転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。   作:高ノ宮 伏魔殿

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謎の少年・マドカにより、元の世界へと戻されていたルベルア。

マドカとのやり取りを経て、元の世界と決別したルベルアは、再び“影のような悪魔”としてエンドルゼアに現れたのであった。


(*^▽^*)
前話と同じ時間軸のお話です!


#23 その時、俺ハ。

光に包まれて全てが真っ白になった…。

 

 

この感覚は前にも二度経験がある―――

 

 

 

 

 

気付くと俺は鳥の声がさえずる森の中にいた…。

 

 

「ギャアアアス!」

「クワァアア!」

「ギイィイイイ!」

 

 

いや、これ…さえずるとか言うレベルじゃねぇ!

 

なんか小鳥ってか、馬鹿みたいにデカい鳥だし。

 

てかモンスターじゃね!?

 

 

いや、今はそんなことより俺の体がどうなってるかだ。

 

影だ。影のような黒い手、体。足は……無い。

顔は見えないけど、きっと知ってる顔だろう。

 

戻った!悪魔の体だ!俺はこの世界に帰って来た!!

 

くぅー!このなんとも言えない感覚!

愛しかったぜ!悪魔ボディい痛だだだ!

 

 

エンドルゼアへと戻った喜びに浮かれるルベルア、その肩(的な部分)に突然小さな痛みが走る。

 

 

見ると鳥型のモンスターが俺の肩に止まり、せっせとツツいていた。

 

 

「キィエエエエエエエエエエエ!!」

 

 

うるさっ!耳元(耳は無いが)で鳴くんじゃないよ!

 

 

チチチチチチチチチチチチチチチチ!!

 

 

鳥型のモンスターが奇声をあげ、休むこと無く俺をツツいている。

 

 

チチチチチチチチチチチチチチチチ!!

 

 

親の敵のように俺をツツいている。

 

 

チチチチチチチチチチチチチチチチ!!

 

 

それはまるでマシンガ……っ痛てぇっつってんだろ!

 

 

あまりにも執拗なツッツキ攻撃に俺の我慢も限界に達し、右手を振りかぶった。

 

ッパァン!! 「ギャピッ!」 ――ッカサッ。

 

鳥型のモンスターは俺の渾身の張り手で吹き飛んで落ちて行く。

 

 

はぁ、まったく……人の喜びに水を差しやがって!

 

しかし、メルはどこにいるのかな?全く分からん。

 

いつもならメルの居場所は感覚で分かるはずなんだけど……。

 

メルと離れすぎてるってことか?とりあえず飛んで周りを見てみるか……。

 

 

俺は体に“ギュッ”と力を入れ、力強く跳ねた。

 

よいっ、しょ!!――ズシン!!

 

しかし飛んだはずの体は、すぐに地面へと落ちてしまった。

 

 

 

あれ?

 

 

 

俺はもう一度、歯を食いしばり力を溜めると、空へ向かってとび跳ねた。

 

もういっ、ちょ!!――ズシィン!!

 

一回目と同様に、ほぼ浮き上がることなく地面へと逆戻りする体。

 

 

飛べない……、そんな……。

二ヶ月人間として過ごしたから、この体での感覚が鈍ったか?

 

 

俺は嫌な感覚を覚え、改めて自分の体を触って確認した。

そこで違和感に気付く。

 

 

俺、太ったか?ってか、俺デカくね?

おかしい、何かがおかしい。

 

 

――ガサガサッ!

 

 

考え込むルベルアの足元(足は無いが)で何かが動く。

 

 

――ピョンッ!

小さな動物が草の陰から飛び出した。

 

 

 

おっ!?なんだ、ウサギか。

 

って、ウサギちっちぇぇーーー!!

胡麻みたいな大きさじゃねぇか!

 

 

イヤ、胡麻は言い過ぎか……米粒?うーむ…。

って、それはどうでも良いか。

 

 

改めて周囲の景色と比べると、自分の体が以前よりも遥かに大きくなっている事に気が付いた。

 

俺は低スペックの思考回路をフル回転させ答えを導き出そうとしたが、マドカが言っていた“あの瞬間には戻れない”という言葉に鍵がある、という推測で終わった。

 

 

なんかよく分からんけど、俺が向こうでリハビリしてる間に、世界の状況も俺の体型も変わっちまったみたいだな。

 

もしかしてメルの居場所が分からないのもその所為か?

無事だと良いんだが……。

 

 

俺は暫く考え込んだ後、状況を知るためにもワプル村を目指すことを決めた。

 

村に行くにしても、ここが何処かも分からないんじゃ話になんねぇよな。

 

やっぱり跳んで場所を確認するのが手っ取り早いか、気合いを入れて……とうっ!!

 

――ブオッ!!……ドッシィィン!!

 

ルベルアはこの巨体からは想像出来ない程の情けないジャンプをする。

 

そのジャンプはソファから転げ落ちる様な、鈍臭い猫を彷彿とさせるモノであった。

 

 

ふぃー、体が重い。でも見えた!間違いない!

今見えたアレはワプル村だ、やっぱり村の近くだったか!

 

それにドラゴンみたいなのも見えた、あの白いドラゴンはきっと天使族だよな。

 

この鳥型のモンスターから村を守ってくれてるのか?

前はこんなの居なかったのに……とにかく行ってみるか!

 

 

村の方向を確認でき、俺の心は高鳴った。

 

やっとメルに逢えるかもしれないと、そう思った途端に重くなった体を忘れて軽やかに進んで行く。

 

――ズリ…バキッ…バキィ…ズリ…メキメキ…

 

俺は、まるでカタツムリのように下半身を引きずりながら木を薙ぎ倒して進んだ。

 

自然破壊も甚だしい迷惑な悪魔である。

 

いつの日か募金と植樹をするから、今は勘弁してくれ!

 

進みだしてどれくらい経っただろうか、思っていたよりも早くに村の手前へとたどり着いた。

 

俊敏とは言い難いが、大きいモノが進めば小さいモノよりも目的地に速く着くということであろうか。

例えば、人間とゾウでは歩幅が大きく違う。同時にトコトコ歩けば確実にゾウの方が早いのだ。

しかも、ゾウは時速40キロ以上で走ることができるのだから。

 

但し、この世界の場合、俺は前の体の大きさで空を飛んだ方が断然速いのだが。

 

 

村の手前へ着いた俺はくるりと一周回りながら辺りを見渡した。

周囲には遠くから見たよりも多く鳥型のモンスターが飛び交っている。

 

先程とび跳ねた時には、天使族と思しきドラゴンが戦闘していたはずなのだが、この場所へと近づく途中でパッタリと見えなくなっていた。

 

 

天使の連中は休憩時間か?モンスターが居るのに随分と余裕があるんだな。

仕方ねぇ、メルが何処に居んのかも分かんねぇし、天使が休憩してる間は俺が代わりに働いといてやるか!

 

村のレディー達が襲われたら可哀想だしな。

 

モンスター共よ、悪いが俺の“リハビリ・パートツー”に付き合ってもらうぞ!

 

 

 

飛び交う鳥型のモンスターを見つめながら、俺は自分の体の感覚を確かめた。

 

えーと、指を伸ばすイメージで……ヒュッ!

 

ドスッ!――「ギャャアア!」

 

よしっ!大丈夫だ。

 

ヒュンッ!――グサッッ!…ビュッ!――ドシュッ!

 

「クワァアア!」「ギェェエエ!」

 

良い感じだ。体は俺の意思で動いてくれる。

 

 

鳥型のモンスターを何体か倒した頃、俺は自分へと向けられる視線に気付いた。それはワプル村に設置された見張り台からのモノ。

 

 

あれ?前はあんな見張り台無かったんだけど

 

――ん?

 

なんだ、天使の奴等居るじゃん、休憩はもう終わったのか?

あんなところで見てないで一緒に戦ってくれれば良いのに。

全く、大変だろうと思って手伝ってやってんのに、サボるなんて酷い奴らめ。

 

 

そう思いながらも、俺はモンスター狩りを続けた。

 

ヒュヒュンッ――シュッ!!

 

――ドドッ…トスッ!!

「ギェェエエ!」「グルゥアア!」「ガアアゥウ!」

 

ふう、結構片付いたけど…まだ居るな。

 

天使族はまだ見張り台から動かない。

 

 

それを不満に思いながら見ていた時、俺は大きな落とし穴に気がついた。

 

 

そうだよ!俺の姿を知ってる天使族なんて、ミハエルとテスタント、あとは一緒に戦った兵士達しか知らないんだ!!

 

そりゃビビるよなぁ、いきなりこんな化け物が現れたんじゃ。

あれ?そもそもなんで俺の姿が見えてるんだ?

 

うーむ、関係あるとしたらやっぱりマドカの一件だよな。

まぁ、今は深く考えなくても良いか。

 

んー、って事は、声も聞こえるのか?物は試し!

俺は見張り台に居る天使へ声をかけてみた。

 

『聞いても良いか?お前達、天使族だよな?』

 

俺の声に天使族が酷く動揺し仲間と顔を見合わせたり武器を握りしめたりしている。

 

 

――ん?聞こえ……てるよな?

 

 

するとガッシリとした体格の天使族が俺の声をなぞるように言葉を発する。

 

「消えてもらおうか、愚かな天使族よ……?」

 

 

―――えっ?なんて?

 

 

それを聞いた他の天使はオロオロと騒ぎだし、俺を見て敵とか皆殺しだとか言う者や、村の方を指差す者、遠くの空を眺めたりしている者も居る。

 

 

 

――どうしてこうなった!?

 

 

 

ちょっと聞いただけなのに!ほんと、泣くぞ!!

 

悪魔だって一生懸命に気を使いながら生きてるんだぞ!!

 

とりあえずガッシリした体型の天使(アイツ)の聞き間違いだと教えてやらなきゃ!

 

『おいおい!!待てよ少しは!聞き間違いじゃないか!』

 

俺の言葉を聞き、天使族の表情が凍りついた。

その顔を見た俺の心も凍りついた。

 

 

――絶対なんか勘違いしやがった!!

 

 

固まっていた天使の連中は急になんのかんのと騒ぎだし、武器を手にしたり、ドラゴン化したりと戦闘体勢を整える。

 

 

おいおい!俺を狙ってるのか?まさかな、いや……俺か。

はぁ。しゃーない、なんとか防御だけでやり過ごすか。

 

怪我をさせるわけにもいかないし、鳥型のモンスターからも守ってやらなきゃいけないし。見た目が悪魔ってのも大変だなぁ。

 

スゥー…ハァ…。

 

おしっ!へこんでてもしゃーない!

気を取り直して………、

 

 

――――!!

 

 

――今、確かに……、

 

 

――やっぱり感じる!!

 

 

ため息をついた時……イヤ違う。

息を吸ったとき、体にビリビリ力が入ってきた!

 

 

あぁ、そうだ。そんな事も忘れてたよ。

忘れる訳も無い筈なのに、これも“里帰り”の影響か?

 

この体は空気を、その中に含まれるエレメントやマナを吸うことで力を出せるんだったな。

 

ククク、たった二ヶ月しか経ってないのに忘れるなんて。

 

メル!今なら何処に居るか分かる!

近い、きっとメルも俺を感じてるはず!

 

 

感動の再開に余計なモンスターは邪魔だ!

 

 

俺は四方八方で飛び交う鳥型のモンスターの全ての位置を魔力の流れから把握し、間髪入れずに魔力を解き放った――

 

 

『ダークハンド!!』

 

体から無数に伸びた影の手が、迫るドラゴンナイト達を避けながら鳥型のモンスターだけを握り潰した。

 

それとほぼ同じ瞬間、俺の魔法の間を縫って、綺麗な白毛のドラゴンに乗った少女が空から駆けてきた。

 

乗っていたドラゴンの背を蹴り、俺の体目掛けて真っ直ぐに飛び込んだ少女――

 

その時、少女の不思議な色の眼からキラリと一つの雫が落ちた。

 

飛んできたきた少女を優しく受け止めた俺にも熱い感情が溢れる。

 

メル、ああ……大きくなったんだな!

 

 

 

メルは俺に抱きつき顔を埋めたまま、しがみつく手に、より一層の力を込めた。

 

「おかえり……!ルアさん……!!」

 

 

 

♢◆♢

 

 

 

 

『ダアアダアアイバァァアメエエラウ!!』

(ただいま、メル!)

 

 

「ヒィッ!!なにその声!!キモすぎ!!」

 

 

メルが毛虫を見るような眼で俺を睨み付ける!

 

 

 

――これが、“悪魔ルベルア”再誕の瞬間であった。

 

 




転ツイpoint23
【リエル】天使族の女性。髪は天使族特有の黒と白の入り交じった色で、長い。

リエルの髪型は、横から一つに束ね、サイドで結んでいるだけの簡単なモノだが毛先が緩くウェーブになっているので可愛らしさは良く出ている。

眼は焦点が赤く周りが黒い。

年齢は覇王歴1391年で30になるが、長寿の天使族としては、まだ少女と呼ぶのが相応しい。


メルが7歳の時から、竜騎士(ドラゴンナイト)見習いのパートナーとしてメルと共に修行している。

そんなリエルの楽しみは、食べることである。

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