転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。   作:高ノ宮 伏魔殿

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一騒動を経て、ドラゴン化に成功したテスタントは、メルをその背に乗せ飛び立った。

目指すは天使族の住む浮かぶ大地“浮遊城”!


(๑•᎑•๑)
はい、やっと飛び立ってくれました!
そこだけリアルなのかよ!と思うかも知れませんが、やんわり微笑んで下さいっ。



#13 命のオンジンはアナタ。

エンドルゼア東、そこには異常なまでに興奮する小さな女の子と悪魔の姿があった。

 

 

「すごーーい!景色が綺麗ーー!うわぁーーぃ!」

『俺たちは竜に乗っている!!竜だぞ!!ヒャッハーー!!』

 

 

テスタントドラゴンに乗りワルプ村を飛び立ったメル(と、自分で飛べるくせに乗っている悪魔)は北にそびえるツナウ山脈へと差し掛かっていた。

 

 

『プルルルルルゥィッフィーーー!』

「ウィィィィィッヒィィーーーーーー!」

 

 

「あの、喜んで頂けて私も嬉しいのですが、もう少し静かにして頂けますか?何せこの姿だと聴力が普段よりかなり高いものでして」

 

特徴的な低い声で言うテスタントドラゴン。

 

 

ルベルアの声はテスタントには聞こえないので、メルは一人でアホみたいにはしゃいでいた事になる。

 

 

「あっ、すみません……」

耳まで真っ赤にして謝るメル。

 

 

しかしそれでもこの興奮は冷めるものではない。

ドラゴンの存在しない世界から来た二人にとっては夢のような出来事なのだから。

 

 

「テスタントさん!本当にすごいです!!もうツナウ山脈の山頂を越えるんですね!」

 

 

「フフ、せっかくですので少し山肌を掠めながらツナウ山脈を越えて行きましょうか!しっかりお掴まり下さい!」

 

 

何だかんだ言いながら上機嫌だな、テスタントドラゴン。

ニクい演出じゃないか。

 

 

「わぁ!低空飛行ですね!?見たいです!うわぁ!わくわくするー!」

 

メルはテスタントの提案に喜び、しっかりと掴まりながら明るい声を出した。

 

 

キィィィイイン!――

 

 

風を斬って降下して行くテスタントドラゴンが尾根のすぐ上を狙って飛んでいく!

 

 

尾根は早送りの映像のように近づき、その尾根の上スレスレをテスタントドラゴンが飛び抜けた!

 

 

バッチィィイン!―――

 

 

ん?

尾根を通りすぎる瞬間に何か聞こえた気がするが…。

 

 

「い……っ痛いー!!何か当たったー!痛いよー!」

酷い音の後に、おでこを押さえたメルが痛がり始める。

 

 

「むっ!?どうしましたか?」

 

 

「ふぇぇん、何か硬い虫みたいなのが顔に当たりました……」

 

オッドアイを涙でショボつかせて答えるメル。

 

気づけばメルのオデコの真ん中が赤くなっており、

まるで額の秘孔でも突かれたかの様だ。

 

 

「なるほど、地面が近いと虫が居ますからね……、上空に戻りましょう」

テスタントドラゴンは少し申し訳なさそうに言った。

 

 

初めてドラゴンに乗ったメルの思い出は、オデコに硬い虫がぶつかった記憶として残ることだろう。

 

 

メルの興奮は完全に冷め、

黙りきって死んだ魚みたいな目をしている。

 

 

下を見渡せばワルプ村側とは反対側のツナウ山脈北側の景色が広がっている。

 

特に気候が違うわけでは無さそうだが、ツナウ山脈南側よりも緑や木々が多く感じる。

 

 

『なぁ、メル!あとどのくらいで城につくのか聞いてみよーぜ?』

 

 

「えー、別にいいよ。そのうち着くでしょ…」

 

俺の声に素っ気なく返すメル。

テンション下がりすぎだろ!怖いわ!

 

 

「そうですねぇ、後少しで見えてくると思いますが」

 

聴力の上がっているテスタントドラゴンはメルの“一人言”が聞こえたようで、到着時間を教えてくれた。

 

5分……

 

10分……

 

ルベルアの体内時計はかなり正確だ。

 

 

『メル、トイレは大丈夫か?』

 

「うん」

 

 

20分……

 

たまに小さな村が見えたり、湿地が見えたりしていたが、緑の多い地はまだ続いている。

 

30分……

 

またひとつ小さな山を越えると、少し岩場の割合が増えた。

 

40分……

 

 

って…おいおいおい!テスタントさんよぉー!

何が後少しだコンチクショー!

もういっそここでお前を叩き落として自分で飛んで行こうか?

アアン!?とか言ってやりたいが、我慢するか……。

 

 

約1時間…

 

 

「さぁ!見えてきましたよ!あちらが我が主君の治める浮遊城です」

 

そう言うテスタントドラゴンの声は少し高く、嬉しいのが俺にも伝わってくる。

 

 

 

「………………」

メルは険しい表情をしたまま、唇を噛み締めて押し黙っている。

 

 

 

「フフ、少し時間がかかってしまったので疲れてしまったのですね?城に着きましたら主君に合う前に少し休憩致しましょう」

 

黙っているメルの気持ちを察してテスタントドラゴンが声をかける。

 

 

少し時間がかかってしまったので。じゃないよ!

お前は5分つったんだぞ!5分て!

あれから一時間は経っとるわい!

 

 

「………て」

 

 

ん?

 

 

「はや……て」

 

 

『メル?何か言ったか?』

 

 

「早く降りて!って言ってんでしょーオオオ!!」

 

突如として鬼の形相で咆哮したメル。

 

メルの小さな体からは想像できないほどの声量は、まるで魔法が使われたかのように音の衝撃波を作り出す。

 

 

『おおっ!??』

ルベルアも驚き跳び上がった

 

 

「プギィィィィイイィィ!」

メルの超音量の咆哮にテスタントドラゴンの鼓膜が破れ、耳から血を出し叫び声を上げた。

 

 

テスタントドラゴンはそのままフラフラと浮遊城めがけて落下して行く。

 

 

「……………!!」

メルの形相は依然として鬼のままである。

 

よく見ると両手でお腹の下の辺りを押さえている。

 

 

えっ!?まさか!?メルの奴……。

と、とにかく!この状況を何とかせにゃー!!

 

 

ルベルアは魔力体である自らの体に力を巡らせた。

 

気を抜いてすり抜ける事のないように、イメージは巨大な手と翼!

 

 

グググ!変化してゆくルベルアの体――

 

 

『ガァッ!!』

ルベルアは巨大化させた手で落ち行くテスタントドラゴンを“ガシッ”と鷲掴みにし、メルをもう片方の手で“ふわっ”と掬うように掴み上げた。

 

 

――落下が早い!

 

 

ぐう、しかも握り潰さないように加減するのが難しい!!けど、失敗する訳にはいかん!

 

 

――ブワッ!作り出した翼を広げる

 

 

少しでも落下の勢いを殺して浮遊城に着陸出来れば良いが――

 

 

粘るルベルアをよそに、浮遊城は目前へと迫っている。

 

 

『ウォォォォオ!』

――ブワァッ!ルベルアは浮力を高める為に限界まで翼を広げた

 

 

浮遊城は近づくと、かなりの大きさがあった。

城の中に天使族と思われる人達の生活圏もあるようで、住人たちが不安そうに落下してくるドラゴンを見上げている。

 

 

『グギギッ!』

 

ルベルアは歯を食い縛ったが全ての勢いを消すことは出来なかった

 

 

ドォォッ…ン…!――

 

―――……。

 

 

『はぁ、はぁ、何とか…なったぁー』

 

ルベルアは着地に成功した!と言って良いだろう。

 

 

ルベルアは、着地の直前に体の下の部分を伸ばし地面に突き刺した、それにより地面にはボッコリと穴が空いてしまった。

 

とはいえ、テスタントドラゴンもメルも無傷で助けることに成功した。

 

 

いやー、危なかったー!…じゃない!

危機はまだ去ってないんだ!!

 

 

『メル!』

 

 

俺はただメルの名前を呼んだ、皆までは言うまい!

 

 

「ごめんなさい!」

 

メルがルベルアの手から飛び出す。

 

 

―――!

 

 

「すいません!トイレ貸してください!!」

メルは必死だった!誰がなんと言おうとメルは必死なのだ!

 

 

天使族の一人が全てを察してくれたのか、空からやって来た謎の女の子を怪しみもせずある方向を指をさした。

 

「トイレはあそこです!!」

 

 

メルはその場所を確認すると力強く地面を蹴った。

 

もはや“走ると出ちゃう”とかいう次元では無いらしく、もの凄いスピードである。

 

 

「もう少し!!」

メルが叫んだ―――

 

 

ルベルアもメルの背中を押すように叫んだ!

『行っけぇぇぇぇぇえ!!』

 

 

 

―――――少ししてメルは申し訳なさそうに戻ってきた。

 

 

『お帰り、無事に済んだようだね。さて、メル君。

君はアレかね?漏らすくらいなら天使の一人や二人、亡き者になっても良いという考えなのかね?』

 

わざとらしくメルに問いかけたルベルア。

 

 

「ううっ…、ごめんなさい…。

まさかあんな事になるとは思わなくて…。」

 

メルは萎びた風船のような顔をして謝った。

 

そして“ハッ”として周りを見渡す。

「あれ、ルアさん…テスタントさんは何処?大丈夫なの?」

 

 

『ん?ああ、魔法解除(ディスペルマジック)でテスタントのドラゴン状態を解除したら天使族の人が駆けつけて来てな、どうやら医務室に連れてったみたいだぞ』

 

 

その時の天使族の女性は綺麗だったなぁ。ムフフフ

 

 

――と、治療を終えたテスタントも戻ってきた。

 

 

メルの事を恨んでなきゃ良いんだが、

あの状況だから怒ってるかもなぁ。

 

 

「テスタントさん!私、あんな事になるなんて思わなくて!ごめんなさい!」

戻ってきたテスタントを見るなりメルが謝った。

 

するとテスタントは言った。

「メルさん、あなたの所為ではありません!むしろ貴方は命の恩人です!」

 

 

『えっ?』「えっ?」

 

 

続けるテスタント――

「確かにメルさんの声で私は耳をやられました、しかし鼓膜など回復魔法ですぐ治るものです。問題はその後です」

 

 

『……。』「……。」

 

 

「あの時、私は何者かにより体の自由が奪われたのです!抗えぬ程の強大な力で!恐らく伝説の12神の悪戯か、何処かの強大な魔族の仕業でしょう。

あなたが落下の衝撃を和らげていなければ私は確実に死んでいたでしょう。

本当にありがとうございました…!」

 

 

「う…え…っと。気にしないでください…」

メルはそう言いながらルベルアの方をチラッと見る。

 

 

『あの時、コイツはメルの声で完全に気絶したよな?

耳からドバドバ血を流してさ!おまけにトイレ以下の存在にされてよ?へぇー、そっかー。俺は悪者かー。』

 

ルベルアは不貞腐れた。

 

 

そりゃ、俺なんて影状態から実体化しても結局メル以外の奴は俺の姿が見えないよ。それは分かってるさ。

 

けど、あんなに頑張ったのに悪者扱いは酷いよなー。

 

 

そんな俺の様子を見たメルが、身振り手振りで……

 

“私は分かってるから!”

“ルアさん頑張ったから!”

“ルアさん、大好き!大人になったら結婚して!”

という仕草をしている。

 

あ、いや最後のは違うか。

んー、まぁメルが分かってくれてるなら良いか。

 

それにメルが天使達から恨まれる事になったら大変だったしな、うんうん。

そうだ、俺は器は大きく、心は広く!良い悪魔なんだ!

 

 

気を取り直したルベルアは、メルに優しい言葉をかけた。

 

『まぁ、俺はメルが――

 

「しかし、あの様な感覚は初めてでした。あー、おぞましい!まだザワザワしますよ気持ち悪い」

 

――無事だったからそれで良いさ』

 

だがルベルアの言葉に被せる様に、テスタントがその身に感じた嫌悪感を伝えた。

 

 

『………。』

「………。」

 

 

ダァれが命の恩人だと思ってんじゃ!

このクソピクピク天使野郎がぁぁぁあ!

握り潰してやろうかクルァァア!

 

 

怒り狂う悪魔を尻目にうっすらほほ笑む女の子が居た。

 

 

(はぁ、怒られなくてよかった!)

 

 




転ツイpoint⑬
【膀胱(ぼうこう)】生体において腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の器官であり、ここが一杯になると“漏れそう!”という状態になる。


《我慢強い》という言葉は良い意味で使われることが多いが、膀胱が一杯の状態で我慢しすぎると膀胱炎になる恐れがあるので気を付けましょう。

なので膀胱が一杯になったら漏らすのも一つの手である。

えっ、違う?
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