恐れを知るものは、無限の空を目指す   作:めんつゆ

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    第18話 「ハル、薄れる意識と共に」

 

 

 

人影のない砂浜に、静寂を切り裂いてバシャッと大きな音が鳴り響く。

IS学園指定の白い制服が海面より姿を現した。その人物は濡れ鼠の体を引きずり、砂浜までたどり着くと―――膝から柔らかい砂に崩れ落ち、荒い息で息を整え始めた。

 

「ゴホッ!……はぁ…ハぁ…」

 

疲労と負傷に痛めつけられた体が酸素を求めてわめきだす。

人目に付くのを気にして、近場から泳いできたからその疲労も結構体に来ている。

 

俺はNYの火災が消し終わったのから十分足らずで、地球の反対側のIS学園まで戻ってきた。正直、自分を自分でよくやったと、ほめてやりたいくいだ。

 

でも―――休むのはまだ先だ。

 

ずぶ濡れの制服を脱ぎ捨てようとボタンに手をかけた俺に相棒からの忠告が入る。

 

【ハル、まずはお疲れ様でした】

(ほんっと、だよな…疲れたぜ……)

 

手を止めずにボタンをはずしつつ思念波を送る。今口は言葉を話せるほど余裕がないからだ。そんな俺に冷静な相棒が事実を突きつける。

 

【……代表決定戦は棄権してください】

「ッ!はぁ……すぅ……その理由は?」

 

相棒の突きつけた、俺も認識している事実を払拭するように口から呟く。

 

【先ほどの救助活動であなたは腹部に重傷を負いました。学園に戻ってくるまでに再生機能で一応の治療は済ませましたが…その負担は体に残ったままですし、何より急速に再生させた腹部は傷つきやすいのは知っているはずです。それに―――】

 

そのとおり、だ……こっちに戻ってくるまでに何者かのレーザーに撃たれ、貫通した腹部はその高温により炭化していた。だから、こっちの戻ってくる間飛行に裂いた集中力、残りを全て腹部の修復につぎ込んだ。

ランタンのパワーの一つに自己修復力の向上・細胞分裂限界の超越というモノがある。これを使って通常なら、死ぬような大怪我や再起不能になるほどの障害からも短時間で修復、戦線に復帰することができる。無論、短時間と言っても十分や二十分でどうにかなる者ではないが……

 

 

【以前に説明したでしょう……細胞分裂による傷の修復は大きな負担を残します】

 

 

だが、それ以外にもこのパワーには一つ大きな欠点があるのだ―――それは

 

―――ランタン(俺達)が創造物を形成するときの重要な構成要素(ファクター)

 

膨大な“集中力”と“体力”を同時に失うことだ。

 

 

この世に無限な物なんてそれほどあるわけじゃない、俺達も想像を現実のものとするとき……膨大な集中力を要する。

だから、常人が“普通に”リングを使ったところで創りだせる物体は手のひらサイズが精々で、さらにその持続時間も10秒ぐらいで消えてしまう程度の物しか作り出すことができない。

 

さて…その肝心の集中力が切れるとどうなるか―――答えは簡単だ。

 

構造物の形成がうまくできなくなり、体に三つの危険信号が現れ始める。

 

一つ、俺の体を襲っている泥のような“虚脱感”

二つ、一瞬でも気を抜けば意識を持っていかれそうなほどの“眠気”

……そして三つ、人間の脳が過負荷に耐えかねて出す“頭痛”だ。

 

 

スプーの話だと、下に行けばいくほど危険度が増していくらしい。

 

 

【いいですか?あなたの体はすでに限界です。今はまだ意識を保っていられていますが、いつ倒れてもおかしくはないのです】

 

「わか、ってる」

 

そう口では言いつつも、既に制服の上を脱ぎ捨て次はYシャツのボタンを上から順に外していく

 

【わかっていません、やる気でしょう】

 

無機質な声がどこかあきれているように聞こえる。

その声にやっぱりな、とばかりににやりとした笑みを浮かべ考える。

 

ああ、その通りだ。俺には“二つ”男の約束と彼女との賭けがある―――

 

ならばやるだけだろう?

 

ふと先ほどまで押し黙っていた打鉄が急に話し出す。

 

『主、ご自愛ください。今なら…“まだ”体調不良としてごまかすこともできましょう。ですが……』

 

一文字一文字つらい心境を吐き出すように現れたその表示に、俺は打鉄の“心配”を感じた。うれしいな、俺にはこんなに心配してくれる相棒が二人もいる―――でも

 

【打鉄―――呆れたことにこのダルはあの縦ロールに3分で勝つ、と考えていますよ】

 

年長のスプーがもうあきらめた、とばかりに呆れつつ俺の気持ちを代弁する。

心の底から心配している人にここまでその心配をコケにされたらどうなるだろう?

 

あきらめる?

 

悲しむ?

 

打鉄は―――

 

『{{{{(  )}}}}フルフルフルフル..

なっ―――何を考えているのでござるか、このダルゥゥゥ!!』

 

『ゴ━━━━(# ゚Д゚)━━━━ルァ!!

拙者や、兄者の心配を冗談だとでもお考えか?あなたはいつ死んでもおかしくないぐらいの所まで行ったのですぞ!!そんなんだからこれだけ女子がおっても話しかけることのできない、ボッチ…あいや!童貞なのでござるよ!!!』

 

怒った―――それはもうこれまでため込んでいた俺に対する不満を噴火させるように……

っていうか、打鉄=サン。あの……俺が“彼女”におされっぱなし、という事実はまだしもこないだ夕飯に出てきた高野豆腐を水で流し込んだこととか、俺が部屋で着ているスパイディシャツがダサいこととか…なんか関係なくないか?

というか……ここまで不満ため込んでたんだなぁ―――

 

「あの、打鉄?」

『なんですか!大体主は!!――――――』

 

そろ、そろやめてもらえないかなぁ……これだけ自分のダメな点を一から羅列されていると、なんというか……心を矢で刺されているような錯覚が―――

 

そんな風に打鉄お怒りの言葉がメンタルにザクザク刺さっているのを見かねてくれたのか相棒が横から口を出す。

 

【打鉄、もうそれぐらいでいいでしょう】

 

怒り心頭の打鉄はスプーの制止に反論してさらに大きなディスプレイで意思表示する。

 

『q(`Д´●)

全然よくございませぬ!!』

 

未だ怒り冷めやらぬといった様子の打鉄にスプーは穏やかな口調で語りかける。

 

【打鉄、あなたももう気が付いているはずです――――】

 

おお!いいぞスプー!お前の説得に俺の心の健康がかかって………

 

【このダメ男はもう手遅れです。一生童貞が確定しているのですから!!】

 

………だれか、俺に優しくしてください………

もう泣きそうだ。いろんな意味で……泣かないけどな!!

自分を自分で慰めているとスプーが、急に口調を変える。

 

【ハルはダメ男です…ですが、我々がいるでしょう?こういう時に我々がハルを助けなくてどうするのですか?】

『兄、者……』

【ハルが3分で勝ちに行くというのは、それが彼の限界だと自分でわかっているからです】

 

ッ―――ばれ、てたか……そうだ。自分が限界だっていうのは俺自身が一番よくわかっている。なんせ、いまだに膝が笑っちまって足に力が入らないんだ。

まともな奴なら、このまま砂浜に寝っころがっていびきかいてフケこむことを選ぶだろう。

 

「でも、俺は…もう……」

 

その言葉を打鉄が継ぐ―――

俺は単なるゴシック体の文字に言葉に言い表しきれない不雑な思いを、感じた。

 

『後悔したくはないのでござるか?』

「ああ」

 

そうだ。もう俺は我慢したくない。約束も破りたくなんてない―――ただの…我がままだ。

 

『( ̄Д)=3

まったくしようがありませぬなぁ…主、やるからには策があるのでござるな?』

 

腰を締め付けていたベルトを外し、俺は不敵な笑みを浮かべて相棒たちに言い放つ。

 

「ああ、こんな俺でも勝てる必勝の“策”が、な」

 

【ならばわかっていますね?打鉄……】

『応!!この身を粉にしてでもその“策”見事成功させて見せるでござい!』

「よっしゃあ、後は…アリーナに行くだけだな」

 

その言葉と共に似れて重くなったズボンを脱ぎ捨て、中に来ていたISスーツ一枚となる。俺は、震える足に意志を込め立ち上がり一歩、また一歩とおぼつかない足取りでアリーナに向けて歩き出した。

 

だが、体に残った疲労は俺を着実に蝕んでいた。俺の想像以上に……

 

砂浜も終わり、もうすぐ歩きやすい平地部分に差し掛かると思い気を緩めた瞬間、急に膝に力が入らなくなりバランスを崩した。

 

【ハル!!】

『主!』

 

視界がゆっくりと流れる―――前のめりに倒れそうになった目に映ったものは両手で抱えるほどの“丸石”だった。

 

俺はこのままあの丸石に頭をぶつけるだろう―――なさけない……だが!

 

“間に合え”と言わんばかりに体を支えさせるための両手を前に突き出す。

だが、心のどこかで冷静な部分が直感的に囁いた。

 

“間に合わない”

 

そう思った俺の体が―――“後ろに”押し倒された

砂浜に“俺達”が倒れこみ、ぽすんと漫画のような音があたりに響いた。

どうやら何者かに押し倒されたらしい

俺の胸のあたりに絹のような金髪が見える……いったい誰だ?

スプーが気が付ないなんて……

頭痛の残る頭で思考しようと四苦八苦していると俺を押し倒した“彼”がぱっとこちらに顔を向け、子供みたいな高いテノールの声で話だした。

 

「大丈夫かい?ハルくん」

 

「ジョ、ジョーイ先生?」

 

そうだよ。と肯定の言葉を投げかけつつ、彼は俺の上に馬乗りになったまま背中のデイパックを下ろして、中をあさりだす。

 

「しっかりするんだ!今治療するからね!!」

 

なんでここにジョーイ先生が?いやそれよりも……

俺の思考を妨げて、彼の声が発せられる。

 

「ちょっと黙ってて!!」

「は、はい!」

「少しちくっとするよ……」

 

彼は馬乗りになっていた体をおろして手慣れた手つきでむき出しの腕を消毒し、何かの薬剤が入った注射を俺の腕に注射した。

 

「あの……先生?」

 

俺がおそるおそる口を開くと、彼はこのあいだのにこやかな笑顔に戻って

 

「安心して、単なる造血剤だから。それよりもひどい顔だね。ぱっと見でも貧血だってわかったくらい顔が白いよ。さあ起きて」

 

そう俺の体を引き起こし、スポーツドリンクを手渡してくる。

 

「飲むんだ。君の症状には脱水症状に似たものも見受けられているからね」

 

その柔らかいながらも有無を言わせぬ口調に、俺はボトルの口を開け中身をあおる。

からだへの吸収が良い様にぬるめのそれがのどを潤す。

そんな俺をテレパシーで相棒がからかう。

 

【ハル、まるで介護老人のようですねw】

(からかうな。……それよりも、なんで彼がここにいるんだ。都合がよすぎないか?)

 

相棒に投げかけたはずのその言葉は、ジョーイ先生本人がさらっと答えてくれた。

 

「まったく…驚いたよ。食後のジョギング日課にしていなかったら、大けがで済まなかったかもしれないね」

 

柔らかい笑みを崩さず、彼は説明を続ける。

 

「さて、それが飲み終わったら、肩を貸してあげるから一緒に医務室まで行こう」

「いえ……俺、これから行かなきゃいけないところがあるんです!!」

 

俺の言葉を受けて彼が顔色を変える。

 

「だめだ。どこに行くのかは知らないけど、医者として―――絶対に看過できない」

 

そうかい―――でも!

俺は水分補給と造血剤の投与で少しはまともに動くようになったからだに力を入れる。

そうやって彼に背を向け、俺はまた立ち上がった。

 

「ジョーイ先生、ごめんなさい―――その言葉には従えません」

 

歩き出した俺の背で彼が立ち上るのがわかる。

 

「なぜだ!!君は―――いや……どうしても、なのかい?」

「どうしても、です」

 

そう一言だけ言い残すと、全力でアリーナを目指す。

すると不意に、何かが若から押し上げるような感覚と一緒に足場を確かめるようにゆっくりと一歩一歩進む俺の体が軽くなる。

 

「まったく、その用事が終わったら絶対安静だからね!それとその間は僕の言うことを必ず守ること!!」

「……すいません」

 

ほんとにジョーイ先生はマジ天使だな。こういうのを何ていうんだっけ……

 

【ハルがホモォの道へ…いいぞ!もっとやれ】

(行ってないから!)

 

ジョーイ先生の手を借りて、五分後…目的地にたどり着くことができた。

 

 

◆                 ◆

 

 

俺の前にいかにも不機嫌そうなクールビューティー(織斑先生)の後ろに不動明王が見える―――やべぇ、超恐い。一夏、それに山田先生、ジョーイ先生と楽しそうに話してないで助け舟を……

 

「ほう……時間に遅れただけではなくよそ見とはなぁ…加藤、お前は真面目な奴だと思っていたんだが」

 

助けを求めるその視線を不快に思ったのか、織斑先生は野獣のような獰猛な笑みを浮かべつつ、そう言い放った。

 

「すいません……」

 

俺はその圧力を感じるほどの言葉に冷や汗をたらしつつ、頭をたらして平謝りすることしかできなかった。

 

【ウソみたいだろ。こいつNYを大火から救ったスーパーヒーローなんだせ?】

(今度は何処のネタだ!)

「それで……詳しい話は聞かん。だが―――やれるのか?」

 

顔を上げた先にあったのは、先ほどまでとは違う、どこか刀の様な鋭さの中に女性特有の柔らかさを感じさせられる、真剣な表情だった。

 

その言葉を待っていたとばかりに、ニヤリと会心の笑みを浮かべ…雄々しく言い放つ。

 

「もちろんです。彼女の準備は?」

「ふっ……お前待ちだ、この阿呆が―――なら……思いっきりやれ」

「織斑先生!?…ちょっと…もう少しお願いします……ああっ!ジョぉーイ先生ぇーー」

 

織斑先生はそれだけ言い残すと、ジョーイ先生との話に花を咲かせていた山田先生の襟首をまるで子猫を運ぶお母さん猫の様にひっつかみどこかへと歩いて行った。

山田先生が恨めしそうに何か言っているが……まぁ…いいだろう

 

俺はISを高速に加速させるカタパルトの前に立つと

今まで黙りこんでいた、ウチの末っ子に優しく声をかける。

 

「打鉄―――頼む」

 

『応!』

 

意旬の間と共に大きく表示されてその言葉に打鉄の“勝利”に向ける強い意志を感じた。

 

一瞬の発光と共に体の各所に打鉄が装着される。

すると、カタパルトの上に接続された俺たちの脇に一夏が駆け寄ってくる。

さっきまでの笑顔と違って、どこか言いづらいことを無理やりひねり出すような顔で

 

「その……ハル、ゴメン!」

 

謝られた訳がわからず、バイザーが取り付けられた顔を一夏に向けて理由を問う。

 

「一夏……そのなんで、ごめんなんだ?」

「セシリアに―――負けた」

 

がっくりとうなだれている一夏に、俺は笑って言い放つ。

 

「じゃあ…かたき討ちしなきゃぁ、な」

 

驚いたようにぱっと顔を上げた一夏が、眉をひそめつつ

 

「でも!ハル、お前…体は……」

「いつもの事さ…なぁ、みんな」

【その通りです、一夏さんこの阿呆にそんなことを言ったところで無駄の極みですよ】

『同感でござる。まったく……うつけな主を持つと苦労するでござるなぁ』

 

・ ・ ・ ・ ・ ・ また俺をいじるのかこの無機物コンビは……

 

「くくっ……あははは!!」

 

先ほどの悩みこんだ重苦しい顔は何処に行ったのか……一夏は腹を抱えて大笑いを始めた。

 

「いや…笑うなよ……」

「ぷっ……悪い、でも……なんだか“まるで”ヒーローじゃない感じがしてな」

 

呆れ顔で突っ込んだ俺に、一夏が笑いを堪えつつ答える。

まったく―――でも、いい感じに緊張がほぐれた。それじゃあ……一丁、

 

『主、昂ぶっているところ申し訳ないのうございますが、更識会長殿から通信が入ってきたでござる』

 

行くと―――はぁ……またこんなんかい!!

内心そんなことを考えつつもプライベート・チャネル(非公開通信)を開く。

 

「会長……何かご用ですか?」

 

ウィンドウに投影された会長はいかにもおかしそうに口元を扇子で隠しつつ

 

「やっはろー、ハルくん」

「朝から一緒の部屋じゃないですか……」

 

まったく…この人は……

 

「じゃあ、時間もないから手短にね……ハルくん三十分もどこ行ってたの?てっきり夜逃げならぬ昼逃げしちゃったのかと思って心配したわよ?」

 

やっぱり、気づいてたか―――

 

「いえ、ちょっと腹の具合がおかしくて、ですね…トイレにこもってました」

「ふ~ん……ここは、“そういうことに”しておいてあげるよ」

 

“そういうことに”しておく…ってことは、賭けに負けたら詳しく教えてもらうっていうことだよなぁ

 

「いいことを教えてあげる。セシリアちゃんの事なんだけど……彼女、一夏君にかなり“追いつめられてた”わよ」

「ッ!……感謝します。楯無会長」

 

その一言に込められたニュアンスを瞬時に理解し礼を返す。

 

「いいわよ…やっぱり賭けはフェアじゃないとね♪」

「なるほど、じゃあせいぜい俺がヘマすることに期待しといてください」

 

画面の向こう側の彼女は俺の返答に満面の笑みで、うなづきつつ口元を隠していた“万事了解”と書かれた扇子を広げ

 

「やっぱり、想像どおりの反応だ。じゃあセシリアちゃんの応援がんばらなきゃね」

「では…失礼します」

「じゃあ、またあとでね……がんばれオトコノコ」

 

オープン・チャネルが切れる寸前、ボソッと一言だけ言い残し彼女の姿は掻き消えた。

通信が終わると同時に打鉄が

 

『ヾ(・∀・`o)ネェネェ

主、先ほどの楯無会長の言葉の真意…おわかり申したのでござるか?』

「ああ、たぶん警告だ。俺の予想が正しければ、オルコットさんは本当の意味で全力を出してくる」

 

テレパシーを使ってスプーが割り込む

 

【なるほど……彼女は男という性別に対して偏見を持っている、という話でしたね】

(そうだ。たぶん彼女は一夏っていう超初心者の相手でかなり油断していたんだろう。でも、予想に反して一夏が強かった―――それこそ本気を出さざる得ないくらいに)

【となると、プライドの高い彼女のことです。次に戦う私たちで意趣返しをしようと最初から遊びは抜きで、全力で落しに来るでしょうね】

 

合点がいったかのように打鉄が顔文字付きで

 

『Σ(っ゚Д゚;)っ

なるほど!!』

『(*´д`)??

しかし……主はすでに宣戦布告で彼女を挑発しておるではござらぬか、なればこの戦最初から本気で来るはずだったのでは?』

「確かにそのとおりなんだが、相乗効果がな……あの時彼女は“男がダメな存在”っていう偏見にまみれてた。でも、今は違う……一夏に追い詰められたことでその偏見もなりを潜めて勝って自分のプライドを守るために“必死”でくるだろう」

 

必死になったものは強い―――誰かが言っていた。

 

闘いは強者ではなく、最後まであきらめないものが勝つ、と

 

今の彼女はそれだ。“必死”とはそういう強い思いによって立つものなんだ。

 

今の彼女は手ごわい、その上いまごろになって頭痛がぶり返してきた、めちゃめちゃねみぃし、体も重い……コンディションは最悪だ―――でも、だからこそ

 

 

「更に、燃えるッ!」

 

 

次の瞬間、俺はセットされていたカタパルトで高速に加速し空に向かって打ち出された。

視界の先には蒼穹の様に美しく輝くIS、ブルー・ティアーズを纏った彼女。

対象正面五メートルで完全静止。

久方にあった、彼女の顔にはあざけるような笑みも、焼き尽くすような怒りもなかった。

あったのは

 

いい顔だ。予想通りの、な……

 

白銀に輝くナイフの様に鋭く、研ぎ澄まされた“闘う者”特有の真剣な表情。

俺は、じくじくと痛む頭をふって軽い挑発をなげかける。

 

「やぁ、お待たせ“マドモアゼル”(お嬢さん)

「まぁ……そこは“レディ(お嬢さん)”ではなくって?Mrヒーローマニア」

 

どうやらこの程度ではまるで動じてないな…ジョークを返せるだけの余裕がある

でも、“以前まで”の彼女だったらこんなことをされたらすぐに激昂していただろう。

 

今の彼女は微笑を湛えた、まさに深窓の令嬢と言った風体だ。

 

もっとも、眼は全く笑ってなくて…未だに刺すような視線でこっちを眺めているが

 

「それで、どうして遅れたのかしら?あなたはこういう時に遅れたりはしない真面目な方、ときいていたのだけど?」

「これは失礼…少し、“道草”を食っていてね…日本の剣豪、武蔵=宮本にならったのさ……どうだい。お気に召しましたかな、マドモアゼル?」

 

彼女は花のような笑みを浮かべつつ、長大なライフルをこちらに構え……

 

―――来る。スプー…カウント、レディ……

しっかり働いてくれた直感に従い、右手に収まる相棒に向かってカウントスタートを告げる。

 

「ええ、とっても―――これは…お礼です、わっ!!」

【ラージャ、レディ……GO!】

 

轟砲一閃、それがこの闘いのゴングだった。

 

彼女の放ったレーザーを左へ平行移動して回避。そのまま速度を殺さずにセシリアの背中を狙うために円を描くような旋回―――俺の視線の先でセシリアも俺の背中を取るために円を描くような旋回をしつつ、ISからアンロック・ユニットが“4つ”分離したのがわかった。

 

あれが……あの機体の代名詞、遠隔浮遊砲台“ブルー・ティアーズ”か。

恒常的に頭痛でじくじくと痛む頭で“最低”五つの銃口をかいくぐりつつ攻撃を叩きこまないとならんのか……そんなの―――

 

【ハル、BTビット4基のマーキング終了。以後はアップデートで対応します】

『主、“黒金”での防御はお任せくだされ!事前の策通りに参るでござるよ』

 

―――楽勝だ。

 

「おう…頼む!!」

 

両手に“焔備”を二挺呼び出して“スプーの指示”を待つ。

一週間にわたる楯無会長との特訓で、打鉄で戦うためにいろいろと武器を増設してきた。

そこから思いついた連携、見せてやるぜ!

 

俺と彼女は円を描くように加速しお互いの隙を探す。

【ハル!】

 

更に打鉄を加速させつつ、スプーの出した警告に瞬時に従い速度を殺さず高度を少し下げさっきまでの機動線上を挟み込むように前後から、通り過ぎたレーザーを避ける。

瞬時に打鉄を完全静止させ、離脱しようとしている二機のBTの機動をスプーに予測させ……応射。

 

「まずは…二つ!!」

 

だが……秘中の感覚を持って放たれた銃弾の雨は標的の脇を逸れてむなしく虚空へ飛んで行った

 

「なっ!」

 

当たったと思った攻撃が外れたことに少しショックを受けながら、後ろから飛来した二条のレーザーを急上昇して回避、そのままで足を止めずに。

 

「くそっ、やっぱり厄介だな……」

 

自分の十八番をやり返され、こぼした言葉に相棒が反応する

 

【ハル、今のあなたに狙撃は無理です。40秒ください、プランを前倒しでいけるよう調べます】

「頼む」

 

『残り作戦時間、150秒』

 

焔備を二挺とも収納し地表めがけて急降下。

網膜に打鉄が表示しているタイマーがすでに30秒も経過していることに、焦る心を抑えつつかく乱するように機体を高速ホバー機動でアリーナを回る様にぐるぐると動かす。

 

3分か―――三分ってこんなに短かったっけ?……

 

空になった両手で“とっておき”を呼び出しながら、スプーの解析を待ちつつ先ほど打鉄たちから申し付けられた禁止事項を確認する。

 

 

一つ、戦闘は3分で終わらせること

二つ、体に負担がかかるマニュアルPIC制御高速機動は1回だけ

三つ、イグニッションブースト(瞬時加速)は3回まで

四つ、これらの条件を一つでも破った場合強制的にシステムをロックし“負けさせる”

 

ったく……これじゃあ、当初の作戦なんざまるで役にじゃねーか。

 

小刻みに機体を振ってこちらをつつむように降り注ぐレーザーを右へ左へ…速度にも緩急をつけて、自在に回避する。

 

彼女が撃って、俺が避ける。

この単純なやり取りが10秒ほどの短時間に―――何回と行われた。

ふいに射撃がやみ彼女が俺に語りかける。

 

「……まだ攻撃してきませんの?いい加減、撃ち込んできてはいかがかしら?」

 

チクショウ、こっちは行きたくてもBTが邪魔でいけないんだよ!

そんなことを考えつつ、回避機動をやめずに返答を返す。

 

「そちらこそもっと撃ってきたらどうだい?五つの射撃が同時に来たら俺でも回避をミスるかもしれないよ」

 

頭痛を堪えて、苦しげに言った言葉も彼女の冷笑と共に論破される。

 

「あら……5分で私に勝つと仰ったのどなたでしたかしら?」

 

ヤバイ、このまま会話で時間を稼がれたら俺の負けだ!まだか、スプー!

タイマーを見ると残り時間の半分を切り……さすがに焦りが出てくる。

 

『兄者、まだでござるか!このままでは時間が!!』

 

打鉄も同じ気持ちの様でスプーをせかしている。

そんなとき、ふいに強烈な頭痛が頭を俺の頭を襲った。

 

「ぐっ……ぐがぁぁぁあああ!!」

 

これは経験則だが……

高速機動戦、というモノは一瞬、いや一撃で決着がつくことが多い。

なぜなら―――高速でいるということはそれだけ物体に与える衝撃が増加するからだ。

 

俺は、一瞬の操作ミスで高速で飛行したまま……地面に叩き付けられた。

 

「がぁあ!!」

 

一回

 

「ぐぅうう!!」

 

二回

 

「ごっ!………」

 

打鉄に守られた体が、ボールの様に二回も跳ねてからめり込むようにアリーナの壁に激突した。続いて

 

「ぅうう、うう……ぅちがねぇッ!!」

 

頭が―――わ、れる―――でも…来るッ!―――

 

その一心で無理矢理口からひねり出したその言葉の真意に気づいた打鉄が瞬時に“黒金”を前面に展開。

 

次の瞬間

 

体がガンガンと強く壁に押し込まれるような衝撃と共にセシリアから放たれたいくつもの光条が俺たちに突き刺さった。

 

「くぅううう……」

 

固くつぐんだ瞼の向こうからでもわかるほどの光量と黒金での防御とスキンバリアーを通してからも伝わるほどの強烈な熱波―――そして、腹を思いっきりぶん殴られたような衝撃が傷ついた俺を襲った……頭痛のせいで回らない頭でも“黒金の防御が抜かれて”直撃弾が体に突き刺さったことに気が付く

 

壁面から滑るように地面落着し、尻餅をついた。

突き刺さるような頭痛が頭を襲い、腹の奥からこみあげてきた嘔吐感を抑えようと

口元に手を当てた。

 

痛む頭の隅で冷静な部分が危険信号を発する

 

―――堪えろ、早く―――離脱しないと―――次の射撃が―――

 

だが……酷使してきた体は昂ぶる心とは、違って―――正直だった

 

「うぷっ―――おぇええっ!!」

 

抑えた手の隙間から特徴的な臭気と共に“鮮血”がこぼれだす―――こりぁ、修復した臓器が壊れたかね……そんな風に考えていると急に周りが騒がしくなる

 

『主!バイタルに異常が見受けられまする!これ以上は!!』

 

打鉄が大きなウィンドウで警告を発し

 

「ハル、もういいッ!もう、棄権しろ!!」

 

一夏がISのプライベートチャネルを通じて明らかに狼狽し俺を心配した様子で言葉を投げかける。

 

そして、織斑先生が先ほどとは違い明らかに焦りを目からにじませた様子で通信を送ってきた。

 

 

    □             □

 

 

少し時間はさかのぼる

 

モニターの向こうには機動射撃戦を行う二人の姿―――それを眺めつつ私はコーヒーをあおった。隣にはその様子を細やかに記録している山田先生、そして……珍しく難しい表情でモニターを浮かべた楯無が二人の戦いを観戦していた。

 

これは……すごいな。楯無からの報告で知ってはいたが……仮にも、代表候補生が本気で猛攻しているのを未だに被弾ゼロで抑えるとは……

 

確かにこれはISに初めて触る初心者がする機動ではない。

 

オルコットのBTを完全に回避するためには…機体を細かく動かさなければならない。

そのためには小回りの利くPICのマニュアル制御が“絶対に”必要だ。

 

それを加藤はいとも簡単に、当たり前の様に行っている―――PICのマニュアル制御はIS学園訓練教程の3年次にさわりだけ教わることで、断じて“初心者”ができるようなことではないのにもかかわらず、だ。

 

あれだけの腕だったらすぐにどこかの代表候補生としてやっていけるだろう。

 

「加藤君、すごいですね。あれだけの機動戦闘中なのに“各種バイタルの数値は安定”していますし、いまだにオルコットさんの射撃を一発ももらっていません」

「ああ、機動戦だけならすでに代表候補―――いや、国家代表ともまともにやりあえるレベルだろう……ただ」

「ただ、なんです?」

 

きょとんとして表情でこちらに顔を向ける麻耶に始まってから、ずっと気がかりだったことを打ち明ける

 

「加藤はいまだ一回しか攻撃していないことが気になる」

「そういえば……そうですね。でもまだ始まってからほとんど経っていなんですから当たり前では?」

「楯無、お前はどう思う?」

 

投げかけた質問は沈黙で返された。

視線をそちらに向けると、手のひらで扇子をもてあそびつつ思考に没頭している楯無が…その様子をいぶかしみ声をかけようと私が口を開いた―――その時

 

「織斑先生!」

麻耶の短い悲鳴と共に、スピーカーから金属がつぶれる嫌の音鳴り響き―――モニターの向こうで打鉄がバウンドしつつ壁に叩き付けられた。

 

単なるミスか?

そう思った疑問は、楯無がこぼした呟きで答えをしることとなった。

 

「ッ!……そういうことだったね……」

「楯無、どういう―――」

 

問いかけようとした言葉はすでに駆けだしつつある背中にぶつかる。

モニタールームのドアの手前に差し掛かるときに

 

「織斑先生、彼が負傷している疑いがあります。試合を一時中止してください!!」

「お、おい……」

 

既にドアの向こうに消えた楯無に、いら立ちを覚えつつもピットにいたはずのジョーンズ先生に確認を取るために内線に手をかけ……アップで中継されている加藤が喀血しているのを目の当たりにした。

 

 

    □             □

 

 

「加藤、模擬戦は終了だ!すぐに戦闘を停止しろ!!」

 

へっ……ただ血を吐いたくらいじゃないか…まだ―――やれるさ

その一心で相棒達に頼む

 

(スプー―――広域ジャミング…打鉄、通信をカット)

【はぁ……了解です、ハル】

『主……』

 

「いいから、やれ」

 

『……かしこまりまして候』

 

織斑兄弟から送られてきていた通信が掻き消える。

そこにスプーのあきれてものも言えないと言わんばかりのため息

 

【はぁ~~~まったく、こんなこと(ジャミング)なんてして…また動きにくくなりますよ?】

(後のことはあとで考える―――それよりも、“終わった”のか?)

【はい、“終わってます”よ。まったく……それで、残り時間はもうすぐ1分切りますけど?】

 

それだけあれば、十分だ。幸いにも“あれ”は叩き付けられた衝撃で取り落としたおかげでアリーナ中央……ほんとはもっと仕掛けたかったけど……やるしかない。

ボロボロの体に活を入れるように一回、深呼吸……

 

「ぅ……うう………はぁ……すぅ―――はぁ…はぁ…うち、がね…損害、報告」

『主―――くっ……申し訳のうござる、黒金は喪失。物理ダメージ中破。残りシールドエネルギー―――23』

 

その報告を聞きつつ、両足で踏ん張りすっかり重くなった腰を上げる。

 

「オーライ…じゃあ、打鉄……一丁…行こうかぁ!!」

『……応……』

 

おぜん立ては、終わった。

この一撃で―――

 

 

「まだ、やる気ですの?」

 

震えた声で、その言葉が投げつけられる。

 

「応、とも……さ」

 

ガンガンと五月蠅い頭痛を振り払う

 

「怪我を……しているのではなくって?」

 

ハイパーセンサーが彼女の姿を俺に伝えるが…うつむいていてその表情はわからない

 

「それが……どうした、しょう、ぶを…あきらめる、理由にはぁ!ならない」

 

重たい倦怠感をほぐすように肩を回す

 

「どうして……どうして、“あなたたち二人は”……強いの?」

 

顔を上げた彼女は―――泣いていた。

助けを求める幼子の様に

答えを求めてもがく求道者の様に

 

俺は、“あの人(先輩)”みたいに口がうまいわけじゃない…

俺に言えるのは、ただ―――素直な俺の言葉だけ

でも!泣いている人がいる―――ならスーパーヒーロー()のすべきことは一つ

 

 

「俺は……じぶんが、強いだなんて……思ったことは一度もない」

「嘘―――」

「嘘じゃあ、ない…ただ、俺は…俺にできることを、やってるだけだ……」

 

彼女を

 

「俺は…ただ、あきらめが悪い……だけ、なんだ」

 

“助ける”

 

「この……暗い世界がいやで…少しでも  灯  (ランタン)で照らしたいだけなんだ!!」

 

俺の……

 

「だからッ!俺はッ!スーパーヒーロー(希望を掲げるもの)と、共に行く!」

 

……俺の

 

「世界を、より良い形に変えていくッ!」

 

言葉で

 

「だから……全力で来い、セシリア・オルコットォ!お前にも……灯を燈してやるッ!!」

 

彼女はほおを零れ落ちる涙をぬぐいこちらを見つめる

 

「グスッ……失礼しました。それでは、いきます―――加藤さん」

 

全てのBTを展開、長大な狙撃銃をこちらに向ける

 

「いえ……“スーパーヒーロー”」

 

いい、目だ。今、彼女の瞳には怒りも、絶望も、自尊心を満たすためだけの欲も、愛を求めるそぶりも、慈悲を求める光も、理解できぬ者に対する恐れすらない。

 

ただ…単純に、勝つという強い意志がこもった―――善い目だ。

 

よかった…ちったぁ“きっかけ”になれたようで……

口にたまった血を吐き捨て、手の甲で拭う

 

じゃあ……

 

「あとは、俺が勝つだけだなぁ!!」

 

両手に焔備を呼び出し、立ち上がった足にさらなる力と意志を込める。

網膜に投影されたタイマーが30秒を切った瞬間

 

俺は飛び出した

 

「行くぞぉッ!!」

 

残弾を気にせず、焔備の玉をばらまき―――そのまま一直線に加速、彼女に向かって疾く駆ける。ハイパーセンサー越しの彼女はうれしそうにほほをほころばせ、五つ全ての銃口が火を噴いた。

 

「甘いッ!」

 

五条の光線をスプーの指示に従い、針を縫うような機動で完全に回避。

―――まずは一回っ!

 

【残り25秒】

 

回避した俺に次射が迫る、それを最小限の三次元機動で回避。弾切れになった焔備を投げ捨て“葵”を展開―――だが、彼女は

 

してやったり、とばかり浮かべていた笑みを深めた。

 

「かかりましたわ!リミット・ブレイク!」

 

 

消えない

避けたはずのBTが凪ぐように動き逃げ場の少ない俺に襲いかかる。

これが彼女の奥の手かッ!

 

【ハルッ!】

 

でも、俺には……こいつらがいるッ!

 

「打鉄ぇ!!」

『応!!』

 

次に瞬間、爆発音とともに俺の周囲が黒い煙で覆われる。

そのまま瞬時加速でさらに加速をする

 

「スモーク?こんなものッ!」

 

―――そうだ、ただのスモークじゃISのハイパーセンサーは無力化できない。

でも、俺の狙いはそこじゃないッ!

 

「そこっ!」

 

彼女が必中を確信して放った、スターライトの一撃が……

……黒い煙にはいいた途端、“拡散”した。

そして、驚きに目を丸くした彼女の前に―――ついに俺が辿りついた。

 

【残り、15秒!】

 

煙の中で武装を換装した俺は、彼女に放れられないようしっかりと組み付き…アリーナの天頂部から一気に急降下した。

 

【残り、13】

 

彼女が逃げようともがき、暴れるが…かまわずに高速で降下しつつ錐もみ回転をかける。

 

「離してッ!」

【残り11】

 

そのまま“仕掛け”の場所に向けて機動の修正を始める

 

【10】

 

修正が終わり、ダメ押しとばかりにイグニッションブーストをかける

頭に流れるアドレナリンのせいか

 

【9】

 

時間がゆっくりと感じられる

 

【8】

 

セシリア・オルコット

 

【7】

 

これが

 

【6】

 

俺の奥の手

彼女と両手に握った“お土産”を手放し、“逆方向に向かって”イグニッション・ブースト

 

【5】

 

轟くような轟音と、派手な土煙と共に彼女が地面に叩き付けられた

上空に向かって急上昇しつつ、打鉄に命じる

 

【4】

 

「起爆だぁッ!!」

 

【3】

 

上昇を続ける俺の下方で―――つんざくような爆音と共に赤い爆炎が上がる

 

【2】

 

「どうよ…名付けて……」

 

【1】

 

「忍法、飯綱落としってな……」

 

その時、思い返したように俺の体が不調を訴えだした。

 

【ハル、大丈夫ですか?】

『主、気をやってはなりませぬぞ!』

 

やばい―――ふら、ふらする…無茶し…すぎた、か……

 

【ハル、避けて!】

 

へ?何を、避けるん…だ?

 

ひゅんひゅん何かが風を切る音が聞こえ、朦朧としている俺の背中に衝撃―――

 

「ぐわっ!?」

 

その―――飯綱落としに耐えきったセシリアが最後の力で放った一撃が

打鉄に残っていたシールドエネルギーを削りきり―――

 

この闘いと―――俺の意識をまったくの同時に終わらせ……

そして、俺は重力に逆らえなくなった。

 

『・・・・・・・・・!!!』

 

虚ろな視界に何かがちかちかと光る。

 

―――まぶしいなぁ……

 

【・・・・・・・・・ッ!】

頭の隅で誰かが大声で叫んでいる。

 

―――ったく、うるさいなぁ……なんだよ、もぅ……

 

「お・・・!ハ・!・・・・ッ!!」

耳元で誰かが大声でがなり立てる。

 

―――だーかーら…うるさいって…もっと、はっきり話せよ

 

ボロボロの火照った体を撫ぜる風が気持ちよく、このまま眠たくなってきてしまう。

 

―――今日はがんばったし、昼寝ぐらい許されるよなぁ?

 

かすかに開いていた瞼が閉じる。

 

そして、眠りにつく寸前―――彼女の柔らかい声が聞こえ

 

「お疲れ様。よく―――頑張ったね」

 

ええ、頑張りましたよ

 

楯無さん

 

 

そして……俺は“暖かい水面”に包みこまれた。

 

 




ドーモ、読者=サン。
めんつゆ=デス。

いかがだったでしょう。おそスト二部18話は?楽しんでいただけたのなら幸いです。

いやぁ…心理描写とかボロボロの身体状況での戦闘描写とか。今回は難しい描写だらけで…難産でした。遅れてしまい申し訳ありません。

―――べ、別に艦これでケッコンカッコカリまでガンバルゾーと化していたわけじゃないですよ!ほんとだよ!!大丈夫。ファミ通の攻略本だよ!!
すいません、難産だったことは正しいのですが、艦これしてました。

「ニンジャは遊んだりしたい……いいね」

アッハイ……じゃなくて、本編の解説行きましょう、そうしましょう。

さて今回は、NY大火の後処理からセシリア戦まで一気に行きました。
前回から引っ張っていた人物とは―――ジョーイ先生だったのです!!(棒)
バレバレでした?彼が何者化もすでに予想済み?ネタバレをご勘弁を

傷の修復に関しては基本的にオリジナルです。
原作のほうでも設定って結構あいまいな部分がありますので
本作では、細胞分裂を促進して傷を負った部分を再生させる、という風に解釈しました。
ただし、消耗が激しくその上急速に再生させた部分はなじむまで脆いという欠点を付属させましたが……
原作でも、結構怪我してますし。これぐらいのチートあげてもいいよね!

そして、一夏さんは負けてます。でも……彼の潜在能力はこんなもんじゃありませんよ、つーか初心者に追い詰められている時点で代表候補としては……どうなのっていう風に感じたので、本作のセシリアさんには一夏さんには手ーぬいて、追い詰められて、ハルとやるときは本気だしてもらいました。

BTビットのリミッター解除の薙ぎ払い、そして最後の一撃が彼女の切り札です。
その正体とは!(次は外伝の更新を予定しておりますのでその次の更新をお待ちください)

本日のネタ

ホモォ

┌(┌^o^)┐ホモォ...
説明いらないよね!(迫真)


ウソみたいだろ……

あだち充氏、往年の名作「タッチ」のセリフの一コマ
え?ネタのほうが有名だったて?
知らないなぁ……そんなこと俺の管轄外だぁ!!
(露骨なファンサービス)

やっはろー

俺ガイルの登場人物由比ヶ浜結衣が広めだした挨拶。
かわいい(確信)私の好きなキャラ?俺ガイルだと陽乃さんと、戸塚いいです!!

マドモアゼル

ググればすぐにでもわかることですがマドモアゼルというのはフランス語です。
そして、昔っからイギリスとフランスは仲が悪い…という歴史にかけた長髪だったのですけれど…冷静なセシリアさんには通用しなかったようですね。


はぁ……の理由

スプーがこぼしたため息には、どうせ言ったって聞かないし約束したんだから守ってやるか、というあきらめが込められています。


【残り……】

映画「アイアンマン」より…ラストの戦闘シーンでアイアンモンガーを引き連れつつ上昇を続けるシーンのオマージュです。

では、今回はこれまでとなります。

感想などいただければ、制作の大きな助けとなります。
まだまだ稚拙な私めの作品ですがこれからもご愛顧いただければ幸いです。

おやすみなさい

ps

スピードワゴンはcoolにツタヤで借りてきたゴーストライダー2を見るぜ!!
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