恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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  第4話 「ハル、密室で怪しい時間を過ごす」

 

 

◆                 ◆

 

 あれから俺が、なんやかんやとしているうちにどう見てみても関係者です、っていうISを装備した人たちが俺を取り囲まれ・・・俺は今まで乗っていた打鉄から降りるように命令されて、降りたところで拘束・連行された。

そのあと、持っていた持ち物―――偽装のために持ってきた学生鞄、その中に入っていた財布、偽造した学生証、水筒、シーチキンのおにぎり、筆記用具、その時身に着けていた衣服のすべて、そして俺が五歳の時に父さんにもらった携帯これらすべてが没収された。

一応、携帯は父さんからの形見だから壊すな、と釘を刺しておいたが・・・

あんな型遅れのサービス終了間際の携帯だ。おそらくバラバラに分解されていることだろう―――今、気にすべきことではないかもしれないが形見と言っていい品だ。壊れてたら修理費ブンどってやる・・・そんなことを考えながら俺は現状確認を開始した。

 

【拘束されたもう三日・・・彼らはいつ尋問に来るつもりなのですかね?】

(相手が動くのを待つしかないだろう)

 

 この施設に連行されてからはや三日・・・その間俺は持ち物没収されただけではなく、俺の健康診断や体内危険物の調査がおこなわれ、金属探知に始まり・・・CTスキャンやらX線やら、問診やら・・・ありとあらゆる調査方法でこの三日間入念に調べ上げられた。

無論、スプーはこの程度では見つかるはずもないが

だが、一つ対応に困ったのが血液採取だ。

この血液を渡すことにスプーが反対したのだ。なんでも

 

【血液なんて、足が付きやすいものこんな奴らに渡さないでください!】

 

とテレパシーでさんざん怒られたのだが・・・

俺個人としては、正直渡してしまっても構わないと思う。ママが死んだときにさんざん病院で検査されたからわかったことだが、“俺の体は”ただの人間と同じだ。スプーがいなきゃ何にも出来やしない・・・

仮に、もし渡した血液を悪用しようとしたのなら俺がスプーの力を借りてそれをやめさせればいいだけのことだ。

 

 まあ、昨日連日続いていた検査が終わって・・・今朝から絶賛放置中だ。

今いる部屋には布団や座布団、ちゃぶ台など必要最低限のものしかないが・・・だからこそ、こんな風に落ち着いて状況整理なんてものができるというわけだ。

 

(それよりもなんで俺はISを動かせたんだ?)

【理由は不明です・・・もう少し時間をかけられればコアの解析まで行けたのですが】

 

 スプーは俺をなじる様に冷たい口調で言ってきたので思わずたじろいで

 

(し、しょうがないじゃんか・・・触ったら急に動き出したんだから)

【おかしいと思いませんか?あなた】

(わるかったって!謝るから許してくれ!)

【いいでしょう・・・許します】

 

 おお、やった!説得に応じて

 

【ただし・・・これから私の指示に一度従ってもらいますよ?】

 

 ・・・くれたのか?

ま、まあ一応許してくれたみたいだし・・・いいか

 

(わかった。それより、調べてわかったことは?)

【最重要機密区画のコアが解析できなかったので完全には断定できませんが・・・驚いて声を上げないでくさいね?】

 

 

 一度そういって言葉を切り、注意を促す―――スプーがそういうということはよっぽど予想外のことが分かったのだろう。もったいぶる相棒に先のことを話すようにたきつけた。

 

【ISには間違いなく異星人の技術が使用されています】

 

「ッ――――」

 

 危なかった・・・事前にスプーが注意してくれなかったら大声を上げて驚いてしまっただろう。異星人だと?なんならかのアプローチで技術だけ流れ着いたのか?それとも異星人が地球にやってきてその異星人がISの開発を行ったのか?一体どこの星の異星人なんだ?―――疑問は尽きないが、俺の思考は何もない部屋に響き渡ったドアを叩くノックの音で途切れた。

 

そのあと鍵が外される音が聞こえ銃を持った男たちが室内に入ってきた。彼らの指示に従い座っていた俺は腰を上げ、目隠しと手錠をされ彼らに先導されて部屋から出る。

 

(・・・いよいよか)

【そうですね・・・一応、脱出ルートを確認しておきます】

(使うことがないといいんだけどな)

 

 おそらくだがこれから俺は尋問あるいは、拷問の類で話を聞かれるのだろう。一応リングの能力を使えば嘘発見器はごまかせると思う。

そして、宇宙で戦うための訓練した結果俺は痛みにも強くなった。“生爪をはがれるぐらい”では何ともないだろう・・・これで拷問されても口を割らない自信がある!!

でも・・・何とか穏便に済むといいんだがなぁ・・・

 

【あくまで保険ですが・・・あなたの身が危ないと思ったら私の指示に従って脱出してもらいますからね】

(いや、可能な限り粘るぞ)

【だめです。さっき私の指示に従う、といったばかりではありませんか】

 

うっ・・・そういえば・・・そう言ったけど

 

【 言 い ま し た よ ね ?】

 

 そんななにか黒いものが後ろから聞こえてくるような声に、俺は(・・・はい)と短く返すことしかできなかった。

 

◆                 ◆

 

 目隠しが外される―――今まで真っ暗だった視界が一気に明るくなって、俺はふいに来たまぶしさに目をしばたかせた。その間目隠しを取った“誰か”が部屋から出て、あからさまにわかるほど大きな音で鍵がかけられたことを告げられた。

視界が回復すると、目の前に艶やかな黒髪。パリッとしたスーツ、まるで刀と見まごうばかりの鋭い眼差しをした美女の姿が・・・彼女は口を開き

 

「まずは席に座ってくれ」

 

 そう、鋭い視線を崩さず彼女は言った。とりあえず、ことを荒げる気もない俺は彼女の指示に従って目の前のパイプ椅子に腰かけて、あたりを見回す。

目の前に美女、その背中におそらく俺が入ってきたであろうドア、今座っているパイプ椅子と頑丈そうなテーブル―――(まるで遠い昔に見た刑事ドラマだな・・・)そんな感想を抱きつつ、美女の出方をうかがう。

 

彼女が口を開いた―――(さて、ここからが正念場だ)その言葉に備えて身構える

 

「何か、飲むか?」

「・・・ウェい?」

 

 気構えていた俺にとって、そんな彼女が顔をほころばせつつ言った言葉があまりにも予想外で・・・思わず素っ頓狂な返事を返してしまった。

 

(―――どうしよう)

自分で言ってなんだが・・・空気が固まった気がした。

【こんな時は、アイサツです。いいですか私のあとにつづいて・・・】

 

 この時、俺は予想外のことに思考が停止してしまい、あのアホ(スプー)のセリフを素直に信じてしまった―――冷静であったのなら、あんな失態をさらすことなんてなかったのに・・・このことを後になって後悔することとなる、十五の冬。

 

「ドーモ、美人=サン、加藤=陽です」

「ぷっ・・・」

 

 吹き出し、うつむいて痙攣する目の前の彼女―――絶対笑っている。

イコール 間違いない、またやらかした。

 

(あとで覚えとけよこの野郎・・・)

 

 スプーに顔があったら絶対いやらしい薄ら笑いを浮かべているような声で・・・

 

【固まった空気が吹き飛んだじゃないですか】そうのたまった。

(それとこれとは大違いだ!!)

 

 うちの阿呆には後で仕返しをするとして・・・どうしようこの状況。さっきよりは状況がよくなったのか?そんなことを考えていると、彼女が顔を上げ

 

「冗談まで言えるようなら大丈夫だな、初めまして加藤君。ご存知かもしれないが私は織斑千冬・・・現在IS学園で教鞭をふるっている」

「・・・いえ、初対面ですので・・・とりあえず初めまして」

 

 そんな風に素で返すと、スプーの警告が頭に響く

【ハル!織斑千冬と言ったらIS競技世界選手権“モンド・グロッソ”の優勝者です!何かフォロー入れないと怪しまれますよ!!】

 だったら、先に言っておいてくれよ・・・目の前の彼女、織斑千冬はいぶかしんだかのように眉をひそめた―――ヤバイ、何か気をそらさないと!

 

「これから、俺はどうなるんですか?」

「ああそれはだな・・・」

 

 よし!成功!これで現状説明を行ってくれる。彼女の気もそれることだろう。

織斑さんは、俺に状況を説明してくれた。現在、世界で最初に発見された男性IS操縦者のサンプルケースとしてどこの国も組織も俺の存在を欲しているらしい。戸籍を調べた結果俺に保護者と呼べる人物がいなかったので今現在も俺は保護されているらしい

 

(・・・たぶんお題目だ。実際は監視だろう)

【でしょうね・・・それにても偽造した戸籍で助かりました】

(だよなぁ。これで俺が自分でこれからに対して話を聞かせてもらえるし)

 

「・・・結論を言うと、君をどこの国や組織が引き取るかというのはいまだに決まっていない。これは私の私見だが、決まるまで長い時間を必要とするだろう・・・そこで君には護衛もかねて、“IS学園”に入学してもらう」

「IS学園ですか?」

「ああ、あそこなら三年間の間は何処からの干渉も受けない。そのあいだに自分の進むべき道を君自身が選択してもらおう、という話だ」

 

(まあ、俺としては進む道なんてものは決まっているが、な・・・)

【でも、あなたの存在が世界中に知られた今、ここでIS学園に入らなかったら逆に面倒なことになりますよ?】

 

 少し黙って考えに浸る―――たしかに、俺の今状況からするとここでIS学園に入学しないという選択肢はない・・・そんなことをしたらこのまま拘束されて一生モルモットか、仮にスプーの力を使って逃げたとしても、世界中から徹底的に追われることとなるだろう―――それは俺の本意ではない。

 現状、ヤツの情報があるわけでもないし、ISにかかわっている異星人の正体を知る必要もある・・・まあ何とかするだろ

 

「わかりました。俺、いえ僕はIS学園に入学します」

「ありがとう。よく決心してくれた」

 

 そういって、織斑さん―――いや織斑先生はほほを緩ませ、どこかに連絡をとる。

さっき鍵が閉まった時と同じ大仰な音がして鍵が開いた。

彼女が立ち上る。

 

「これから、君は一度自宅に帰されることになるが・・・日本政府が全力を持って24時間体制で護衛を行ってくれるそうだ」

「そうですか、ありがとうございます」

【そんな気遣いはいらないのですが、ね・・・・】

(同感だ)

 

 そして、俺は彼女の手配した車に送られ自宅へと戻って行った。

 

           □                 □

 

 加藤陽。年齢十五歳、性別 男“世界で二番目にISを動かした男”検査の結果、体および持ち物に一切の不審な点は見受けられない。ただ、精神鑑定の際近況を聞かれた彼は、「ここ数年は、優しくしてくれた里親が死んだショックで自宅に引きこもっていた」と証言。実際十年近い間彼は里親の家から出ておらず、小中ともに不登校で卒業している。

そのため、検査の際に行われた学力テストではひどい結果だった。しかし、身体検査時、全身の体が非常に鍛えられていたこと、なぜ、不登校だったのに藍越高校の受験に訪れた動機、さらには引きこもって外界との接触を起っていた人間にしては私との面談時にしっかりとした受け答えができたことにも疑問が残る。彼が・・・・・・控えめなノックが聞こえ、手が止まる。

(やっと来たか)そんな面持ちにで入室の許可をだし、来訪者を迎える。

 

「失礼します。織斑先生。何か私にご用でしょうか?」

「ああ、実はお前に頼みがあってな・・・」

 

そうして、私の夜は更けていった。

 

           □                 □

 




 ドーモ、読者=サン。めんつゆデス。

いかがだったでしょう?おそスト第二部4話は?
タイトル詐欺?・・・いや尋問って実際、怪しいアトモスフィアでしょう。

それはそうと、本作のISは独自設定として宇宙人の技術が使われています。いくら天災兎でも、一人であれだけの技術を創り出して、立証して、製品化するのは難しいだろうと感じまして・・・それと、実はこの小説書くときに天啓が来て・・・ここまでばらしたらもうわかっちゃうかなw?続きは内緒で

 近いうちにハルの設定も公開できると思いますので、言っちゃいますが・・・ハルは超人ではありません。力を使いこなすためには”絶対に”努力が必要です。
まあ、サクサクのためにその時間を切ったのですが・・・

 ですから、ハルが拷問に強いのは自分の体を十年間極限状況でも戦えるように慣らしたからです。具体的いうと、自分の腕を皮一枚だけ残る様に自分で引きちぎってその状況でスプーに頼らずに自分のイメージした創造物だけで腕をつないだり・・・とか。

それはそうと、今回はネタと言えるものはほとんど・・・ニンジャ?にんじゃはいいでしょう。もうスプーの持ちネタ化してますし・・・ないので割愛させていただきます。

このような作品を楽しんでいただければ幸いです。奥ゆかしい感想、質問などいただければ作者の糧になります。実際、嬉しい

 それでは皆様、今日はこの辺で失礼します。

おやすみなさい


 追記 すみません、先日のあんけーとなのですが一応期限を決めさせて抱きます。期限は1月11日までとします。ふるってご参加ください。
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