転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。 作:高ノ宮 伏魔殿
しかし、王の口から予想外の言葉が出たため、背中に汗を走らせたが……。
(ノ´∀`*)
理不尽に一人で立ち向かうのはとても大変ですが、仲間が居れば心強いですよね
迫力たっぷりの天使族の王は頭が少し“アレ”だった。
『焦ったー!』
ルベルアの言葉にメルがコクコクと頷く。
「我が主、この者は私の恩人でもあります。 謁見が終わったのちには城下町を案内しようと思います」
一歩前に出たテスタントが王に頭を下げて述べる。
つまり謁見は終わりということだろう。
一時はどうなるかと思ったが、何事も無くて良かったぜ。
テスタントの言葉にゆっくりと頷くと、徐に立ち上がりメルの前に歩み寄った王、小さなメルが余計に小さく見える。
「ふぅむ、人族の少女よ。お前は珍しい眼をしておるな」
メルは背筋を“ピーン!”として答える。
「はっ、はい!」
王が体を屈め、大きな体を小さくしながらメルの顔に自分の顔を近づける。
えっ?キスすんの?スキンシップの挨拶か!?
口をキュッと縛り少し顔を引くメル、
露骨に嫌そうな反応だ。
王は顔が付かないギリギリの所で動きを止め
―――。
「すん…すん…。ふむ、やはり臭うな」
メルの匂いを嗅ぎ失礼な一言。
「あっ……す、すみません」
俯き体を縮こめるメル、その顔がぐんと赤みを増す。
確かにメルは色々あって汗をかいたりもしていたが
旅に出たのは今日なのだから、まだそこまで臭くないだろ。
いきなり人の匂いを嗅いで臭いは無いよな、
失礼な王様だ。
俺がそんなことを考えていた矢先、王は腰に備えてある大きな剣に手をかけた。
なっ――!?
ヒュッ!!―――――ギャリィィン!!
咄嗟にメルを抱いたルベルアの体は謁見の間の扉を突き破り、城の入口まで吹き飛ばされた。
「きゃぁあっ!何が起きたのっ!?」
ルベルアに抱かれたメルが叫び声を出す――
『王の奴が剣に手をかけたと思ったら、いきなり剣を抜いて 振り切ってきやがった!!なんだか分からんが今の一撃、完全にメルを殺す気だったぞ!』
ルベルアはガードが間に合っていなかったら、と想像しゾッとした。
「我が主よ!一体何を!?」
遠くでテスタントの声が聞こえる。
テスタントも何がなんだか分かっていないのだろう。
ヒュッン!!
――なぁっ!?ギィィッン!!
一瞬で目の前に来た王の一撃をなんとか受け流したルベルアは、メルを抱いたまま横に跳んだ――
なんっつうスピードとパワーだ!
『理由は分からんがやるしかないみたいだ!メル、魔法詠唱する少しの間任せて良いか!?』
「ごっごめんルアさんっ!王様の動きが速すぎて私じゃついていけなさそう!」
王の追撃は続く――
―――ヒュンッ!――ヒュ!ヒュン!!
『くっ、分かった!なら少しキツめに包むぞ!我慢してくれ!』
「うん!お願い!」
風圧だけで斬れてしまいそうな王の斬擊をギリギリで避けるルベルアがメルに言うと、メルも体にグッと力を入れた。
王が本気で向かってくる限り、俺の存在がバレないように周りの眼を気にしてたんじゃ殺られる!
『飛ぶぞ!!』――シュンッ!!
ルベルアは一気に浮遊城から200メートル程上空まで飛び上がった。
『ふぅ、なんだってんだ一体、またボケてるのかな?』
「うーん、どうなんだろう。人族が嫌いなのかな?」
『とりあえず、今のうちに強化魔法かけとくぞ。相手が王様だからって黙って殺られるくらいならこっちも本気で行ってやろうぜ』
「王様………、私が良い子じゃないから怒ってるのかな」
『あぁ?何言ってんだ?良い子、悪い子なんて人によって基準が違うもんなんだって!そんなのいちいち気にしてたら人生損するぞ!』
「けど、私のお父さんは……、人を刺したから。周りの皆から悪い人って言われてたよ……。だから私も悪い子だって……」
ルベルアの影に包まれているメルの体が小刻みに震え出す。
急にメルが何でそんな事を言い出したのかは分からないけど、俺は昔から人を励ますのが苦手だ!
俺の頭じゃ相手に合わせた言葉なんか浮かばん!
『だぁー!メルも前世は中々ディープな人生だったみたいだな、お前の父さんは人を刺したのか……!でもそれは、悪い子じゃなく犯罪者って言うんだ。そしてな、悪くないお前を悪者扱いした奴等が本当の悪い子なんだ!覚えとけ!!』
あれ?俺ちょっと調子に乗っちゃった!?
いや、俺は異世界人なんだから、これくらい言わないとノリが悪いと思われるだろ?
異世界人は調子にのるものなんだ!
独自の理論を作り出すルベルア。
『それにな、今の俺達は王様に反撃しても良いだろ』
「うぅ…うっ…。ふ…ぐぅ…。なん…で…?正当防衛だから?」
いつの間にか完全に泣いていたメル、
何かが切っ掛けでメルのトラウマが引き出されたみたいだ。
『違げーよ!俺が悪魔だからだ!!』
ルベルアは嫌な気配を感じ“キッ!”と下を向く――
王が何かしてきそうだが、今のメルを戦わせるのは気乗りしないし、
仕方ない……アレを!
いや、ここだとまだ城下町の人に被害が出るか。
◇
――約四年前、俺は自分の能力の凄さに酔っていた。
この世界の魔法は、自分のイメージとそれに見合う魔力さえあれば自由に作ることが出来る。
それに気付いたとき、中二心に火がついた俺は、メルと考えた名前“ルベルア”の由来とした悪魔をモチーフにして強力な魔法を作り出そうとしたのだ。
特質の能力で魔力が有り余っていた俺はそれら三つの魔法を作ることに成功し、作った魔法はぶっ放したくなるのが脳筋の性。
その安易な考えで村からずっと東側へ行った所の草原に、新たな湖を作ってしまった。
幸いにも村人からは星降り、つまり隕石が落ちたという事で落ち着いたが、その時の罪悪感で自ら封印していた魔法があるのだ。
◇
―――あの王は頭のネジが数本抜け落ちてるが、強さは本物だ。
メルが本調子じゃない今、俺の実体化だけじゃ戦闘が長引くだけだ。
使うか、それともこのまま逃げるか……。
――!!
下から何か飛んでくる!
竜だ……それも一体じゃない、
10体以上の竜!
バサァッ!バサッ!
「むぅ、人族の娘が踞ってるだと?どんな手段を使って宙に浮いておるのだ。空を飛ぶような魔法を使えるほど魔力は感じられんが」
テスタントドラゴンに乗ってやって来た王、
周りのドラゴンは城に居た兵士で間違いないだろう。
王の言葉を聞くにメルを完全に包み込んだ状態でもルベルアの事は見えていないのは明白である。
そんな王達にとって、空中でポツンと泣いている女の子はさぞ不思議な光景であろう。
テスタントドラゴンは黙っているが、無理をしているようにも見え、恩人と戦いたくはないが王に逆らうことも出来ない……といった所であろうか。
「…………グスッ。」
メルはルベルアが思うよりも重症らしく膝を抱えたまま震え続けている。
『王様!まずは理由を言ってくれ!』
と言っても俺の声は聞こえないんだよな。
「ふぅむ、見えぬ力で我が剣を防ぎ、空をも飛ぶ。魔力も感じられんのになぁ、ふっふふ。本当に何者なのだ!貴様から奴の臭いがするのは何故だ!!」
「……何の事か分からないよ…。分かる訳無いじゃん。」
「我が主、メルさんには戦う意思が感じられません、なぜ主はそれほどまでに怒っておられるのですか?」
王を鎮めるように語りかけるテスタント。
「テスタントよ!若輩の貴様では知らぬだろうがな、1200年前に我ら天使族と戦争し、その果てに我らが大陸の多くを落とした魔王、忘れはせん!
魔王ハールバドム!奴の臭いがこの少女の右眼からするのだ!邪魔立てするなら貴様も死ぬか?テスタントよ」
王から放たれる殺気が膨れ上がる。
テスタントはメルの方ををじっと見た後、顔を伏せ沈黙を守った。
王が怒ってる理由をなんとなく、理解したルベルア、
しかし、それを聞いた事でルベルアにも怒りが湧く。
今でも大きく感じた浮遊城は昔はさぞデカい大陸だったんだろうよ。
もしかしたら、ここ以外にも沢山存在してたのかも知れねぇ。
それを落とした魔王ってのと同じ臭いがしたのはきっと、俺の所為でメルの右眼に魔族と同じ魔力回路が宿ったからだろうな。
だからって千年以上前から生きてる奴が、千年以上前の事でたかが七歳児相手にここまで怒るこたないだろ!
ルベルアの瞳が黄色から赤へと変わってゆく。
『これだから年寄りは昔のことばかり引きずりやがって!城下町で平和に暮らしてる天使が沢山いるのに平気で暴れるしよ、相手してやるからかかってこいよ!』
―――シュンッ!!ルベルアは300メートル程西へ移動し、王を待つ。
自分の攻撃で城下町に被害が及ぶのを嫌がったからだ。
『
それはルベルアが覚えている中で最高の
おー、探してる探してる。必死だなぁ。
メルはルベルアの中で膝を抱えたまま顔も埋めている。
ふぅ。
『メル。お前は生まれた時から“
うおー!クッサイセリフを惜しげもなく言ってやった!
クッサー!!恥ずかしー!!帰りてー!
けど……これは俺の本心だ!!
おっと、王に場所が気づかれたな。
王と天使族の一団は浮かんで見えているメルの元に、凄いスピードで向かってくる。
とは言っても魔法で視覚強化済みのルベルアからすれば、まるでスロー再生だ。
さて、やるか―――!
「小娘が、またも逃げおって!次は逃げる間もなく首を飛ばしてやるわ!!」
王様は殺る気に満ち溢れている。
チャキッ!剣を抜き放つ王――
――――ルベルアの怒りと集中力が最高に達する。
『泣いて謝るなら今のうちだぞ天使族の王よ!
転ツイpoint⑮
【クッサー】人は総じて愚かな生き物である。
しかし、自らを理想に近づけようと日々努力することの出来る生き物でもあり、
その努力は他人から見ても本人がどれほどの苦労をしているのか判断するのは難しい。
例え楽そうに見えても、または無駄な事に見えても、他人の努力を決して笑ってはいけないのだ。
その心がけが、いつか自分が努力しなければならなくなった時に自分を助ける事にも繋がる。
自分の努力は自分が一番分かっているのだと。
何言ってんだコレ!
クッサー!!←コレ