あと、感想返信したら誤字に気づき、返信消そうとしたら間違って感想そのものを消してしまいました_:(´ཀ`」 ∠):
夜の基地、全ての灯りが落とされ、何も見えない、原初の闇に包まれた基地はまた違った顔を見せてくれる。明け方に攻撃に出る関係上、起きて時間まで待機していることになったのだ。
空襲を少しでも避けるための灯火管制により、最低限の機器を残して消された灯り。闇は人に恐怖を思い出させる。野生の記憶なのだろう。
そんなあなたの視界に、何かがぼんやりと見える。闇に紛れるような黒に、何かがフラフラと蠢いている。なんだろう。
よく目を凝らして見る。そのシルエットには見覚えがあった。長い髪をツインテールにまとめた少女の姿に、あなたは少し安心感を覚えた。
「指揮官っ! 今大丈夫?」
UMP9はあなたの顔を覗き込むように、屈託のない笑みを向けて問いかける。その隣からも、サイドテールの少女UMP45が姿を現わす。どこに隠れていたのかは聞いても教えてくれないから、最近は驚かされるばかりだ。
「しきか〜ん、少しだけだから、ね?」
45はイマイチ何を考えているかわからないが、まあ大丈夫だろう。長い付き合いで信用しているあなたは、2人についていくことにした。眠気覚ましにも良さそうだ。
2人に手を引かれて行く先は、やはり宿舎。カフェに改造されてからと言うものの、戦術人形たちの道楽でよく使われている。
一枚噛んでいたカリーナもカリーナで、よくやろうと思ったものだ。落ち着いた雰囲気の内装が気に入っているのは内緒だ。
電気をつけられないからか、テーブルにはキャンドルで明かりが灯されている。昔ながらの方法ではあるが、とても風情のある光景だ。
灯りに照らされて見えたUMP姉妹は、黒を基調としたメイド服に身を包んでいる。クラシカルなロングスカートのメイド服で、とても似合っていた。
「お疲れ様、指揮官」
奥から現れた416もメイド服を着ていた。皺一つないよくアイロンをかけた服を着こなしている。完璧主義の416らしい。意外とメイドが似合ってるのかもしれない。
「当然ね。私は完璧よ」
確かに完璧なメイドだ。G11はどこだろうかと辺りを見回してみると、奥のソファーで寝ているG11の姿があった。ヘッドドレスは取れて、首元のボタンも外している。416が睨んでいるのが見えた。
助け舟を出そうと、あなたはG11のいるソファーに移動し、座るついでに膝にG11の頭を乗せる。まるで猫のようで、少しだけ安らいだ。
「甘いんじゃないの? いつも寝てばかりだと言うのに……」
文句を言う416だが、なんだかんだ言って起こさないのは優しさだろうか。微笑ましく思っていると、UMP姉妹が何やら飲み物を持ってきてくれた。45がコーヒー、9はお茶菓子のスコーンをトレイに載せている。
「指揮官! これをどうぞ!」
「404オリジナルブレンドにチョコチップ入りのスコーンですよ。たまには味わって食べたら?」
このところ、あまりの多忙さに食事を味わう間も無く掻き込む日が続いていた。それをみんなは見ていたのだろうか。
猫か犬か、よく懐いているUMP姉妹の気遣いをありがたく思いながら、まずはスコーンを一口齧ってみる。プレーンの生地の素朴な味わいにほんのり感じる甘さ、ビターなチョコチップが絶妙なバランスで程よい甘さを作り出している。
ただ、やはり口の水分がとられてしまう。そこでコーヒーを手に取る。そのコーヒーは404小隊のエンブレムがラテアートで描かれていた。時間をかけて作ってくれたのだろう。飲むのが惜しく感じてしまうが、形あるものはいずれ滅びるもの。飲まない方が失礼だ。
お礼を口にして、穏やかな気持ちで一口啜れば、コーヒーの香りが鼻孔をくすぐり、クリームがコーヒーの苦味をほどよく抑え、旨味を際立たせる。そして、喉を通るコーヒーが、体を芯から温めてくれるような感覚がした。
美味しい、そんな言葉が口から漏れ出し、UMP姉妹の顔がみるみる笑顔に変わる。普段は無表情を貫く416も、今ばかりは本当に僅かばかりの笑みを浮かべていた。きっと、作るのに頑張ったのだろう。
ありがとう、またあなたの口から感謝の言葉が漏れ出す。今できるお返しがその言葉だけなのがもどかしくも思えるが、彼女たちは満足そうに笑ってくれた。
「当然よ。私は完璧だから」
「……焦がして涙目になってたのに」
いつの間にか目を覚ましていたG11が茶々を入れると、416はみるみる顔を赤らめ、キッとG11を睨み、両頬をつまんで引っ張る。
「苦手は克服したの……! あんたは寝てばかりでしょう……!」
「痛いよ……ラテアートやったもん……」
このラテアートはG11の作品だったようだ。このクオリティは凄いと感心したあなたは、今度好みの絵柄のラテアートをやってもらおうかと思案する。
頬を摘まれて涙目のG11を救うべく、あなたは手を差し伸べる。G11と416の頭をそっと撫でてやると、416は手を止めて大人しく撫でられる。嫌そうにしていない。G11も撫でられているうちにすぐ寝付いてしまった。
「……私の価値、ようやくわかってくれたの?」
そう言って顔を覗き込んで来る416も、膝でスヤスヤ眠るG11も、まるで猫のように思えて可愛らしい。UMP姉妹も虎視眈々と狙っているかのような目をしていたので、隣の席を勧める。
9が隣に座り、さらにその隣に45が座る。2人とも、何やら楽しそうに笑っていた。戦術人形なんて忘れてしまうほどに、可愛らしい女の子に見える。
「まだ時間あるから、ゆっくりしようよ、ね、指揮官!」
「そうね。もう少し長生きしてよ、しきか〜ん」
「……指揮官がいないと、甘やかしてくれる人がいない」
「G11はすぐそこをどきなさい。指揮官は私のものなの」
珍しく416があなたの腕をG11から奪い取り、抱きしめる。たまに見せてくれるようになった可愛らしい一面が、なんとも愛らしくてたまらない。
今夜は退屈せずに過ごせそうだ。願わくば、この戦争が終わったとしても永劫に、彼女たちと生きられたなら。
ちなみに上陸前線では404メンココンプに成功したものの、ガチャにて華麗に爆死、同期より爆死の神だのガチャの負け犬呼ばわりされました_:(´ཀ`」 ∠):