俺の視線の向こうで、かじりつくようにテレビを凝視していたアイツがぽつりと
「もういい」
そう呟いた。
そしてその瞳には何か強い意志がめられていることが見て、すぐに読み取れた。
俺がどんなことを言おうが、俺以どんな奴が引き留めようが、アイツは行くのだろう。
だったら、ヒーローの
まだ俺には、あいつの隣に立って戦えるだけの力もなく
アイツの行動をサポートできるほど頭もよくはない
だったら答えは一つだ
「行くんだな?」
その思いを確認するように問いかけた言葉にアイツはあっさりと答えた。
「ああ…すまないが、後は―――」
任せる、その言葉をあいつが言い切る前に俺は満面の笑顔と右手を突き出したポーズ。サムズアップでアイツの背を押す。
アイツがここでのことを心配しないように、あいつが帰ってきたときに自分の存在で迎えてやるために俺はアイツに発破をかけたんだ。
「まかせろ、“頼むぜ”!ヒーロー」
「おう“頼むぜ”、サイドキック」
アイツも俺の後押しを受け取って満面の笑顔と共に駆けだした。
一瞬で、あいつの後ろ姿が掻き消えて別の誰かへと姿を変えた。
その背に俺は誓う
―――いつか、いつの日にか必ず、あの背中を見つめる立場ではなく
共に駆けだす俺でありたい、と
それから五分後、控えめなノックの音が男子更衣室のドアを叩いた。
来た、その想いと共に彼女に入室を促す。
「どうぞ」
「失礼します。加藤君、そろそろ時間ですからAピットまで来てください。ってあれ?」
俺とハルを呼びに来た山田先生がハルの不在を見て不思議そうな顔であたりを見渡した。
「織斑君……加藤君は何処に言ったか知りませんか?」
「山田先生、ハルは……アイツは今、少し体調を崩してトイレに言っているんですよ」
「えっと、もうすぐ加藤君の試合が始まるんだけど……」
困った顔でほほを掻く山田先生に俺が有無を言わせぬ口調で言い放つ。
「山田先生、アイツの試合は繰り下げて俺が先に戦います」
「えぇ~~!!あの、織斑君……確かにさっき織斑君の専用機は届いたけど、加藤君の試合中にフィッティングを済ませる手順になってたましたので……」
そんな、渋る山田先生に真剣なまなざしと共に言い放った。
「かまいません。俺は初期設定の機体でセシリアと戦います」
「ちょっと待ってくださいね。織斑先生に確認を取ってみますから」
山田先生が千冬姉に連絡を取ろうと形態を取り出した瞬間、再び更衣室のドアが開いて……そこに件の女性が不機嫌そうなしかめっ面と共に立っていた。
「織斑!加藤!ただISスーツに着替えるのにどれだけかかっている!」
丁度いい、手間が省けた。千冬姉のはかったかのようなタイミングの良さに一瞬だけかすかな笑みを浮かべてむきあう。
「千冬―――いや、織斑先生。お願いがあります」
「…………なんだ?」
わざわざ呼び方を言い直した俺の発言にその真剣みが通じたのか、千冬姉は一気に真面目な顔になって言葉の先を促す。
「実は……」
山田先生に言ったのと同じ言葉をそのまま同じように伝える。
しかし、さすが千冬姉だ。―――たぶん、嘘だっていうことに気が付かれてる。
俺の話の最中に一瞬だけ左まゆを動かした。あれは何か思うところがあるときに千冬姉がやる癖だ。
反対されるか?そんな思いで内心冷や汗を流していると……
千冬姉は何時ものポーカーフェイスを崩さずに
「ふん。いいだろう…やってみるがいい」
「ありがとう」
「ありがとうございます、だ。織斑」
俺の発言を軽くたしなめた千冬姉は、すぐに踵を返して山田先生に指示を出した。
「あの……織斑先生?……その……」
「山田君はそのままAピットまで、織斑を連れて行ってくれ。私は一度Bピットのセシリアをところに顔を出してから向う」
「わかりました」
「では、先に行く―――試合は予定より十分遅れで行う、いいな織斑」
「わかったよ。千冬姉」
「織斑先生だ、気をつけろ」
何処からか取り出して主席簿で俺の頭をぽすっと、柔らかくたたき千冬姉はキビキビとした歩調で更衣室を去って行った。
「では織斑君、私たちも向かいましょう」
「わかりました」
出がけに一瞥したテレビの向こうではいまだ望遠で撮影された炎が柱の様に立って燃え広がっていた。
その向こうに今向かっているか、既にその場に立っているだろうハルに心の中でただ、一言エールを送る。
がんばれ、と
◆ ◆
「――――遅い!何をしていた一夏」
更衣室を出た後、山田先生と共に駆けこんだ試合が行われる第三アリーナの俺とハルに割り当てられていたAピットでそんな不満げな声と共に幼馴染が俺を待っていた。
そんな箒に疑問をぶつける。
「箒?なんでここに……観客席にいなくていいのか?」
たしか―――俺とハル、セシリア以外のクラスメイトは観客席で観戦しのちにレポートを提出する段取りになっていたはずだ。
ここにいる箒も例外ではないはずなんだが……
その疑問を口にしたとたんに、箒はなぜか言いにくそうに顔をそむけてごにょごにょと、口ごもった。
「そ、それはだな……その……」
「箒、言いたいことがあるならもっとはっきりと言ってくれ」
冒頭部分以外聞き取れなかった俺は、いつもはずばずばと言いたいことを言ってくる幼馴染の普段と違うその様子をいぶかしみ何を言ったのか、と問い返してみる。
「だから……えっと……ええい!!」
未だもごもごと言っていた箒が、気を引き締めるように真剣な表情に変わりぱっと顔を俺に向けて口を開いた。
心なしか、顔が赤い気がする。
風邪だろうか?試合が終わったあとで気をつけるように言っておかないとな
箒が言葉を紡ぎ始めた瞬間。
「私は―――」
「織斑君!!今君の目の前のハッチが開いて君の専用機が搬入されてきますので準備しておいてください!!」
山田先生が絶妙のタイミングで割って入った。
ピットに備え付けの時計を見ると試合開始まであと5分もない。
「わかりました!……箒、すまん!話は試合の準備が終わった後で!」
「あっ……一夏!」
俺をひきとめる箒の声を背に―――俺は何かが動く大きな稼働音をまき散らし始めたハッチの前に駆け寄る。
なんだか後ろのほうで、「山田先生!!」とか箒が叫んでいるのと「なんでしょうか、本来観客席にいるはずの篠ノ之さん」と山田先生が柔らかく、だがなんとなくどこか棘のある言い方で言っているのが聞こえたが……
俺の心は視線の先、IS搬入用ハッチから現れた
白い鎧にくぎ付けになった
―――白い、まるで“雪”の様に白く工芸品のような完璧さを伴いつつも、触れることに畏怖さえ覚えるほどの美しさを、俺の稚拙な感性に叩き付けてくるこの機体。
教本で見た打鉄の曲線を主体にした姿よりも力強く
「これが―――俺の専用機」
「そうだ、織斑。これがお前の専用機“白式”だ」
いつピットに入ってきたのかわからないが、千冬姉が俺の後ろで腕組みをしていた。
「織斑、時間がない装着の手順に入るぞ」
「わかった」
そして俺は千冬姉の指示通りに白式に体を預ける。
機体に座る様に、背中を預けるように肌を接触させた……その瞬間、俺が初めてISを起動させた時とはまるで違う感覚が脳を貫いた。
□ □
波の立たぬ水面のように静かな私の中に何か“異物の意識”が混入したのが感じられた。
―――またか……いい加減にニンゲン共も学ぶことを覚えるべきだと思うのだが
今まで私を使い物にするために何人の人間を犠牲にしてきたか、そんな過去の事実に目を背けてまで力を求める愚者どもを私は何人も“コロして”きた。
今回もそんな愚か者か、悪知恵の働く者に利用された弱者だろう。
どちらにしても私のやるべきことは変わらない。
接触した皮膚から電気的信号を介して脊髄を経由して脳をハッキングし―――
私に接触したニンゲンの記憶野を焼き、私に接触した記憶を排除する。
その際に私に接触した人間のもともと持っていた記憶をいくらか消失してしまったとしても“些細なことだ”
“我々”にとってその程度の事となど造作もない。
今回も直ぐに済むだろう、そんな気持ちでそのニンゲンの記憶を覗き見た
―――ッ!……これはッ!
その瞬間、静かにたゆたう凪の海の様に冷静に落ち着き払っていた私の心が大きく波打った。
なぜ彼女がそこにいる!
私が唯一わが身を許した彼女が、“織斑千冬”が、そこにいた。
このニンゲンは何者なのだ?
私の凍り付いていた心が動き出した。彼女の下から離れて以来、どんな人間にも体を許したことは無かったというのに、倉庫でほこりにまみれたまま捨て置かれる自分で満足していたのに、このニンゲンのこと知りたい、という欲求を振りほどくことはできなかった。
抑えきれぬその衝動に身を任せてこのニンゲン、“織斑一夏”のデータを収集し始める。
過去の記憶、現在の身体能力、DNAのデータ構造まで一瞬で解析し―――断定した。
このニンゲンは彼女の弟だ。
“私を私にしてくれた”彼女の……私はどうすればいいのだろうか?
いつも通りに彼の記憶を消し去ってしまうべきか。
それとも……いや、彼女だって私を裏切ったのだ。
一思いに、彼の記憶を消し去ってしまうべきだと私の冷静な部分が告げている。
だが彼を信じてみるべきだ、そう叫んでいるところもまたあるのだ。
彼が私に身を預けてから未だに1秒も経っていないが……私のCPUは光をも超える勢いでこの疑問に対する議論を繰り広げた。
どんな人間にも光を超える思考速度を与えられるほど機能と処理速度をもつ我々にとって、その議論に費やした時間はあまりにも長いものだった。
いくら議論しても彼を信じることにメリットは存在しなかった。
だが、議論の最中に出てきた論理的な69種の信じない理由に値するデメリットのどれもしっくりこなかったのである。
そんなとき、彼が今考えるべきこととまるで違うことを考えていることに気が付いた。
……ほう……織斑、一夏か……
彼の思考はここにはいない“加藤陽”というニンゲンへの心配で一杯だった
愚劣で野蛮なニンゲン共が我々の力を欲するとき―――
―――それはすべからく戦いの、殺し合いの時だけだった。
それなのにこのニンゲンは戦いに挑むことへの高揚感でもなく
一方的な殺し合いを楽しむことへの嗜虐的な熱情でもない
誰かを思いやる心を示したのだ。
面白い、そんな言葉が私の心に響き渡った。
彼女の弟だからだろうか?織斑一夏という人間がどうしても、気になってしまうのは?
ある意味―――“我々と似た存在である織斑千冬と織斑一夏”なら……
“私にニンゲンがともに歩むに値する存在”か、その答えを示してくれる気がした。
ならば、貸してやろう―――我が力を
人を人以上の存在へと変化させる我々の力、その
お前が“それに足る者”と示すことができたのなら、我が本来の力を見せてやろう
だが!これがラストチャンスだ。もし、私を裏切ったのなら――――――
誰にも聞こえない声がこの場に響き渡った。
それと同時に、現実では刹那の時間しか過ぎ去っていない、私に身を預けたばかりの織斑一夏に自らの体を合わせるように
□ □
繋がる―――自分とこのIS、“白式”のすべてが……白式の機能がまるでも自分が昔から知っているもののように感覚的に理解できる。
多分、普通に同じようなことをしたら脳がはじけ飛ぶほどの情報がすぅっと溶け込むように流れ込んでくる。
これが俺の、俺だけの専用機か……入学試験の時の打鉄とはまるで桁が違う、その全能感ともいうべきものが浸る様に瞼を閉じた俺の全身を貫いた。
これなら、あいつとも一緒に!おっと……気が早すぎたな。
俺が今、やるべきことは―――“時間を稼ぐことだ”
アイツが、違和感なく戻ってこられるように……その上で、勝つ。
やるべきことは単純、これだけなんだ。
だったら、後は―――やるだけだ。
そんな思いで瞼を開ける。
視界はクリア。白式を纏う前とはすべてが違う、どこまでも透き通って見えた。
遠くを見たいと念じるだけで視界が拡大し、遮蔽物の向こう側には何があるのかと思うだけで透視ができる。
どこにどんな人間がいるのかが、頭の中にもともと入っているか地図のようにしっかりとわかる。
そんな頭の中に、とある言葉が投影された。
―――戦闘待機状態のISを確認、ネーム“ブルーティアーズ”操縦者、セシリア・オルコット。戦闘タイプ中距離射撃型。
「一夏、気分はどうだ?何かおかしいところはなかったか?」
何時もの千冬姉とは違い、どこか動揺したようなその声色にちょっとした違和感を感じたが別段問題ないと軽く笑って伝える。
俺の様子を見てなぜか安心したのか、すぐにいつもの仏頂面に戻って淡々と告げた。
「そうか、ではカタパルトに移動しろ」
「わかった」
白式を纏った足で一歩、また一歩と確かめるようにゆっくりと歩き出す。
違和感、と呼べるものは全くなく自分の体そのものとして動かせる感覚だ。
「織斑君、そこで大丈夫ですよ」
箒と何やら話していた山田先生がいつの間にやら、カタパルトの反対方向にある制御用のコンソールの前に座って指示をしているのが確認できる、無論ISの全周囲視界接続機能のおかげだ。
山田先生の言った通りに足を止めると、何かによって足が固定される感覚と高圧空気の抜けるような音と共に足元で圧力が高まっていることを白式に教えられる。
これだけの処理を行いながらまったくの同時にフォーマットとフィッティングも行っている、というのだから驚きだ。
機体を初期化しながら、俺に合うように造り替える、一次移行とはそういう物だと山田先生に教わった。
それをこれから戦いの最中に行う、この行動がいかに愚かしいことだということが今さならながらに理解できた。
でも、こうするしかない―――そんな思いで、意識をカタパルトの向こうにいるセシリア・オルコットに向ける。
「おい!一夏!!」
ふいに先ほどまで黙っていた箒が声を上げた。
「なんだ、箒?」
射出前のカタパルトは危ないからと、山田先生の近くにいる箒に視線を合わせずにか語りかける。
白式のハイパーセンサー越しの箒はどこか言いにくそうに一瞬、逡巡し口を開いた。
「すまなかった、一夏。私がISについて教えると言っておきながら……」
申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にする箒の言葉をさえぎる様に、俺は軽い笑みを浮かべて呟く。
「ばーか」
「なんだと!私がどんな気持ちで……」
「箒、まるでハルみたいなことで悩むなよ。それにな、お前がいてくれなかったら俺は何すればいいのかさえわからずに、この日を迎えてたかもしれない」
この試合が決まってから、俺は正直途方に暮れていた。
ハルは楯無さんとの個人訓練で話しかけるのを戸惑うほど忙しそうだったし、セシリアに対して何をすべきか問うほど俺はバカじゃない。
そんなときだったんだ。箒が俺に声をかけてくれたのは……箒は“闘う”という行為自体に対して素人に近い俺に今俺に足りていない物の指摘と、それに対する打開策を教えてくれた。
先ず俺には、“圧倒的にISという物に対する知識が足りない”からと、わざわざ山田先生を捕まえて放課後の特別授業を取り付けてくれた。
なぜだかはわからないが、何やら言い始める際にやけに葛藤しているようだったのが心に残っている。
後で山田先生から聞いて初めて分かったことなのだが……山田先生の特別授業を手配するために、あのプライドの高い箒が“頭を下げてまで”頼み込んでくれたと聞いた。
しかも、これだけじゃない。
俺に今できることは実践の時に気後れしないだけの心構えを作ることだ、と言って……わざわざ剣道部の部長さんに頼み込んでまで、剣道場を貸してもらっていたのだ。
無論、自分の練習の終わった後での話だ。普段の授業の後にキツイ部活の練習もしっかりとこなし、俺に稽古までつけてくれる、そんな箒に文句何て言えるわけじゃないじゃないか。
俺の幼馴染がここまでやってくれた
「だから―――」
此処にはいない俺の親友は今、“どこかの誰かのために”必死に運命に抗っている
だったら
「―――ちょっと、あの高慢ちきの鼻を明かしてくる」
「……ああ、勝って来い。一夏!」
そんな箒の俺の背中を後押しするかのような言葉を聞いていたのか、千冬姉がいつもの鉄面皮保ったまま通信を入れてくる。
「楽しい
「ああ、いつでも行ける」:
「なら、……いい」
真面目に返した俺の言葉に千冬絵の鉄面皮が一瞬緩み、口元だけひくひくっとした笑みを浮かべる。
「千冬姉?なにか、おかしなことでもあったのか?」
「……いや、将来お前を落とそうとする奴は大変そうだな、と思ってな」
ところどころ笑いを堪えつつこぼれだしたその言葉の真意がよくわからず、思わず頭の中で大きなクエスチョンマークを作っていると突然千冬姉が真面目な、でも学校での“織斑先生”ではなく、まるで家にいるときのような“千冬姉”の試すような薄い笑みへとその性質を変化させる。
「さて……一夏。これから初めてIS戦を行うに当たって一言、“同じ血を分けた人間として”言っておくことがある」
「なんだよ、改まって」
「いいから聞いておけ。これからお前は頭に血が上って“自分が抑えられなくなるかもしれない”だが……」
そこで一旦、言葉を切った千冬姉ののちに続く言葉を連想する。
大方、“冷静になれ”とかだろうと考えている俺をまったくの逆意見が耳を打った。
「気にする必要はない、全力でやってこい―――後のことは私が何とかしてやる」
「……なぁ千冬姉。そこは冷静に判断しろ、とか言う場面じゃないのか?」
「本来ならそう言うべきなのかもしれないが、おそらく “無理”だ」
「“無理”、ね……」
千冬姉が“無理”、ときたもんだ。
これはよっぽど何かあるんだろうな……そんな風に頭を抱えたくなってくる。
千冬姉は俺の弱音からくる“無理”を許さない人だ。
『無理?いいからやれ。今すぐやれ。意地でもやれ。』
―――と何時もの千冬姉ならこう言ってくるはずなのだ。千冬姉は
でも、俺の目的のためにはその“無理”を通さなくちゃならない。
“ハルが帰ってくるまで時間を稼ぎ”その上で……セシリアに勝つ。
やるべきことがわかっているのなら……
「わかった。千冬姉、アドバイスありがとう」
あとはそれをやるだけなのだから
「わかったならいい。しっかりな」
「ああ……じゃあ行ってくる!」
それに俺には何かあったらそれを抑えてくれる“最高の姉”がいる。恐がることなんてないんだ。
ハイパーセンサー越しの視界がカタパルトに圧力が貯まったことを示す緑色のランプの存在を教えてくれる。
「では織斑君、射出します!!」
「はい!よろしくお願いします!」
次の瞬間、体ごと空中に向かって押し出されるような感覚と共に俺は大空に飛び出した。
□ □
今しがたカタパルトで打ち出された弟の姿をしり目にポケットから携帯を取り出し、登録してあった番号を呼び出した。数回の電子音ののちにスムーズにつながった。
「……私です」
『ああ、織斑先生。言われた通り……一応、私以下教員IS部隊6名も“実戦装備”でスタンバってるんですが……本当に私達いります?』
電話口から聞こえてくる声に明らかな狼狽を感じる。当然だろう……いくら代表候補生が模擬戦をするからと言って正規の学校行事でもないのにIS6機を駆り出してまで警護するというのは―――あまりにも“異常”だ。
いくら相手が世界に二人だけの男のIS操縦者だとしてもあまりにも過剰という物だろう。
「一応、です。何事も無ければそれでいいのですが……」
『はぁ……わかりました。いつでも強襲を仕掛けられるように待機しておきます』
「すみません。いざとなれば私も出れるようにしてありますので」
『……今なんと?』
「ですから、いざという時は私もISで鎮圧に参加します」
『織斑先生が戦わなければ抑えられない“かも”しれないほどの相手なのですか!?』
「……わかりません」
狼狽の色が変わり恐怖に染まったその声を聴いた私には絞り出すようにその言葉をこぼすことしかできなかった。
未だ―――わからないのだ。一夏が本当に“暴走”するかどうかさえも
白式のコアには“アレ”の物が使われていると聞いてからすぐにこの警備を思いついたが……いくら、手練れの教職員だろうと量産型のIS6機で本当に止められるのだろうか?
そんな保証すらないのだ。
それだけの力を有した存在なのだ。我々と“アレ”の両方の力を持つISというのは……
本当は……一夏にはこんなことをさせたくはなかった。
アイツには……人らしい平穏に満ちた生活というものを遅らせてやりたかったのに……
それが“家族全員”の願いだったというのに……
思考が後悔の泥沼にはまり込みそうになったその瞬間、その考えを脳内から追い出した。
こんなことに使っている無駄な時間はない。今はその先を考えねばならない。
備えられるだけの備えはした―――後は、運を天に任せる以外できることは無いだろう。
警戒を怠らないようにする、その一言と一緒に切れた携帯をポケットにしまい視線をモニターの向こう側に向ける。
“何事も起きないでほしい”その願いをこめた先には、愛する弟がオルコットの放ったBT兵器に追い立てられる様子が映った。
ドーモ、読者=サン。めんつゆデス。
まずは―――大変長らくお待たせしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
私事が重なり、ほとんど筆を執る間もないうちにスランプに陥ってしまって……なかなかクオリティや、執筆速度などが恐ろしいほどに下がってしまいまして―――本当に申し訳ないの一言です。
本来ならばこの外伝も上下に分けるつもりもなく、一つまとめてで投下したかったのですがそうすると端役投下したいのにまだまだ投下できそうにない、というドツボにはまっていく感覚がしたので未完成品を投下させていただきました。
下が完成して、その次の回が投下できたら結合する予定です。
ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
さて、今回の内容ですが……以前アナウンスした通り、第二部第16話 「ハル、己が本分を果たす」の所から、第17話 「ハル、焔の海をかける」の裏場面、NY大火の最中にあった一夏とセシリアのクラス代表決定戦の様子でした。
と言っても、本筋の所までは進んでいないのですが……一夏がハルを送り出した時の一夏の精神描写や、その間に何があったか、白式との出会い、一夏が一週間何をしていたのか、箒ちゃんの描写、千冬さんの考えていたことなどを詰め込んだら、ネタをはさむスペース何て存在しませんでした。
ぐぬぬぬ……ギャグなんて仕込めないだから、ネタをはさまないとどんどん話が暗くなってしまう!助けてなーちゃーん!&スプー!!、というのが率直な思いです。
いや~面白いこと言える人ってすごいわ~
さて、次の更新なのですが大体三分の一くらい書き終わっているところですので、まだまだお待たせすることになりそうです。
勘弁してください!何でもしますから!!
……久しぶりにネタを挟めた、ぐっ!(ガッツポーズ)
これからまだまだ、シリアスが続きそうなので……頑張ります。
さて、私事にはなりますが―――
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
&
アメイジング・スパイダーマン2
公開おめでと―――!!
そして、見に行けない貧乏人めんつゆ……劇場で見なくったって、BR買っちゃうからいいもんね!!
なお、マイティ・ソー ダークワールドも買う模様。
財布ポイントががが
今月末にはX-MEN: フューチャー&パストも公開するし……財布がぁぁああああ!!
とめんつゆのうれしい悲鳴は放っておいて、皆様、今年はミュータント・タートルズ!さらにディスク・ウォーズアベンジャーズと地上波でアメコミアニメもたくさん放映されています!どうぞとっかかり程度の軽い気持ちで見てみてください。
日本人のめんつゆが描く小難しいアメコミワールドよりも、単純明快な世界が阿多名をお待ちしておりますよ!
では、今日はこのあたりで失礼します。
感想、ご指摘、読了報告などいただければ尻尾を振って喜びます。
では、失礼します。
おやすみなさい。