恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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 第3話「晴香の心情」

□        □

 

 私には今年で四歳になる息子がいる。

よく笑い、よく遊び、よく勉強する我が家の太陽だ。

 

だが私の愛する息子は、普通と違う“明らかに”

 

きっかけはささいなことだった。去年息子が唐突に私の手伝いをしたいと言い出したのだ。そのころ私は、息子が生まれてから控えていた作曲活動を始めていたころで、息子の育児中にえたインスピレーションを曲に起こすことに夢中ので、最初とても助かっていた。

 幼稚園のほかのお母さんから話を聞くまでは・・・

ほかの子たちはせいぜい、遊んだ後に自分のおもちゃをかたずけるといった程度らしい。

無論、言われてからの話だ。

最初、私は息子がいかにいい子か自覚した程度だった。

 

だが、次の日に気付いてしまった。

息子が縁側に洗濯物を置いておいてくれたのだ。

普通の4歳児が玄関に洗濯物を運ぶだろうか?

しかもあとから息子に聞くと、あらかじめ縁側においておいた洗濯籠と、家の中の洗面所にある洗濯機を何度も往復したと言っていた。

 4歳児の子供にこんな単純作業を何度もこなすだけの忍耐力があるだろうか?

それも、このやりかたを自発的に考えて・・・

 

 昔、読んだ本にこんなことが書いてあった。

『人間とは本質的になまけものである。だが、世界が進歩したのは、怠け者がもっと簡単な方法を探そうとしたからだ。』

 

 この時私から私は、息子が生まれてからの4年を思い返してみた。

息子はほとんど夜泣きをしなかった。前々からおかしいと思っていたが、これは高い知性がある証ではなかったのだろうか?

後から聞いた話ではあるが、生まれたばかりの子供は“泣く“以外の表現方法がない。

だから、自分に何かあったり、不安を感じたりすると、近くにいるものに自分に起こっている異常を伝えるために、“泣く”

 

 これが、赤子が急に泣き出す仕組みらしい。

 

しかし、私の息子は夜泣きをほとんどしなかった。そのため医師から、定期的に起きておしめが汚れていないか、起きておなかがすいていそうか、確認するように言われたのを覚えている。

 

 もし、息子に高い知性があり、夜泣くことが迷惑であるという自覚があったのなら、夜泣きをしないのではないか?

 さらに思い起こすと、いままでは気にも留めてなかったが、私の子供は普通の子供と違うところがたくさんあることに気が付いた。

 

 小さなことだが、息子が言葉を話し出したのが一歳の誕生日頃だった。これも後から聞いた話であるが大体、一歳八か月ごろ位に初めて“言葉としての単語”が口から出るらしい。

 

 うちの子は二歳ごろにはかなりしっかりとした受け答えができていたから異常だとは思わなかった・・・その代り噛み噛みだったことも多いが。

そういうところがかわいいのだ。うちの息子は・・・・話がずれたが、言葉以外にも不思議に思ったことがある。

 

 あの子は、ものをほしがらない。

 

それも子供がほしがるようなおもちゃやお菓子を、だ。

 最近ほしがったものは、ノートと鉛筆、これだけだ。

 

 彼がもし大人のような知性を持っているなら、これらをほしがらないことも説明がつくだろう。

 

 これらの事実からあの子を子ども扱いするのは、やめようと思う。

自分の気のせいかも知れないし、もし、仮に、あの子が本当に高い知性を持っているとしても、ただ頭が良いだけかもしれないという希望もある。

 

自分からこの話を切り出してあの子との関係が傷つくのが怖い・・・

 

 だが、私は、あの子の親なんだ。

 

あの子のために、できることは何でもしてやりたい。

 

 この話から目をそらして、あの子の親です!なんて名乗れない!

 

だから、あの子に問いかけようと思う・・・

 

 「君ハ何?」と・・・

 

 

 

 

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