転生っ娘にツイてしまった転世した俺の話。   作:高ノ宮 伏魔殿

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メルとルベルアが生まれた時。

世界には、その誕生を感じとったモノ達が居た。

広い世界、未だ見ぬ地に生きるモノ達が。




ここから一章の始まりです( 〃▽〃)ノ


一章 浮遊城
#6 双竜星が落ちた日。


魔光粒星(まこうりゅうせい)・エンドルゼア

 

 

 

エンドルゼアとは、魔力の源となるマナやエレメントを豊かに含んでいる惑星だ。

 

 

多種多様の生物・種族がその膨大な魔素の中で暮らす。

 

 

魔鉱石や魔力溜まりを奪い合い激しい戦いが絶えぬ時代もあったが、現在ではある程度落ち着いている。

 

 

 

覇王暦(はおうれき)1376年

 

 

 

最後の魔王、ハールバドムが封印されてから丁度、千年が経つ年になる。

 

“丁度千年”、世界中の強者達が待ちに待った日であり、警戒を最も強める日であった。

 

というのも千年前、当時の勇者達が魔王ハールバドムに使った大魔法”シールオブデッドオアアライブ“の効果というのが――

 

“千年の間封印を破れなければ、封印された者は死ぬ”

 

という、途方もない年月を効果範囲とした封殺魔法なのだ。

 

 

三名の人種族の勇者がその命を燃やして放った複合魔法であり、普通のモンスターや魔族が同じ魔法を使われたなら、百日と持たずに消滅してしまう程の強力な魔法である。

 

 

封印から千年が経ったにも関わらず、各地の猛者達が結果を気にするのはそういった理由であり、魔王ハールバドムがいかに強大な存在だったのかを、当時を知らぬ者達にまで知らしめる事となっていた。

 

 

かの好戦的だった魔王が大人しく封印されたまま終わるとは思えない。

 

その時代から生きる実力者達はそう考えていた。

 

 

しかし、レコード・ルーラーと呼ばれる、情報力に関して右に出るものが無いと言われる存在がこの世界には居る。

 

その者は固有の魔力感知スキルを持っており、そのスキルから魔王が消滅したか否かを判断したのだった。

 

その者が結論付けた内容の開示は、魔王ハールバドムが消滅したことを、それぞれに納得させるには十分だった。

 

 

歴戦の魔王が一人、消えた日となったのだ。

 

 

魔王ハールバドムと同じ時代を生きた者には、昔の戦闘を思いだし感慨に更ける者や、かつて痛手を受けた相手の死を喜ぶ者などもいた。

 

伝承にまでなったの魔王の死を唄にして一儲けしようとする吟遊詩人も現れた。

 

忘れていたり、元より関心が無かった者もいる。

 

 

 

大きな存在だった魔王。

 

 

 

しかし、その死が世界に与えた影響は有って無いような僅かなものに終わった。

 

 

しかし、中にはその結果の行方に違う見方をする者も居た。

 

 

人里より遠く離れた空の島、そこに住まうは巨大な竜。

 

かつてハールバドムを良き喧嘩相手として幾度もぶつかり合った巨大な竜もまた何かを思い、空の島よりさらに高き所を眺めている。

 

鈍く光る黒色の鱗はとても硬い、その硬い鱗もよく見れば多くの傷がついており、この竜の歴戦の日々を思わせる。

 

竜が深い溜息をついた。

まるで地響きのような音の溜息を。

 

遠くを眺めていた竜だが、しばらくするとどっしりと地面に腰を下ろし、つまらなそうな表情をしながら頭を前足に乗せた。

 

眼をつぶり、眠りに入る巨大な竜……。

 

眠りに落ちるその間際、竜の背中を“ゾッ”と震えが走った。

 

 

 

まるで大気そのものが震えたように。

 

 

 

「むぅぅ?」

 

長い時を生きる竜にとっても、久しく覚えの無い体感だった為に、大きく眼を開き怪訝そうな顔をする。

 

 

しかしその時、得たいの知れぬ震えを感じ取ったのはこの竜だけでは無く、エンドルゼアに点在する“名のある実力者”達は皆が似たような反応をしていたのだ。

 

 

皆が震えたその刹那、

 

 

遠い遠い、ずっと遠い場所で何かが空を駆け抜けた。

 

 

広い世界の中で、“黒き鳥ノ王”だけがその光を目視していた。

 

 

遠い空の向こうからやって来たその光はどうやら双子の流れ星。

 

 

絡み合うように流れ落ちてきたその双子の流星は“黒き鳥ノ王”が居る地よりもはるか東の地に流れていった。

 

眩い光の塊は大地に衝突する事もなく、一瞬“バッ!”と目の眩むような輝きを残したのち音もなく消えていった流星。

 

 

「カァァァァァアアッー!!」

 

 

“黒き鳥ノ王”は光を見届けると、一度だけ鳴き声を上げてはるか西へと向けて飛び立っていった。

 

 

その日、エンドルゼア東の地に新たな命が“一つ”誕生した。

 

 

はるか遠い空の島、巨大な竜は遥か東の水平線の向こうを眺める。

 

 

「むぅ、誕生したのは一つか…。なればもう1つの方は招かれざる客人か?良きか悪きか……。むぅ、奴め。最後の最後に何かしおったな。クカカ……。これが奴の仕業ならば、嫌でもいつか出逢う事となるだろう……カカ。」

 

 

空から地上を見下ろす者がどこか嬉しそうに呟いた。

 

 

気づくと巨大な竜の傍らに一人の男が立つ。

 

 

歴戦の竜の隣に並ぶにしては、あまりにも小さな男だ。

 

 

白色のシルクハット帽をかぶったその男は竜の呟きに頷きながら、

 

「確かにそうかもしれないね、あの二つ並んだ流れ星は双竜星というものでね。千年以上前に一度現れたっきり、今まで見たことがなかったよ。偶然にしては……ね?」

 

どこか嬉しそうな竜を見上げてクスリと笑いながら、シルクハット帽の男が竜の呟きに語り返す。

 

 

男はふと何かを思い出したように、竜の言葉と自身の言葉を大事そうに抱えていた魔法の書に書き留めた、そしてひょいと跳び跳ねると煙のように姿を消してしまった。

 

 

魔王の消滅の裏側で誕生した新たな命。

 

 

新たな命の誕生を祝福し湧いているのはエンドルゼア東にある小さな村の住人達。

 

 

世界がその日どう動いていたかなど、小さな田舎の村の住人や、生まれたばかりの赤子には知る由も無い話。

 

しかし、その赤子は異世界からの転生者。

それ故に、赤子は自身が普通では無い事を知っていた。

 

となると、無為に幸せを喜んでいるのはこの小さな村の住人達だけだろうか。

 

 

“子の心 親知らず”もしくは“異世界人の心 原住民知らず”とでも言いたくなるところだが、喜べることは幸せなことだ。

 

加えて言うなら、普通じゃない赤ん坊に普通じゃない何かがツイていることなど、その村の人は知るわけが無いのである。

 

 

 

世界各地に存在する者達の様々な思いを乗せて、時代に新たなうねりが生まれたのだった。

 

 

 

 

《…我が…時代を生き…た者共よ…》

 

《我からの……最後の……土産…………だ……》

 

 

 

覇王暦1376年…二月終わり頃の話である。

 

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転ツイpoint⑥
【魔光粒星・エンドルゼア】この地に生きる者の中で、エンドルゼアの事を“魔光粒星”と呼ぶ者は皆無と言っても良い程居ない。
“エンドルゼア始まりの民”と記録されている“星渡りの一族”により名付けられたという伝承だけが残されている。

多くの魔素を含んだこの星は、必然的に魔法と魔物を作り出したのである。
とてつもなく大きなこの星には数多の猛者が隠れているに違いない。
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