恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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  第8話 「ハル、自らの考えを語る」

 

 

「どういうことだ?って…あくまで俺は、ISが動かせることがそんなにすごいことだとは思っていないだけです」

「どういうことですの?ISは地球上最強の兵器なのですわよ!」

 

そんなに聞きたいなら今から聞かせてやるから少し、黙ってろ。

 

「ISは確かに優秀な兵器と言えるでしょう。

それに俺と一夏は現状、世界で二人だけ男としてISを動かせます。

これは純然とした事実です。

ですが…“ISという力”なんかよりも、“力がなくとも”誰かのために“何か生み出すことを選んだ人”や、“自らの体をはって多くの人たちに尽くす”ことのほうが遥かに尊く、気高いことだと…俺はそう思います」

「では…お前は、その“力なき人”が傷つきそうになったときどうする?」

 

俺が織斑先生のほうに視線を向けると彼女は試すようなまなざしでそう言った。

俺は笑みを浮かべて

 

「簡単なことです。自分の“すべての”力を使って助ける、それだけです」

 

 それこそ、ISだけじゃない…スプーの力を借りてでも(自分の正体をばらしても)目の前で傷つく人を助ける。

 

俺はもう傍観者でいるつもりはない

 

織斑先生はどこか安心したような笑みを浮かべて

 

「なるほど…いい信念だ、とほめたいところだが…もう、授業が始まってから20分は立ってしまった。そろそろ本題に戻らないとな。

ほかに候補者もいないことだし…IS戦を行うのだから、決着はIS戦でつけてもらう。

来週の月曜、第三アリーナで代表決定戦を行うこととする。三人とも異論はないな?」

「はい!」

「もちろん!!」

 

しまった―――つい、熱くなってやっちゃったよ…もうここまで来たらやるしかないじゃん…あとでまたスプーに怒られそうだな・・・

内心、自分のまたやらかした自分の行動を反省しつつも、宣言した。

 

「やります!」

「いいだろう、勝負の内容は追って連絡する!」

 

それだけ言い残して山田先生に教壇を譲った織斑先生の視線を感じながら、無意識閉じていたらしい精神リンクを再び開いて、相棒に謝る。

 

(あの~すぷー…さん?もしもし?)

【なんでしょう?】

 

俺の相棒からテレパシーは、想像とは違い穏やかな物だった。もっと…頭ン中全部に響くくらいの強烈な説教が来ることを覚悟していた俺にとって拍子抜けを覚えるほどのもので(怒ってないのか?)と返すくらい驚いていた。

だが―――

 

【別に全っ、然っ、怒ってなんていませんよ?】

(ほんとにゴメンな!言っていることを言ったそばからひるがえして)

【あなたがこういう状況で、理性的に動けないのは今に始まったことないですから…“元から期待してません”でしたから】

 

……あれっ?

 

【いや~まったく予想どうりでしたよ…で、どうするんですか?】

(怒って・・・ないん、だよね?)

 

おずおずとした感じでスプーに問いかけるが…スプーさんはさっきと似た感じのテレパシーで“冷静に落ち着いた声”を響かせた。

 

【ええ、ぜ~んぜん怒ってないですよ。ただ“期待してなかった”だけで……】

 

 …単純に叱られるより…期待してないって言われるほうが―――キツイ

 

(すみませんでした。以後は気を付けます)

【……まあ、いいでしょう。許してあげますから、次は気を付けてくださいね?】

(はい…反論する言葉もありません)

 

キーンコーンカーンコーン

 

あっ・・・授業が終わった。しかし、気が休まる暇もなく・・・織斑先生が去り際に

 

「加藤!放課後、職員室に来い。話がある」

「ふぇ…?」

 

俺…なんか呼び出しくらうようなことしたか?

 

「ハル!!―――」

 

それだけ言い残して教室を去っていく織斑先生の後ろ姿を眺めつつ、話しかけてきた一夏の話を生返事で返していたら…その休み時間は終わっていた。

 

◆                 ◆

 

 あの後、一夏に質問攻めにされたり…こっちを恨めしそうに見つめる箒ちゃんの視線が俺に刺さっていたりしたが、基本何事もなく授業は終わった。放課後に、話す約束をしていた一夏と箒ちゃんだったが…正直、クラス代表決定戦のことでうやむやになりそうだ。あの後何があったのか二人に聞いておきたかったのに…一夏は箒ちゃんにISの操縦を習うらしく、授業が終わり次第さっさと教室から出て行った。

 そして、ボッチの俺はというと―――二限目の休み時間に言われた通り、“職員室”の前に立っている。

 

(なあ、スプー…なんで呼ばれたんだろうな?)

【さぁ?代表決定戦のルールが決まった、とかじゃないですか?】

 

ノックをしてから職員室に入ると…教室にいたときとまるで同じ、好奇心に満ちた視線の嵐―――正直、ここまで注目されることなんて今までなかったから、ちょっとした居心地の悪さを感じつつ、織斑先生はいますか?と近場にいた先生に問う。

 

「ごめんなさい、ちょっとアリーナのほうに行っていてまだ帰ってないのよ」

「そうですか…ありがとうございます」

 

その先生が、織斑先生に連絡して君が来ていると伝えるといって自分のデスクに戻って…手持無沙汰でぼぅっと待っていると横からやけに興奮した声が俺の耳を打った。

 

「やあ!…初めまして!君が加藤、ハルくんだね!!」

 

そちらに視線を向けると…太陽の様に輝くブロンドの髪、そしてこちらを見つめる宝石のような翠の瞳―――漫画の中から飛び出したような 美 少 女 がいた。

 

「ちなみに、ぼくは男だよ」

「マジですか?」

 

……? どこか変だ。何か言い表せない違和感を感じた俺は、相棒に確認する。

 

(あれ?俺さっきこの人のこと女って口に出したっけ?)

【言っていませんよ?】

 

「いや~僕こんな体つきだから、よく初対面の人から性別を間違われるんだ」

「へ~そうなんですか…これは失礼しました」

 

それにしても…言っちゃあ悪いが、きれいな人だなぁ・・・正直、男って言われるまで気が付かなかったよ。背も俺の肩から少し低いぐらいしかないし、声も俺より圧倒的に高い―――どこか幻想的な雰囲気を纏った人だ。

 

【あなたって…ほんと最低のクズね!】

(すいませんでした…あの件は全面的に私が悪うございました)

【……つまらないです。ハル、もっと鋭い突っ込みをいただかないと、ネタに走る気も失せます】

(別にお前にネタに走らせるつもりで突っ込んでたわけじゃねぇから!!というかネタに走るなよ!!)

【拒否します】

(なんで!!)

【愛だからです】

(……なぜそこで愛ッ!?)

「ふふっ」

 

目の前の彼が含み笑いをしているのが、見て取れる―――何か面白いことでもあったのだろうか?

それとも、知らず知らずのうちのまたヘマをしていたのだろうか?

その答えはすぐに彼の口から聞かされた。

 

「ごめんね。急に笑っちゃって、実は君が、僕が影響を受けた人にそっくりでね」

「なるほど…そうだったんですか」

 

とりあえず、話を合わせとこう。にしてもこの女性の割合90%以上の女の園で、男の人か―――相談相手として重宝しそうだ。今度一夏も合わせてやろう。アイツも気苦労多いだろうし、まあその前に……

 

「ところで、失礼ですが…お名前をうかがってもよろしいでしょうか?」

「ああ…ごめんごめん、そういえばまだ言ってなかったね。ぼくの名前はジョセフ・カーター・ジョーンズ、このIS学園で君と織斑くんの心理カウンセリングや健康診断を行う医者、みたいなものかな?」

 

なるほど…学校側で用意した、医者兼カウンセラー兼、セラピストって感じか?

ま、この人なら信用しても大丈夫だろう。

俺は彼に向かって右手を突き出して

 

「よろしくお願いしますジョーンズ先生」

 

“彼”に握手を求めた。

 

“彼”はもともと浮かべていた柔和な笑みを、満面の笑みに変えて

 

「ジョーイでいいよ、その代り君の名前を呼ばせてもらうけど…かまわないかい?」

「はい!これからよろしくお願いします。ジョーイ先生」

 

俺の握手に応じてくれた。

 

なんだか、気持ちのいい人だな…普段から陰険な相棒と、さっきの俺を趣味を全否定してくれた金パ縦ロールにボッコボコの心が癒されていくようだ……

 

【だれが、陰険ですか】

(人が真剣に謝っているのにああいう態度をとるやつは知らん!)

 

そんな風にスプーの言動に文句を言っていると急に俺が背にしていたドアが開いて

 

「すまない、加藤…またせたな」

 

織斑先生が入ってきた。俺は振り向いて彼女に

 

「いえいえ、とても有意義な時間でしたので」

「そうか?」

「それよりも、ちょっとついてきてくれ。お前に見せたいものがある」

「……なんでしょう?」

 

彼女は三日月のような笑みを浮かべ

 

「いいものだ」

 

とだけ言い残して歩き出した。

さて!俺も後をついていかないとな。背を向けていたジョーイ先生のほうを向き一礼して

 

「では失礼します」

「ああ。そうだ君たち用の医務室が校舎一階の第三アリーナに向かうところにあるから何かあったら来るといい」

「ありがとうございます!」

 

少し話し込んでいただけなのにもう織斑先生は遠くに行っていしまっている。急がなきゃ!そんな一心で俺は織斑先生を追って駆け出した。

だから…彼が俺の背中に投げかけた言葉など、知る由もなかった。

 

「“君が”来るのを楽しみにしているよ……ハルくん」

 

 

 




ドーモ、読者=サン。めんつゆ=デス。

さて…いかがだったでしょう?おそスト第8話。さて、新キャラ?が出てきました。
えー本日追加したタグと同じ…HEROMANのジョーイくんをイメージしていたければOKです。いやーやっぱりジョーイはかわいいですね…中の人になりますが、とつかわいいならぬ、ジョイかわいいと言いたくなってきます。

このタイミングで新キャラ!?と思うかもしれませんが…知っている人ならわかるかもしれませんね。

いやー今書き溜めでやっとなーちゃんが出せそうなのですが…登場回だけで一話使ってしまいそうな勢いです。
相変わらず牛歩の進みというべきか……
まあ、完結目指して頑張るだけですが!

本日のネタ

>あなたって…ほんと最低のクズね!
よいこのみなさんは検索してはいけません。グリーン=ランタンとの約束ダヨ

>……なぜそこで愛ッ!?
去年放送していた戦姫絶唱シンフォギアGでにセリフ。めんつゆが見ていたので…突っ込みました。

では、今日はこの辺で失礼します。

感想などいただければ幸いです。

おやすみなさい
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