転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。   作:高ノ宮 伏魔殿

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雲ひとつ無い美しい空の上、そこには荒ぶる天使王と大切な人を泣かされ怒る悪魔の姿があった。

二人の戦いは佳境に入り……。




(*´∇`*)
バトっちゃってます!


#16 ミンナと寝ると寝付けなイから起きとく。

集中力が最高に達したルベルアは魔力を爆発させた

 

目覚めし悪魔伯爵(アウォーク・アモン)!』

 

詠唱の瞬間と共に黒い霧が辺りを包み込む。

 

 

「むっ、止まれテスタント!!皆も待て!!…………なんという魔力、これ程の魔力を隠していたとは!小娘の分際で小癪な!」

 

突撃を止め兵を制止した王は黒い霧を払おうと力任せに剣を振る。

 

しかし霧は払われる事無く、その中心へと吸い寄せられるように集まって行き、やがて禍々しいルベルア(悪魔)の姿を映し出した。

 

 

王と一団は突如現れた黒き化物を見上げ絶句、

 

大きな王より遥かに巨大な黒い影、頭には二本の鋭い角、丸く光る不気味な赤い瞳。

 

如何にも強靭そうな腕の先には狼のように鋭い爪が黒い光沢を見せ、その体の下側は鋭い牙を持つ大蛇の影となっている。

 

その姿に十体のドラゴン達は後退りし、王でさえ一瞬呆気にとられた。

 

動揺する戦士達を気にかける事もなく、黒き化け物から腹の奥を震わせるような声が響き渡る。

 

 

『その反応、ここまでしてやっと俺の姿が見える訳か……。四年前じゃ、こんなに多くの魔力は使わなかったからな』

 

 

ルベルアは実際の所、少し嬉しかった。

何をしても、声も姿も伝えられなかったというのに、こうして姿が見え声を聞いている者達が居る事が。

状況が違ったなら抱きついて涙していたかもしれない。

 

 

「おのれ、化物め!幻魔族か?それが貴様の正体か!!我が積年の恨み、今こそ晴らそうぞ!」

 

周りのドラゴン兵とは違い王の戦意は失われる様子がなく、剣を握り直し切っ先をルベルアへと向ける。

 

 

『なんでお前に恨まれなきゃならねぇんだ、俺もメルも生まれて七年しか経ってないってのに大昔から生きてる奴に恨まれる筋合いなんて無いんだよ!まぁ、やられっぱなしも癪だし折角だから相手はしてやるけどな!』

 

 

悪いがお前の機動力の弱点は知ってるんだよ。

 

 

「舐めるなよ化物め!」

 

王はテスタントドラゴンを巧みに操りルベルアの右後ろに回り込んだが、ルベルアは難なくそれを眼で追っ――

 

 

うっ!?光が!

 

 

太陽を背にして回り込んでいた王、逆光によりルベルアの反応が僅かに遅れ、その隙に上段に構えた剣を一気に振り切った。

 

 

 

避けるのは間に合わないが、避けるまでも無い!

 

『オオオォォォオオウウゥゥゥウオオオウ!!』

 

雷鳴の数倍の大きさの咆哮、音の衝撃で王の体は仰け反り、空気は激しく振動、それと共にテスタントドラゴンの耳からは血が流れ大きくふらつく。

 

テスタントドラゴンと違い聴覚がそれほど高くないドラゴン兵でさえ意識が薄れ落下しかけた者も多い。

 

 

テスタントの上でバランスを崩した王は矢庭に体勢を立て直したが、その僅かな隙を突いてルベルアが急接近し、大きな手を広げ爪を立てた両手で王を挟み潰す。

 

 

――ガギィインッ!!

 

 

火花を散らす爪と剣

 

 

ギギ…ギチ……ギ……!

 

 

巨大な両爪を剣を横にし辛うじて受けた王だが、そこをルベルアの影の大蛇が狙い飛び付く。

 

剣を塞がれている王は迫る影の大蛇を一蹴、その勢いを利用し後ろへ跳躍した、跳躍した先に足場が無い事など考えずに。

 

 

「むっ!!しまっ…!!」

 

 

後ろへ跳んだ王の動きに意識が朦朧としているテスタントドラゴンはついていけず、霞む意識の中で王を眼で追うのがやっとであったのだ。

 

 

『オォォォオオオオオオアアアウウゥゥ!!』

 

ルベルアが再び容赦のない咆哮を上げ、衝撃波となった声がドラゴン化した天使達を襲う。

 

連続して三半規管を揺らされたドラゴン兵達は完全に戦意を失い上空からフラフラと落ちて行き、到頭(とうとう)テスタントドラゴンも重力に抗う事無が出来なくなり落下を始める。

 

 

耳が良すぎるのも考えものだな……

テスタント、お前は以外と良い奴だったよ。

 

 

あれ…?あいつ、あのまま落ちたら死ぬのか?

死なれるのは困るけど、今は王を倒すことに集中しないと!

 

 

落ち行く王を影の大蛇が追撃、影の大蛇は双頭となって王に襲いかかる。

 

 

ギッ!ギィィン!

 

 

「くぅああ、まだだ!!……ドラゴフォーム!」

 

双頭の大蛇を弾いた王が魔法を唱え、光を纏う――

 

 

 

やっぱり王も竜化を使えるのか!!

 

 

 

――光が収束し、ドラゴンではなく人型のまま背中に翼を生やした王が姿を現す。

 

ビュ!ビュワッ!――

 

ルベルアの影の大蛇の攻撃はこの間も続いていた――が、

 

キュッ!!――

 

王は翼を捻らせ、その反動で影の大蛇の攻撃を避けると

 

――ッスパッッ!!

 

そまま体を回転させ、下から振り上げた剣でもう一本の大蛇の頭を切り落とした!

 

 

 

「ゼェ…ゼェ…。魔族めが!お前を終わらせてやろう!」

 

先程までは息切れ一つ無かった王が、呼吸を苦しそうにしている。

 

 

を?もしかして魔法を使ったせいなのか?メルと同じ剣士特化で魔法が苦手なのかな。

どうであれ、俺としてはこの好機を逃す訳にはいかない。

 

 

『メルを泣かせた分は返させてもらうぞ!』

 

 

ルベルアの意思に呼応して両眼に魔力がみなぎっていく。

 

 

高ぶるルベルアの魔力に対抗するように、軋むほど体に力を溜め始める王。

 

「余の期待に応えよ、神器・選定ノ剣(ソードオブリブラ)!」

 

王は詠唱しながら力強く羽ばたき更なる上空へ舞い上がると、光りを放つ剣の切っ先をルベルアへと向けて一気に急降下した。

 

王のスピードが音速の壁を破り“ッパァン!”と音を立てる。

 

 

 

王が急降下を始めるより少し早く、魔力を爆発させていたルベルア。

 

俺も《アウォーク・アモン》の真骨頂を見せてやるよ!

 

 

刻の悪戯(クロノスチェイン)!』

 

 

ルベルアが魔法詠唱を終える頃には、王の剣が既にルベルアの額を捉えていた。

 

額に突き刺さる刃は放っている光の輝きを増しながら頭深くへとめり込んでゆく――!

 

 

「フハハ!討ち取っ――

 

王の剣がルベルアの頭を貫通するかと思えた刹那、黒い影が広範囲に広がり、辺りが闇に包まれる。

 

――っ取ち討!ハハフ」

 

その広がった闇が再び収束をはじめると、王の頭上に 剣が突き刺さったはずのルベルアが拳を構えた状態で現れ、

 

王がそれに気付く間もなく巨大な拳が渾身の力で繰り出される。

 

 

――――ッドッォオオッンッ!!

 

 

「!!―――っガッふっ!!」

堪らず王の口からは多量の血が吐き出され――

 

全身にめり込んだ巨大な拳は勢いが殺される事無く振り抜かれた。

 

キュンッッ!!――――ドッッガァッッン!

 

無防備に受けた攻撃に対処する術もなく、とてつもないスピードのまま地上へと落下し叩きつけられた王。

 

 

巨大な拳に残った手応えで、勝利を確信するルベルア。

 

 

「ルアさん!」

 

 

『おっ、もう大丈夫か?』

 

 

「ルアさん!私の我が儘だけど、テスタントさん達助けられないかな!?」

 

 

メルの言葉に“ハッ”とするルベルア。

 

 

確かに死なれたら後味が悪い!テスタント達が落ちはじめて一分近く過ぎたか!?ここは雲よりも浮遊城よりも高い位置だ、地上までならまだなんとか!

 

 

『行こう!防壁陣(ウォード)!』

 

 

ルベルアは出した防壁陣に、バネのように丸めて力をためた影の大蛇を押し当て、同時にその力を解放した――

 

 

ヒュアッッ!ッパァン!

 

 

ドラゴン達はふらふらと落下していたが、ルベルアはそれを追い越しあっという間に地面を捉える。

 

 

 

王は見えなかったけど、下にクレーターがあるから多分あれが王だよな。

 

 

 

キュッ!ッ、ブワアッ!

 

ルベルアは大地にぶつかる前に急停止したが風圧で砂埃が巻き上がる。

 

 

『影の大蛇よ!ドラゴン共を喰い千切れ!!』

 

 

じゃなかった!!

 

 

『影の大蛇よ!ドラゴン共を受け止めろ!!』

 

ルベルアから一斉に十数本の影の大蛇が飛び出すと、ドラゴンを咥えて地上へと降ろした。

 

 

 

ふぅぅ、これでひとまず安心か。

王様は分からんけど、アイツは丈夫そうだから多分大丈夫だろ。

 

 

 

「あの、ルアさん……」

 

 

『あ、おお。もう出しても大丈夫だよな、スマン スマン』

 

 

メルの奴、少し眼が腫れぼったいけど気にしなくとも良さそうかな……とにかく無事で良かった。

 

 

「ルアさん……」

 

『ん?』

 

「……ありがとう」

 

ルベルアの事をギュッと抱きしめたメルは色々な思いをのせ、精一杯の笑顔を見せた。

 

 

『………!ぅ…………おう!!』

 

 

危ない、グッと来た!まぁ、涙無いんだが。

 

おっと、魔力無限さんの俺とていつまでもこの姿じゃちょっとキモいか。

 

 

『メル、元に戻るから少し離れてくれ』

 

 

「うん!」

 

 

霧散(ディスペル)!』

 

 

 

ボアッッ――!

 

 

 

黒い霧が辺りに散り行き、巨大な黒い悪魔は姿を消した。

だが、メルは霧が消えた後もキョロキョロしている。

 

 

 

ふぅいいー、疲れた疲れたー!気分的に!

 

 

 

『さて、メル。とりあえずみんなを連れて浮遊城に行こうか!』

 

 

ん?いつもより高い声が出るぞ?

 

 

メルは俺の方を見て“ビーバー”みたいな顔をする。

「わぁーー!ルアさん!ええーっ!」

 

 

『どうちた!メル!』

 

 

何処かから、ヘリウムガスを吸った変態みたいな声がする。

――ん?まさか俺の声か!?

 

 

 

「ルアさんが!小さくなっちゃったーーーーー!!」

 

『えーーーーーーーーーーーーーっ!!(ソプラノ)』

 




転ツイpoint⑯
【ヘリウム】元素記号 He 。原子番号2。原子量は……はい、分かりませんよ。

酸素と混ぜて声を変化させる吸入用スプレーとして多く知られている名前である。

しかし、ガスには違いないので使用方法を間違えると大変危険な事態を招きます。

使う場合は絶対に説明を読み正しく使いましょう!

エンドルゼア保安局からのお知らせです(ソプラノ)
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