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ダークナイトは元から高いステルス性を有した強襲用として設計された機体だ。
ISであっても検知するのは容易ではない。たとえ、“非常に高度な技術力を有する極秘組織”の拠点であっても気づかれずに侵入できるだろう。
すでに目標の上空で滑空を始めた私はナイトに問う
「侵入地点の周辺の監視状況は?」
『周辺に敵影なし、ずいぶんと油断しているようです』
「好都合だ」
時間をかけるわけにはいかない
音もなく、表向きは病院なっている施設に着地し―――すぐさま目の前の換気用大型ダクトに取りつくと“フロンガス・シューター”を取り出す
そのまま、まんべんなく吹き付ける―――これで構造がもろくなって空冷用のファンくらいなら大きな音も立てずに破壊できる。
「マスター、そのダクトから侵入してすぐの換気口から出たくださいその付近に武器庫があります」
クロエの指示に短く「了解」とだけこたえ、今破壊したダクトから侵入する。
「そこか」
ダクトからでて右手にある部屋で、大量の銃器が入ったガンロッカーとプラスチック爆薬や手榴弾などの各種爆薬・・・そして“組織”にしか配備されていない“ナイトウィング”を五機見つける。
(“ナイトウィング”を五機も所持しているのか・・・どうやら、ここの出資者は施設の無許可研究にかなり金をかけているらしいな)
今度は“スティッキーボム・ガン”を呼び出す。
タイマーはなし、リモコン爆破をセット・・・威力は室内を丸ごと爆破できるように少し強めに・・・『マイロード!歩哨が私たちのいる部屋に近づいてきています!』
「クロエ、歩哨の予想進路は?」
モニターの向こうの緊張感のない表情、ダラダラとした歩調・・・おそらくほかの兵士とシフトを交代したばかりなのだと判断した―――ならば、次の行動は?
「おそらく、30秒後、銃器を置きに立ち寄るはずです。天井に張り付いて入ってきたところを気絶させてください」
「わかった」
クロエの指示どおり、無音で空中に飛び上がり天井に張り付く―――きっかり30秒後、兵士が武器庫に入ってくる。そして何の警戒もしていない兵士の後ろに音もなく降り立ち―――背後からの一撃で昏倒させた。
さて、彼をどうするか・・・“ナイトウィング”を使おう、バットを利用すれば遠隔でのハッキングで自立操作できるはずだ。
小型遠隔情報探査ユニット“バッツ”を呼び出し、ナイトウィングにセットさせる。
これでこの男を気絶させたまま外に運び出せる。
「クロエここにあるナイトウィングにバットを接続させた。工作開始と同時に起動、意識のない兵士を外に運び出すように操作を頼む」
「わかりました。アクシデントが発生したためこのままメインの研究室に向かってください」
「了解、まだ電力室への爆薬のセットが終わっていないが・・・大丈夫か?」
工作を行った武器庫から出て道なりに直進しつつ・・・クロエに聞いた。
「問題ありません、ロビンが遠距離から爆破してくれます・・・次右です」
「そうか、だが当初の目的にあった内部の火災は発生させられないぞ?」
右に曲がってクロエに聞き返す。
「実は、以前から“ポーン”の皆さんからナイトとロビンばかりに任せてはいられないという相談をされていまして・・・ISもないようですし今回は彼らに任せましょう」
「だが・・・「そこ左です」・・・了解」
左に曲がりつつ、危険性を指摘する。
「だが・・・「すでに“ポーン”の皆さんは待機ポイントCから二手に分かれて向かってきています」・・・わかった、今回“だけ”は任せてみよう」
「・・・次の曲がり角を右に曲がったところがメインの研究室です」
なぜか、クロエの口調にいら立ちを感じて疑問に思ったが・・・すぐに仕事に意識を起ち戻す。
『マイロード、ハイパーセンサーのサーモシステムに引っかかりました』
「数は?」 短くナイトに聞き返す。
『内部に人間と思われる熱源が3つ・・・装備は不明です』
・・・さて、このまま内部に突入したら警報を鳴らされて潜入ばれる、か。
ならば
「ナイト・・・全力でいくぞ。ダクトを使って“あれ”を流せ」
気づかれないように―――短時間で一気に片づけるだけだ。
『Yes, sir ・・・“robin”はいかがなさいますか?』
「お前の判断に任せる・・・カウント!」
『Yes, sir カウント3でいきます』
『3』
サーモで確認した情報をもとに敵の位置を特定
『2』
“あれ”を使用しているから増援の心配はない・・・だが発砲を許せば、敵が集まってくるだろう
『1』
遠いところの兵士は“Hラング”で倒す・・・その後、近い兵士を格闘戦でしとめて・・・離れた兵士を昏倒されば、終わりだ。
『GO!』
私はナイトの掛け声を合図に研究室に踏み込んだ。
「何っ・・・」
ラングを投擲―――命中、当たった兵士は目標に接触した時に流れる高圧電流で一気に意識を失う。そのままもう一人に突進、何にも守られていない顎に一発。
脳が揺れて腰砕けになる兵士にハイキック。
次の兵士は?・・・そう考え先ほど確認した熱源のほうに顔を向けるとそこには・・・
「これは・・・まさか!」
「えっ・・・これは・・・?」
私は自分の目を疑った
私はこの場で・・・そして画面の奥でクロエも驚きの声を上げる―――
当然だ
そこには・・・
“何かの溶液で満たされたポットのなかに一人の少女”が、浮かんでいた
それも・・・“世界で最も有名な女性”と同じ顔をして
□ □
書類の山のから電話のけたたましい音が聞こえ、僕は書類仕事の手を止めて書類の山をどかす。
(今はここが午前九時・・・こことドイツの時差は大体7時間―――ということは彼からの報告かな?)
その通信は案の定、“仕事”を終わらせた・・・彼からだった。
いつもどおり、空間投影ディスプレイを起動しお互いの顔をつきあわせる。
だが、その表情はいつもよりかたい―――何かあったのだろうか?
そんな彼の緊張をほぐすためにも、にこやかに話を切り出した。
「やあ、“ブルース”・・・報告を聞こうか?」
「それよりも先に聞きたいことがある」
「なにかな?」
「お前は今回の目標について何か知っていたのか?」
おかしいな?僕たちの間柄なら隠し事なんていらないっていう話を、このあいだしたばかりじゃないか?
疑問を覚えつつ僕は彼の言葉に答えた。
「知らないよ・・・もともとあそこは拠点としてはやけに資金が投資されていたからね。そこを不審に思って内部監査部に捜査してもらった結果、ほこりが出たっていう感じだな」
その話を聞いて、彼はなんでもないような表情で話を続けた。
「そうか、ならいい・・・詳しい話は“ケイブ”に戻ってからでもいいか?」
「いや・・・だめだ―――」
そこで、いったん話を切る。
彼とはもうかなり長い付き合いになる・・・だからこそ彼が嘘をつこうとしていることがすぐにわかった。
僕に話さないっていうことは、何かある。そんな確信をもって話を続ける。
「ここで言え!前に言っただろう?僕たちの間に隠し事はナシだ」
画面の向こう側にある彼の目から視線をそらさず―――まっすぐと
そんな僕の視線から察したのか、彼は視線を自分からそらして、もうしわかなさそうに
「すまない・・・実はNo43で、投資された資金の使い道があまりにも非人道的なものだったんだ」
その言葉を聞いて、今度は自分が表情をこわばらせる。
(彼が、“そんなこと”をここまで話すのに警戒していたのか?
と、言うことは・・・何か、とんでもない兵器の開発が行われていた?)
僕はごくりと口にたまったつばを飲み込み・・・先を促した。
「それは一体なんなんだ?」
「
僕は一瞬、自分の耳を疑った。
クローン?クローンだと!いったいどこからそんなDNAを入手したんだ?
いや、“そんなことより”
「施設の爆破は完璧か?」
「ああ、既に跡形もない」
「なら、研究データはいま君たちが持っているものだけということになるな・・・」
「その通りだ」
「なら、そのデータはSSS級機密情報として僕と君以外の閲覧を禁ずる。それと・・・研究者全員の海馬をいじって・・・記憶を抹消しろ」
彼は抗議するように声を荒げる
「それはっ!!」
「それは・・・なんだい?“ダークナイト”?」
しかし、僕はあくまでも高圧的に、王が騎士に命令を下すように告げた。
「いえ・・・何でもありません、“ワン・サマー”」
「ならいい・・・詳しい話はケイブで話そう、待っているよ“ダークナイト”」
それだけ言い残し、僕は通信を切る・・・
さあ・・・まずはこの書類を片づけなければ!
それだけを考えて、僕は書類との格闘を再開した。
いかがだったでしょう外伝第二作目 今夜も、彼は闇を駆けるは
いや~オリジナル展開大爆発って感じですね!
この外伝には結構先につながる伏線を突っ込みました。
さあ!あなたはいくつ探せるかな!?
煽るだけあおって・・・近況報告です。
現在書き溜めはこの次の外伝に入っているのですが・・・なんだか自分の力量だとだんだん話が長くなってきてしまっていのが・・・わかる。
ほんとは外伝も1話完結で上下に分けるつもりなんてなかったのに・・・
本編に戻れるのはかなり先になりそうです・・・
では今日はこの辺で失礼します。
感想、質問、批評等はいつでもお待ちしております。
お休みなさい