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「・・・ハル!これ6丁目3番地のサリバンさんとこまで頼む!」
「はーい!ちょっと、待っててください!」
俺は、そう返事をしてテーブルを拭いていた手を止め、エプロンを脱いで座席にひっかけつつ・・・今、世話になっているノアさんからピザを受け取る。
「威勢がいいのは、頼もしいが・・・前みたいに番地、間違えるなよ!」
「わかってますって!じゃあ行ってきます!」
ノアさんから手渡されたピザを持ちつつ俺はこの店、“ピザショップ・アクション”からでて、裏のガレージに止めてあった配達用のバイクのエンジンをかける
「スプー…さっきノアさんにも言われたが、こないだみたいのはごめんだぞ?」
【私のナビゲーションに問題があったわけではなくて、あなたが途中で道草を食ったのが原因でしょう・・・私のせいにしないでください】
そのとおりなんだが、だからと言って自動車事故でどう見ても大怪我している人がいるのに見て見ぬふりはできないだろう・・・
【それに、わざわざ病院まで届けようとするからピザを盗まれたんですよ?】
「わかってるよ・・・じゃあ行こうぜ!」
【まったく・・・我々がここに来てからまだ、何の手がかりも得ていないというのに・・・】
スプーの愚痴を聞き流しつつ、俺は配達のバイクを走らせた。
俺たちがアメリカにやってきてから早・・・三か月、俺を助けてくれそうなスーパーヒーローには、誰とも接触できていない。
・・・いや、こう言い直すべきか?そもそもどこにいるかもつかめていない。
一応、俺もある程度は目星がついていたんだ。
だが、現実って・・・甘く、ないんだなぁ・・・
俺たちが今いるのは、スーパーマンのホームタウンこと、“メトロポリス”だ。
・・・だが、ここにはクラーク・ケントは”存在して”いなかった。
当然だ・・・この世界とアメコミの中の世界が同じのはずがない。
アメコミの“メトロポリス”はNYもかくや・・・というほどの超大都市、だったんだが・・・このメトロポリスは・・・都市と呼べるレベルじゃ無い・・・いいとこ、市ぐらいのレベルだろう・・・もしかしたら町、かも・・・
まあ、いいか。現実問題としてこのメトロポリスには映画館すらないし・・・
川向いのパデューカのほうがはるかに立派だ。
だが、問題はそこじゃない・・・ここには“デイリー・プラネット”が存在していなかった。
“デイリー・プラネット”がなかったらそこで働く新聞記者クラーク・ケントが存在するはずもない
あとになってスプーに調べてもらってことだが・・・俺がおぼえていた情報はまるで役に立たない、っていうことが判明した。
アメリカという国にスーパーヒーローたちの所縁がある場所がほとんど存在していないとこが分かったからだ。
俺に残っている記憶で、彼らを探す手がかりになりそうなのは・・・ホームタウンの名前とおぼろげな
だが、いくらスプーが調べても―――ゴッサムは見つからなかった
そもそも、ホームタウンを持たないマーシャンや本拠地の場所がわからない、ワンダーウーマンに関しては期待薄だった・・・でも、協力を期待していた二人のスーパーヒーロー、”スーパーマン”と”バットマン”の居場所さえわからなかったとなっては落胆も大きい。
【ハル、次の交差点を右に、そのまま直線で赤い屋根の家です】
「了~解」
だが、みつからなかったからと言って、すぐにあきらめるわけにはいかない・・・
そんなこんなで、今はピザショップの店員兼バイク運搬員の仕事を住み込みでやっている。
ここに来てすぐにさっきの情報がスプーから教えられ、途方に暮れていたときにたまたまノアさんの娘さんのターシャが裏路地のところで、暴漢に襲われているの助けたのがここで働くことになったきっかけだ。
もしターシャが優しい子じゃ無なくって、ご両親が厳しい人だったら・・・
っと、ついたな
俺は、バイクを降りてピザの箱を片手にベルを押す・・・
すぐに、金髪の女性がでてきて
「ハーイ!ありがとうね」
「お買い上げありがとうございます。20ドル5セントになります」
そういいつつ彼女にピザの入った箱を手渡す。
「はい、ちょうどね」
「2ドル多いですよ?」
まだイマイチ、チップ文化、というものが理解できない俺はついそんな風に言ってしまった。
目ざとい彼女はすぐにチップの分をさっと回収し、
「あら、そう?・・・
「あっ・・・」
やっちゃった・・・また、ノアさんに怒られそう・・・
内心、戦々恐々としつつもすぐに取り繕って笑顔で
「・・・で、ではまた、お願いします」
「ええ、今度もお願いするわ!」
バイクにまたがって、エンジンをかけると・・・俺の右手から頼もしい
【また、やりましたね】
「・・・うるさい」
スプーにはそう返したが、
俺は自分のミスを心の中で、反省し落ち込みつつもバイクを走らせ店への帰路を急いだ。
◆ ◆
「・・・で、チップをもらってこなかった、と」
恰幅のいいあごひげの立派なおじさんが呆れたように腰に手を当てて立っている。
一応、言い訳は言ってみたが・・・いつものアレ、飛んできそうだな・・・
案の定、顔を上げると同時に手刀が飛んできた
「っ!痛ってぇえええぇ!」
「店主、チョップだ・・・」
目の前に星が躍る・・・俺がヘマをやった時に飛んでくるノアさんの必殺技、
店主チョップだ・・・ノアさんは元アメリカ軍人だったらしく恰幅の良い体格もその実筋肉の塊だったりするのだ・・・正直、結構痛い。
そんな風に悶絶していると
「ただいま~!あっ・・・パパ!あんまりハルをイジメちゃダメよ」
「お帰り、ターシャ!今日は早かったじゃないか」
そう言って、元気よく彼女は帰ってきた。
高級な絹のように透き通ったブロンドの髪にどこか高貴さを感じさせる紫色の瞳・・・
正直、あの父親の遺伝子からこんな超美少女が生まれるなんて・・・ちょっとした奇跡におもえてくる。
彼女は俺のほうによって来て俺を心配そうに見つめる
「ハル、おでこは大丈夫?」
「ああ・・・心配してくれてありがとう・・・それと、お帰り」
ノアさんはこっちをなにか生暖かい目で見て・・・
「おい、ハル!休憩はいっていいぞ!」
「まだ、早くないですか?」
「どうせ、これからは配達がメインだ。仕事が来たら呼ぶさ・・・今度はチップもらい忘れるなよ」
「はい・・・「じゃあハル、ママのディナーができるまで勉強見てくれない?」
俺は返事もそこそこにターシャに二階へ連れて行かれてしまった。
◆ ◆
「・・・っというわけでここの解はこうなるわけなんだよ」
「おわった~!いつもありがとね・・・ハル」
「いやいや、仕事だけじゃなくて住むところまで提供して持ってる身分だからな・・・可能な限りオーダーには従うさ」
「まあ、生意気、今日学校でジョンとガイがね・・・」
そんな風に彼女の話を聞いているとふと、つけていたテレビがニュース速報を告げた。
『速報です・・・4か月前の白騎士事件をうけ、緊急に日本で開かれていたサミットが今日終了しました。』
「ッ!悪い・・・ちょっとタバコ吸いに外出るわ・・・」
「ハル・・・?」
ターシャが不思議そうな顔をしてこっちを見ているが、断りを入れて部屋から出る・・・俺はそのまま屋上へむかった。
「ハル?どうかしたのかしら?」
『今回のサミットでは今年の八月に起きた白騎士事件のIS、正式名称“Infinite Stratos”の関する議題が派遣された軍隊を壊滅された、日本、アメリカ、中国、韓国、ASEAN諸国が中心ととなって・・・』
画面の向こうでいかにも真面目そうなキャスターが、この世界に衝撃をもたらしたものについてながながと話し続けていた。
いかがだったでしょうか?おそスト22話。
前回と今回のタイトル、”現代の神々”というのはnew52版ジャスティス・リーグの中に出てくる ジャスティス・リーグの名前の由来にもなった本からとっています。
ついに、アメリカ編に行きましたが・・・ぶっちゃけあと2話でオリジンは終了です。
作中で出てきたメトロポリスは現実に存在しています。まあ、作中の通りド田舎らしいですが・・・
そして今回から出てきてた金髪美少女ターシャちゃん!
みなさんは誰だかわかりますか?
・・・まぁ、バレバレだとして・・・ぽっと出ですが、なんだかIS要素がほしかったのでアメリカ編で出す予定だったキャラです。
それはそうと、やっとISが話に登場しましたね・・・ここまでながかったなぁ(遠い目)
現在は、物語を補完する・・・外伝のほうを書いています。
原作では、出てこなかったあんなキャラや、ぽっと出だったから・・・
おっと、これは明日のネタバレになるな!
外伝は全部で五話を予定していまして(もしかしたら上下わけして話数は増えるかも)それが終わったら2部、IS学園編こと”名称未定”編が始まります。
お楽しみに・・・それと現在、IS学園編の名称でいい案が浮かんでいませんので・・・感想欄であげてくれたら使わせていただくかもしれません。
では、おやすみなさい