では、本編をお楽しみください。
◆ ◆
「それにしても痛そうだったな~大丈夫か、一夏?」
「ああ、というかSHRの時もやられたし……」
二時限目の休み時間、さっきの授業中に必読の参考書を古い電話帳と間違えて捨てた、とのたまった
いまだになんだかブルーな表情を浮かべている一夏に、後で一緒に勉強会でしょうと誘って、から席を立つ。目的地は、無論彼女の所だ。
「さっきは、ごめんね?俺の勘違いだった」
彼女は申し訳なさそうに眉を曇らせ、謝ってきた。
「いや…こちらこそ急に大きな声をだしてすまなかった」
「別にびっくりしただけだからいいよ」
「それよりも!!」
彼女は俺の目をまっすぐに見つめて話を変えた。なにか重要な話があるのだろう。
それを俺は直感的に理解した。そして、いくつものキーワードが頭に浮かぶ。
今の真剣な表情
最初に話しかけたときに元気がなかった理由
そして、“篠ノ之”問う名前
導き出される結論は……
思いつめた表情で、その話を切り出そうをする箒ちゃんを手で制して俺は笑っていった。
「さっきの休み時間に一夏にも言ったけど、あの時の話は放課後にしよう。ここで話すべきことじゃない」
「だが!!」
納得がいかないのか、食い下がる彼女に俺は笑顔を崩さずに話を続けた。
「俺が話を切り出さない以上、無理矢理に言わせるしかない…けどそんなことする気かい?」
「そんなつもりはないが・・・」
一瞬うろたえた表情を浮かべ、うつむく箒ちゃん
(まいったな…そんなに思いつめた顔をさせるつもりはなかったんだけど……)
【童貞の分際で、カッコつけたこと言うからこうなるんです】
(どうすればいいと思う?スプー?)
【せっかく幼馴染のイケメンがいるんですから彼に押し付けましょう】
(それが、一番か?)
「話は変わるけど、一夏とはもう話したのか?」
うつむいていた顔を上げ、再び俺の顔を見つめる箒ちゃん。再び上げた顔にはさっきのうろたえとは違う色のうろたえがあった―――相変わらずわかりやすいな・・・初め教室にいなかった俺にもわかるぐらいはっきりと顔に“話したかったけど、話してない”って書いてあるぞ―――乗り気じゃなかったけど一夏に頼るとするか!
俺は顔を一夏のほうに向け、何か金髪の女の子と話している一夏を呼ぶ。
「お~い、一夏!ちょっといいか!?」
一夏は自分の席から立ち上がり、こっちに向かって歩いてきた…まて、なんか話していた金髪の女の子もついてきているんだが?あの子には悪いことをしちゃったな・・・俺のほうからも謝っとかないと
「話の最中だったのに悪いな」
「いや、実際絡まれてただけだし「まあ!なんてことをおっしゃるの!このわたくしがせっかく話しかけて差し上げたというのに!!」…と、まあこんな感じなんだ」
これは、災難だったな、一夏…この子の相手は俺が引き受けよう。代わりに箒ちゃんを押し付けるが。
「一夏、箒ちゃんが話したいことがあるんだって、聞いてやれよ」
「おう、それにしてもひっさぶりだな~六年ぶりだけど……」
「ちょっと!あなた!……」
「君、名前はなんていうの?」
話し始めた一夏と箒ちゃんの間に割って入ろうとする、金髪の少女の話に俺が割り込んで、名前を聞いた。さて、話に乗ってくれるかな?
「私の名前はセシリア・オルコット!入試主席にして、イギリスの代表候補生ですわ!!」
ちょろい!?―――こんなにちょろいと、ただ自分が自慢して、それをほめてもらいたい子供みたいに感じるぞ…この子も将来、悪い男にだまされそうだなぁ……
内心、そんなことを思いつつ
「ごめん、オルコットさん二人は俺の幼馴染なんだけど話があるみたいだったんだ。一夏じゃないけど、俺が話を聞いてあげるから、それでもいいかな?」
「かまいませんわ」
どこか、こちらを見下した感覚を覚える瞳に内心不快感を感じつつも、二人の話を邪魔しないように、自分の席に戻る。彼女は俺を見下すような冷たい視線はそのままに俺の後についてくる。
(さて、二人から離れることには成功したけど問題は彼女だよな…たぶん楽しい話じゃあ…ないよな?)
【現在、ISの普及により女尊男碑的思想が広まっているらしいです。その手合いでしょう】
(だろうな…まあ、気にしたところでやることは一つだ)
「さて…おルコットさん、ご用件をうかがいましょうか?」
「あなたはさっきのあの男とは違って、礼儀をわきまえているようですね」
「早く、本題に移らないと休み時間が終わってしまいますよ?」
悦に入っていたところに、突っ込みを入れたらよほど不快だったのか、眉を顰めて怒りの表情を露わにした。
「わかっていますわ!!これだから、男は!」
(俺は、ただ事実を言っただけなんだが…これだからってひどくない?)
【ハル、ウカツ!ですが、ここまでの仕打ちを受ける謂れはない!!】
(同感だ―――ってあれ、なんだか慣れてきてる?)
「貴方に聞きたいことは一つ!なぜ、あなたがISを動かせるのですか?!」
その質問か…実際俺はなんで、ISなんてものが動かせるようになったか、なんてことは知らない。だが、実際に動かせるものは事実として受け止めるしかないだろう。
「悪いが、俺にもわからないんだ」
「わからないって…どういうことなんですの?自分のことでしょう!」
「わからないものはしょうがないだろう。それとも君はこの学校に入学するまで軟禁されていた俺が、何か情報を持っているとでも思っていたのか?」
「うっ・・・申し訳ありません、あなたの立場のことをわかっていませんでしたわ」
自分で言ってることに理不尽さに気が付いたみたいだな…これなら、偏見さえなくせばいい大人になれる可能性もゼロじゃないだろう。まっ…これからのからの彼女の言動しだいだけどな。
「わかったならいいよ。それより、初対面の人間だからってあんなに敵意に満ちた視線で見られると不快に感じる人もいるから、気を付けたほうがいいよ」
「あなたにそんなことなど言われる筋合いはありませんわ!!」
前言撤回―――彼女は、かなりプライドが高いようだ。
「あなたこそ、その子供っぽいコミックの収集なんて趣味、おやめになったほうがよろしいのではなくって?」
「それこそ、個人の勝手だろう?大体俺がアメコミを好きだったとして、何か君に不都合なことがあるのか?」
「あなたのような低俗な趣味を持つ人がISの操縦者だとIS操縦者全体の……」
キーンコーンカーンコーン
しかし、彼女の話をさえぎって予鈴、いや本鈴が鳴り響いた。このわけのわからない噛み付きから解放されるだけで気分がよくなってくる。しかし、彼女はまだ言い足りない、とばかりに
「っ…!またあとで来ますわ!せいぜい首を洗って待っていることね!!」
それだけ言い捨てて自分の席に戻って行った―――元気なことだ。言っていることはまるで三下だが。次の休み時間のことを思うとブルーになってくるので、テレパシーで相棒に愚痴を吐く。
(低俗だってさ…俺達……)
【あの金パ縦ロールは知らないだけです】
それは、その通りだ。そして、俺は“無知が罪だ”なんて言うつもりはない。でも…
(実際に面と向かって、言われると分かっていても心に来るな)
【私は、知っています。貴方達の努力も、苦悩も、その行動の尊さも…ね。
それでは満足してはいただけませんか?】
最近ふざけてばっかなのに…やっぱりお前は俺の信頼する相棒だよ。ちゃんと、俺のことを理解している。俺がへタレなのも、
(サンキュ、スプー)
【いえ…べ、別にあんたのことが心配だったわけじゃないんだからね!!】
(きめぇw)
スプーの言葉があまりも気持ち悪かったので、その前までの感謝の言葉を翻してつい突っ込みを入れていれてしまう。テレパシーで脳内漫才を始めようとしたとき、ふいに教室のドアが開き先生方が入ってきた。
織斑先生が教壇に上り、話を始める。たしか、次の授業は数学の授業だったよな?この授業、織斑先生の担当なのか?一時間目二時間目と続いたIS基礎理論概要の授業は山田先生がやってたから、授業は山田先生がやって実践は織斑先生の担当だと思ってたんだけどな。
「さて、諸君!本来なら今は数学の授業なのだが…実はSHRの時に再来週のクラス対抗戦に参加する、クラス代表を決めるのを忘れていてな…まずはそれを決めてから授業に入る」
クラス対抗戦?なんというか…物騒な響きだな。まあ、ISを使っての模擬戦だとは思うが、だからって入学してから二週間でやる行事か?
「クラス代表は、今回の様にクラス間での対抗戦に出場したり、生徒会の開く会議や委員会などへの出席も行ってもらう…いうなればクラス長だな。一度決まったら一年間続けてもらうのでそのつもりでやるように」
ざわざわと教室が騒がしくなる。そんな光景を横目に眺めつつ、相棒にテレパシーで話しかけていた。
(なあ、スプーこれって、なかなか決まらないパターンじゃねぇ?)
【よく気が付きましたね、こんな風に時間を区切らずに議題だけを提示しても話が長引くだけです―――誰かリーダーシップを発揮するものがいれば別ですが】
しかし、そんな風に内心で、我関せずを貫こうとしていた矢先に織斑先生からありがたいお言葉が耳に響いた。
「―――だれかいないか?“自薦、他薦は問わないぞ”」
「はい!織斑くんがいいと思います!!」
「私も、それがいいと思います!」
「お、俺っ!?」
他薦オーケーとなったらこのクラスの顔、を押さない人間はいないだろう。まあ一夏、ご愁傷様とだけ言っておこう…ジュースでもおごってやるよ。
(おうおう一夏はモテモテですね~。男の俺から見ても、素直にイケメンに分類される男がいるんじゃ、俺は関係なく終わりそうだな)
【そんなに余裕かましていると……】
そんなスプーのテレパシーの続きをを聞く前に俺の後ろのほうから、はんなりとした声が聞こえた。
「は~い、加藤君を推薦しま~す」
「おお!俺もハルがいいと思う!!」
……あれれーなんか加藤っていう名前が聞こえた気がしたぞー?
(スプー…このクラスに、加藤君という名字の人間は俺以外に…いるか?)
【そんなにフラグ立てるから…いるわけないでしょう】
(だよなー…動きづらくなるから、なるべく注目を浴びたくないんだけど……)
【あなたは世界で二番目の男性IS操縦者なんですよ。注目を浴びない、なんて無理に決まっているじゃないですか】
(でも、おとなしくしておけば何とかならないか?)
【おかしいと思いませんか? あなた】
―――チクショウ、たしかにスプーのいうとおりだ…俺がISを動かした瞬間から俺は動物園のパンダ兼、エリア51に連行された宇宙人扱いだった。でも、こんなんじゃイザっていう時に初動が遅れる―――そうなれば、多くの人が…死ぬ。そういう状況に備えるためにも、
さて、どういう手を打とうか……?
「待ってください!納得いきませんわ!」
自分の自慢話を周りにぶちまけている彼女を横目に、思考にふける。
これは―――ついてるな。彼女はプライドが高い。きっと彼女を推薦すれば……
しかし、そんな思惑はもろくも崩れ去った。
「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年、覇者だよ」
―――あ。
なんだか二人は決闘だ!とか四の五の言うよりわかりやすい!とか言っているが…これだけ大騒ぎになれば、二人だけで決着をつけてくれるだろう。まあ、俺が巻き込まれたとしても、いざとなったら体調不良を理由に棄権すればいいし……
だが、次の彼女の言葉に俺の冷静な思考はふっとんだ。
「まったくこの国の男は、こんな礼儀知らずと低俗で下劣なコミックオタクしかいなのですか!?」
プツン
またいいやがったな…あの女。
俺が、気が付いた時には立ち上がってあの子、セシリアに思いのたけをぶつけていた。
「おい…さっきも言ったけどな。別に趣味なんて個人の自由だろう?それにとやかく言う権利は君にはない」
彼女は俺をあからさまに見下した視線で
「いいえ!あなたみたいな人間がいるとIS操縦者全体の“格”というモノが下がります!」
「……へぇ…格ときたか…それで?」
「貴方!IS操縦者としての自覚はないのから?!」
「無い。俺はせいぜい、操縦者というより躍る猿か、実験用のモルモットがいいとこだろ?…第一ISを操縦できることがそんなにすごいことか?」
「どういうことだ?」
…これは予想外だな―――さっきの問答から、こういう生徒間の争いは不干渉だと思っていたんだが…あなたが干渉してくるなんて。ねぇ…先生?
ドーモ、読者=サン。めんつゆ=デス。
いかがだったでしょう?おそスト2部第七話は?
やっとセシリア初登場!!いや~やっとですよ…ほんと…それはそうと、実は彼女にも秘密があります!!もう伏線は引いているので…わかった人はいらっしゃるでしょうか?
いてもネタバレは勘弁してくださいね!
さて内容の話ですが…ハルェ…辛抱なさすぎやろwww
お前はどこかの霧さんか!?という勢いで自分の意見を翻していますが……
正直、自分が自覚していたとしても他人に言われるとムカッと来ることってありますよね?
今のハルの心境はそんな感じです。ですが…彼も自分のことだったら我慢できたんです。ですが…彼女は自分じゃない、偉大な先達の歴史を”低俗”だと言った、いくらダメだといっても衝動的になってしまった、という感じで描きました。
では本日のネタ
ウカツ!!
はい、安定の忍殺ネタです…
あんたのこと……
説明いるのか?安定のツンデレです。
躍る猿
キャプテン・アメリカ”The First Avenger”での一コマ。戦地での戦意高揚講演の後、スティーヴが手慰みに書いているスケッチ。そこに書かれた、コスチュームを着て、盾を持ち、芸をするサルは自分のいかんともしがたい状況を風刺してた。
では今日はこの辺で失礼します。
アンケートは1/11日まで!ふるってご参加ください。
批評、質問、感想などいただければ幸いです。
ではおやすみなさい