転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。   作:高ノ宮 伏魔殿

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天使族のテスタントからの要望で、天使族の住む浮遊の大地へ行くことになったメル。

七歳の女の子は旅立ちの朝を迎えた。


と言ってからが長いのはお約束ということで(///∇///)ノ



#11 どうしてソウなルの。

天使族の城へ行くことになったメルは、まるでピクニックにでも行くかのようにウキウキと準備をしている。

 

 

――――コン、コンッ!

 

 

誰かがドアをノックするがモルドーとエリスの二人は教会で安全祈願をするといって出掛けており、家にはメルと俺しか居ない。

 

『誰か来たぞ』

 

「もうっ、面倒くさいなぁ……」

そう言いながらメルは玄関へと向かッて行く。

 

 

どうせまた村長のジジイだろう。

 

 

――――カチャ、「どなたですか?」

 

そこにいたのは村長のジジイではなく、メルより3つ年上の男の子だった。

 

男の子の名はバース、暗い青の髪に黒い瞳が特徴的な村の子供の中では希少なしっかり者タイプの少年である。

 

 

 

キリッとした顔立ちがイケメンオーラを出している小生意気なクソガキだ。(※個悪魔的なイメージです)

チッ、イケメンがうちのメルに何の用だ!帰れ帰れ!

 

 

その後ろには付いてきただけなのだろう、メルより小さそうな男の子が突っ立っている。

 

バースの弟であろうか、目の色は同じだが黒い髪をしており、間抜けそうな顔をして鼻に指を突っ込んでいる。 

 

 

「メル。あのさ、遠くへ旅に行くんだって?」

バースは小さな声でボソボソとメルに聞いた。

 

 

ん?この感じ。何かザワザワした甘酸っぱい感情が俺の中から込み上げてくる。

 

 

メルは「うん」とだけ言った。

 

 

「あ……。えっと……。危険な旅になるの?」

やっと出た言葉を心配そうな顔で口にするバース。

 

 

「さぁ?」

メルは短く返すと、首を傾げ、両方の手の平をパッ見せる“分かりませんポーズ”をバースに見せた。

 

 

なにやら俺の中で、先程までとは違う感情が湧いてくる。

頑張れ、バース!

 

 

バースの奮闘を知ってか知らずか、後ろの男の子は鼻に指を突っ込んだまま。

 

 

「あ、あのさ。僕、年上なのにメルよりすごく弱いけど…それでも役に立てる事もきっとあるから……だから僕も行くよ!」

バースの頬が紅く染まる。

 

 

見直したぞバース、お前は頑張った!

二回も受け流されたのに良く言った!!

お前がついて来るなら、俺がお前も守ってやるよ!

 

 

「いや、無理でしょ……。来なくて良いよ。」

 

 

はい、ムリー。バース君残念!

 

メルももう少し歯に衣をというか、やんわり言ってやれば良いのに、冷たすぎるよな。

 

それとも、七歳にして魔性の女なのかっ!?

 

そりゃあ、メルに比べたらバースなんてポンコツのガラクタで使えないクソ団子だよ。

 

おっと言い過ぎた。

 

 

「けど、僕はメルが好きなんだ!!心配だからついていきたいんだよ!」

 

今日一番の男らしさを見せたバース。

 

 

なんと!この子言ったでぇぇぇぇ!おっちゃん応援したる!

 

 

「そう、私まだそういうの要らないから。ごめんね。」

悩む素振りも見せずに即答するメル。

 

 

バースの顔が一気に暗くなる。唇を噛み締めて、泣くまいと堪えている。

 

 

バース、初恋ってのは焦げたゴーヤより苦いよな。

俺も恋愛には苦い思い出しか無いよ。

 

 

しょんぼりするバースの後ろで男の子が鼻に指を突っ込んでいる。

 

 

いい加減に鼻から指出せよな!

 

 

「じゃあ私、準備があるから」

そう言ってメルは自分の部屋へ戻っていった。

 

 

その場に残されたバースは見てるこっちが切なくなるくらい涙を堪えている。

 

少年よ、可哀想だが恋した相手が悪い。

あの娘は少年が思ってるよりずっと年上なんだ。

 

 

バースは目を一度だけ擦ると、後ろの男の子に声をかけた。

「兄ちゃん、フラレちゃった。……帰ろうか、マドカ」

 

 

男の子は返事もせずに、歩き出したバースの後ろをついていく。

 

 

あれ?今マドカって言ったか?

この世界で俺と同じ名前が居るとは珍しい。

 

しかも鼻に魔物が潜んでいるような子供だったし。

 

おし、切ない気持ちを切り替えて外でも見てくるか!

 

 

スィーーーン!

 

 

「ちょっと待って!準備終わったから私も行くー!」

 

そう言いながらメルがドタドタと走ってきた。思ったより荷物は少ないようだ。

 

 

『おう、しかしバースはあれで良かったのか?まぁ、俺が口出すことじゃ無いんだがな』

 

メルの荷物を軽く浮かせながら野暮な事を聞くルベルア。

 

 

「うん。私、前世から男性不信だからあれで良いの」

メルは少し俯き、口を尖らせた。

 

 

男性不信になった理由は……、聞かない方が良さそうか。

メルは以前から前世の事をあまり話したがらないが、それも何か関係してるのかな。

 

 

『そうか、なら仕方ねぇな!』

 

ルベルアは自分の手をひとつ増やすと、その手でメルの頭をワシワシと撫でた。

 

 

それを少し鬱陶しがりながら苦笑するメル。

 

 

二人がそんな事をしながら歩いていると、村長のジジイの家の前まで着いていた。待ち合わせ場所だ。

 

 

「おお、来たのぅメル。待っておったぞ!」

 

村長のジジイは今日も声がデカい。

 

 

その場に居たのは、事の発端であるテスタント、モルドーとエリスの二人はもちろん、村の命運を背負った状況であるメルの旅立ちを見ようと集まった村人達。

 

 

モルドーとエリスはメルへ近づき、お守りと服の上から羽織るローブをメルへと手渡した。

ローブは赤と黒を基調としており、テスタントの服の色合いと少し似ている。

 

 

メルへ手渡す際にモルドーとエリスは―――

 

「これは朝、教会でお祈りをして頂いてきたお守りだよ」

 

「こっちのローブはね、その時にミルザから頂いたのよ、昔ミルザが使っていたんですって」

 

―――と言いなぎらメルのことをギュッと抱きしめた。

 

 

「わぁ!ありがとう!!私、お守りもローブも大切にするね!」

 

お礼を言うメルの表情は眩しい笑顔だ。

 

 

バースに見せた氷の表情とはまるで別人である。

 

 

それに騙されるチョロいモルドーは愛娘に抱きつき、眼鏡が壊れる勢いで頬擦りした。

 

「絶対に無事に帰ってくるんだよ!メルが無事なら村なんて滅んでもいいんだからね!」

 

 

いや、それはダメだろ…。

 

 

エリスは他の村人と笑いながら話している。全く、どれだけメルを信頼してんだか。

 

 

「準備は宜しいでしょうか?宜しければ出発するとしましょう」

 

待ちくたびれたのかテスタントが出発を促す。

 

 

『そういやどうやって行くんだろうな?歩いてくのか?聞いてみてくれよ』

 

気になったのでメルに聞いてもらう。

 

 

「テスタントさん、テスタントさんはお空から飛んで来たけど。またお空を飛んでお城まで行くんですか?」

 

メルはここぞとばかりに子供っぽく聞く。

 

 

聞かれたテスタントは少し口角を緩め、

 

「ええ、そんなところですね。村はずれの広い場所まで行けば分かりますので、そろそろ出発しましょう」

 

そう言い、村の北側へと歩き出した。

 

 

村の南にはウラド山脈がそびえるが、北側にもツナウという山脈があり、陸路での道は直接北側へは通じていない。

 

 

まっすぐ北に向かうってことは、やっぱり浮遊魔法とかがあるのか?空からやって来たしな。歩きじゃなくて良かったぜ。

 

 

集まっていた村人を含めた集団が、北側の村はずれ目指してぞろぞろと練り歩いて行く。

 

 

30分は歩いただろうか、周りにもう家などは無い。

 

 

「ここらならば良さそうですね。皆様、私から離れていて下さい」

おもむろに場所を決めたテスタントが歩みを止め、村人達に言った。

 

 

 

なんだなんだ、何をするんだ?なんか俺まで緊張してきたぞ!

 

 

テスタントが大きく息を吸い、集中しだした。

 

 

期待と不安で緊張し始めたルベルアも、緊張を解くべく大きく息を吸った。

スゥゥゥーーッ!!

 

 

テスタントが魔力を解き放った!

 

「ドラゴフォーム!」

テスタントが魔法を唱えると共に辺りは閃光に包まれる。

 

その場の空気も振動し、軽く砂埃が舞った。

 

コイツは砂埃をたてないと気が済まないのだろうか。

 

 

「ピェー!」

砂埃の中から聞こえた何かの鳴き声。

 

 

メルや村人達がゴクリと息を飲む。

 

 

そして、それは砂埃の中から姿を現した!

 

 

 

ルベルアはその姿に衝撃を受けた―――。

 

これは……!ドラゴン!!?ドラゴンなのか!?

 

ドラゴンにしては……小さすぎる!

 

ミドリ亀の赤ちゃんくらいの大きさだ。

 

東京ドーム1/5000個位だ。つっても、もちろん適当だ!

何でもかんでも東京ドームの数で言いやがって!

都会の悪魔共がぁ!

 

あっつ、今はそんな話じゃなかった。申し訳ない。

 

小さすぎないかコレ、「ピェー!」とか言われても何言ってんのか分かんねぇな。一応、羽はあるみたいだが。

 

困惑するルベルア―――。

 

 

近くへ見に来た村人達も、残念な雰囲気でトカゲを眺めている。

 

 

「多分、乗れっていうことだね?じゃあ皆、行ってきます!」

メルはそう言うと、三センチ位しかない“テスタントドラゴン”に飛び乗った!

 

 

―――ズシッ!

 

 

「プギィーーー!!……ピィ…」

血反吐を吐いて動かなくなったテスタントドラゴン。

 

 

―――えっ?死んでる!?

 

 

(使族)さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!

 

 

ルベルアの心の声は空虚(くうきょ)に響いたのであった。

 




転ツイpoint⑪
【ドラゴン】巨大で翼のある爬虫類の様な見た目の生物。

その戦闘力は強大で、たった1体の竜に村や街が消滅させられることもあるという。

詩人の中でも、4体の神竜が四つの空にそれぞれ君臨していると唄われている程。
但し、もし5㎝以下のドラゴンが居たとしたならばクワガタやカブトムシに代わる男の子の人気ペットになっていただろう。
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