恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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  第3話 「ハル、“かれ”と出会う」

「・・・ここが、試験の会場か」

 

 あの後俺は、スプーに頼んで試験会場に最も違和感がなく侵入できる立場―――すなわち、“同じ会場で行われる試験の受験生”としての立場を偽装した。

幸い、技術革新のおかげかかなり情報化が進んでいるらしく偽造した除法でもばれず、俺が電話で試験票が届いていないことを学校側に伝えると、速達で試験票を届けてくれた。

まあ、こんなことができたのは前年に起きたらしい大規模なカンニング対策のせいというらしいんだが・・・正直こんなことでカンニングを防止できるのかは、疑問だ。

 

(こうやって古着屋で買った中古の詰襟をきて受験に向かっていると、遠い昔の自分が学生だったときのことを思い出すね・・・こりゃあ)

 

 そんな風に考えていると、スプーがテレパシーで

 

【いっそのこと、ISを調べ終わったら、受験もそのまま受けてみますか?】

(・・・正直、俺の頭は相当にアレだぞ?)

【大丈夫です、遥かにいいです私の力を使えばどんな問題でもベイビー・サブミッションでしょう】

(またその謎言語か?そんなことより周囲の警戒を頼むぞ)

【・・・わかりました】

 

 そんな風に必死の形相を浮かべた学生たちに紛れて、俺は到底学校とは思えない前衛的な建物に入っていった。

それにしても、普通の高校といくら時間がずれているからって試験会場が一緒って危なくないのか?

それに

 

(こんなに簡単にもぐりこめてセキュリティ的に大丈夫なのか?)

【IS学園の倍率100万倍を超える超人気校です。その受験は全世界の大都市で開かれていますから、手が回らないということもあるのでしょう】

(それにしたって危険じゃないか?)

【それに、これだけ“優秀な兵器”です。ISを制するためにはISを持ちうる以外にないでしょう・・・その点から警備が甘めになっているんでしょう】

「(まあ、警備が厳しかったら俺達が逆に困るんだけどな・・・)

【はい、私たちの狙いは・・・】

 

(【受験生がISの適正確認と簡易動作を行う訓練機の予備ですから(だからな)】)

◆                 ◆

 

 

 時計を確認・・・すでに開場されてから一時間、そろそろ俺が受験する設定の高校―――藍越高校というらしいが、そろそろ試験が始まる時間になり隠れていたトイレの個室から出て行動を始める。

 

(スプー、手順を確認しよう)

【ヨロコンデー!】

 

 こんな時なのにまたテレパシーで、変なことを言っている相棒に俺は思わず口を開いて一言、たしなめる。

 

「・・・俺は突っ込まないからな」

【何のことでしょう?・・・それはそうと、手順ですね?】

 

 そうだ、そっちのほうがはるかに重要だ。現在俺は試験会場内のトイレの中にいる。実際に見て初めて分かったことだが、この建物迷路のように通路が入り組んでいる上にレイアウトが似ていて、何よりも広い。これだけの大きさなら確かにIS学園と藍越高校の受験が同時に行うことができるだろう・・・だが、ここまでわかりづらいとほかの受験生の中に間違って関係のない区画に来る子供いるだろうに・・・それはさておき、監視カメラの類はすでにスプーがジャックして警備室にはダミーの映像が流されている。そしてこのまま試験用のISが保管されている部屋に向かって、なるべく早く―――試験官が予想外の行動を起こすかもしれないから甘く見積もっても、“10分”だけ調べてあとは人目につかないようにさっさと抜け出す。この事前に二人で考えていたプランを確認し、俺は行動を開始した。

 

 スプーのナビゲーションに従って進んでゆくと、急にスプーが警告を発した。

 

【ハル!今私たちがいる通路に向かって猛烈に突き進んでくる人物を確認しました!!】

「・・・隠れられそうなポイントは!」

【すぐ後ろの部屋に入ってください!そこは無人です、掃除用ぐれに入れば完璧でしょう!】

 

「わかった!」

 

 短くそれだけ相棒に返し、その指示に従った。

モップなどの入った掃除用具箱の中で、“こちらに入ってきた何者か”をスプーがハッキングした監視カメラを使って確認すると・・・黒髪、鳶色の瞳、身に纏った学ランと手の学生鞄―――なんてこのない、ただの受験生だ。だが、俺は彼を見て・・・

 

「どっかで見たことがある気がする・・・」

【調べましょうか?】

「いや、彼に接触しないようにルートを変更してくれ」

【ヨロコンデー!】

 

 

 彼が誰だろうと関係ない、ばれて大事になる前にさっさと済ませなきゃな・・・俺は自分の思考をそう切り替えて、掃除用具箱から出た。

しかし、次のスプーのテレパシーで俺の当ては多き外れることになる。

 

【ハル・・・あの男子学生、当初の目的地だったISがある部屋に入っていったのですが】

 

 ・・・・はぁああ?!どういうことだ!あいつがISの置いてある部屋に入って行った、だとぉ!あの学生は何を考えているんだ!?そもそも本当に学生だったのか?当初の俺の思惑は何処に行った?・・・

 

【ハル、落ち着いてください】

 

 ―――OK、まずは落ち着こう・・・焦ったところでどうにもならないしな・・・

 

「すぅ~~~、はぁ~~~~」

 

大きく深呼吸を一回、そのあとスプーに

 

(当初のプランを変更するぞ。ほかにISが置いてある部屋は?)

【当初の目的の部屋からちょうど反対側です】

 

 かなり遠いな・・・でも!

 

「行くしかないだろ!ナビ頼む!走るから早めにな!」

【ヨロコンデー!】

 

 スプーの反応も聞かずに俺は走り出した。

 

急がないと、さっきの男子学生の件が露呈して大騒ぎになる。だが、考えようによってはこれはチャンスだ。アイツには悪いが・・・おとりとして利用させてもらう!

 

 

◆                 ◆

 

五分後、俺はとある扉の前に立っていた。

 

(ここか?)

【はい、この中に訓練用の第二世代型IS打鉄が搬入されています】

 

 にしても、さっき学生から隠れるため入った部屋とまったく同じ扉に部屋の説明などを書いたプレートもない、と・・・やっぱ、この建物設計した奴は頭おかしいんじゃないか?

そんなことを考えつつ扉を開けた。

 

そして、俺の目の前に“アイツ”が現れた。

 

「なんだ、こりゃ?」

【これが待機状態のISです】

 

奇怪な前衛的オブジェ―――それが初めて“アイツ”を見た印象だった。

 

 最初はただのオブジェにしか見えなかったが、よく見ると、腕らしきものや肩の装甲らしきものも確認できる。それにしても、これがIS・・・世界に革新と破壊をもたらした革命的発明、ねぇ・・・とりあえず俺はここに来た目的を果たすためにスプーに調査を命じた。

 

スプーから放出された光が“打鉄”全体に放射される。

(調査には少し、時間がかかりそうだな・・・)

 

 スプーから報告を待つ間、何気なくいつもスプー(相棒)にしているように話しかけた。

 

打鉄に

 

「お前も大変だな・・・こんな風にいろんな人間に弄繰り回されて?」

 

 むろん、単なる機械の塊だ。なんだか最近人間味が増してきたスプー(相棒)じゃない、それでもこうやって一人で、手持無沙汰で突っ立っているとむなしくなってくる。

だから、話しかけた。打鉄に

 

「お前としては結構楽しいのか?まあお前が男だと仮定して、の話だけどな!」

 

 そういって笑う

 

 はたから見たら“気の狂ったか、頭のかわいそうな男”に見えるだろう。でも俺は知っている。どんな物体にも“意志”が宿っていることを・・・俺自身は大分忘れてしまったが、宇宙にいるときに相棒が教えてくれた。

 

宇宙には俺達人類の知らないことがいっぱいある―――宇宙の広さ、さまざまな生命体、そして“生きとし生けるものすべてに”ある“意志”

 

スプーの受け売りだが、惑星や天然痘ウイルス・・・さらには数式だって意志を持つという―――だったら、どんなものにだって意志を持つ生命体として扱うべきではないのだろうか?

 

そんなことを考えつつ打鉄を優しく、いたわる様になでたとき

 

頭の中にキンッという金属質な音が響いた気がした。

 

自分がコスチュームを纏う時(戦う時)と同じように、全身に力が漲り・・・視界が開ける。

 

ただ、いつもとは違い視界は360度自分を中心のすべて空間が見える―――それだけじゃない、何か肌の表面をコーティングされているようなくすぐったさを感じる。

 

次の瞬間、打鉄を解析していたはずの相棒から・・・冷たい口調で突っ込みが入った。

 

【あなたは・・・私が目を離したすきに何をやらかしてくれたんですか?】

 

イマイチ、状況がつかめない俺は相棒に「どういうことだ?」と問いかける。

 

だが、十年連れ添った相棒ではなく・・・その答えはスプー以外の奴が教えてくれた。

 

『おはようございます。わが主、なんなりとご命令を』

 

 目の前にそう書かれた映像が投影され・・・ようやく俺は状況を理解した。

 

―――もしかして、俺がISを動かしちゃった?!

 

 頭が混乱を始めた瞬間、俺がさっき入ってきたドアが開き・・・大きなメガネをかけた緑の髪の女性が入ってきた。

 

 あわてて入ってきたその女性は、俺の姿を見てさらに驚愕で目を丸くし携帯を取り出しあわてている感じ全開で、どこかに連絡をかけだした。

 

 とりあえず、スプーには擬態機能を応用して存在しないものとして認識するように細工したが・・・わけがわからないよ

 

目の前を『いかがなさいました?』とか、『主ここから脱出しましょう!』とか出ている画像を無視して・・・

 

 俺は心中で叫んだ

 

 

ど う し て こ う な っ た ・・・と

 

 こうして俺は打鉄という新しい仲間を手に入れた、のか?

 

 

 




 みなさん、こんばんわ
新年もあけて、めんつゆも初詣に行ってきました。
それはそうと、いかがだったでしょうおそすと第二部3話は?
普通のおり主転生ものでは一瞬で流してしまっているところをネタにしためんつゆです。原作主人公も再登場を果たしたことだし、巻いて・・・すみません、めんつゆにそんな能力ありませんでした。

 焦らず、ゆっくりと確実に進めていきます。

それと今日はリフレッシュにサムライミ版スパイダーマン2を見ました。
ヒーローになったピーターの「8時に約束の時間に行くのがこんなに難しいなんて・・・」というセリフはスーパーヒーローの悲しさを表していますね。
JJJことJ・ジョナ・ジェイムソンはさんざんに叩くし・・・
それでも、再起を志した彼のカッコよさはやっぱり最高でした。

本日のネタ

>惑星や天然痘ウイルス・・・さらには数式だって

 実際に原作に登場します。惑星はモゴといい、グリーンランタンたちの精神ケアをしてくれるというイケメンっぷり。
ウイルスや数式は”あの”悪名高い(笑い)ウォッチメンの原作者、アランムーアの短編で出てきました。さすが、目の付け所が違いますね!

>ヨロコンデー

 アイエエエエ!ニンジャ?ニンジャナンデ?!


 この場でのお知らせになりますが明日はめんつゆの都合でお休みです。
すみません

 それと、活動報告のほうでアンケートを行う予定です。ふるってご参加ください

では今日はこの辺で・・・おやすみなさい

オタッシャデーー
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