フレームアームズ・ガール外伝~その大きな手で私を抱いて~   作:コマネチ

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私用で遅くなりました。本年度もよろしくお願いします。前回スティレットのラブコメやエロ話で、その方向性で挑戦してみたいと思いますが、その前に今回は他に挑戦してみたかった話となります。


ep4『トモコと量産型マテリア』(前編)

 季節は夏、夏と言えば暑さ、そして熱さだ。太陽の照り付ける熱は新たな命を育み、学生は部活や大会、受験へ向けて己を鍛え上げる。とかく夏は様々な物が熱くなる季節だ。そしてそれは何も人間だけに限った話ではない。

 

「てやぁぁっ!!」

 

 イノセンティアが中世の城の大広間、舞踏会の会場を模したバトルステージでレイブレードから移植した刃を振るう。大ぶりな刃は衝撃波となって床と絨毯を粉塵と共に巻き上げる。相手を切り裂けば一度で勝負は決するだろう。しかし……。

 

「ウッフフフ。アハハハ」

 

 相手のFAGは軽やかに舞いながらハンドガンで飛びながらイノセンティアに連射する。舞踏会のステージなだけに、まさに舞うように、だ。

 

「くそぉ!なんてすばしっこい!」

 

 相手のFAGはマテリア、本来は武装を持たないFAGだが、あらゆる装備を使いこなす特性を持つ。追加装備で某ヴィダールのアーマーを取り付けていた。

 

【挿絵表示】

 

「今までの自分の力を過信していたと言った所かしら。いいわよその顔、ゾクゾクするわ」

 

 妖艶な笑みを浮かべながら、マテリアは蹴りをイノセンティアに入れる。刃の仕込んである足だ。吹き飛び、倒れこむイノセンティアにマテリアは一気に加速、細長いサーベルをイノセンティアの胸に突き刺した。

 

「あっ!」

 

 『ガッ』という音からして致命傷だな。と、客観的に判断するイノセンティア。そして『負けた』と、悔しさを表情に浮かべながら彼女は光の粒子を発しながらステージから消える。

 

「でもその顔が一番ステキよ」

 

 そう言うとマテリアは、慣れた手つきでサーベルを腰部のウェポンラックに仕舞う。それと同時に周囲のバトルステージは解除。模型店の風景に切り替わった。

 

「イノセンティア!大丈夫ですか?!」

 

 轟雷がイノセンティアに心配そうに駆け寄る。今日は相方のレティシアやアント姉妹がいない。

 

「轟雷さん、やられちゃったよ」

 

 イノセンティアが申し訳なさそうに呟いた。

 

「仕方ありませんよ。今日はレティシアもいないんですから」

 

「それでも自信はあったんだけどなぁ」

 

 今日はいつもとは別の模型店でのトーナメント大会だ。今日はイノセンティアと轟雷だけが出場していた。

 

「ごきげんよう。あなたの店舗のFAGは二体だけかしら?轟雷」

 

 そう言うと、さっき勝ったマテリアが寄ってくる。FAGの数が少ないのが不満気味と言った言葉だ。

 

「あなたがこの店舗のエース、マテリアですか。今日は用事があって来れないんですよ」

 

「まぁ残念、もっと他にあなた達の仲間のFAGを連れてくる事を期待したのだけれど」

 

「彼女達でしたら、友達のスティレットが皆を無理やり連れて行ったんですよ。マスターの試合の応援だそうで」

 

「私の友達もさらわれたよ」

 

――

 

「くちゅん!」

 

 その頃、体育館でチアガール服を着たスティレットはくしゃみをする。

 

「スティレット。風邪?」

 

「そんな露出の高いチアガール服着るからだよ。マスターに見せたかったんでしょ?」

 

「しかもボディまで変えるっていう念の入れ方だよ」

 

 レーフとライの指摘に真っ赤になるスティレット。全員がチアガール衣装を着ているが、スティレットだけ妙に露出が多い衣装だった。そしてオール肌色の素体装着である。

 

「そ!そんなわけないでしょ!!ってそんな事より!いい事あなた達!マスターのチーム応援は気合いを入れていくわよ!」

 

「トーナメント大会出たかったのにー」

 

 無理やりスティレットのマスターの応援に、駆り出されたレティシア達であった。

 

――

 

「私達は今日の試合の申請終わってたから免れたんですけどねー」

 

「残念ね。まぁ、FAGの生活もマスター次第だから仕方ないわね。と、次の試合は轟雷、あなたよ。行った方がいいんじゃないかしら」

 

「あ、本当ですね。じゃあ私行ってきます」

 

 そう言って轟雷はセッションベースを持ったマスターと、一緒にステージへ移動する。相手は重武装のスクール水着娘、フレズヴェルクだ。背後にいるマスターはまだ小学生だ。

 

「へぇ、轟雷タイプか。飛べるボクに比べて、地べたを這う轟雷じゃボクの敵じゃないね」

 

 カチンと来る言い方だ。どうも開発班の違いからか、もしくは元ネタの地球陣営と月陣営の違いか。このタイプとは相性が悪い。

 

「性能的にダンボ○ル戦機に出てきたLB○の真似事やったフレズヴェルク型ですか。いいでしょう。そのアホ面を泣き顔に変えてあげます」

 

「そういう事言うなよ轟雷」「駄目だよフレズ、相手に失礼な事言っちゃ」

 

 お互いのマスターが制止する。轟雷とフレズの二人が「うっ」と口を紡いだ。精神年齢は同じ位だろうな。とお互いのマスターは同じ事を思う。そしてステージは辺り一面の氷の世界となる。今回のバトルステージは南極だ。

 『バトルスタート』というアナウンスと共に、フレズは真っ先に轟雷目掛けて低空飛行からの加速、両手に持ったブレード付きライフル。ベリルショットランチャーで切りかかる。

 

「眠れ!武装○姫の成り損ないめ!」

 

 が、轟雷はこれを跳躍で回避、

 

「あなたみたいな生意気ロボ娘は!コミケの薄い本でミゼルオーレギオ○に乱暴されてなさい!!」

 

 頭上から肩部キャノンで狙い撃つ轟雷。

 

「うるさいな!今時ダンボー○戦機は全部装甲娘(一言で言うならダ○ボール戦機公式美少女化)に移行しちゃったから!そのネタ今時の子供は解らないよ!」

 

 素早く回避するフレズは回避ついでにランチャーを撃つ。空中ではバーニアの少ない轟雷では機敏に動けない。

 

「あれコロコロア○キで連載するとはビックリしましたよね!でもゲームも終了しちゃいました!」

 

 轟雷は肩部のキャノンを撃って反動で回避、降り立つとジグザグに動きながらフレズの周りを回りつつ小銃で撃つ。

 

「夏に再始動するって言ってたから終了じゃないよ!きっと戻ってきてくれる!」

 

 フレズも後ろを取らせまいと、轟雷と向き合いながらの形となる。

 

「コロコ○アニキは『劇画ガールズ&パンツァー』の方が気になりますんで私にはどうも!私のデザイナーの関係上!」

 

 撃ちあいながらも言ってる事は緊張感の欠片もねぇ。

 

「後コトブキヤで装甲娘のキットも出ますからねぇ!しかしあれですよ!元ネタの○ンボール戦機の方はプラモがバ○ダイから出てたのに!装甲娘のプラモはコトブキヤの方からって、これ裏切りですよレベルファイブの!!」

 

「版権的にはレベルファイブの物だからいいんじゃない!?ダンボール戦○のプラモも再販されるって!FAGもダンボール○機とコラボしないかなぁ!」

 

「性能的に私らじゃ一撃で消し炭にされますよ!」

 

「クロスオーバーならもうちょっと空気読んでくれるよ!その前にお前を消し炭にする!」

 

 そう言ってフレズはベリルショットランチャーの銃身ブレードで切りかかる。お互いのマスターは『戦闘中に何を話してるんだよ』と呆れていた。

 

「マスター!」

 

 轟雷の一言でマスターは轟雷は何を求めているか解った。バックパックのアーマー換装。リナシメントアーマーを転送だ。そのまま轟雷はサブアームのデモリッションナイフでブレードを受け止める。

 

「何!?」

 

『フレズ!離れて!』

 

 フレズのマスターが叫んだ時にはもう遅い。

 

「パワー全開!」

 

 そう轟雷は叫んでランチャーを弾く、そして至近距離で小銃を撃ちまくる。

 

「わぁぁっ!」

 

 フレズは一身に銃弾を受けて大ダメージを負う。重武装かつ高機動ではあるが、撃たれ弱く燃費が悪く、なおかつ機体バランスが劣悪なのがフレズヴェルク系列の難点だ。と、損傷したフレズの装備が爆発。フレズ本体も爆発に飲まれる。

 

「やったの?」

 

「それはフラグの発言だねぇ!!」

 

 そう轟雷が言った瞬間、爆風の中からフレズが飛び出してくる。アーマーをパージした素体形態だ。そのまま轟雷の背後に回るとフレズは轟雷に絡みつく様に関節技をかけた。

 

「っ!?がっあぁぁっ!」

 

 コブラツイストだ。

 

「どうだっ!マスターとプロレスで遊びたいけど、サイズ的に無理だから持て余していたとっておきだ!」

 

 轟雷の右腋から顔を出し、両手をクラッチさせたフレズが得意げに言う。

 

「……って、馬鹿ですかあなたは」

 

 対する轟雷はいたって冷静だった。

 

「何!」

 

 とフレズが戸惑う直後、轟雷は技のかかってない方の踵のキャタピラを可動させて足を上げた。回る無限軌道はフレズに当たり、それは技を解くのに充分な威力だった。

 

「わぁっ!」

 

 直後、轟雷はバックパックをパージ、バックパックはそのままフレズへの重しになる。その隙に轟雷は日本刀でフレズを切り裂いた。

 

「しょ!賞品のクロスフレーム!ガオガイガーが欲しかったのにぃ!!」 

 

 そのままフレズはダメージが限界となり光を発して消える。バトルの結果は轟雷の勝利となった。

 

「あざとい連中ですね。だから嫌いなんですよフレズヴェルクのシリーズは」

 

――

 

 そして準決勝を勝ち抜いた轟雷は、そのままマテリアとの決勝戦となる。そしてバトルステージは古代の闘技場。コロッセオのステージだ。

 

「ウッフフフ!あなたはどんな声で泣いてくれるのかしらぁ!」

 

「さぁ来なさい!ストパンのサーニャもどき!!」

 

「似てないわよ!」

 

 始まるや否や、ヴィダールアーマーを着たマテリアは二丁拳銃とライフルで轟雷を撃ちまくる。通常装備の轟雷は無限軌道の動きでそれをかわす。

 

「それっ!」

 

 バズーカを撃つ轟雷、マテリアは着弾点からジャンプ。上空から轟雷へ銃撃とサーベルで突きをかける。

 

「あなたの装備は大物ばかり!私相手には分が悪いわ!」

 

 轟雷は下がりつつサーベルをかわす。サーベルは地面に突き刺さり、マテリアはその場にとどまる。その隙に小銃で反撃しようとする轟雷、しかしマテリアはサーベルを軸に回し蹴りを放つ。回し蹴りは小銃を弾いた。

 

「あっ!」

 

「少しずつ切り刻んであげるから!」

 

 回し蹴りのい勢いを利用してハイキック。からの踵落としだ。轟雷のバイザーに当たり、バイザーはざっくりと傷が入り、衝撃で轟雷はバランスを崩す。マテリアはよろけた轟雷に飛びかかり押し倒す。背中から倒れこんだ轟雷に、馬乗りになりとどめを刺そうとするマテリア。

 

「でもやっぱり一撃もね!」

 

『キックだ!轟雷!』

 

 轟雷のマスターは独断で轟雷の足アーマーをリナシメントに変える。キック力の上がった足で轟雷は足を思いっきり上げた。

 

「うっ!」

 

 無造作ながらも力の入った蹴りは軽量のマテリアを弾き飛ばし、轟雷の体勢を立て直すには十分だった。その隙に全装備をリナシメントに変える轟雷。蹴りの衝撃でライフルを遠くに手放してしまったマテリア。向き合う二人。

 

「くっ!さすが全ての装備を使いこなすと言われたマテリア!」

 

「……そうね、私はFAGの最初期、双子の試作型マテリア、その二体の特性を受け継いだ量産機、それにしても……あなた、マスターに救われたわね」

 

「えぇ、そう言うあなたはマスターはいないのですか?」

 

 轟雷は疑問だった。マテリアのマスターの姿は一度も見ていない。

 

「……あなたが知る必要はないわ。でもこれだけは言っておく。私はマスター無しでは生きられない体なの。そのマスターの為にも私は最高でなければならない。その為にあなたには負けてもらうわ」

 

 そう言ってマテリアはサブアームにサーベルを持って、自身の両手にはハンドガンを持って飛びかかる。ハンドガンで牽制を行いつつサーベルで一突きという算段だろう。轟雷はで大剣と日本刀で対抗しようとする。マテリアはサーベルで突っ込むと思いきや、刃を仕込んだ跳び蹴りを仕掛ける。

 薙ぎ払おうとデモリッションナイフを横に振るった轟雷だが、

 

「甘いわねぇ!」

 

 振るった大剣の刃の上にマテリアは立っていた。そのまま轟雷にサーベルを突き刺そうと駆け出す。

 

『轟雷!!……をしろっ!』

 

 マスターからのとっさの指示だ。もう遅いとマテリアはサーベルを突き刺す。轟雷はサブアームで防御するも、サーベルはアームを貫通し轟雷の胸アーマーに突き刺さる。

 

「がっ!!」

 

「フフ、その顔、ゾクゾk……ん?」

 

 勝ったと確信するマテリアだが、その瞬間に轟雷は刺されたサブアームを切り離す。刺さったままのサーベルは重量が増してマテリアはバランスを崩しよろけた。

 

「う!何っ!?」

 

 戸惑いの表情を見せるマテリア。轟雷が不敵な笑みを見せた。

 

「見たかったですよ……その顔がっ!」

 

 サーベルの刃を切り離して、離れようとするマテリアだが、その前に轟雷は内側の手で大鉈を握っていた。そのままマテリアの胸に鉈をぶつけると同時にパイルを撃ち込んだ。それが決め手になった。

 

「くっあぁぁっ!!!」

 

「あなたの断末魔もステキですよ。なんちゃって……ね……」

 

 光を放ち消えるマテリア。それを見届けつつ轟雷は膝をついた。かろうじてではあるがこの大会。轟雷の勝利、そして優勝となった。

 

――

 

「凄かったです轟雷さん!やっぱりあなたは私の憧れです!」

 

 イノセンティアが目を輝かせて駆け寄る。

 

「あ、ありがとうイノセンティア。どうやら先輩としての威厳は保てたようですね」

 

「あなた……完敗ね。あなたには敬意を表するわ」

 

 今度はマテリアが来て賞賛の言葉をかけた。しかし轟雷ではなくマスターに対してだ。

 

「……いやなんで私ではなくマスターに向かって言うんですか」

 

「あら、当然でしょう?マスターが優秀だったからあなたは勝てたのよ。あなただけではこうはならなかったわ」

 

 そのマテリアの態度にイノセンティアが食いつく。

 

「嫌な言い方するわね。では何、あなたの方はマスターがいたら、轟雷さんには必ず勝っていたって言いたいの!?」  

 

「そうは言ってないわよ」

 

 イノセンティアの発言にマテリアは若干面倒そうに答えた。

 

「イノセンティア、そういう発言は……」

 

「甘いですよ轟雷さん!マテリアタイプと言えば試作型が腹黒で有名じゃないですか!彼女もそんな口に決まってますよ!」

 

「イノセンティア。いい加減に……」

 

「どうせマスターも似たような嫌な奴なんでしょ?!」

 

 その瞬間、マテリアの表情が一気に怒り一色なった。

 

「お前もう黙「マスターの事を悪く言わないで!!!!」

 

 周囲が止めようとする前に、激昂したマテリアがイノセンティアを黙らせた。今までの態度と一変しての、その迫力にイノセンティアは言葉を詰まらせる。

 

「……もういい。不愉快だわ。言いたい事はまだまだあるけど、私はもう帰るわね」

 

 そう言ってマテリアはその場を離れた。少しして店内の窓からドローンに乗って移動するマテリアが見えた。

 

「やりすぎですよ。イノセンティア」

 

「だって、いちいち発言が腹立つんですよあいつ。上から目線が多いし」

 

「だからってマスターまで悪く言うのは最低だぞ。今度会ったら謝っとけ」

 

「う……」

 

 若干バツが悪そうになるイノセンティア。

 

「へぇ、マテリアのマスターの事が気になるんだ」

 

 その中に割って入るFAGが一人、さっき戦ったフレズヴェルクだ。

 

「あなたは……知ってるんですか?」

 

「まぁね。あいつとはホームグラウンドの店舗が同じだし、……見てみたくない?あいつのマスター」

 

 いたずらっぽく笑うフレズ、豊満な体つきに比べて内面は子供っぽいというのを表情は現しているようだった。

 

「へぇ」

 

「フレズ!駄目だよ!人のプライベートを覗いちゃ!」

 

 それを止めようと彼女のマスターの少年が止めに入る。轟雷とイノセンティアのマスターも同様の事を言って止めようとする。

 

「いいでしょマスター、ちょっと見て帰ってくるだけだから、じゃあ行きましょう!」

 

 あのマテリアの弱みになるかもしれないと、イノセンティアは思うと、ここで止まるつもりはなかった。フレズはアーマーをエアバイクに変形させると、イノセンティアを後ろに乗せて飛び立った。

 

「マスター、ボクの方もちょっと見せたら帰ってくるから心配しないでー!それじゃあ行ってきまーす!」

 

 フレズは店内の窓を開けるとそのままエアバイクで飛び出していった。その様に轟雷も呆れた。

 

「何やってんですか二人とも……」

 

――

 

――三時までもう少しね。……間に合うかしら――

 

 ドローンに乗りながら帰路につくマテリア、途中嫌な事はあったが、それをマスターに悟らせるわけにはいかないと、さっきの事はマテリアは忘れようと誓った。程無くしてマテリアは住宅街の一軒家に向かって降りて行った。それを物陰に隠れながら見るフレズとイノセンティア。

 

「お金持ちかと思ったら、普通の家っぽいね」

 

「まぁあいつのマスターは、ある意味普通じゃないと思うよ。面白い物見せてあげるよ」

 

 気づかれない様に慎重に近づいていく二人、マテリアは隠していた合鍵で玄関のカギを開けると、中に入っていく。暫くして、装備を外し、服を着て出てきた。

 

【挿絵表示】

 

 何かを待っている様だ。と、暫くして小型のバスが走ってきた。派手な絵柄からイノセンティアはそれが何かすぐ解った。

 

「?幼稚園バス?」

 

 来るとマテリアの表情がパァッと明るくなる。扉が開くと一人の女の子が降りてきた。六歳位の子だ。

 

「トモちゃん!おかえり!」

 

 店内で見せた態度とはまるで違う態度でマテリアは出迎えた。

 

「あーマリちゃんだー!ただいまー!」

 

 気の置けない親友と会った様な笑顔で、トモちゃんと呼ばれた女の子はマテリアにかけ寄る。そして掴むと自分の目線に持っていく。

 

「今日もご苦労様です」

 

 保育士の人がマテリアに話しかけた。

 

「こんにちは先生。当然の事ですわ」

 

「……そちらの方は大丈夫ですか?」

 

 彼女の方もマテリアと会うのに慣れてる様だ。

 

「えぇ、今の所は何も問題なくて、今の調子なら来月中に……ん?」

 

 と、マテリアは妙な気配を感じた。というか、ある方向の木に妙にカラスが集まってる。黒い鳥たちが騒いでるのだ。その木には……。

 

「うわぁこら近寄んな馬鹿!」

 

「なんでこいつらこんな時に集まってんの!」

 

 フレズのエアバイクにカラスが群がっていた。マテリアもそれに気づくと何があったか察する。

 

「すぃませぇん……ちょっと失礼。ごめんねトモちゃん、手を離して」

 

 解放され、ひきつった笑顔でドローンに乗ると撃ち出し式の爆竹を持つ。自分がカラスに襲われた時の為の装備だった。ある程度近くによると爆竹を撃つ。強烈な音と共にカラスは驚きその場から一斉に去って行った。

 

「わぁぁっ!……た、助かった」

 

「あなた達ぃ……?何をしているのかしらぁ?」

 

 怒りの漏れる笑顔でマテリアは詰め寄る。

 

「ぜ!全然助かってないぃぃ!!」




初めてドール用の服を購入してみましたが……ちょっと恥ずかしいな……続きはまた明日夜九時に、
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