた会えるよ、だからこれをあげる代わりに、また今度会えた時、なーちゃんが俺に勧めたいものをわたしてよ」

 

「わかった・・・絶対にまた会おうね!ハルくん!」

 

「うん、じゃあまた、ね」

 

そういって俺は二人に別れを告げ、父の待つ大学に向けて歩き出した。

 

 




 さていかがだったでしょうか。おそスト十一話は!
初の原作キャラは刀奈こと更識盾無さんです。
それと、ウルヴィーを知らない方もいらっしゃると思いますのでプロフィールを乗せときます。
もっと知りたい・・・?
 某笑顔動画に第三の壁を壊す男が解説やってますのでそちらにいけばよくわかりますよ・・・たぶん、それかググってみてください。
前回出てきた、ピーターやローガンはどこかの不幸だーと叫ぶ人よりよっぽどアレな不幸さで心に来ますよ。

ではおやすみなさい。

ウルヴァリン
 本名、ジェームズ・ハウレット 別名 ローガン。19世紀のカナダの名士、ハウレット家に生を受けたジェームズは病弱な体ではあったが、おおらかな父の愛を受けて育った、その体の弱さから活発な少年ではなかったが、家に奉公していたローズという少女と使用人の息子ドッグ=ローガンという少年とともに成長していった。幼いころはともに育った三人だが、二人はローズに心を寄せていたことと、ドッグが父に虐待を受けていたこともあり心が歪んでしまい、次第に三人はバラバラになってしまう。
そして、事件が起こった。
ドッグはローズを自分のものにできないことを逆恨みし、ジェームズの飼い犬を目の前で殺してしまう。その責任を問われてドッグ親子は屋敷から追い出される。
だが、ドッグの父がそのことで逆上し屋敷に乗り込み、ジェームズの目の前で父を射殺。
そのショックで自らに眠っていた、ミュータント(X遺伝子という遺伝子を持つ人から進化した人間。さまざま能力を持つが、ウルヴィーの場合は超回復能力と手から出る爪)としての能力に覚醒し、手から飛び出した爪で使用人だったドッグの父を殺す。
だが、だが能力をあらわにしたことによって、呪われた子供と謗られ自分の祖父から勘当される。そして覚醒のショックで両親を自らの手にかけたと思い込み、自らの記憶もなくしてしまったジェームズはローズとともに、故郷を離れ辺境の開拓植民地に向かう。
そこで自らの名前をローガンと偽りその場所で長い時を過ごした。ミュータントとして覚醒した能力は日ごとに強くなり、いつしか彼は仲間からウルヴァリンと呼ばれるようになった。だがそんな生活にも終わりが訪れる。
ドッグが二人を亡き者とするために現れたのだ、ドッグを返り討ちにするジェームズ・・・しかし二人の間に割って入ろうとしたローズを誤って殺してしまったのだ。
両親を失い、愛する者も自らの手にかけた彼は平穏な暮らしを捨て軍人として様々な洗浄を渡り歩くことを選ぶ。
そこでその超人的な能力に目をつけられ、ウェポンX計画の被験者として選ばれ、拉致された後全身にアダマンチウムを注入され、洗脳も受けて殺人兵器となりそうになるが、拘束を振り払い組織を脱出した。しかし洗脳は残ったままで、世界最強のテレパス、プロフェッサーXを襲撃してしまう。プロフェッサーは何とか彼を抑え込み、記憶をもとにもどそうとしたが、洗脳が強く、一度記憶をリセットすることで彼を呪われた人生から救いだしてついに、X-men ウルヴァリンが誕生した。その後洗脳はとかれたが、かれはプロフェッサーが掲げた、人間とミュータントの共存を信じて戦い続けるのだった。
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