恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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  第23話  「ハル、世界情勢を考える」

 

 屋上で一人になっていると、紅に染まった大空と眼下に家路を急ぐリーマンや学生たちの姿が映る・・・そして、

 

 手をつないで、他愛のないことと話しながら歩く仲のよさそうな親子の姿も・・・

何気なしに、ポケットから黒い箱とそれにプリントされたネイティヴアメリカンが目印のタバコを取り出し、ライターで火をつける。

 

【喫煙とは・・・感心できませんね】

「どーせ・・・演出だ、吸えないんだからいいだろ・・・」

 

 なにげなく買ったタバコだったが、一人になりたい時や考え事をしたい時に重宝している。

それに火をついているものってなんだか幻想的に感じて心が安らぐ感覚を受ける。

 ただ・・・俺はタバコが吸えないっていう問題があるが

 

「それより、さっきのニュースあれで終わり、ってことはないだろ?」

【はい。すでに情報はつかんでいます・・・さっきのニュースを見るよりは詳しく】

「さんきゅ・・・じゃ、報告を頼む」

【かしこまりました】

 

 こっち(アメリカ)に滞在するようになってから俺は資金調達と力の訓練に専念し、色々とスプーに頼んで調査や情報操作など、“ただの人”である俺にはできないことをやってもらっている。

こいつ(スプー)のおかげで俺、“加藤陽は”・・・日本ですでに日系アメリカ人の家庭に里子に出されたことになっている。

・・・むろん、架空の、という言葉が頭につくが

さらにその家庭の兄、として今の姿を戸籍登録したためアメリカ人としてもここにいてもおかしく見えない、と―――まさにパーフェクトだ

 

あの日・・・父さんが逝った日以来スプーには、“あの”ミサイルを迎撃した、インフィニット・ストラトス、通称ISという兵器について調べてもらっていた・・・すでにあの白騎士事件の後からかなり、話題になっていたが・・・公表される情報はかなりぼかされていている上に、日本にある、あらゆるデータベースをあたっても“どんな兵器なのか?”そんな情報さえ欠片もなく・・・正直、ほとんどわからなかった。

 

それで、常にISに関する情報をスプーに探らせていたんだ・・・

“使えるか”どうか判断するために

 

今までのスプーの努力の結果わかったことがいくつかある・・・それは、現行の兵器がまるで歯が立たないほどの戦闘力を持つということ、そして、現在その技術は日本政府が独占しているということ、その技術の公開やIS対する説明を先進国の多くが望んでいること

だけだ・・・いまだに開発者すらわかっていなのが現状だ。

 

 

【先ほどのニュースの続きになりますが、今回のサミットの結果を受けてアラスカでISの問題を議論するための会議が開かれる予定こととなっています】

「なるほど・・・それじゃアラスカでの会議は長くなりそうだな・・・それよりもその、アラスカ会議に開発者は出席するのか?」

【おそらく・・・ですがハル、なぜこのISという兵器にここまでこだわるのですか?】

「簡単だ。このまま俺に協力してくれるヒーローが見つからなかった場合の保険だよ」

【本当にそれだけですか?・・・あなたがその気になればあんな兵器など一瞬で破壊できてしまうでしょう】

「その通りだ・・・でも、これから進歩するかもしれないだろう?

それに・・・お前も言っていたが・・・俺はまだ弱い、だから負けられない戦いの前に戦力は集められるだけ集めておきたいんだ」

【なるほど・・・そういうことにしておきましょう】

 

 本当にそれがだけ、なのだろうか?

 

違う、のかもしれない―――

 

第一俺は、なぜISという“兵器”に固執しているんだ?たしかに、アメリカに来た主目的のスーパーヒーローさがしはまるでうまくいっていない・・・

だが、それが個人ではない、兵器を頼ることになるだろうか?

 

・・・“ISという兵器”はアラスカでの会議によるが、おそらく国家に帰属するものとなるだろう・・・と、いうことは必然的にISの力を借りるためには国に・・・世界に存在を公表しなければならない

 

 

それは、それだけはダメだ

 

できることならさけなきゃならない

 

 俺たちスーパーヒーローの力は強力だ・・・

 

・・・強力すぎる(・・・・)

 

かりにISのようにグリーン・ランタン(おれ)、いやメタヒューマン(超人)の存在を全世界に対して公表した場合どんなことが起こるだろうか?・・・

 

 答えは二つに一つだ、“奪い合いになる”か“皆殺しにされる”このどちらかだろう。

 

 強すぎる力は人の心を簡単に疑心暗鬼に走らせ、その結果は管理しようとするか、すべてなかったことにするかどちらかの行動に走らせるだろう・・・

きっとアラスカでの会議ではそのどちらかが、人間たちによって選択されることだろう

 

 だから俺は、この力を得た瞬間からどこかの国に加担することは許されないし・・・

この力のむける先はすべて自分の意志で選ばなければならない・・・

その責任も、な・・・

 

 もちろん、俺が常に“正しい”だなんて思ってもいないし、いうつもりもない。だが“それ”を他人にゆだねるわけにはいかないんだ・・・

 

むろん、俺はもう目の前で傷つこうとしている人を見て見ぬふりをする気は・・・断じて、無い

・・・だが、俺たちの存在が火種になることは避けないといけないとも思うのだ。

 

だから・・・俺は“可能な限り”、スーパーヒーローの正体は明かすべきではないと思っている。

それが、メタヒューマン(俺たち)にとっても、ニンゲン(彼ら)にとっても最もいい接し方だと思うから

 

 ・・・?

 

自分の考えを整理して、今わかったが・・・ここまでわかっているなら、なぜ俺は“ISという兵器”に固執しているのだろう?

・・・父さんを殺された原因を作ったから、か?

だとしたら、俺は自覚している以上におセンチ野郎ってことになるな・・・

Ifのことなんて考えるだけ無駄、って父さんにも言われただろう?

 

でも、なぜ―――日本に向けて大量のミサイルが発射されたんだ?

なぜ―――都合よくISという兵器が迎撃行動を行えたんだ?

なぜ―――図ったようにほとんど同じタイミングで各国の軍隊が軍事介入を行えたんだ?

 

・・・疑問は後を絶たないが、もしこれが“仕組まれたこと”だったのなら

おれは、父さんのようにそいつを“赦せる”のだろうか?・・・

 

自分の思考に没頭していると・・・階下からターシャの声が響いた。

 

「ハルー!ディナーができたって!早く降りてきて!」

 

 腕時計で時間を確認すると、さっきターシャに勉強を教えていた時から30分以上たっていた・・・どうやら、よっぽど思考に没頭していたらしい

 

「じゃあ行くか、スプー」

【まだ、報告すべきことがあります】

 

 そう相棒に一言かけて会談に向かおうとする俺をスプーは引き留めた。

 

「なんだ・・・?手短に頼むぜ」

【では、手短に・・・“本物の”セントラルシティと思われる都市を発見しました】

「な、なんだって!」

 

 セントラルシティ・・・それは地上最速の男にして、ハル・ジョーダンの親友・・・

Theフラッシュのホームタウンだ。

 

 しかも、俺が探せる“最後の手がかり”と頭につく、な

 

 

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