戦術人形に癒されて   作:Allenfort

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秋葉原上陸作戦やらコミケ参戦前の戦闘予行やらで投稿が遅れましたごめんなさい!

あと、感想返信したら誤字に気づき、返信消そうとしたら間違って感想そのものを消してしまいました_:(´ཀ`」 ∠):


404Maid Cafe

 夜の基地、全ての灯りが落とされ、何も見えない、原初の闇に包まれた基地はまた違った顔を見せてくれる。明け方に攻撃に出る関係上、起きて時間まで待機していることになったのだ。

 

 空襲を少しでも避けるための灯火管制により、最低限の機器を残して消された灯り。闇は人に恐怖を思い出させる。野生の記憶なのだろう。

 

 そんなあなたの視界に、何かがぼんやりと見える。闇に紛れるような黒に、何かがフラフラと蠢いている。なんだろう。

 

 よく目を凝らして見る。そのシルエットには見覚えがあった。長い髪をツインテールにまとめた少女の姿に、あなたは少し安心感を覚えた。

 

「指揮官っ! 今大丈夫?」

 

 UMP9はあなたの顔を覗き込むように、屈託のない笑みを向けて問いかける。その隣からも、サイドテールの少女UMP45が姿を現わす。どこに隠れていたのかは聞いても教えてくれないから、最近は驚かされるばかりだ。

 

「しきか〜ん、少しだけだから、ね?」

 

 45はイマイチ何を考えているかわからないが、まあ大丈夫だろう。長い付き合いで信用しているあなたは、2人についていくことにした。眠気覚ましにも良さそうだ。

 

 2人に手を引かれて行く先は、やはり宿舎。カフェに改造されてからと言うものの、戦術人形たちの道楽でよく使われている。

 

 一枚噛んでいたカリーナもカリーナで、よくやろうと思ったものだ。落ち着いた雰囲気の内装が気に入っているのは内緒だ。

 

 電気をつけられないからか、テーブルにはキャンドルで明かりが灯されている。昔ながらの方法ではあるが、とても風情のある光景だ。

 

 灯りに照らされて見えたUMP姉妹は、黒を基調としたメイド服に身を包んでいる。クラシカルなロングスカートのメイド服で、とても似合っていた。

 

「お疲れ様、指揮官」

 

 奥から現れた416もメイド服を着ていた。皺一つないよくアイロンをかけた服を着こなしている。完璧主義の416らしい。意外とメイドが似合ってるのかもしれない。

 

「当然ね。私は完璧よ」

 

 確かに完璧なメイドだ。G11はどこだろうかと辺りを見回してみると、奥のソファーで寝ているG11の姿があった。ヘッドドレスは取れて、首元のボタンも外している。416が睨んでいるのが見えた。

 

 助け舟を出そうと、あなたはG11のいるソファーに移動し、座るついでに膝にG11の頭を乗せる。まるで猫のようで、少しだけ安らいだ。

 

「甘いんじゃないの? いつも寝てばかりだと言うのに……」

 

 文句を言う416だが、なんだかんだ言って起こさないのは優しさだろうか。微笑ましく思っていると、UMP姉妹が何やら飲み物を持ってきてくれた。45がコーヒー、9はお茶菓子のスコーンをトレイに載せている。

 

「指揮官! これをどうぞ!」

 

「404オリジナルブレンドにチョコチップ入りのスコーンですよ。たまには味わって食べたら?」

 

 このところ、あまりの多忙さに食事を味わう間も無く掻き込む日が続いていた。それをみんなは見ていたのだろうか。

 

 猫か犬か、よく懐いているUMP姉妹の気遣いをありがたく思いながら、まずはスコーンを一口齧ってみる。プレーンの生地の素朴な味わいにほんのり感じる甘さ、ビターなチョコチップが絶妙なバランスで程よい甘さを作り出している。

 

 ただ、やはり口の水分がとられてしまう。そこでコーヒーを手に取る。そのコーヒーは404小隊のエンブレムがラテアートで描かれていた。時間をかけて作ってくれたのだろう。飲むのが惜しく感じてしまうが、形あるものはいずれ滅びるもの。飲まない方が失礼だ。

 

 お礼を口にして、穏やかな気持ちで一口啜れば、コーヒーの香りが鼻孔をくすぐり、クリームがコーヒーの苦味をほどよく抑え、旨味を際立たせる。そして、喉を通るコーヒーが、体を芯から温めてくれるような感覚がした。

 

 美味しい、そんな言葉が口から漏れ出し、UMP姉妹の顔がみるみる笑顔に変わる。普段は無表情を貫く416も、今ばかりは本当に僅かばかりの笑みを浮かべていた。きっと、作るのに頑張ったのだろう。

 

 ありがとう、またあなたの口から感謝の言葉が漏れ出す。今できるお返しがその言葉だけなのがもどかしくも思えるが、彼女たちは満足そうに笑ってくれた。

 

「当然よ。私は完璧だから」

 

「……焦がして涙目になってたのに」

 

 いつの間にか目を覚ましていたG11が茶々を入れると、416はみるみる顔を赤らめ、キッとG11を睨み、両頬をつまんで引っ張る。

 

「苦手は克服したの……! あんたは寝てばかりでしょう……!」

 

「痛いよ……ラテアートやったもん……」

 

 このラテアートはG11の作品だったようだ。このクオリティは凄いと感心したあなたは、今度好みの絵柄のラテアートをやってもらおうかと思案する。

 

 頬を摘まれて涙目のG11を救うべく、あなたは手を差し伸べる。G11と416の頭をそっと撫でてやると、416は手を止めて大人しく撫でられる。嫌そうにしていない。G11も撫でられているうちにすぐ寝付いてしまった。

 

「……私の価値、ようやくわかってくれたの?」

 

 そう言って顔を覗き込んで来る416も、膝でスヤスヤ眠るG11も、まるで猫のように思えて可愛らしい。UMP姉妹も虎視眈々と狙っているかのような目をしていたので、隣の席を勧める。

 

 9が隣に座り、さらにその隣に45が座る。2人とも、何やら楽しそうに笑っていた。戦術人形なんて忘れてしまうほどに、可愛らしい女の子に見える。

 

「まだ時間あるから、ゆっくりしようよ、ね、指揮官!」

 

「そうね。もう少し長生きしてよ、しきか〜ん」

 

「……指揮官がいないと、甘やかしてくれる人がいない」

 

「G11はすぐそこをどきなさい。指揮官は私のものなの」

 

 珍しく416があなたの腕をG11から奪い取り、抱きしめる。たまに見せてくれるようになった可愛らしい一面が、なんとも愛らしくてたまらない。

 

 今夜は退屈せずに過ごせそうだ。願わくば、この戦争が終わったとしても永劫に、彼女たちと生きられたなら。




ちなみに上陸前線では404メンココンプに成功したものの、ガチャにて華麗に爆死、同期より爆死の神だのガチャの負け犬呼ばわりされました_:(´ཀ`」 ∠):

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