よろしくお願いします
モビル道が誕生して100周年を迎えようとしていた…
12月24日 赤道上浮かぶ軌道エレベーター『デラーズタワー』
「今トレインに乗った所よ。帰るのは3日後になるから留守中の演習内容は貴方に任せるわ」
モビル道の名家西住流の家元、西住しほは娘である6歳のまほと5歳のみほを連れて軌道エレベーター内を通過するリニアトレインに乗っていた。トレインは高度1万kmに位置する低軌道ステーションまで昇降する事ができ、誰でも自由に宇宙へ行く事を可能にしていた。
「お母さま、お仕事なのに私達も連れてきてくれてありがとうございます。宇宙へ行くのははじめてなのでとても楽しみです」
「いいのよまほ。それよりも明後日母は休みなので行きたいと場所があったら今のうちにみほと話しておきなさい」
「お母さんお姉ちゃん!着くまで一緒にボコ見よーよ!」
元々二人を連れていくつもりはなかったがいつも留守を頼んでいた家政婦が体調を崩してしまったのと、今のうちに娘達を宇宙へ連れていくべきお思ったので連れていく事を決めた。
「駄目じゃないかみほ、お母さまは仕事中いつも難しいニュースを見るから私達も一緒に勉強しなきゃいけないんだぞ」
「ヤダヤダ!せっかく一緒におでかけするんだからつまんないのじゃなくてボコ見ようよ!」
「ボコは私や菊代さんといつも見てるからいいだろ、今日くらい我慢しろみほのばかっ」
「お母さんはいつも仕事でいないからまだ一緒に見てないもんお姉ちゃんのあほ!」
「二人とも喧嘩はやめなさい!隣の部屋まで聞こえてたらとても恥ずかしいじゃない!」
個室を取っていたので母の怒声は部屋中に響いた…おそらく廊下まで声は響いていただろう
気を紛らわそうとしほはボコのDVDをテレビに映そうとしたらアナウンスが入った
『リニアトレインの初期加速が終了しました。今から当トレインは緩やかな減速状態を開始し車内が擬似的な無重力状態になるので席をお外しになる際は十分注意してください』
「凄いよお姉ちゃん!体がフワフワ浮かんでる!」
「こ、これが無重力なんだ…ってみほ!あまりフワフワしてると頭ぶつけるから戻ってこい!」
早速シードベルトを外した二人は初めての無重力を体感していた。しほは自分の仕事のせいで退屈させてしまうのではないかと心配していたが二人ともとても楽しそうにしていたので安心していた。
低軌道ステーションに到着した3人は日本の時刻ではもう夜だったので重力ブロックのホテルにチェックインを済ませて夕食を食べた。部屋に戻った後しほは明日の仕事の準備とモビル道の近況をチェックしていた。
「ねぇねぇお姉ちゃん、サンタさん宇宙にも来てくれるかな?私達の手紙読んでもらえないかな…」
「どうだろう…トナカイさんじゃ宇宙まで来れないから別の方法で来てくれると思うけど大変そうだな…」
「二人とも早く寝ないとサンタさんは来ないわよ」
寝室にいる二人にそう言うとハーイと返事が返ってきた。無論二人のプレゼントは既に用意しており二人が完全に寝入った所で2人の枕元にプレゼントを置いてしほも眠りについた
翌日…みほは目覚めると枕元にプレゼントの箱がある事に気づいた
「お姉ちゃん起きて!サンタさん来てくれたよ!」
「うるさいぞみほ…せっかくカレーの国の王様になれたのに……あ!プレゼントだっ!」
二人が箱を開けるとみほにはサザビーのコスをしたボコのぬいぐるみと翼のネックレス、まほにはHG 1/144スサノオと十字架のネックレスが入っていた。
「やったねお姉ちゃん!サンタさんホントに欲しい物持ってきてくれたよ!」
「そうだなみほ!サンタさんも手紙を読んでくれたみたいで本当によかった…」
家政婦から事前に二人が欲しがっている物を聞いたしほはみほがボコのぬいぐるみなのはわかるがまほがあのガンプラを欲していた理由がよくわからなかったがとても喜んでいる顔が見れてとても嬉しかった
しかし何故あの機体なのだろうか…
母は今日朝から夕方まで仕事でみほとまほは部屋で留守番する事となり二人でテレビを見たりゲームをしたりお昼にピザを頼んだり勉強をしていた。そんな時間を過ごしていた時
「イタッ!」
突如みほの頭の中に頭痛が走った
「みほ!どうかしたのか!?」
ボコで遊んでたみほに何かあったのかと食器を洗っていたまほは心配そうに駆け寄った
「なんでもない…今ちょっとだけ頭がへんな感じになったんだけどもう大丈夫だよ」
「そうか…びっくりしたぁ…」
まほは安心して再び食器を洗い始めた。みほは今のが何だったのかわからなかったがそのまま気にせずボコと遊んだ
日本時刻では夕方となり二人が遊んでいるとしほが部屋へ帰ってきた
「お母さんおかえり!」
「お母さまおかえりなさい。今日はいつもより早いですね」
「二人ともただいま。早速だけどこれから新しいガンダムのテストをするらしくて二人にどうしても見てもらいたいらしいから一緒に行きましょう」
みほとまほはおめかししてホテルを出てからエレベーターに乗り別のブロックへ移動した。着いた場所は展望ブロックといい、ここでは周辺の宙域を見渡したり地球を眺める事ができた。そしてどういう訳か現在展望ブロックはみほ達以外誰も居らず貸切状態となっていた
「凄い…あれが地球なんだ……すっごい綺麗……」
「お母さま…私…宇宙に来れてとてもよかったと思ってます…」
「フフ、よかったわね二人とも」
二人が振り返るとそこにはとても優しそうで穏やかな雰囲気のある女性がいた
「千代さん言われた通り二人を連れてきたわ。約束通り案内しなさい」
「わかってますよしほさん、その前に自己紹介を二人にさせて頂戴。私は島田千代、島田流の家元で今は貴方達のお母さんと色んな仕事をしてるのよ」
「西住まほです、お招きありがとうございます」
「に、西住みほですっ、えっと…母がいつもお世話になってます!」
「あら二人とも可愛らしいわね。とてもしほさんの娘とは思えないわ」
「冗談はそれぐらいにしてさっき言っていたガンダムを見せなさい。千代さんあとで必ずぶつから覚えておきなさい」
しほが割と本気で怒っている事に気づいた娘二人は怯えていたがそれを意に介さず千代は誰かと無線で連絡していた
「お客様は連れてきたわ、あとはあなたのタイミングでいつでも始めて頂戴。さぁ皆さんこれより島田流の開発した新型MS…ガンダムNT-1のテストを行います」
千代が無線で連絡するとみほとまほはガラスに張り付いた二人が見てない隙にしほは思い切り千代をビンタした
「お姉ちゃん!モビルスーツだよ!3つもいる!」
「あれはゲルググだな。しかしガンダムが出てくんじゃないのかな」
ステーションの側に停泊していたムサイけらゲルググが3機、みほ達のいる展望ブロックの近くに展開してきた。
「あれは新型の性能を試す為に用意された貴方の門下生ですよね千代さん?肝心の新型はまだなのかしら」
「イタタ…既に出撃したと思うのだけれどもパイロットが気分屋な子だから何かあったのかも…」
腫れた頬を抑えながら千代は言った
「!お姉ちゃんあれ!流れ星だよ」
みほが指を指すと宙域に一筋の光が走っていた。しかしその光の主は一方向に動かず様々な軌道を残しながら宇宙を駆けやがてこちらに向かって接近してきた
「あれが新型のガンダム…」
「やっときてくれたわね」
機体の名はガンダムNT-1 通称アレックス。アレックスが接近すると3機のゲルググは連携してターゲットに向けビームライフルを撃った
「え!ちょっと千代おばさん!ガンダムにビーム射ったけど大丈夫なの!?危ないよ!」
「千代おばさ…大丈夫よ、モビル道に使われる武装は全て安全に配慮されてるしコクピットを形成してるパーツは特殊フレームのおかげで機体が大破してもコクピットは完全に無事なまま帰還できるから安全よ!」
「まだみほにはあまり教えてなかったわね。コクピットの特殊フレームはモビル道に使われる武装はおろか、大気圏だって単体で超えれる程の性能を持っているのよ」
千代としほが説明するもみほとまほは完全にアレックスの動きに見入っていた。ゲルググが一斉にビームライフルを撃つもののアレックスはそれらを最小限の動きで回避し、かすらせることもなくゲルググの周りを旋回していた
「凄い…これがガンダム…ここまで速いなんて…」
「凄いねお姉ちゃん…どうしてあんなに避けれちゃうんだろ…」
(もっと面白いものを見せてあげよう)
「?お姉ちゃん何か言った?」
「何も言ってないぞ、どうかしたのか?」
そんな事を言ってたらアレックスは3機のゲルググからの射撃を避けると同時に、両腕に装備されたガトリング砲と頭部バルカンを撃ち込み3機のゲルググが持つライフルを全て破壊した
「何今の!?お姉ちゃん見た!?」
「今のはマジックか…?あんなのテレビでやってた世界大会でも見たことないぞ…」
ライフルを破壊されたゲルググ達はビームナギナタを持ち、同時攻撃を仕掛けようとした…がゲルググが仕掛けるよりも先にアレックスはビームサーベルを1機に投げつけた。サーベルはゲルググ1機に命中し撃破判定が出た
「普通のパイロットがあんな動きができるとは思えない、まさか…」
「貴方の想像通りよしほさん。あの機体にはニュータイプが乗っている…」
ニュータイプ…それはアニメ機動戦士ガンダムでは宇宙へ進出した事により新たな力に目覚めた人類と描かれていた。その存在が現実に現れる事はないと誰もが思っていたが、宇宙進出の裏で新たな力に目覚めた人は確かにいたのだ。そして島田家こそ新たな力に目覚めた極一部の人類であり、代々その力を継承してきた。
「しかし貴方達の言うニュータイプは所詮普通の人よりも能力が高いだけの存在なのでしょう?少し自分達を過大評価しすぎなのでは?」
「相変わらず考えが古いのね貴方は…なら見せてあげましょう。ニュータイプが最高の存在である証拠を」
千代は再び無線でアレックスのパイロットに連絡した
(みほちゃん、今からもっと面白いものを見せるからよく見ててね)
「誰なの…?どうして私の事を知ってるの?」
みほの頭の中に誰かの声が届いた
(名乗る程の者じゃないよ。君を知っているのは君が特別な存在だからだよ。君は他の人とは違う、素晴らしい力を持っているんだよ)
「私が特別…?」
「どうしたみほ、もしかしてお腹が痛いのか?」
姉には大丈夫と言ったが、確かに誰かの声がみほの頭に聞こえていた。
その時クラッカーで牽制していたゲルググ2機がアレックスを挟み込むように仕掛けた。 ガトリング砲で迎撃するも2機ともシールドを構えながら突撃していたので防いだ。だがシールドで前面を防いだ事で視界から姿を消した瞬間、アレックスは片方のゲルググに急速接近した。突然の接近に驚いたゲルググはナギナタを投げて迎撃するも紙一重で避けられ流れるように機体の脇腹からサーベルを刺し込み撃破した
「凄いな…これが島田流のガンダム……」
「凄く綺麗……」
二人が圧倒されている中、もう1機のゲルググは撃破された片割れが投げたナギナタを手に入れ二刀流となり片方のナギナタを回しながら接近にしていた。しかしアレックスは射撃を行わず何故かゲルググに向かってブーストを噴かせ接近していく
「島田流の門下生はあのような無謀な突撃を許さないはず…何か策でもあるの…?」
「これじゃガンダムが落とされてしまう…」
誰が見てもアレックスに不利な状況の中、千代だけは笑みを浮かべていた。双方が格闘の間合いに入る直前ゲルググは2本のナギナタで曲芸を踊るように接近した。刃はアレックスを完全に捉えたと思われたが、一瞬だけ鍔競り合いの光が生じた
「受け止めた?いやしかし…」
防御した所でもう一つのナギナタに切られて終わり…しほはゲルググが勝利したと思った
しかしアレックスは受け止めた一瞬の内にナギナタをいなして生々しい動きでゲルググの右脇から背後に回り込みサーベルを刺した。これにより最後のゲルググにも撃破判定が出た
「テスト終了。お疲れ様美香、帰投しなさい」
「ありえない…あんな動きをして中のパイロットが無事な訳がない…」
「3対1なのにガンダムが勝ってしまったぞ…」
しほは情報を処理しきれずまほもかなり衝撃を受けていた。しかしみほだけは目を輝かせてアレックスをじっと見ていた。
(そんなに見つめないで欲しいな、少し恥ずかしいじゃないか)
「!ひょっとしてあなたがガンダムを動かしてたの?」
再びみほに謎の声が聞こえた
(そうだよみほちゃん。君にはどうしても見て欲しくて私がここに読んで欲しいとお母様にお願いしたんだ)
「どうして私の事を知ってるの?」
(それは君が宇宙へ上がってきた時感じたんだよ。私達と同じ力を持てる人がいると…そして今日それが君である事がわかったんだ)
あの時の頭痛はこの子のせいだったときづいた。
「おいみほ、本当に大丈夫なのか?帰りたいならお母さまに伝えてこようか?」
「なんでもないよお姉ちゃん!気にしてないで!」
(君のお姉さんには君とは違い普通の子みたいだね…特別な力を持てるのは君だけのようだ)
「特別な力ってなんなの?全然わかんないよ」
アレックスはみほ達のいる展望ブロックに近づいてきた
(私がチカラを貸してあげよう…君がニュータイプになる為のね)
その時アレックスの方から少女の霊体のようなものが近づいてきてみほを抱きしめた。この時暖かい感覚がみほを包み、様々な映像がみほの中を駆け巡った。悪魔のような子、家族との別れ、そして新しい出会いから生まれた新たな悲劇…
「何なのこれ……」
みほには何が何だか全くわからなかった。ただこれがもしかしたら将来の自分と関係があるのではないかと思いとても怖くなった。やがて少女の霊体は離れアレックスの中へ消えていった
(これで終わりだよみほちゃん。君も私達の仲間…ニュータイプになれたよ)
「私がニュータイプ…?」
(その力を使えれば君は神様になることだってできるんだよ。それじゃあ私は帰らせてもらうよ)
少女がそう言い残すとアレックスは去っていった。
「みほ、一体誰と話していたんだ?ここには私達誰もいないのに」
「あ…あの子の名前聞いてなかったな…」
まほはみほに何があったのかわからなかったから余計心配だった
「今日は見学させてくれてありがとうございました。新型と島田流のニュータイプの力…思い知りました」
「いいんですよしほさん。それよりあの新型のパイロット、私の娘なんです」
「…なんですって!貴方の娘さんはうちのまほと同い年だったはずよ!」
普段は冷静な母が私達以外に怒りをあらわにしているのを見てみほとまほは驚いた
「どんな危険があるのかもわからないのにMSに乗せてるなんて…ましてや宇宙でも操縦させるなんて貴方は何を考えているの!」
「しほさんの考えは至極真っ当よ、だけどあの子は…美香は特別なのよ。あの子のニュータイプとしての素質はこれまでの島田家の中でも最高クラス…既にニュータイプとしての能力は私を上回っているのですよ」
「だとしても早すぎるわ…いくら何でもまだ小学校にも入ってない子に…」
「私達島田流は己を高めるモビル道を貫くためにもこうする必要があるのよ…こらから先の人類をニュータイプが導くためにも…」
「それは貴方自身が望んでいることなの?古い大義のために家族を傷つけてしまうなど家元として…母親として許されるはずはありません!」
「いい母親ですねしほさんは。しかし貴方達のような力を持たない者同士がわかり合う事は何よりも難しく残酷な事なのよ…そんな悲しいことを無くすために私達の力は必要なのよ」
「…もう帰ります、今の貴方には何を言っても無駄なようね」
しほは何も言わずみほとまほを連れて帰った。二人は母が何も言わずとも怒っていることはわかった。他のブロックへ続くエレベーターに着くまで重い雰囲気が続いた
「ごめんなさい二人とも。母はどうしても納得のいかない事ばかりで感情的になってしまったわ」
エレベーターに乗ると母が口を開いた
「気にしてないでくださいお母さま。今日は一緒に見学する事ができて楽しかったです」
「ありがとうまほ……みほ?どうかしたの?母はもう怒ってませんよ」
「違うのお母さん…なんでもないの…」
その時珍しくみほの元気がなかった。私に怯えているのかと思ったがそうではないようだし一体何が…
「それより二人とも夕食を食べに行きましょう。母はとてもお腹が減りました」
「あ!私も!」
「わ、私もですお母さま!」
それから3人は夕食を食べに行き食事中に明日どこへ観光しにいくか話し合った。この2人も私の娘である以上いつけモビル道を始める。そうなればこの幸せな時間もさらに少なくなってしまうだろうからしほは大切に過ごそうと思った…
「美香、テスト中誰かと交信していたようだけど何をしていたの?」
新型のテストが終わった後、千代と娘の美香はステーション内にある島田家の別荘に帰っていた
「その事なのですがお母さま、ついに私達以外にも新たなニュータイプが生まれました」
「!それは本当なの美香?一体誰がニュータイプに…?」
「西住家の次女、西住みほ。彼女から強いニュータイプとしての素質を感じたので私が目覚めさせようと思いました」
千代にとってはあの西住流の娘がニュータイプになった事よりもこの子が覚醒させたという事が何よりも衝撃だった。千代は今日西住家の親子がとても羨ましく思った。今まで美香と遊んであげたり楽しい思い出になるような事を殆どしてあげれなかった。しほの言う通り私は母親失格なのだろう
「美香…本当は私を恨んでいるでしょう?まだ小さいのに私達島田流の運命に付き合わせて…」
「そんなまさか、私は島田流の力になれてとても嬉しいです。それに私には愛里寿がいます。愛里寿とお母さまがいる限り私は幸せなので心配しないでください」
本当に偉い子だ。千代はこの子に頼りすぎている自分がただ情けなかった。それでもニュータイプとして完璧である彼女の力は必要だった
「それではお母さま。私は愛里寿に子守唄を歌ってきます」
「ありがとう美香、貴方も今日はもう休みなさい」
美香はカンテレを持って愛里寿のいる寝室へ向かった。千代はアレックスの戦闘データの整理を始めた
蒼く眠る水の星にそっと 口づけして生命の火を灯す人よ
時という金色のさざ波は 宇宙の唇に生まれた吐息ね
美香は歌う事が好きだった。愛里寿も美香の歌を聴いて喜んでいた。この時間は島田家にとってとてもかけがえのない瞬間であり彼女達の人生には必要な事だった……
翌日みほ達3人はステーション内のテーマパークに行き買い物を楽しんだ。そして楽しい時間は終わりを迎え地球へ帰る時間になった。しほは来た時と同じ様にトレインに乗り込みの発車時間を待っていた
「楽しい旅行をありがとうございましたお母さま。最高の思い出になりました」
「私も楽しかったよお母さん」
2人は嬉しそうにお礼を言ってくれた。しほ自身も2人との旅行をとても楽しむことができこのまま帰るのがおしかった
千代と仲違いするつもりはなかったが今回の出来事で彼女の事がますますわからなくなってしまった。しかしニュータイプの持つ能力が自分達よりも圧倒的に上を行くことは認めざるを得なかった。彼女達の大義は理解できない
「地上に着いたら熊本までMSに乗るので母は少し寝るわ」
「わかりましたお母さま。みほも静かにしてなきゃだめだぞ」
みほはうんとだけいいテレビでボコのDVDを見ていた。しかしみほの頭はあの少女の乗っていたガンダムでいっぱいだった。そして自分の中に生まれた特別な力というものもわからなかった
「お姉ちゃん…私って何か変なのかな…なんだかよくわからないことばかりで不安だよ…」
「みほ…」
まほはみほを抱きしめた
「おまえは何も変じゃないよ。怖い事や不安な事があってもお姉ちゃんはいつでもおまえの味方だから安心してくれ」
とても嬉しかった。これから先悲しい事が起きても姉が守ってくれるなら心強いと思えた。
その時トレインが発車し、みほ達は低軌道ステーションから地球へ向かった。しほは先程からずっと眠っていたので起こさないようみほとまほは過ごしていた
(みほちゃん見送りに来たよ。外を見て)
(!あの子の声だ!)
みほは思わず廊下へ飛び出した
「コラ!みほ!勝手に外に出ちゃだめだ!」
「ちょっとトイレ行ってくる!」
みほは嘘をついて廊下へ出た。個室が多くあるエリアから色々な扉を開けていたら展望ブロックの様に宇宙を見渡せる場所へ出た。みほが窓の外を探すと遠くで輝く光…ガンダムが見えた
「ガンダム……」
(君のニュータイプの力が更なる覚醒を迎えた時、私から君に会いに行こう)
流れ星のように消えていくガンダムの光を、みほはただじっと見ていた
時は過ぎみほとまほは成長しモビル道に励んでいた…しかしある事件をきっかけにみほはモビル道を捨てるため大洗女子学園に転校する
次回 ガールズ&ガンダム『軍神降臨』
少女は神様なんかより普通の女の子でいたかった
読んでいただきありがとうございました
次回はいきなりガルパンの本編1話に時代が飛びます