ポケットモンスター 4人の冒険者   作:ココリンク

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ヒトカゲvsゼニガメ 炸裂!Zワザ!!

―マサラタウン―

〜マサラはまっしろ はじまりのいろ〜

 

-市街地-

ファイアの家の前、リーフが何やら急ぎ気味でこの家を訪ねに来た。

「ごめんください。リーフです。」

「あら、リーフちゃん!」

扉を開けたのはファイアのお母さんだった。

「あの………ファイアくんは居ますか?」

「ごめんね、ファイア、また遊びに行っちゃったみたい。

何?伝言なら聴くけど。」

「いえ、大丈夫です。見当は付いていますから。」

そう言うとリーフは深くお辞儀をして、広場の方に走って行った。

「相変わらず丁寧な子。将来が楽しみね。」

ファイアの母はそう言って、笑いながら扉を閉めた。

 

-街の広場-

二人の男女が沢山の観客の中で、ポケモンバトルをしていた。

男は“ニドリーノ”、“ドリム”というニックネームが付いている。

対して女は“プリン”、同じく“カラメル”というニックネームが付いている。

「ドリム!【つのでつく】だ!!」

「ニドォ!!」

ドリムはツノに力を込め、カラメルに向かって突進する。

「カラメル!【ころがる】!!」

「プリッ!!」

カラメルも負け時と体を丸め、ドリムに突撃。

両者は激しく競り合い、互いに弾かれた。

「いけぇ!ドリム!!」

「うるせぇぞ、ファイア。」

「がんばれー!カラメル!!」

「ブイ!!」

「おめぇらもうるせぇ!!」

観客の中にはファイアとアクア、“イーブイ”の“フワ”を抱えたライトがいた。

ファイアはドリムを、ライトはカラメルを応援し、アクアはバトルを真剣に見て、参考にしたいのだが、ファイアとライトの応援が五月蠅く、中々集中できないようだ。

「ファイアくん、アクアくん。」

そこに小さな声で叫ぶ、リーフが駆け寄ってきた。

「よかった。オーキ………」

リーフはファイア達に用件を伝えようとしたが、バトルを見て熱くなったファイアがそれを遮断した。

「おっ!リーフ、見ろよ!今スッゲー、バトルしてんだ!燃えてくるよな!!」

「ファイ兄いっつも燃えてるね!」

「ブイブイ!!」

そうだと、フワも頷く。

「嫌、そんな事より………オーキド博士が直ぐに研究所に来るようにおっしゃってるよ。

ファイアくんとアクアくんと私、3人来てだって。」

「ん?爺さんがか?」

「うん。」

「分かった。ファイア、行くぞ!!

後、ライトもだ!ほっとくとどこ行くか分かんねぇから来い!」

だが、二人はバトルに夢中で話を一切聞いていない。

「いけぇ!!ドリム!!」

「負けないでー!カラメル!!」

「ブーイ!!」

それどころか、更に見入ってしまってるようだ。

「はぁ………。しゃーない。」

アクアはため息を付くと、ファイアとライトの服を掴み、強引に連れて行こうとした。

二人は素直なのか、バトルに夢中過ぎて自分の状況に気付いてないのか、無抵抗なまま、アクアに引きずられた。

「おめぇら!歩け!!」

一人で二人を引きずるので相当重い。

しかし、やはり二人はアクアを無視して、無抵抗なまま応援を続けている。

「な…………なに、これ?」

そのシュールな光景を見たリーフは呆れと混乱で何とも言えない心情になった。

 

-オーキド研究所の前-

「はぁはぁ…………。やっと着いた。」

広場からずっと二人を引きずって来たアクア。

息を漏らしており、かなり疲れている。

「凄かったな!!」

「うん!」

「ブイ!!」

だが、当の二人はアクアの事を気にせず、バトルの感想を言い合ってた。

そんな自由で図太過ぎる二人にアクアはお怒りの様だ。

「おめぇらな!!何で広場が見えなくなっても応援続けんだよ!!後、ここまで運んで来てやったのにありがとうの、“あ”の字もなしか!!」

「ファイ兄、分かってないよ…!【どくづき】を【ジャイロボール】で防いだあれが一番だよ!」

「嫌!【つのドリル】の大逆転!あれが一番燃えただろ!!」

「き………聞いてねぇ……。……はぁ。」

流石のアクアも、ここまでの自由さは手に負えず、呆れてため息をついた。

「お……お疲れ様。アクアくん。」

そんなアクアにリーフはおいしいみずを買ってきてくれた。

「ああ、サンキュー。」

アクアはリーフからおいしいみずを受け取り、ガブガブと一気に呑み干した。

「どうした?騒がしいぞ。」

研究所の方から声がしたと思うと、扉が開き中からオーキド博士が出てきた。

「あっ!!おじいちゃん!!」

ライトは博士に気付くと一目散に駆け寄った。

「おお、ライトも来たのかね?」

「うん!」

オーキド博士はライトに優しく微笑むと、辺りを見渡した。

「よく集まってくれた。リーフありがとう。」

「は…………はい……!」

リーフはちょっと照れて恥ずかしそうに、答えた。

「博士!今日は何してくれるんだ?」

ファイアは期待の目で、博士を見ながら言った。

「ははは!今日は期待を何倍にもしてやるからの。ついてくるんじゃ。」

4人は不思議がり、顔を見合わせた。

いつもは実験に付き合わされてばっかりで、あまり楽しくないものばかりだ。

けど、今は何か、面白そうな特別な事が起こりそう。

何故だか4人とも、そういう期待を持った。

 

-研究所内部 客間-

「あれ?いつものとこじゃないの?」

ライトが不思議そうに訪ねた。

いつもなら、実験室に通されるのだが、今日は客間だ。

4人の期待が更に高まった。

「ああ、今日はファイア君達にプレゼントがあるんじゃ!!」

「えっ!!何、博士!?」

「おい、ファイア、落ち着け。」

「わーい!プレゼントだ!!」

「ライトも静かにしろ!!」

プレゼントと言葉を聞いただけで、ファイアとライトのテンションが上がった。

無駄だと分かっていながらも、アクアがそれを抑えようとする。

「プレゼントって、もしかして………。」

リーフが勘付いたように言った。

「ああ、そうじゃ。

リーフのおばあさんから預かった、カロス地方という場所にあるフレンドサファリに住むポケモンのタマゴが孵ったんじゃよ。」

そう言うと、オーキド博士は箪笥の引き出しから3つのモンスターボールを取り出してテーブルの上に置いた。

「スゲー!!」

「モンスターボールだ!!ポケモンだ!!」

「………ほお。」

ファイアとライトは更にテンションが高まり、アクアも興味深そうにモンスターボールを見詰めている。

しかし、リーフはどこか深刻そうな表情をしており、あまり嬉しそうじゃない。

「ねぇねぇ、おじいちゃん!はやく開けて!」

「そんなに急ぐな。

じゃあまず一匹目、みずタイプの“ゼニガメ”じゃ!」

「ゼニゼニ!!」

「カワイイ!!」

ライトは目を輝かせ、ゼニガメを見詰めた。

「ゼ………ゼニ。」

ゼニガメは少し、迷惑そうにライトを見詰め返すと、助けを求めるようにアクアを見た。

「お、俺かよ。

ライト、これじゃあ身がもたないぞ。とりあえずゼニガメから離れろ。」

「はーい……。」

「それじゃあ2匹目じゃ!ほのおタイプの“ヒトカゲ”!!」

「カゲトォ!!」

「スゲーッ!燃えてるな!お前!」

「カゲ………カゲト!!」

燃えるような性格のファイアとほのおタイプの熱い性質がマッチしたのか、ファイアとヒトカゲは既に意気投合した。

「あー!ずるい!ファイ兄だけ!」

ライトはファイアが初対面のポケモンに気に入られたのを嫉妬し、フワを抱いて、口を尖らせた。

「では最後!くさ・どくタイプの“フシギダネ”じゃ!!」

「ダネダネ……。」

「うわぁ!!カワイイ!!」

「ダ………ダネ。」

このフシギダネは少し内気なのか、ライトが近づくと、テーブルから降りて、物陰に隠れてしまった。

「がーーーん!!」

ライトはまた嫌われてしまったと思い、ショックで固まってしまった。

そんなライトにアクアが冷静に解説した。

「まぁ、ポケモンにも個性があるからな。今回のはライトに合わなかったんだろ。」

「いーもん!私にはフワがいるから!!」

「ブイ!!」

「てか、さっきからライトのみたいのになってるが、フワは俺のポケモンだからな!!」

「でも、お兄ちゃんお世話あんまりしないじゃん!!」

「ライトが先にやるからだろ!!」

どうやら、アクアとライトの兄妹喧嘩が始まってしまったようだ。

「まぁまぁ、止めるんじゃ、二人とも。」

博士は、少し楽しそうに仲裁に入った。

ファイアはヒトカゲとよく分からないコミュニケーションを取っており、まるで周りが見えてない。

そんな中、リーフは物陰に隠れたフシギダネのことを気に掛けていた。

内気で臆病な性格が似ているため、放っておけないのだ。

だが、フシギダネを横目で見詰めるだけで、何もできなかった。

喧嘩を止め終えた博士は4人の向かいのソファに座った。

「よし!それじゃあ、ファイア、アクア、リーフ。

君達にそれぞれ一匹ずつ、このポケモンを授けよう。」

「えーー!?あたしのは?」

「悪いが、ライトはまだ8才。

ポケモンを持つにはちと、幼いのじゃよ。」

「えー、でもお兄ちゃん達と3つしか違わないのに……。ケチ。」

ライトはまたフワを抱き締め、口を尖らした。

「すまんな、許しておくれ。」

博士は元々、こうなるのを予想して、3人しか呼ばなかったのだ。

その事を察したリーフは博士に提案をした。

「あの、私、ポケモンはいりません。

ですから、私の分をライトちゃんにあげてください。」

「え!?いいの!!やったー!!」

ライトは飛び跳ねて喜んだが、

「いや、それは駄目じゃ。」

博士は提案を否定した。

「なんで!?」

ライトはすぐに喰い付いたが、博士は何も喋らずに首を振るのみだった。

「ぶー。わかったよ。ケチ。」

結局、ライトの方が先に折れた。

リーフもがっかりした様子で決まりが悪そうに、俯いていた。

必然的に、ファイアとヒトカゲは決定し、残ったのはゼニガメとフシギダネだ。

「どうする?リーフ。」

「私、どっちでもいいよ。アクアくんが選びたいのを選びなよ。」

「あ……ああ。分かった。」

アクアは既に心は決まっていたがしばらく考えたフリをした。

リーフの声のトーンがどこかいつもと違かった気がしたから、原因を考えるために。

結局、見当はつかず、悩み続けるのも罰が悪いので、心に決めていたポケモンの目の前でしゃがんだ。

「よろしくな。ゼニガメ。」

「ゼニ!」

「では、リーフはフシギダネでいいかの?」

「……………はい。」

「よし!決まりじゃの。」

博士はそう言うと、モンスターボールをそれぞれに渡した。

「ありがとう、爺さん。」

「ありがとうございます。」

アクアはどこか素っ気なく、リーフは丁寧に受け取った。

けれども、どこかリーフのは表情が暗いままだ。

「燃えてきたゼッ!!!!!」

ファイアはモンスターボールを受け取るとこれ以上にない位に、興奮し大声で叫んだ。

「カゲェ!!」

何故かヒトカゲも同じように興奮し、辺り構わず火を吐いている。

「おめぇら!!いい加減に…………」

「なあ!リーフ!!バトルやろうぜ!!」

興奮が冷める事を知らないファイアは、アクアの叱りを遮り、急にリーフにバトルを挑んだ。

「え…………私?」

今まで暗かった表情が更に曇った。

リーフは戸惑っていながらフシギダネに目を移した。

「ダ………ダネ。」

リーフの気持ちが移ってしまったのか、フシギダネは更に物陰の奥の方へ隠れてしまった。

リーフはそれを見て、更に表情が曇ってしまった。

「待て、ファイア。勝負は俺が引き受けよう。」

アクアはリーフの気持ちを察し、ファイアの勝負を受けた。

「お!アクアか、いいな!!燃えてきた!!」

ファイアはバトルできれば誰でもよかったので、アクアの提案を素直に受け入れた。

「よし、それじゃあ、バトルフィールドに案内しよう。」

博士はそう言うと、客間から出た。

ファイアとアクアはそれぞろポケモンをモンスターボールに戻して、博士についていった。

「リーフねぇちゃんも行こ!!」

「ブイブ!!」

ライトは一緒に二人のバトルを観戦したいので、リーフを誘ったが、

「ううん。ライトちゃんだけ行ってきなよ。」

リーフはフシギダネの事が気になり、あまり乗り気ではないようだ。

「えー!行こうよ!ねっ!!」

そう言うとライトはリーフの手から強引にモンスターボールを取り、フシギダネをボールの中に戻した。

「ほら!行こ!!」

そして、無邪気にライトは困惑した表情なリーフの手を掴み、博士達を追い掛けた。

 

-研究所中庭 バトルフィールド-

「ここじゃよ。」

「うおおおおおおおおお!!燃えてきた!!!」

「へぇ、爺さんの施設としては良くできてるじゃないか。」

ここに、入ることは初めてだった。

広大なバトルフィールドに、ファイアとアクアは素直に感心した。

「そして、ファイア。これをやろう。」

「うおお!!カッケー!!」

博士がファイアに渡したのはポケモン図鑑だ。

因みに、アクアは既にポケモントレーナーなのでポケモン図鑑は渡してある。

「これは、ポケモン図鑑と言ってな。

ポケモンの生態や、タイプがバッチリ記録された優れものじゃ。

トレーナーカードとしての役割も果たしているから、身分証明としても使えるぞ。

更に電話や、てもちポケモンの入れ替え、それから…………」

「なんか知らんけど、カッケー!!」

ファイアは説明を一切聞いていなかったが、ポケモン図鑑を手に入れたという事実だけで、感激できた。

「よっしゃあ!!燃えてきた!!

アクア!はやくやろうぜ!!」

「ああ、おめぇの炎、掻き消してやる!」

ファイアとアクアはお互いに、バトルフィールドの両端に立った。

審判は博士がやってくれるみたいだ。

「それでは、ファイア対アクアのバトルを始めるぞ。

ルールは1対1のシングルバトル。

どちらかのポケモンが先に戦闘不能になったら、勝負は終了じゃ。」

「バトルだバトル!燃えてきたゼッ!!」

「おめぇ、一々それ言うが、その度に炎消えてんのか?」

「あっ?よく分かんねぇ!!」

「あ………そう。」

「先攻はどちらにするかね?」

「ファイアでいいさ、お互いのポケモンは分ってるし、先に攻めた方が有利って…………」

「燃えろ!!ヒトカゲ!!」

「カゲェ!!」

「はぁ………(だから人の話は最後まで聞けって!)

出番だ!!ゼニガメ!!」

「ゼニゼニ!!」

両者のポケモンがバトルフィールドに出た。

急遽の提案だったので、まだニックネームは決まっていない。

それでも両者のポケモンとトレーナーの息はピッタリだ。

相棒の事をよく知るために、アクアはポケモン図鑑を取り出し、ゼニガメに向けた。

『ゼニガメ

かめのこポケモン みずタイプ

首を甲羅の中に引っ込める時、強力な水鉄砲を発射する。』

ファイアも真似をして、ポケモン図鑑をヒトカゲに向けた。

『ヒトカゲ

とかげポケモン ほのおタイプ

生まれたから尻尾に炎が点っており、消失と共にその命も消える。』

他にも、覚えているワザなどが記述されていた。

アクアは嘗めるように読み、ファイアは流し見をした。

「あー!もうポケモンさん出てる!!」

「けど、まだ始まってないみたいだよ。」

リーフとライトが中庭に到着した。

「がんばれー!ファイ兄!お兄ちゃん!」

二人はバトルフィールドの横に設置されたベンチに座り、そこで見ることにした。

「それでは!バトル、開始じゃ!!」

 

ファイアvsアクア

ヒトカゲvsゼニガメ

 

「ヒトカゲ!【ひのこ】!!」

「カゲッ!トォ!!」

ヒトカゲは一回転をして、尻尾から火を飛ばした。

「【ひのこ】か………。ゼニガメ!【みずでっぽう】!!」

「ゼッ………ニュゥゥッ!!」

ゼニガメは大きく息を吸うと、口から【みずでっぽう】を発射した。

【ひのこ】と【みずでっぽう】は平行的に飛んで行き、それぞれ相手に命中した。

ゼニガメはまだピンピンしてるが、ヒトカゲは、膝をつき、体力を消耗している。

「ねぇ、どうしてゼニガメの方が強いの?」

バトルをあまり知らないライトがリーフに聞いた。

リーフもあまりバトルには詳しくなくちょっと困ったような顔をしたけど、丁寧に説明しようとした。

「えっと、私もあまり良く分からないけど、多分相性だよ。」

「相性?」

「うん。ポケモンバトルは相性があって、例えば、ゼニガメのようなみずタイプはヒトカゲみたいなほのおタイプに強いんだよ。」

「へ〜。」

リーフの話を聞いて分かったのか分かってないのか、ライトは首を縦に振った。

「ヒトカゲ!まだまだ燃えるよな!!」

「カゲ!!」

相当なダメージ量を負ったが、ファイア達はまだまだ諦めてはいない。

ファイアの言葉に応えてか、ヒトカゲは火を噴いて、気持ちを高めた。

「まだまだ燃えるって、意味わかんねぇよ。」

アクアはそんなファイア達に呆れているが、どこか称賛も混じっている。

「ゼニガメ!接近戦でいくぞ!!【たいあたり】!!」

「ゼニ!!」

「ヒトカゲ!お前は【ひっかく】だ!!」

「カゲェ!!」

ゼニガメは全身に、ヒトカゲは爪に力を込め、両者に突進して行く。

ちょうどバトルフィールドの中央で二つのワザは衝突した。

「行け行け!ヒトカゲ!!

がんばれ!ゼニガメ!!」

激しいワザのぶつかり合いにライトは興奮し、思わず立ち上がって応援した。

「カゲェ!!」

「ゼニッ!?」

この競り合いは僅かに攻撃力が高い、ヒトカゲが制し、【ひっかく】をゼニガメのお腹に直撃させた。

「よし!【メタルクロー】だ!!」

「カゲッ!!」

ヒトカゲは爪に鋼のエネルギーを纏わせ、ゼニガメを切り付けようとした。

「ゼニガメ!【まもる】!!」

「ガメッ!!」

ゼニガメは目の前に謎のバリアを展開させ、攻撃から身を防いだ。

「カゲッ!?」

その衝撃で、ヒトカゲはバランスを崩してしまう。

アクアはそのすきは見逃さない。

「【こうそくスピン】!!」

「ガメ!」

すぐさまワザの指示を出し、ゼニガメも一瞬で甲羅の中に入り、ヒトカゲを攻撃した。

「カゲ……!」

衝撃でヒトカゲは吹っ飛ばされ、ゼニガメは最初の位置に戻り、距離を取った。

やはり、トレーナー経験が多いアクアの方が一枚上手である。

「ヒトカゲ!まだ燃えれるな!!」

「カゲ!」

ヒトカゲはファイアの言葉を受け、立ち上がった。

体力は限界に近いが、何故か力が湧いてくるのだ。

「しぶといな。流石ファイアだ。」

アクアはそう言うと、ポケットから不思議な腕輪を取り出した。

(ん?………あれは!!)

「アクアくん…!あれって!」

リーフと博士は腕輪を見た途端に、驚いたような表情をした。

「え!?なになに、あれ?」

ライトは初めて見たらしく、不思議がっている。

「ファイア!今からとっておきを見せてやる!!ビビるんじゃねぇぞ!!」

「ああ!何か知らんが、燃えてきたぞ!!」

アクアは腕輪を左腕に付けると、腕を交差させた。

その瞬間に、腕輪についている白い宝石が輝き出す。

そして、まるでダンスの様な動きをした後、腕でZの様なポーズを作った。

「純粋無垢な穢れなきマサラよ。我に力を与えたまえ!!」

アクアから謎のオーラが発生したと思うと、ゼニガメに移った。

(間違いない。あれは………

Zリング!!)

「喰らえ!!“Zワザ”!!

【ウルトラダッシュアタック】!!!」

「ゼニ!!」

オーラを纏ったゼニガメは、ヒトカゲに向かい、目にも止まらね高速タックルを仕掛けた。

「カゲェェェェ……!!」

ヒトカゲは避けるヒマさえ与えられず、強力な攻撃を諸に喰らい、戦闘不能の状態になった。

「ヒトカゲ、戦闘不能!ゼニガメの勝ち!!

よって今回のバトルはアクアの勝ちじゃ!!」

 

Zワザによるエネルギーで、アクアとゼニガメは体力の消耗が激しかった。

「はぁはぁ………お疲れ、ゼニガメ。」

「……ゼニ。」

アクアはゼニガメに歩み寄り、頭を撫でて労いの言葉を掛けると、ゼニガメをモンスターボールに戻した。

「ヒトカゲ!熱かったぜ!!」

ファイアはヒトカゲを抱きかかえて、モンスターボールに戻すと、

「なんだよ!!あれ!?スッゲー、燃えてくるじゃねぇか!!」

興奮度MAXで、さっきの強力な攻撃のことをアクアに聞いた。

「あぁ、あれはな………」

「“Zワザ”じゃよ。」

アクアは自信満々に説明しようとしたが、博士にとられた。

「アクア、お前、使えるようになってんじゃな。」

「あぁ、ずっと前に“ノーマルZ”も手に入れてたしな!」

そう言って、ZリングについたノーマルZをファイアと博士に見せびらかすように、自身の顔の近くに寄せた。

しかし何故か、アクアの視線はリーフに向いていた。

それを知ってか知らずか、リーフはアクアに向かって微笑んでいた。

「できるように………」

「ねぇ!お兄ちゃん!!今の何?

そのZなんとかって?」

「ブイ?」

リーフはアクアに話し掛けようとしたが、凄い攻撃を見てテンションが上がっているライトに遮られてしまった。

「ああ、Zワザって言うんだ。

体力消耗が激しく、1回のバトルにつき1度しか出せない。言わば必殺技って奴だな。」

「おー!かっこいー!!」

「ブイー!!」

「だろぅ!!」

アクア達はZワザについての話で盛り上がった。

そこにリーフが入るすきもなく、ただ少し離れた場所で見てるしかなかった。

「そうだ、リーフ。君にもこれをやらんとな。」

博士はリーフに思い出したかのように言い、ポケモン図鑑を渡した。

「あ……ありがとうございます。」

リーフは頑張って作り笑顔をし、博士からポケモン図鑑を受け取った。

「リーフのことじゃ。使い方はわかっとるじゃろ?」

「はい。大丈夫です。」

リーフはそう言うと目線を図鑑に下ろした。

(リーフ………おめぇ。)

そんなリーフの表情を見て、アクアは心配していた。

喜びの中に、惑いがあるそんな微妙な表情に。

「うむ。これでわしの役目は果たした。

さて、研究に取り組まなくてはな。

さあ、お前達。もう日が暮れるから家に帰るんじゃよ。」

博士はそう言うと、研究所に戻っていった。

「はーーい!!」

ライトは素直に返事をすると、ファイアとZワザについての感想を言い合いながら、中庭から出た。

「なあ、リーフ。」

リーフとふたりきりになったアクアは真剣な顔になりその暗い表情の訳を聞き出そうとした。

「うん。戻ろっか。」

けれどもリーフはアクアの表情を見た途端にまた無理な作り笑いをした。

「あ………ああ。」

アクアはその作り笑いを見たら、言葉を失ってしまった。

二人はその後、無言なまま研究所を出た。

 

-オーキド研究所の外-

「ファイ兄違うよ!こう!!」

「いいや、こうだ!!」

先に戻っていたファイアとライトは先程アクアがやっていたノーマルのZポーズの真似をしていた。

ただ、うろ覚えのため、かなりグチャグチャな動きではあるが。

「おめぇら、何やってんだ。」

状況を一瞬で理解したアクアが呆れながら言う。

「あ!兄ちゃん!!ねーもう一回やってよ!

Zワザ!!」

「ああ!あれスッゲー、燃えるからな!!」

ファイアとライトは期待した目でアクアを見詰める。

だが、アクアはそれを無視して、通り抜けていった。

「ほら、ライト。帰るぞ。」

「えー!Zは!Z!!」

「あれは見世物じゃねぇよ。

ほら、帰るぞ。」

「ケチ!」

ライトはそう言いつつも、アクアの後を追い掛けていった。

アクアは度々振り返るような仕草をしながら、ライトが追い付けるようなスピードで自宅に向かって帰って行った。

「リーフ!あれスゲーよな!!」

残されたファイアは興奮が冷め止まないのか唐突に、リーフに向かって話し掛けた。

「えっ………あ、うん。そうだね。」

急に話し掛けられたリーフはたじろいでしまう。

そんなリーフをお構いなしにファイアは思いを叫んだ。

「ポケモンってスゲー!

バトルってスゲー!

うおおおおおおおおお!!燃えてきたゼッ!!!」

そのデッカい雄叫びにビックリして気に止まっていたレディバが一斉に飛び立った。

リーフも耳を塞いだが、ちょっとフラフラしてる。

「リーフ!俺!決めた!!」

「な………なにを?」

「俺!旅をする!!

旅をして、色んなポケモンと会って!!

色んな場所を冒険して!!

色んな経験して!!

ジムリーダーと戦って!!

伝説のポケモンとも戦って!!

そして………」

ファイアは握り拳を作り、21ばんすいどうに沈む夕日に向けて突き出した。

「俺は、“チャンピオン”になる!!

最強のポケモントレーナー、チャンピオン!!

うおおおおおおおおお!!!

待ってろ!!カントー!!

燃えてきたゼエエエエエエエ!!!!!」

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