彼、織斑一夏が言うには、今回キャンプには一人で参加したらしく、保護者は箒ちゃんと同じ、向こうで俺の父さんと話し込んでいる、黒髪美人の雪子さんに連れてきてもらったと教えてもらった。
だが、そ、そんなことより・・・後ろの箒ちゃんの仏頂面が、やばい・・・一夏に対して、氷のような視線を送っている。
だが、そんな視線などまるで気にも留めずに一夏は俺に対して、いろいろな質問を投げかけてくる。
おい、一夏!俺の後ろの強烈な視線に気が付かないのか?
今、さっき箒ちゃんがなぜこいつに話しかけるのを渋っていたのかが、わかった。
おそらく二人は、知り合いで・・・仲が悪い・・・のだ。
俺は箒ちゃんには聞こえないように小声で
「おい、一夏・・・お前箒ちゃんと仲、悪いのか?」
「いや、俺は別に嫌いじゃないんだけど、なんか目の敵にされててな」
そう言いつつ、困ったような表情を浮かべる一夏・・・一夏の方は仲良くしたいと思っているようだ。どうやら、問題は箒ちゃんの方にあるみたいだな・・・
さて、ちょっとしたおせっかいでもしますか!
俺は一夏にちょっと先に調理台に行っててくれと頼んだ。そして、箒ちゃんの顔が見えるように振り向き
「箒ちゃん、ちょっと話があるんだけど、聞いてもらっていいかな?」
「・・・いいだろう、なんだ?言ってみろ」
俺は一夏が調理台に行くのを確認してから話を切り出した。
「箒ちゃんって、さ・・・一夏のこと、嫌い?」
「別に、そんなことは・・・
俺が疑惑に満ちた生暖かい視線を送ると
・・・信じてないな!?」
そういって怒ったように顔をそむける箒ちゃん。
だが、甘い!いつも、俺は父さんにからかわれているんだ。そういって話をごまかそうとするのは、(俺の)行動で実証済みだ!こういう時は・・・
「いや、信じてるよ~、だ っ た ら 一夏と喧嘩しないよね?箒ちゃん」
という、意地の悪い質問を満面の笑みで投げかけてやる・・・すると彼女はうつむいて
「・・・わかった、話す・・・誰にも言うなよ」
と小声でつぶやいた。
「別に嫌いというわけじゃないんだ。ただ、私があいつを苦手に思っているだけで」
「どういうこと?」
「私の家には道場があるんだ、そこで私の父が家に代々伝わる篠ノ之流という剣術を教えているんだが」
「うん、なるほどそれで?」
「あいつが千冬さん・・・あいつの姉さんに連れられて、うちに来たときにその・・・あいつに決闘を挑んでしまったんだ」
「千冬さんっていう人は剣術が強いの?」
「強いなんてものじゃない!うちの道場で本気でやる父さんの稽古についていけるのは、千冬さんだけなんだ。だから一夏もすごく強いのかと思って・・・」
なるほど、話の展開が読めてきた。つまり、
「つまり、初心者に本気で打ち込んじゃったんだ?」
「・・・その通りだ。それなのにあいつは、怒りもせずにまた家に来て・・・稽古に精を出しているんだ・・・」
「で、それが後ろめたくて・・・素直に話しかけられないと?」
「だ、だって・・・竹刀で叩かれると痛いんだぞ!なのに、いきなり切りかかったことにまるで、怒らないし・・・」
その言葉を最後に彼女は、口を閉ざした。
さて、話を聞くに・・・悪いのは箒ちゃんだ。それは彼女も自覚している・・・
じゃあ、答えは簡単だ。謝ればいい、問題は素直じゃない彼女、篠ノ之箒にはそれが至難の業だ、といことだ。
これをどうにかすんのか・・・俺に何とかできるのかなぁ?
俺は、そんなことを思っていてもしょうがない、とばかりに彼女に問いかけた。
「箒ちゃんは、一夏と仲良くなりたくないの?」
「違う!私、はただ、あいつに謝って・・・それで・・・」
「それで?それで箒ちゃんはどうしたいの?」
「っ!・・・私は一夏と仲良くなりたい!あいつは、同い年で剣術を学んでいる唯一のやつなんだ・・・だから、その」
「わかった、俺にまっかせなさい!」
「えっ・・・」
「一夏にまずは謝るための切っ掛けがほしいんだろ?」
「あ、ああ!」
そういって顔に花のような笑みを浮かべる箒ちゃん・・・だが、
「でもね、箒ちゃん。俺が君にあげられるのはきっかけだけだ。このチャンスを生かすも殺すも、君自身にかかっている・・・だから、恥ずかしいのもわかるけどね、勇気を出して君が頑張るしかないんだ」
「うん・・・」
「わかっているなら、これ以上は言わないね・・・俺が一夏と話すから、待っててくれ、ここに一夏を連れてくる!」
「わかった・・・」
◆ ◆
「一夏!遅れて悪い!」
俺は走って移動したため息を切らせつつ、謝罪の言葉を口にした。
そんなおおれを一夏は一瞥して、何でもないかのように笑い、
「ハル!そんなに待ってないから大丈夫だぜ。それより、なんかあったのか?」
「ちょっと、箒ちゃんのことが気になってな・・・一夏、話は箒ちゃんから聞いた。あの子が話があるってさ、行ってやれ」
「・・・?わかった、作業任せていいか?」
一夏はイマイチ状況を理解していないような表情を浮かべていたが、俺の指示に肯定し歩き出した。
その後ろ姿に・・・俺は、
「なぁ一夏・・・箒ちゃんは頑張ろうとしているんだ、だからあの子が話し出すのを待ってやってくれないか?」
「わかった、重要なことなんだよな?」
「ああ、こっちは俺が何とかするから心配するな」
「OK、じゃあと任せた」
それだけ言い残し一夏は箒ちゃんを探しに森の方に向かっていった。
「あとは、君の頑張り次第だ・・・頑張って箒ちゃん。さてと俺はクールにカレーを作るとしますか!」
自分に活を入れ、カレー作りに励む俺。
そのカレーが出来上がるくらいに、笑顔の一夏と、目を少し赤くしつつも笑顔を浮かべた箒ちゃんが手をつないで帰ってきた。そんな二人に俺はからかいの言葉を投げかけてやる。
「おうおう、お熱いですねぇ。お 二 人 さ ん 」
一夏はどこ吹く風だったが、こちらの意図に気付いた箒ちゃんはキッとこちらを睨む。俺はそれに気が付かないふりをして、二人に
「さてそんなことより、カレーもうすぐできるぜ!一緒に食べよう!」
すると一夏が・・・深刻な表情を浮かべ・・・
「なぁ・・・ハル、飯盒炊飯ってやってたっけ?」
うん・・・完っ璧に、忘れてた・・・
さて・・・ISの主役が出てきた第15話いかがだったでしょうか?
今18話の書き溜めを行っているのですが・・・オリジンの一番重要なところだと思っているので平均、2000文字程度のこの小説としてはかなり長く・・・すでに4000字を超えてまだ伸びる勢いです・・・
それはそうと、ここからの展開に予想がついている方もいらっしゃるかもしれませんが・・・現在、初の原作イベントに突入しようとしております。
これが終わったら、またオリジナル展開に行きますが・・・原作ではいまだ明かされていないあの事件の裏で起こっていたこと、それが原案となりました。
次の更新もお楽しみください
では、おやすみなさい