転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。   作:高ノ宮 伏魔殿

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天使族の王との激戦を終えて浮遊城へと戻ってきたメルとルベルア。

一晩の休息で疲れを癒した二人だったが、翌朝再び天使族の王の元へと連れていかれたのであった。



(´,,•ω•,,)
まだ小さな子供だから……。こういうこともあるんです……。



#18 偉いヒトの話はナガイ。

“浮遊城”謁見の間、

 

しゃしゃり出たテスタントの返事は、天使族の王に沈黙をもたらす。

 

 

いや、なんか喋れよ!

 

 

「テスタントよ、少し外してくれ」

 

王がポツリと命じ、それに従い部屋から出るテスタント。

 

 

「ふむ、まずは今回の件について余が詫びるのが先か。確かメルと言ったな、余が持つ過去の私怨を其方に強引に押し付け、その命を奪おうとしたことを心より謝ろう」

 

王は玉座に座ったまま少し頭を下げた。

 

 

なんて偉そうな謝り方なんだ、

床に頭を擦り付けて足でも舐めやがれコンチクショー!

 

おっと、俺には足無いんだよな。

 

 

王は更に続ける――

「しかし、言葉だけでは足りぬだろう。余が死ねば浮遊城は落ちるのだからな……つまり其方は余だけでなく浮遊城に生きる者達すべてを生かしてくれたという事になる。そこで、詫びとして余の側近であるテスタントの首を渡そう。どうか、首ひとつで今回の事を不問にしてくれ」

 

そう言うと、今度は立ち上がり深く頭を下げた。

 

 

――はっ?首?いやいやいや怖い怖い怖い!

 

 

脇に控えている兵士達も動揺して動くのが見える。

 

もちろん動揺したのは兵士達だけでは無く、

 

「ちょっ、ちょっとお待ち下さい王様! どうしてそう言う話になるんですかっ!? 私はテスタントさんの首なんて欲しくないですっ!!絶対に要らないです!絶対に絶対!!」

 

メルは必死に訴えた。

 

 

が、そんなに必死に嫌がると逆にテスタントが可哀想に思えてくるんだが、首を欲しがるメルなんて見たくないしまぁ良いか。

 

 

「ふむ。テスタントの首では納得できんか。とはいえ余の首を渡しては皆まで地上へ落ちる事となる、渡す気も無いがな。ひとつで足りないと言うことならば……」

 

ブツブツ言いながら、王は控えの兵士達を眺める。

 

その視線を受けた兵士達は先程よりも動揺し、鎧をガチャガチャと鳴らす。

 

 

 

この王様、発想が本当イヤ!

 

 

 

「王様!私は誰の首も要りません!!ただ、私やワルプ村の皆の事をそっとしておいて欲しいです!!」

 

メルは叫びながら、激しい身振り手振りで称号“首コレクター”の獲得を拒絶する。

 

 

「何も要らぬか。何も渡さなくとも其方が暴れないと言うのならば、それは悪くない話だが」

 

王は少し不思議そうな顔をして頷いたが、まだ少し信用できないといった様子だ。

 

 

 

って、元々(もともと)暴れたのはアンタだろ!

 

 

 

「はい、何も要りません。けど、出来ることならワルプ村と仲良くして頂き、私がこの島で自由に歩くことを容認して欲しいです」

 

メルはそう言うと体をくねらせ“おねだりポーズ”をした。

 

 

メルのやつ、子供の必殺ポーズを使うとは!

 

 

「この島を其方の自由にさせろと申すか!むむぅ、つまり余にワルプ村の傘下に入れと!?」

 

途端に険しい顔を見せる王。

 

 

 

コイツは何言ってんだ、あんな田舎村の傘下になんか入ったら村長のジジイが調子に乗るだろ!思い違いも大概にしろよな!

 

 

 

「えっ!いや、そうじゃ…」

メルが慌てて言いかけたが―――。

 

 

―――王は聞かずに話を続けた。

 

「いや、本来ならばあの時奪われたはずの命。やむを得ないか……ならばひとつ、余の質問に答えるが良い」

 

 

「あっ、えっ?えっと、はい」

メルの情報処理は追いつかない。

 

 

「あの時、余はどうやって負けたのだ?其方は余の剣を、あの“最強の切り札”を避ける間など無かったはずだが」

 

 

王は悔しそうに、自分より実力が上の者が居ることを思い出し顔を強ばらせ、メルに問う。

 

 

「えっ…と。私は分かりませんが…、ちょっと聞くので待ってください。ルアさん…?」

 

メルは俺の方を見ると、体をくねらせ助けを求めるように聞いてきた。

 

 

俺にはそんな格好しなくても普通に答えてやるのに……

『あー、あれはな…』

 

 

が、またも人の説明を待たずに話し出す王。

 

 

王(コイツ)はどうやら、マイクを持つと離さないタイプだ。

 

 

「む?ルア?ここに其方以外の者が居るのか?」

 

 

「はい、私が生まれた時から一緒にいる悪……、妖精が居ます。普段は私以外の人は姿を見ることも声を聞くことも出来ないのですが、あの時妖精さんは私を守ろうとして凄い量の魔力を使ったので王様や兵士さん達にも見えたのだと思います」

 

言葉を選びながら説明するメル。

 

 

それを聞いた王は一瞬目を瞑り考えると“カッ”と眼を開き言った

「あの黒いのはお主の真の姿では無く、その妖精だというのか!!」

 

 

「はい!妖精さんです!」メルは“ビクッ”と肩を上げ、イエッサー!とでも言わんばかりに即座に返事をしたが、

 

 

「あの見た目は悪魔であろう!!」

王の眼は血走り、鼻息荒く妖精論を却下。

 

 

「はい!悪魔です!!」

王の迫力に背筋が伸びきったメルはあっさりと認めた。

 

 

天使と悪魔じゃ犬猿(けんえん)の仲だろう、

これはヤバい流れか。

 

 

「そうであったか、幻魔族の類いか?まだこの世界にも悪魔が生きていたか。大昔、瞬く間に魔族が増えてな……それまで魔族の上に君臨していた悪魔族も数には勝てず、気付けば悪魔族の姿を見なくなったのだ。それは天使族もまた同じだがな。種族で言えば古き喧嘩相手であるが、この世界に新たに生まれたばかりの悪魔ならば余の知る魔族とは何の繋がりも無かろう。しかし、ならば何故ハールバドムを思わせる臭いを感じたのか……余も鼻が狂ったものよな」

 

王は遠くを見つめ、顎の髭をゆっくりと触りながら語った。

 

 

 

これは、大丈夫なパターンか。

 

 

「……。」

 

メルはモジモジしている、なんと返事をすれば良いか分からないのだろう。

 

 

「分かった。この浮遊城が傘下に入ることを認めよう!但し、お主は自由にこの街と交流してもよいが――

 

 

が?何か嫌な予感がする…

 

 

――お主が交流している間はその悪魔と戦わせて貰おう!」

王は眼を輝かせ言い放った!

 

 

「えと、ルアさん、良い?」

モジモジしながら聞いた来たメル。

 

 

うーん、そんな可愛い顔で頼まれてもなぁ……

 

『また小さくなったりしないかなぁ。俺はこんな体だから殺られるとは考えにくいけど、命の取り合いなんて嫌だしさ』

 

 

メルがうるうると見つめてくる。

 

 

『まぁ、いっか』

 

 

「王様、私を守護してくれている“ルベルア”という名の悪魔さん、彼が良いと言ってくれたのでその条件でお願いします!あっ、傘下とかは考えなくて良いんで」

 

メルはクネクネしながら王に伝えた。

 

 

今はクネクネポーズ要らないんじゃないのか?

 

 

「そうであるか!余の枯れた闘志もまた燃え盛るというもの!しかし、殺されては敵わぬからな、保険という意味で其方の傘下には入らせて貰おう!ガッハッハッハ!」

 

 

 

うわー、コイツ。戦闘狂(バトルマニア)かよ!

 

 

 

「テスタントよ!話はついた!戻って参れ!!」

王の呼び声にテスタントが謁見の間へと戻ってきた。

 

 

「我が主よ、どのような話になったのでしょうか」

 

 

テスタント、危なくお前の首はメルの物となってスプラッター人形の横に飾られる所だったぞ。

 

 

「うむ、我が“浮遊城”はワルプ村……もとい、メルの傘下となった!明日までには全ての住人達にも周知の事実とせよ!」

 

 

「なっ……主よ!聞き直すことへの無礼をお許しください!本当に宜しいのですか!?」

 

堂々と言い放った王に対して、テスタントは驚きを隠せずに聞き返す。

 

 

「ミハエル・カーライルの名において宣言する。考えは変わらん!皆、メルに無礼を働くことの無きようにせよ!」

脇に置く剣を掲げ力強く言い切る天使王ミハエル――

 

 

「ハッ!では今すぐに知らせてきます!メルさんには後程この街をご案内致します!」

そう言うと、テスタントはミハエルへ一礼し、直ぐに謁見の間を飛び出した。

 

 

というか、王様の名前が初耳なのだが、

いかにもって感じの名前だな。

 

 

大事になった話を聞き、ずっとモジモジしているメル。

 

 

「ふぅ、これで後には引けぬな!ガッハハ!まぁ、余は良き遊び相手が出来たことを喜ぶとするか!メルと、確か……ルピーリアとか言ったな。末永く宜しく頼むぞ!」

 

ミハエルはそう言うと、メルへ手を差し出した。

 

「はい!こちらこそ宜しくお願いします!」

 

『聞こえないだろうけど、宜しくな!後、名前全然違うぞ!』

 

ミハエルとメルはガッシリと握手をした。

 

 

「あの、ミハエル様…」

可愛らしくモジモジしながらメルが呟く。

 

「どうしたのだ?メルよ!其方は小さき少女だが、余を負かした悪魔の主なのだ、もっと胸を張るが良い!」

ミハエルは優しい声だが、その言葉はとても力強く頼り甲斐がある。

 

 

「すみません、ミハエル様……あの……トイレを貸して欲しいのですが」

耳まで真っ赤にしたメルがボソボソと言った。

 

 

ずっとモジモジ クネクネしてると思ったら、トイレ我慢してたんかいぃぃぃっ!!

来る前にしとけよ!ばかちんがっ!!

 

 

メルに頼まれ、ミハエルが叫ぶ――

「我が盟主メルにトイレを案内せよ、メルが漏らすは、余の顔に泥を塗る行為と思うがよい!全ての天使は全力で支援せよ!!」

 

 

ミハエルはどうでもいい事を、世界の危機かのように叫んだ。

 

 

メルの顔は煙が出そうなくらい赤くなり、そのまま控えの兵士達に担がれて城の外へと運ばれてゆく。

 

 

――暫くして、城の外で大きな歓声が湧き起こった。

メルはこの日を一生忘れないだろう……。

 

 

思いがけない事が沢山あったとはいえ、まだ二日目のこの旅。

天使族がメルの傘下に入るという驚きの結果をもって、ルベルアとメルの“初めてのおつかい”が完了した。

 

 

 

まだ来たばかりだから、もう少しゆっくりしてから帰るとするか!

 

 

 

その頃、危機を脱した一人の少女は浮遊城の住人達に訳もわからずに胴上げされていた。




転ツイpoint⑱
【天使族のトイレ】天使族は体内に接種した物を排出することが無い為、基本的にトイレを使う種族では無い。
なので浮遊城に在るトイレの数は少なく、体調の悪いときに使うか、外部からの旅人が来たときに貸す程度であった。

しかし、覇王歴1383年に天使王ミハエル・カーライル及び浮遊城が人族の傘下に入った事により、トイレの重要性が認知され浮遊城のトイレの数を増やす事に。


「人族がモジモジクネクネしだしたら、それは危険のサインである!」
天使王ミハエル・カーライルの言葉より
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