恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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 第19話 「自らの責任を果たす」

 

 

 自分のほほを風が撫でる。

眼下にはさっきまでいた森が赤々と燃えているのが見て取れる・・・ほおっておけばさらに火災は広がっていくだろう・・・まずはここからだ!

 

「リング、バッテリー・チェック」

【パワー残量、99.98%・・・いけます、ランタン】

「じゃあ、一丁いくか!!」

【はい、ランタン】

 

 風がない水面のように落ち着いた心に意志を込める・・・まずはここの火を消す。

じゃあ何を創ろうか?

そう心の中で問いかける

・・・火災は知らないうちにかなり広い範囲に広がっている。

消防車じゃあ、時間がかかりそうだな・・・だったら!

文明の利器で対応できそうにないのならば、自然の力を借りよう!

そのインスピレーションは、パワーリングの力を借りて現実のものとなった。

すなわち・・・“滝のような豪雨”だ。

ソリッドライト製だから、エメラルドで何とも体に悪そうだが

その雨が火災を消していくのをしり目に、リングに聞く。

 

「できた!・・・これが、想像を現実に変える、感覚か・・・?」

【さきほど、すでに生身で体感したでしょう?】

「さっきはそんな余裕、なかったさ・・・それよりも各地の被害を詳しく教えてくれ」

【了解、詳細なデータをアップデートします】

 

 リングからさっきコスチュームを纏った時とはと違う、軽い電流が流れるような錯覚を感じ、ちょっと身震いをしてしまう。

 

「・・・アップデートって、こういうことか・・・・」

【はい、合理的でしょう?・・・慣れないなら“あなたが”早く慣れてください】

 

 このスパルタ・リングめ・・・内心そう毒づきつつ、脳内の情報を整理する。

現在、日本国内で破片による被害が発生している場所は全部で33か所・・・そのうち人口密集地20か所、それ以上のことは実際に行ってみないとわからない・・・か

だったら!

 

「リング!一番人口が多いところから、いくぞ!」

【了解しました】

 

 空中に静止した状態から急加速・・・目的地までは一瞬でたどり着いた。

当然だ。宇宙空間で活動するランタンには、最低でも光速くらいだせないと、緊急事態には間に合わないからな・・・そんな人間の速度感覚をはるかに超越していることに何の違和感も感じないことに・・・リングの力をまた、実感しながらあたりを見回す・・・

俺の目の前には、窓の割れたビルや・・・民家に燃え移った炎、そして火災に追われて安全なところを探して逃げ惑う人たちの姿が映っていた。

 

くそッ!!早く火を消さなきゃ!・・・いやまて、それより怪我をしている人を探して病院に送ることが最優先じゃないのか?それよりも被害をしっかり確認するべきか?・・・

 

「あーもぉおおっ!難しいことを考えるのはヤメだ!こうなりゃ、全部まとめて、一気にやる!」

 

 まずは炎を消す・・・さっきと同じ要領で雨雲を作り出す。

ただし、今度は広く、日本全土を覆えるくらい大きいものを作り出す!

ぽつぽつと降り出した・・・だがさっきよりも勢いが弱い・・・なら!

 

意志を強める

 

もう火災が起きてからけっこう時間がたっている・・・でもさっきみたいな集中豪雨を広域で降らせるのはまだ、未熟な俺じゃあ・・・難しいみたいだ・・・でも日本特有の台風なら問題ないよな!

雨と風の相乗効果で一気に火を消して、ついでに破壊されているがれきを空中に巻き上げて、それからケガ人を助けてやるぜ!

 

その思いを形にするべく、俺は南に向かって空を駆けた。

 

□            □

 

 ・・・私は火が、恐い。

どんな小さな火でも目の前に出されるだけで、体の震えが止まらなくなり・・・目が回って何もできなくなるからだ。

“私たち”の体質の問題もあるが・・・何よりも、自分の妻や友・・・仲間たちのすべてを奪った火が怖くてたまらない・・・今も、そうだ。

 私は仕事を終え、家に帰ってきてからリラックスして眠りにつこうとしていただけだった・・・だが、目が覚めるとこれだ。

私の部屋が燃えている・・・落ち着いた光を与えてくれた電灯は、天井ごと空虚な穴が開いた空間へと姿を変え、ファッションを勉強するために買った雑誌も、いつも刑事ドラマを見るテレビも、すわり心地が気にいっていたソファーも、すべてが燃えていく・・・

 

これが、私の最後なのだろうか?

 

あの、大火災を一人生き残り・・・今まで生き恥をさらしてきた報いなのだろうか?・・・

 

このままあがかなければ・・・みんなのところにいけるのだろうか?

 

それも、いいかもな・・・

 

 私は、目の前に迫る災厄の象徴を落ち着いた気持ちで、眺める・・・

 

このまま、眠ろうか・・・?

 

きっとあの火が何もかもを包み込んで一瞬で楽になれるだろう・・・

 

 

目をつむった私は、訪れる熱さに対して身構えた。

 

おかしい話だ、ついさっき、死を受け入れたはずなのに“身構える”なんて

 

まるで・・・

 

まるで、死ぬのを怖がっているみたいに

 

だが、想像していた終わりは訪れず、私の顔を冷たい雫が、まるで“あきらめるな!”と言わんばかりに打った・・・

 

目を開けると視界に、緑色の嵐が荒れ狂う・・・

 

そしてその奥に、“光を纏うもの”を見た

 

□               □

 

 

 あれから一時間・・・俺はもといたあの丘に戻ってきた。

俺のアイディアは見事に成功し、火災の消火とがれきの集積、そしてケガ人の搬送まですべて一気に済ますことができた。台風、という自然現象を再現したため俺の姿を多くの人に見られなかったのもよかった。

これでこの現象は“人間が起こしたもの”ではなく、“奇跡の自然現象”として認識されるだろう・・・まぁ緑色の雨、なんて別な意味でやばいと思われそうだが・・・どうせ誰にも解析できないだろうし、な

リングによると怪我をした人や、焼け出されて家を失った人はいるそうだが・・・幸いなことにこの大事件で死んでしまった人は一人きりらしい。

 

 そして俺は今、父さんの前に立っている。

 

「・・・父さん、おれ、やったよ」

 

「おれ・・・やるよ、これからも・・・大いなる力に伴う、責任を果たす」

 

「“グリーン・ランタン”として・・・いや、“加藤 賢と加藤 春香の息子”」

 

「ハルとして」

 

「だからさ・・・リング、今だけでいい少し・・・“息子”でいさせてもらえるか?」

【もちろんです。ハル、気が済むまで・・・どうぞ】

 

「っ!・・・くうぅうあぁぁあああぁあああああぁぁあぁぁあぁぁあぁああああぁぁあぁ!」

 

 緑色の雨が晴れた夜空の星がキラキラと静かに・・・“息子”の叫びを聞き流した。

 

 

 




 いかがだったでしょうかおそスト19話
ついにハルがリングの力を使えるようになるのですが・・・
描写って難しいですね・・・アメコミや映画だと一瞬なのに文章に起こすとなるとどうしても長々となってしまってテンポが悪くなる・・・
 頑張らなきゃ!

 それはそうと今回出てきた新キャラ、わかる人いるでしょうか?
ISの登場人物ではないことだけはヒントとして明かしておきます。

 それとなんだか最近きっきに読んでくれている人が増えている気がします。
まずはこんなさとい作品を読んでいただいてありがとうございます。

 それと出てきているアメコミに関するネタとかって説明したほうがいいのでしょうか?
 ご意見お待ちしております。

ではおやすみなさい
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