同じ部屋、1人飯を食べ、空を見上げて、飯を食べ。
部屋から出ることもなく、部屋を出ようとすら思うこともなく、ただこの狭い六畳一間に、パソコンと、ライトノベルと、エロゲを持ち込んで過ごす日々は、実につまらなかった。
なんて、そんな物語の書き出しでは面白いことはなにもないだろう。ましてや、ここまで読んでくれる人はさらにその20分の1に満たない可能性だってある。構わない。だが、僕の日常はあまり変化が無い。
大学は一流のところを出たはずなのだが、生来のめんどくさがりが就職への意欲を見事にもみ消してくれた。いや、反省するべきだな。僕が悪い。だがだからといってどうということはない。
家族から自立しているし、収入もある。
イラストは上手いわけでも下手というわけでもない。どこかの有名な出版社からオファーが来ることがあっても、わざわざ自分から仕事をもらいに行くような気力は、あいにく持ち合わせていなかった。なすがまま、なりゆくがままに生きて行くつもりだったし、それ以上も以下もない。
穏やかな日常を、ただ繰り返すだけだと思っていた。
しかし、全てはある日突然、目の前に現れた天使と神によっていとも簡単に書き換えられてしまうのだ。
僕は、大学に非常に近い、学生向けアパートの302号室住んでいる。その日は、たしか外出もせずに家でゴロゴロと過ごしていたはずだ。風呂に入ったのか、もしくは冷蔵庫に食事を取りに行ったのか、そんな感じだった。両親はいないから、好きな時間な起きて好きなことをして眠っていた。
僕は部屋に戻り、いつも通り机に座った。
コンビニから買ってきた弁当を室内のレンジで温め、無言でそれを口にする。いつもの慣れた風景。だが何かが違う。
味が違うのか、いや、そうじゃない。新作は先月出たばかりだし、いつものグラタン以外に特に買った記憶もない。
では机の上か……いや、あるべきものが求めた場所にきちんと置かれている。机の上のパソコンも、今しがた眺めていたアニメのタイムシフトを放送している。
では部屋か……いや、部屋の家具の位置は全く変化が無い。違和感もなければ、不具合があるわけでもない。僕は部屋全体を見回し、再び思案する。
何が悪い。何がおかしいんだ?……
ふと、目の前に見慣れないものが現れる。
足……だろうか、のびのびとしていて、美しい。膝が可愛らしく内側に曲がっている。そこから白い一枚の布がうっすらとそのシルエットを保ちながら胸元で押さえられている。頭にはオリーブの冠がつけられ、そこに可愛らしい少女の顔がある。そして、その脇には一匹のカメが抱えられている。
「……えっと……ど…どちら様ですか?」
反応の仕方がわからず、恐る恐る聞き出した僕に、これまでに聞いたことのないイケボで回答したのは、少女ではなかった。
「あなた様に、創造神教育係をお願いしたいのです」
「カメが喋った!?!?!?」