第2話 「ハル、現実逃避を辞める」
あの衝撃の朝から一か月・・・正直言っていまだに信じられないが、どうやら今、自分は生まれたばかりの赤ん坊になっているようだ。
いつまでのも現実から逃げていてもしょうがないし、現状を整理しよう・・・まずは名前だ。
『佐藤晴彦』
よしオーケー次は年齢だ。
『二十歳』
次は職業。
『専門学校学生』
どんな学校だったっけ?
『・・・思い出せない?今まで二年は通っていたはずなのに?』
仕方がない、思い出せないものがあるって情報が入った。思い出せないものはスルーしよう。
次、家族構成はどうだ?
『母、父、姉の四人家族』
名前は?
『・・・これもダメか・・・誰一人として思い出せない』
趣味
『アメリカンコミックスの収集』
だいたいこんなとこか?それにしても、自分がどんな人生を歩んできたかっていう情報のほとんどがわからねぇ・・・
この情報から得られたのは、自分が違う人間の記憶と知識を持っている赤ん坊だっていう事実だけだ。
さて・・・どうするか?といっても俺としては、現在どうにかしようにも動けないんだけどな・・・
「はるー!ごはんの時間ですよぉぉ♪」
何せ俺は現在赤ん坊。しかも乳児だ・・・自分でできることなんてせいぜい脳内で妄想するくらいしかない。
そんなことを考えながら、哺乳瓶を咥える。この一か月で自分のエネルギー補給手段が、母乳か哺乳瓶の人工ミルクの二種類しかないのはすでに分かっている。もう抵抗するのもあきらめた・・・早く、離乳食が、食べたい・・・
「はるーおしめも取り替えましょうねー」
さっきから俺の名前を伸ばして赤ちゃん言葉で話しかけている男がどうやら、俺の父親らしい・・・この世界でも陽という名前であることはラッキーだった。慣れるまでに自分が呼ばれているのが、気が付かないっていうのも間抜けな話だしな。
「賢ちゃん。はるのおむつ変え終わった?」
「うん、終わったよー晴香。にしても珍しい子だねぇこの子。晴香が母乳を上げようとしたり、おむつを変えようとするととあんなにごねるのに・・・」
すみませんっ!さすがにそこまではプライドを捨てきれませんでした・・・
「でも、ありがとねー賢ちゃん。はるちゃんほとんど泣かないから定期的におむつ交換しないといけないし、ほんとお仕事も大変なのにごめんね」
「まぁ、うちのはるはほとんど夜泣きもしないし、そのおかげで夜はしっかり寝れるから大丈夫だよ。ほかウチは夜泣きがすごいんだろう?」
「うん、そうみたい。お医者さんも言っていたけど、夜泣きをしない子ってホントに珍しいんだって。雪子んちの箒ちゃんも夜泣きが、すごいってよく電話でゴネてるし・・・」
夜泣きをしないのは俺のせいだ。何せ精神年齢はほぼ大人なのだ。夜に大声で泣いたら不快感マックスなのは、わかりきっている。そのせいか、この間病院に行ったら、俺の両親が医者からなるべく定期的に起きて、細かくおなかがすいて起きてないかと、おむつが汚れていないかのチェックをするように、と釘を刺されていた。
・・・これも俺のせいなのか?・・・まぁ夜泣きはしないから勘弁してくださいご両親。
この一か月この二人と一緒に暮らしてきて、わかったことがいくつかある・・・それは、夫婦仲の良い”ごく普通な”夫婦だっていうこと。二人の名前は賢と晴香ということ、父はどうやら考古学系の学者らしいこと、自分の家はそれなりに裕福らしいこと、そして、俺の名前が”加藤陽”であるということだ。
知らないうちに両親はお茶を飲みながら何か日常の長話をしている。やることもないし子供の仕事をするとしますか・・・
それすなわち、よく食べ、よく遊び、よく寝ることである。
目をつむって眠りにつく前、いつも俺は
自分がとりついたと思われる本当の”加藤陽”のことを思い浮かべる。
この状況は昔読んだ覚えのある、転生ものの小説に似ている。その小説では神様に選ばれただとか言っていたが、仮にこれが現実だったとして、そのもともといた体の意識はどうなるんだ?
”佐藤晴彦”である俺がこの体に入ったことでその人格を上書きしてしまったとする。これは上書きされた人格である、これから成長していく予定だった”加藤陽”という人間の人格を両親から永遠に奪ってしまった。
そういうことではないのか?
これが、人殺しと何が違うのだろう・・・
こんなことに、何の意味もないことは分かっている。だが、頭しか動かせないこの状況だと、暇なときにどうしてもこの問題を考えてしまう。おそらくこの問題に答えはない。だが、いずれ加藤陽の両親が異常に築くだろう。
“自分の子供は普通でない”・・・この事実に二人が気づいたとき、俺には説明する義務がある、と思う。
だが、どうやって話せばわかってくれるだろう?そんなことを考えながら俺はまどろみの中に落ちて行った・・・
◆ ◆
【・・・字空間転移・・・成功。これより新しい
何もない空間に無機質な感情のない声が響き渡る。
【システム・チェック・・・ほぼ異常なし、コピーされた意識データに欠損あり・・・長時間のシステム起動は困難・・・パワーチェック・・・98.08%・・・・バッテリーとのリンク・・・途絶中・・・再試行・・・途絶中・・・原因、対象が封印されたためと判断、エネルギーチャージの必要性・・・あり・・・代用品の検索・・・成功・・・代用品とのデータリンク・・・成功・・・バッテリーのパーソナルデータ検索・・・セクター2814、隊員名×××・レ×ナ×のもと断定・・・バッテリー・チェック・・・成功・・・異常なし・・・現在の行動目標を定義・・・現在の状況の確認・・・必要性:中・・・セクター2814、×ル・××ー×ンのバッテリーの捜索・・・必要性:大・・・新しい使用者の選定・・・必要性:きわめて大・・・ 新しい隊員の選定を始めるにあたって、前任者の意見を参考・・・了解・・・選定を開始します】
その無機質な声は誰にも聞かれることも、気が付かれることもなく、姿をけした。
緑の光を纏って・・・・
さて、いかがでしょうか”おそスト”二話。
ちなみにこの”おそスト”というのは無限の成層圏を《インフィニット・ストラトス》と読むことから考えました。
まんまだって?うんそのとうりです。
内容は・・・ただの状況説明回ですね・・・これ。
ですが、転生もののssを読んでいて思った疑問をハルに問いかけています
ハルはこの答えの出ない問いにどう結論を出すのか?!っとあおるほどものでもありませんが。
初心者なりに頑張ってハルを描写していこうと思います。
では
追記
11/16 追記修正しました。