転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。   作:高ノ宮 伏魔殿

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再びエンドルゼアの地に戻ってきたルベルアは、メルと再開することが出来た。

しかし、感動の再開をぶち壊したのはルベルア自身であった。


!!( ๑>ω•́ )۶やっちゃいました!コント回です!




#24 調子に乗るとロクな事にナラナイ。

魔光粒星(まこうりゅうせい)・エンドルゼア――

 

覇王歴1391年、この世界で八年振りに出逢った者達が居た。

 

 

今、ワプル村付近からは地獄の亡者の呻き声というか、一度マイクを握ったら二度と離さないゴリランボー部長の地獄のリサイタルというか……。

 

そんな声が、モンスターの襲撃から隠れている村人達をガタガタと震え上がらせていた。

 

目の前で何が起こっているのか分からずに固まっている天使族のドラゴンナイトも、危険を感じ武器を握り直す。

 

 

諸悪の根源は、久しぶりのメルとの再開に喜び興奮するルベルア。

 

 

『アニイイツデエエダアヨオオオオ!』

(逢いたかったよ!)

 

「ヒィィ!ゾワゾワするぅ!」

 

 

メルは喜んでいない。それどころか、口をへの字にして嫌がっている。

 

その様子を見たルベルアは少し“しょんぼり”して少し俯き考えた。

 

 

ほんの少し見ない間に反抗期が来てしまったのか……。

 

もう!お父さんの洗濯物と一緒に洗わないでって言ったじゃない!!とか言う歳になっちまったのかな。

 

まぁ、子供が居なかったから言われたこと無いけど。

 

 

しかし、ルベルアの精神力はまだ尽きてはいなかった。

 

巨大な黄色の瞳でじっと見つめ、様子のおかしなメルに問い詰めた。

 

『ドボオオオジダアドオオエラウウ!!』

(どうしたんだ、メル!)

 

「だから、何言ってるか分かんないってルアさん!」

 

腰に手をあて怒っているメル。それはまるで、悪いことをした子を叱る親そのものであった。

 

 

巨大なルベルアが可愛らしい少女に叱られている姿は、事情の知らぬ周りの天使達の眼には酷く不気味な光景として映る。

 

なぜメルが怒っているのか、その理由が分からずに困るルベルアはもう一度頭を働かせ考えた。

 

 

何言ってるか分からないとは、言葉が通じなくなったのか?

いや、メルの言ってることは分かるのだからそれは無いか。

 

うーむ…。

 

俺が悩んでいると、メルの乗っていたドラゴンが木の枝に止まり、可愛らしい天使族の女の子へと姿を変えた。

 

――ん?この子には見覚えがある……。

リエルじゃないか、少し成長したな!

 

俺は知ってる顔の発見に嬉しくなり、意気揚々と声をかけた。

 

『オボボボ!リデエエドウウ!!』

(おお!リエル!)

 

言いながら“やぁ!”と手を上げて見せたが、その所為で無駄に巨大な右手が周りの木の枝をバキバキと散らした。

 

「キャァアーーーッ!」絶叫するリエル。

 

「こらっ!ルアさん!いい加減にして!!」

リエルが泣いた事でメルの怒り度も上昇する。

 

 

ルベルアも困惑し、泣きそうだ。というより、もし涙があるのなら、既に号泣していた事だろう。

 

そんな中、ルベルアとメルのやり取りを見ていたアリエスが、ククアドラゴンに乗ったまま二人の目の前までやって来た。

 

 

「メル、そいつはお前の知り合いなのか?危険が無いなら他の仲間と避難した村人達を呼びに行ってくるが」

 

アリエスが折れた木の枝を受け止め、その枝で自分の肩をトントン叩きながら言った。

 

「あっ!アリエス様。うん、大丈夫です!こんな見た目だけど、他のモンスターが来ても守ってくれると思うから!」

 

メルは自信満々に答え“グッ”と親指を立てて見せる。

 

「ふはっ!そうか。気持ち悪い巨大なモンスターかと思ったが、メルの信頼は厚いんだな」

 

そう言うと、リエルを除いた他の天使達に、村へ行くように指示を出したアリエス。

 

 

村へ向かって行く仲間を目で追った後、そのままルベルアへと向き直り、査定でもしているかのようにジッと見つめだす。

 

初めて見る天使の姿に、ルベルアも興味津々に視線を寄せた。

 

 

この人は見たことないな、アリアスっていうのか。

 

天使族だってのは見た目で分かるけど、綺麗なのに男みたいな喋り方をする人なんだな。なんかさっきからジロジロ見てくるし、俺の事を舐め回すように……はぁ…舐め……回すように…はぁ…はぁ…見てくる…んはぁ。

 

おっと失礼。昨今の環境問題について考えていたのだよ。

 

 

メルからの冷たい視線で正気を取り戻すルベルア。

 

 

俺をジロジロ見ていたアリエスは“ふーん”と気の抜けた声を出した後、ぶっきらぼうな言い方でメルに尋ねた。

 

「なぁ、そいつ。前は普通に喋れたのか?」

 

『イバボボオサバエルルウオオ!!』

(今も喋れるよ)

 

「ちょっと!ルアさんは黙ってて!シャラップ!えっとね、前は私にしか聞こえなかったんだけど、ちゃんと喋れたよ!」

 

 

俺に対するメルの当たりが非常に強く感じるんだが、気のせい……じゃないよな。――ん?前は喋れたよ?

 

 

アリエスは納得した様に小さく頷く。

 

「そうか。なら今そいつは喋れてないって事に気付いて無いんじゃないか?」

 

アリアスはメルに向かってそう言い残すと、跨る美しい白竜へ「ククア、行こう」と意思を伝えワプル村へと向かって行った。

 

泣き止んだリエルは、我関せずといった様子で呑気に木の実を食べている。

 

 

―――喋れてない?俺が?

 

 

「ルアさん?私の言ってることは分かるんだよね?」

 

 

アリエスの言葉で僅かに不安を覚えたメルはルベルアにしがみついたまま、巨大な黄色い目をのぞき込み問いかけた。

 

 

『ボボボ!』

(分かる)

 

 

「うーん……どうしたら良いのかなー。このままじゃ大きすぎて、建物とか壊しちゃうから村にも浮遊城に入れないし」

 

 

ブツブツと呟きながら真剣に考えるメル、俺は解決策を探るでもなく、目の前で悩むメルの様子を観察していた。

 

 

ちょっと見なかっただけでずいぶん成長したなぁ、元々可愛いかったけど、さらに可愛くなってるし。

 

女の子は父親に似やすいと聞いた事があるけど、メルはエリス似で良かったよ。

 

暫く無言で悩んでいたメルから、“あっ”という声が漏れる。

 

「そうだ、ルアさん。沢山、たぁーっくさん息を吸ってみて?」

 

メルが一生懸命悩んだ末に出した答えだが、俺と大差ない思考回路だ。

 

 

うーむ、それはさっき試したし、息を吸ってもダメだと思うなぁ。

 

 

――とは思いつつも、また怒られるのが嫌なので、メルの言うことを聞いておく。

 

俺は巨大な体を大きくへこませ、それと同時に全力で空気を吸い始めた。

 

スゥゥゥウウ!――!ズゥアアアアアア!!――ズズゥゴゴゴゴゴ!!

 

辺りには、とんでもない轟音が響き渡っている。

 

やがて俺に吸い込まれる空気が、まるで竜巻のように渦となってゆく。

 

シュゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

――シュポッ!シュポポッ!!

 

うっ、小鳥を三羽吸い込んじまった。

 

 

一部始終を脇で見ていたリエルだが、吸い込まれてしまった小鳥の姿を目の当たりにした事で、恐怖を感じ、吸い込まれまいと必死に木にしがみついた。

 

ルベルアの肩にしがみついているメルの顔の皮はブルブルと波打っている。

 

 

「ヒィィィィィ!や、やりすぎィィィ!」

 

――シュポンッ!!

 

 

あっ。

 

 

うっかりメルを吸い込んでしまった俺は、慌てて息を吸うのを止めた。

空気を吸うのを止めた俺の口からは、無事に小鳥とメルが出てきたが、酔っぱらいのようにフラフラしている。

 

俺がもの凄く怒られたのは言うまでも無いだろう。

 

しかし、莫大な量の吸気を行ったからなのか、大きな影の体に力が満ち始める。

 

体が巨大になっていた分、超大量の魔素が必要だったということなのだろうか。

 

ググ……!グググ……!!

巨大な体が音を上げながら引き締まっていく!

 

『ウオオオォオオ!』

 

 

―――!

 

 

『ップハァ!戻っ…たぁー!』

 

俺の体は元の大きさに戻り、いや、以前よりも引き締まっている。

 

『メル、今度は俺の言葉が分かるか?』恐る恐る聞くルベルア。

 

「うん…、うん!分かるよ!ルアさん!!」メルは顔を綻ばせて答える。

 

「えーと、この人………この悪魔さんがルベルアさんだったのね?本当に居たんですねぇ」

ボサボサになった髪を手櫛で整えながら言うリエル。

 

「あっ、うん!そうだよ!これがルアさんだよ!」

答えるメルも髪がボサボサである。

 

 

竜巻にでも巻き込まれたのかな。

あ、いやスマン。反省してます。

 

 

俺はメルを持ち上げ、ふわりと浮き上がりると、リエルの所へ飛んで行き、

 

『リエルにも迷惑かけて、悪かったな!こんな姿だけど宜しく頼むよ!』

 

そう言いながら、頭の角をポリポリと掻いた。

 

「はい!こちらこそ宜しくお願いします!」

リエルは可愛らしい笑顔を見せて、90°腰を曲げてお辞儀をした。

 

凄い深いお辞儀だな!意外と真面目な娘なのかな?とても良い子だ。

 

「じゃあ、村に行こっか!皆が心配してるかもしれないしさ!リエルもルアさんに乗って!」

 

俺の背に乗ったメルが「良いよ」と手招きをすると、リエルが木の枝から飛び乗ってきた。

 

 

美少女二人を背に乗せるなんて、夢のようじゃないか!

ムフフ…。

 

 

『じゃあ行くぞ、適当に掴まってくれ』

と言っても村はすぐそこなんだけどな。

 

 

フワァッ!… ――ビュンッ!

 

 

村では俺………、メルの帰りを待っている村人達が中央広場に集まっており、そこにはアリエス達の姿もあった。

 

スィーーン、スタッ!

メルとリエルは軽やかに広場の地面に降り立ち、それをモルドーとエリスが出迎えた。

 

「メル!一ヶ月振りじゃないか!もっと帰って来てお父さん達に顔を見せてくれよ!」

 

モルドーが興奮気味にメルへと近づく。

 

モルドーの調子は変わっていない。が、少しだけ老けたか?

 

「お帰りなさい、メルちゃん!リエルちゃんも元気そうね!んもうっ、髪の毛ボサボサじゃない!女の子なんだからもっと髪をとかなきゃ、せっかく可愛いんだからね。ふふ」

 

エリスは笑いながらメルの髪を手でとかした。

 

 

エリスの様子は相変わらずだな、まだまだ若いお母さんだ。

 

この夫婦、少し見ないうちに以前よりもモルドーとエリスの釣り合いが取れていない気がする。やっぱりモルドーは老けたか?

 

天使族と話していた村長のジジイもメルの元へ歩いてきた。

 

「メルよ、調子はどうじゃ?腕は上がったかの?」

 

村長のジジイはメルの体つきを見ながら染々と聞く。

 

 

変な目付きで見やがって、このエロジジイめ!

 

 

しかし、皆がメルを囲ってわいわいするばかりで、俺にはあまり反応が無い。

 

俺とて、こんな見た目だから期待してた訳じゃないけど、村人のあまりにも薄い反応に少し寂しさを覚えた。

 

『なぁ、メル。ワプル村のみんなには俺が見えていないのかな?』

 

しかし、それに答えたのはメルでは無かった。

 

「いんや、おぬしの事は見えておるよ。話しかけて良いものか迷っておったが、ミハエル殿から聞いておりましたでな。長く姿が見えないとは聞いておりましたが、戻ってきたのですな?」

 

村長のジジイは改まった口調で俺の言葉に答え、気になっていたであろう事を尋ねてきた。

 

 

村長のジジイは一体どこまで知っているんだ?

 

戻ってきたのですな?ってことはつまり使い魔うんぬんって話の事か?……えっと。

 

考える俺の様子から察してくれたのか、メルが村長のジジイの言葉に付け足した。

 

「うん!ミハエル様の使い魔が居なくなってしまったから、代わりにミハエル様の友人が私の守護者になってくれたんだけど、やっと用事が終わって来てくれたの!」

 

メルが俺の方をチラチラと見ながら説明口調で話す。

 

その不自然なメルの口調に、村長のジジイは少し首をかしげる。

 

「うん?メルに聞いた訳ではないのじゃが…。これからはメルを守ってくれると言うのなら有難い話ですじゃ。……しかし、天使族の王であるミハエル様の友人にしては悪………ゴホッン」

 

シジイ、最後に何を言いかけたんだ。

 

ともあれ、メルと村長のジジイのやり取りで、大体の自分の立ち位置を推測することができた。

 

 

 

つまり、一度姿と名前さえ認識してもらえば、それ以上は騒ぎになら無いように根回ししておいてくれたということか。

 

ミハエル、気が利くじゃないか。

 

確かに、そういう話なら俺とメルが一緒に行動しているのも不思議じゃなくなる。

 

ワプル村やメルの事を守ってくれてたし、俺が帰って来たときの為に根回しをしてくれてたり、色々やってくれてたとは……。

 

浮遊城にもお礼に行かないと、だな!

 

とにかく今日は、戻ってきた世界をゆっくり噛み締めるとするか。

 

 

俺がミハエルの助けに心の中で感謝していると、一人の女性がメルに近づいてきた。

 

「お帰りなさい、メル。前にあげたローブ、そろそろボロボロになる頃だと思って新しくショートローブを作っておいたのよ。是非持っていって」

 

女性はしっとりとした喋りでメルに手作りのローブを手渡す。

 

緑の髪に伊達眼鏡。口元のホクロがセクシーな女性が……って、ミルザじゃないか。

 

ミルザは全然変わってないな!

 

お礼のお辞儀をしたメルは、手渡されたローブを広げた。

 

「わぁ!このローブ凄く可愛いっ、ありがとうミルザさん!!大切に着るね!」

 

ミルザからもらったローブをギュッと抱き締めながら大喜びしている笑顔の可愛いこと。

 

 

折角声が聞こえるようになったんだし、俺もミルザと話したいな。

 

 

挨拶でもしとくか、生まれた時からの顔馴染みだしな、クク。

後ろから近付いて“だ~れだ!”でもしてやろう。

 

一方的ではあるが、生まれた瞬間から知っていたミルザに、初めて姿と声を知ってもらえる事を“わくわく”しながら、俺は定番の悪戯を仕掛けた。

 

スィーーン……。

 

『だぁ~……』

 

『れ』

 

―――ポインッ!

 

あれ?この柔らかい感触は………。

 

「ッキャァーーーーーッ!!」

 

振り向いたミルザは顔を赤くし、俺に向かって右手を大きく振りかぶり

 

――ピッタァァアン!!

 

「この!変態!!」

 

 

こうして俺は無事ミルザに嫌われたのだった。

 




転ツイpoint24
【ミルザ】ワプル村に一つだけ建てられている教会にいる神官。
薄い緑色の髪はストレートヘアで肩までのミドル。
伊達眼鏡をかけ、口元にはセクシーなホクロが一つ。
大きな胸を強調したローブ。
そう、ワプル村のグラマラス、ミステリアス美女といえばこの人、ミルザの事である。

実は本人もそれを意識しており、心の中では村の人気美女エリスをライバルとしている。

ミステリアスを心がけている彼女は、冷静沈着でなんでも出来る、けどどこか掴み所がない。を目標に頑張っている。

しかし、苦手な“オバケ”と“悪魔”の事となると、我を忘れて取り乱してしまうのだった。
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