ガールズ&ガンダム   作:プラウドクラッド

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島田ファミリー戦は一応決着となります

今回もよろしくお願いします


11話 お姉ちゃん

みほを連れ去ろうと強行する愛里寿のネティクス、愛里寿の邪魔はさせまいと他の生徒達の前に立ち塞がる3機のガンダム。

 

まだ慣れない宇宙空間の中みほを助けに行こうと皆立ち向かおうとするも次々と行動不能にされてしまう。このままではみほが連れて行かれる···············しかし彼女達の下にホワイトベースからの救難信号を受け取った知波単学園モビル道所属艦隊、西絹代率いる【絹代・フリート】と聖グロリアーナ女学院との練習試合後に知り合った大学生、マクギリス・ファリドの駆る純白のペイルライダーが救援に駆けつけた。襲来した島田ファミリーとの戦いは最終局面を迎えようとしていた

 

 

「五十鈴さん、左衛門佐さん聞こえますか!怪我はありませんか!?」

 

 

知波単のMS達がガンダム4号機と5号機と戦闘中の間にリュウセイはプチモビで行動不能にされてしまった華と左衛門佐の機体を回収し、今度はビーハイヴのMSデッキに収容し二人の名前を呼び安否を確認していた

 

 

「私は大丈夫です。けれど冷泉さんとみほさんがまだ·····」

 

「あの2機··········凄い数のMSを相手にしながら冷泉さんの機体を守護するように動いてるぞ··········」

 

 

左衛門佐の見た通りガンダム4号機と5号機は麻子の機体からあまり離れず抜群のコンビネーションで絹代の指揮官用ゲルググMを含む圧倒的数のMSを相手にしていた

するとビーハイヴのブリッジに絹代から通信が送られてきた

 

 

『こちら知波単学園絹代・フリート司令官の西絹代と申します!あちらのガンキャノン殿は我々が必ず助けますので任せてくださいつ!』

 

「了解です!貴艦の救援大変有難く思います!」

 

「教官さん!冷泉先輩は知波単学園の皆さんが助けてくれるみたいです!」

 

『わかった!ビーハイヴはここに残ってできるだけ知波単の援護を頼む!俺達は西住を助けに行ってくる!』

 

 

エルヴィンが絹代に礼を言うと妙子はホワイトベースの甲板上からネティクスを狙撃しようとしていたロックオンに連絡を入れた。ロックオンは射撃用スコープで遠く離れた隕石群にいるネティクスを狙おうとするも隕石に阻まれ狙撃できずにいた

 

 

『くっ··········ん?他に誰かいるのか?』

 

 

するとネティクスと戦闘を繰り広げる白い機体がチラッと見えた。味方かどうかわからないがネティクスの敵ではある様だったのでロックオンはその機体を狙わないようにしホワイトベースにみほの下へ急ぐよう指示を出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほは既に左腕と胴体以外の部位を破壊され行動不能になってしまったプロトタイプガンダムのコクピットから愛里寿のネティクスと熾烈な戦いを繰り広げるマクギリスのペイルライダーを見守っていた

 

マクギリスのペイルライダーはサーベルを二刀流で持ち格闘戦を挑もうとネティクスに斬りかかるも愛里寿の格闘センスは大学生の彼に全く引けを取っておらず彼の行動に対応し、むしろ圧倒する勢いで彼の機体に斬りかかり2基のビットを駆使して本気でペイルライダーを撃墜しようとしていた

 

 

(このガンダムのパイロット······やるな·········)

 

 

マクギリスはネティクスのビット攻撃を回避しつつネティクスに仕掛けようとするも全て対応され2基のビット攻撃を避けるために一撃離脱を強要されていた。加えてネティクスのパイロットから尋常じゃない程のプレッシャーを感じマクギリスは無意識のうちに冷や汗をかいていた

 

 

「凄い··········」

 

「大洗女子学園のパイロット聞こえるか。質問に答えて欲しい。今准将と戦ってるあのMS··········パイロットは何者だ?」

 

 

すると突然みほにリック・ドムIIのパイロットの男から通信が入ってきた

 

 

「え·····私もよくわかりませんがおそらく島田流の人だと思います·······」

 

「島田流だと?古い流派とはいえあの准将をここまで苦戦させる門下生がいるとは···········」

 

 

彼の言う通りマクギリスは決して弱い選手ではなかった。少々魅せたがる戦いを好む傾向があったがそれを差し引いても彼の実力は全国の大学でもトップクラスであり、彼とペイルライダーが敗れた所など数回程しか見た事がなかった

だからこそマクギリスが今現在若干押されているがにわかに信じられなかった

 

 

「··················ならばッ!」

 

「ッ!」

 

 

ネティクスのビットからビームが発射されたのと同時にマクギリスはビームナギナタを一本投げつけた。ナギナタにビームが命中すると大きな爆煙を上げて爆発し、マクギリスのペイルライダーは爆煙の中からネティクスへ急速接近した。

愛里寿は反応が僅かに遅れ斬りかかろうとするペイルライダーのサーベルを受け止めようとした··········がマクギリスのペイルライダーはネティクス本体から急旋回するとビームナギナタで2基のビットの内1基を両断した

 

 

「なっ·····!」

 

「准将·····!お見事です!」

 

「世辞はいい。石動、ヒートホークを貸してくれ。このまま一気に叩く」

 

 

リック・ドムIIが腰に装着していたヒートホークをマクギリスのペイルライダーの方へ投げ渡した。再び二刀流となったマクギリスのペイルライダーはビットを1基失ったネティクスに攻撃を再開しようとした

 

 

(··········凄いね。まさかオールドタイプでここまで戦える人がいるとは思わなかったよ)

 

「··········私だって···············私だってお姉ちゃんのガンダムを上手く使えるんだから!」

 

 

展開していたビットを回収し愛里寿のネティクスはビームサーベルをもう一本展開し二刀流になるとペイルライダーへ斬りかかろうとスラスターを吹かせた。2つの閃光は弧を描く様に飛翔しながら互いに斬撃を喰らわせようと何度もぶつかり合った

 

 

「フフフ···············聞こえているかねガンダムのパイロット。久しぶりだよここまで心躍る決闘は!」

 

「うるさい··········私達の邪魔をするなぁっ!」

 

「!パイロットはまだ子供だと··········?面白い!」

 

 

マクギリスは高揚した笑みを浮かべながら愛里寿のネティクスと激しい鍔迫り合いを繰り広げた

 

 

「准将が抑えてくれている。奴に気づかれないうちに機体を捨てて私の方へ来るんだ」

 

「えっ·····いいんですか?でも··········」

 

「迷っている暇はない。准将は確かに強いお方だが無敵ではない·······。パイロットスーツは着ているな?」

 

 

リック・ドムIIはマニュピレーターの掌をみほのコクピットの前に差し出した。みほは彼の言う事に従おうとシートベルトを外しコクピットから出ようとした

 

 

(みほさん、もう行ってしまうのかい?)

 

 

ハッチを開けようとした瞬間、また頭の中に少女の声が聞こえてきた

 

 

「·····貴方なんですよね?あの時私にニュータイプなんて力をくれたのは············」

 

(····ああ。そうだよ)

 

「なんで··········なんであんな力を私にくれたんですか!?そのせいで私は皆から··········!」

 

「どうした?誰と話している!?早く乗り移るんだ!」

 

 

彼にはみほと話している者の声が聞こえていなかった為に彼女が誰と話しているのかわからなかった。みほは感情が昂ってしまい彼の言葉を聞かずコクピット内に留まっていた

 

 

(ニュータイプなんて呼ばれる様になったから黒森峰では仲間外れにされる様になった。そう思っているんだね?·····でもそれは違うね)

 

「違くなんてありません!私は小梅さんを助けたかっただけなのに!ニュータイプなんて奇妙な力を持ってるからって皆私のせいにして!」

 

 

 

(だから違うんだよ。確か赤星小梅さんだったかな?あの時彼女に起きた事は事故でも何でもない。全部私達が仕組んだ事なのさ)

 

「え·····?」

 

 

突然あまりにも信じられない言葉が飛んできてみほは凍り付いたかの様に固まった

 

 

「何を言って··········え········貴方達が·····?」

 

 

(本当は今日みたいにやるのが一番簡単だったけどみほさんがニュータイプと呼ばれる様になってからというもの、君のお母さんは君の事を狙う者達からずっと守っていたものだからね。

私はこんな姿になってしまったし愛里寿達もおじさんに監視されているせいで皆で地球に降りる事はできなかった。だから君が黒森峰にいる間はどうしても連れて行くことができなかった)

 

 

「··········そんな事どうでもいい··········小梅さんはとても危険な状態だったんですよ!?それを貴方達の勝手な理由であんな危険な目に合わせて··········おかしいですよ貴方達は!」

 

(君が試合を放棄してでも彼女を助けてくれる、初めからそう確信してたから実行したにすぎないよ。とはいえとても大きな賭けだったよ。君が黒森峰でモビル道を辞めて大洗女子に転校、そして復活させたモビル道を無理矢理既習させられる事までが私達の筋書きだったからね。とても回りくどいやり方だったが私達にとってそれこそ君を手に入れる確実な方法だったんだ)

 

「···············何を言って·····じゃあ小梅さんを傷つけて、私を皆から遠ざけさせて·····私を大洗女子に転校させたのも·····全部·····今日私を連れて行く為に仕向けた事なんですか·····?」

 

 

恐ろしかった。自分を連れ去る今日という日を迎える為の計画に一年前から今まで彼女達の手の上で踊らされていた事が発覚し、そこまでして自分を手に入れようとする彼女達をみほはただ恐ろしいと思う事しかできなかった

 

 

(·····それはどうかな。大きな賭けだったと言っただろう?私達は君達にとってきっかけを作ったにすぎない。

赤星小梅さんを洗脳しあの不可解な事件を起こしたのはニュータイプである君だというでっち上げを信じ、君を避けて恐れて孤立させる事を選んだのはかつての君の友達だ。そして皆からのそういった感情に耐えきれず転校の道を選んだのは君自身で大洗女子で新しくモビル道を始めようと決意したのも君だ。

だがもし君がニュータイプである事を受け止めた上で分かってくれる人がいたなら私達の思惑通りにはならなかったはずだ)

 

「何が言いたいんですか·····?」

 

(·····この世界はね、私や君のようなニュータイプを先入観だけで化け物と決めつけ、自分とは違う存在だから、自分と比べて普通じゃないからという理由だけで認めず受け入れようとしない人が沢山いる。それだけでは収まらず自分よりも立場が低い存在だから、どうでもいい存在だからと平気で傷つけようとする人達も沢山いるんだ。

なんでそんな人達が平和なこの世界に絶えず存在し続けているのかな?どうして平和な世界になっても全ての人が幸せになれないと思う?···············それはこの世界の大人達が間違っているからなんだよ)

 

「間違っている··········?」

 

(そうさ。この世界は他者を思いやる事もなく自分よりも弱い人を踏みつけ利用しようとする人ばかりだよ。そしてその感情を持つ者が子供を作ればその子にも同じ様な魂が宿る。だから人は誰かを傷つけようとする宿命から逃れられず永遠と同じような事件や惨劇を繰り返し続けるのさ··········)

 

「そんなの··········いくら何でも短絡的すぎると思います!それに貴方達だって·····私達に同じ様な事をしてるじゃないですか!」

 

 

みほには彼女の言っている事が理解できない訳ではなかったが自分達がしてきた事を棚に上げてそんな事を言う彼女に思わず怒りがこみ上げてきた

 

 

(·····確かにそうだね。けれど愛里寿や私の姉弟達もこんな世界に傷つけられてきた。彼女達の様な悲しい子供達をこれ以上生み出させない為にも私は戦わなければならない。その為に君の存在が必要なんだよ)

 

「·····私にとって貴方達だって悪い人達と何の変わりもありません!そんな貴方達に世界を勝手に変える権利なんてないはずです!」

 

(·····賢しいなみほさんは········別にこの状態からでも君の体に入ることはできるんだ。多少強引で悪いけど一緒に来てもらうよ·····!)

 

『ちょっと辞めてよ!みぽりんを勝手に連れていこうとしないでよ!』

 

再び先誰かが頭に直接入ってくる様な、意識を奪われる様な感覚がみほに襲い掛かってきた時通信機から必死に叫ぶ沙織の声が聞こえた。どうやら近くまで接近しているようであった

 

 

「沙織さん!」

 

(何····?······君は誰だ?なんで私の声が聞こえているんだい?)

 

『え?なんでって···············ていうかどんな理由があるか知んないけどあんた達の勝手な理由で嫌がってるみぽりんを連れて行くなんて許さないんだから!』

 

(そんな馬鹿な·······今までだって愛里寿にしか届かなかったのに·······何故ニュータイプでもない人間が·······)

 

 

謎の少女は沙織の言葉が聴き入らない程動揺していた様で同時にみほに取り付くのも止めた様で意識が元に戻っていくのを感じた

 

 

(まさか·····!フフフフ········そういう事かみほさん。てっきりニュータイプとしての君の人格は完全に閉じこもってしまったと思っていたがその子がどうにかしてもう一人の君と接触して···············ニュータイプの力を目覚めさせてもらったみたいだね)

 

「え·····?沙織さんが········?」

 

『何·····?どういう事?』

 

(嬉しいよみほさん。やはりあの時君をニュータイプへ覚醒させたのは間違いじゃなかった。やはり君も私と同じ··········この世界を救う神様になれる存在だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「·····また私とお姉ちゃんの世界に·······誰か入ってきた·····!」

 

「む、何だ·····?」

 

 

斬撃を激しく打ち込み合っていた愛里寿とマクギリスであったが突然愛里寿のネティクスは動きを停め、不審に思ったマクギリスはペイルライダーの操縦を止め様子を伺おうとした

 

 

「出て行け··········お姉ちゃんの事を·····私達の事を何にも知らない奴らが··········私達の中に入って来るなぁ!」

 

「何······なんだあの光は·····?」

 

 

再び愛里寿の湧き上がる怒りに呼応するかの様に彼女の身体から赤いオーラが発現し、ネティクスも機体全身に彼女から湧き上がる燃え上がる炎の様なオーラを纏っていた

 

 

「その力、EXAMの類ではないな。どうやら私はとんでもない存在と対峙していたようだな··········」

 

「准将!援護します!」

 

「石動、おまえは下がっていろ。あれは私が······俺が討つ!」

 

 

マクギリスはデバイスを操作し『HADESシステム』の起動コードを打ち込んだ。すると奇妙な機械音と共にモニターに『HADES』と表示されペイルライダーのメインカメラと機体各部が赤く発光し始めた

HADESシステムを起動させたマクギリスは生気に満ちた表情を浮かべながらペダルを踏み込み、赤く変色したスラスターを吹かせてネティクスへ斬りかかろうとした

 

怒りのオーラを纏いし愛里寿のネティクスも両手のビームサーベルでペイルライダーのビームナギナタによる斬撃を防ぎつつ彼の機体に斬りかかるももう片方のヒートホークにこれを阻まれた。2機は熾烈な連撃の打ち込み合いを始め互いに相手からの斬撃を防ぎつつ得物で斬りかかろうとするも防がれ、一種の膠着状態とも言える程に激しい格闘戦を繰り広げていた

 

 

「HADESを使ってもこれ程とは·······本当に面白いな!ガンダムのパイロット!」

 

「黙れ·····貴様の邪魔さえ無ければ全部上手く行ってたのに!」

 

「それはお互い様だろう?君達のおかげで彼女達へのサプライズも台無しにされたのだからね········だがここまで心躍る戦いができた事に 感謝しているよ!」

 

「···········もう容赦はしない。終わらせる」

 

 

2機は鍔迫り合いを繰り広げていたが突如愛里寿のネティクスはペイルライダーに向かって頭突きを繰り出し、ペイルライダーのバランスを大きく崩した隙に左マニュピレーターを蹴り上げ持っていたヒートホークを宙へ放り出させた。マクギリスは機体の姿勢を元に戻しもう片手に残っていたビームナギナタでネティクスを刺し貫こうとした···············が愛里寿のネティクスはナギナタを紙一重で見切りながらペイルライダーの下へ潜り込みナギナタごと右腕を斬り落とした

 

 

「な··········俺が·····負ける···············?」

 

 

マクギリスのペイルライダーは後方へスラスターを吹かし脚部ミサイルランチャーを撃とうとするもネティクスはそれを許さず距離を詰めビームサーベルでとどめを刺そうとした

 

 

「これで終わり。·········ッ!新手か!」

 

 

愛里寿は自分を狙う者の気配に気づきペイルライダーへの攻撃を止めて急旋回した。すると上方から愛里寿のネティクスとマクギリスのペイルライダーの間に高出力のビームが撃ち込まれ、見上げるとそこには大型ビームライフルとレドームを装備した青と白を基調としたガンダム、ガンダム試作0号機【ブロッサム】がこちらを見下ろしていた。どういう訳かみほはそのガンダムの姿を見て青ざめた顔を浮かべた

 

 

「·········嘘···············なんでここにいるの·····」

 

「貴様も私達の邪魔をする敵だな··········!許さないんだから·····!」

 

(あの機体は···············愛里寿、時間切れだ。よりにもよってめんどうな人が救援に来たみたいだね)

 

 

ブロッサムはみほのガンダムの前に降り大型ビームライフルをネティクスへ向けながらみほ達に通信を送った

 

 

「そこのペイルライダー後退しなさい。後は私が引き受けます。ガンダムのパイロットさん、怪我はない?」

 

「·························大丈夫です·····」

 

「··········その声·····貴方みほなの!?何故貴方がこんな所にいるの!?」

 

 

ブロッサムに乗っていたみほの母親、西住しほはモビル道を辞める為に転校した自分の娘が大破したプロトタイプガンダムに乗っている事にかなり驚愕していた

 

 

(今西住しほの相手をしたら確実にみほさんを離脱させられる。私達の負けだよ愛里寿。撤退しよう)

 

「·····嫌だ。今の私なら西住しほだって撃破できる··········それに西住みほさえ手に入ればお姉ちゃんは戻ってこれるから·····!」

 

(愛里寿、目的を見誤っては駄目だ。みほさんが必要なのは私を生き返らせる為じゃない··········世界中の人が幸せになれるよう導いてあげるためだろう?それに彼女は今力を取り戻し·····私達と同じ位のニュータイプへ成長しようとしている。だから今は彼女が覚醒を迎えるのを待とうじゃないか)

 

「嫌だ嫌だ!ずっと·····ずっと今日という日を待ってたんだもん·····!それが西住みほの体でもまたお姉ちゃんと一緒に··········家族皆で一緒にいられるんだもん!」

 

 

 

 

 

(··········その他人を踏みつけてでも幸せになろうとする考えを生む世界を私達は変えていかなきゃいけないんだ。私の言う事が聞けないなら·········悪いけど無理矢理連れて行かせるよ)

 

「え·····?嫌だよお姉ちゃん!私はまだ帰りたくない!辞めてよお姉ちゃん··········まだ··········私は···············」

 

(ごめんよ愛里寿。後で必ず返すから)

 

 

愛里寿から意識を奪った。するとネティクスに纏っていた赤いオーラが消え始め愛里寿自身からも消えていった···············しかし愛里寿が再び目を開けた瞬間尋常ではない程のプレッシャーがみほやしほ、近くにいた面々に襲い掛かってきた

 

 

「准将!これは一体··········」

 

「さっきとは比較にならないこの感覚·······まるでパイロットが変わったかのようだな·······」

 

(やはりあのガンダムに乗ってるのは島田の者··········しかし昔の千代を遥かに超えている程のこのプレッシャー··········一体何者なの·····?)

 

 

周りがネティクスから放たれたプレッシャーに気圧される中、みほはネティクスのパイロットから愛里寿ではなく先程まで自分と話していた謎の少女の気配を感じていた

 

 

「··········聞こえるかいみほさん。こうして直接話すのは初めてだね」

 

 

無線機から聞こえてきたのは愛里寿の声であったがその時みほは確信した。先程まで自分に入り込もうとしていた謎の少女は今現在愛里寿に憑依し自分に話し掛けてきていた

 

 

「君が力を取り戻し、真のニュータイプへ覚醒した時また迎えに来るよ」

 

「待ってください!なんでそんなに私に拘るんですか·····他の人じゃ駄目なんですか··········?」

 

「·······確かに君じゃなきゃいけなかった訳じゃない。だがあの時君が誰よりも心優しい人になってくれる·····そんな気がしたから君を選んだんだ。今でも信じてるよ··········それじゃあね」

 

 

みほにそう言い残すとネティクスはその場から高く飛翔し飛び去って行った

 

 

「逃げんのかよ!」

 

 

みほ達がいた隕石郡から離脱したネティクスとホワイトベースはすれ違う形となりロックオンはネティクスを狙撃しようとしたがかなりの高速で動いていた為捉える事ができなかった。みほは一筋の流星の様に駆けていくネティクスの姿を呆然と眺めていた

 

 

 

 

 

「ナオ、さら、レビン!作戦失敗だ。撤退するよ」

 

 

ネティクスは未だ戦闘中にあったナオ達の元に着くと3人に無線で呼びかけた

 

 

「この感じ···············愛里寿ちゃんじゃない··········美香お姉ちゃんなの?」

 

「美香··········?どうしてみほさんじゃなくて愛里寿の体にいるの!?それに作戦失敗ってどういう事!?」

 

「説明は後。長居は無用だから早く帰るよ」

 

「美香だと!··········チッ、仕方ねぇ」

 

 

レビンはフルアーマーガンダムの左腕に装備されたグレネードランチャーをパージしビームライフルで撃ち抜いた。激しい爆発と共に大きな爆煙が生じマシュマーはフルアーマーガンダムの姿が爆煙に隠れた為視認できなくなっていた

 

 

「なっ、貴様!しっぽを巻いて逃げる気か!」

 

「ここら辺うろつく時は常にスピーカーをオンにしてな。今日は禁止されてたがジャズが聞こえたら···俺が来た合図だ」

 

 

そう言ってレビンはマシュマーのザクII改から離れネティクスと合流しに向かった

 

 

「でも美香·····本当にいいの······?みほさんの体を使えばまた愛里寿と一緒にいれるのに··········」

 

「みほさんが真のニュータイプになってくれるなら私が彼女に入る必要はない。··········それに愛里寿にも言ったが他の誰かを傷つけてまで得る未来に希望はないよ。あの子もわかってくれるはずだ」

 

「··················麻子さんは連れて行く?本人はその気じゃないみたいだけど··········」

 

「彼女はもう自分の人生を歩んでいる。選ばせてあげよう」

 

「わかった。··········麻子さん聞こえますか?私達はもう帰る事になりました!麻子さんも連れて行きたい所でしたがここは麻子さんの意志を尊重して諦める事にします。今日は突然すみませんでした!」

 

「····················」

 

 

しかし麻子はナオの言葉に耳を傾ける事無くシートベルトを外し怯える様にうずくまっていた

 

 

「お詫びに後日月行きのチケットとその他色々な特典を送らせて頂きます 。もし全てを知りたくなったら何時でも来てください。お待ちしてます!」

 

 

ナオは最後にそう言い残すと麻子との無線を終了しさらの4号機と共にネティクスの元へ退避した。丁度レビンのフルアーマーガンダムも到着し集結したガンダム4機はその場から離脱して行った

 

 

「西隊長!追撃するでありますか!?」

 

「いや我々の目的はあくまで大洗の皆さんの救援だ!深追いはするな!」

 

「あの男·········戦場に音楽を持ち込もうとは下品なヤツめ··········」

 

 

絹代は質問した隊員に指示を出し、マシュマーは離脱して行った4機のガンダムの光を恨めしそうに睨み付けていた

 

 

「撤退してったみたいだな··········はぁ··········」

 

『ニールちゃんお疲れ〜。一時はかなりヤバいと思ったけど皆無事でよかったよ~』

 

「そうだな··········てか西住と一緒にいるのは誰なんだ?あの人達がいなかったらかなりやばかったが·····」

 

 

ホワイトベースはロックオンが乗っていたGブルイージーを収容しみほ達を迎えに彼女達の元へ向かった

 

 

「退いて行った様ね···············みほ、何故貴方がここにいるのかしら?母は貴方がモビル道を辞めると言うから転校を許したのですが?」

 

「···············。」

 

「··········続きは貴方達の艦の中で聞きます。そこの二人も着いて来なさい」

 

 

しほは厳しい口調でみほにそう言ってホワイトベースへ向かった。かなり最悪な形な母親との再開になってしまったがそれ以上にみほは自分を連れて行こうとした彼女達の存在、そして閉じこもっていたニュータイプとしての自分が無意識のうちに沙織を覚醒させていたのではないかという事が気がかりでしょうがなかった。そして最後に愛里寿の中に入り込んだあの少女が··········本当に11年前に自分をニュータイプへ覚醒させたあの子なら··········何故あの様に魂だけの様な存在になっていたのかみほには理解できなかった···············

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦線を離脱したガンダム4機はネティクスを先頭に母艦のスパルタンへ向かっていた

 

 

「3人共。今日はこんな事に付き合わせて悪かったね」

 

「··········本当に美香·····なんだよね?」

 

 

無線機から聞こえてくる声が愛里寿の物なのでナオは恐る恐る聞いてみた

 

 

「ははは。いつもは夢の中だったからこうして直接話すのはかなり久しぶりだね」

 

 

「笑い事じゃねぇだろ!なんでおめぇが大隊長の·····愛里寿の中にいやがんだよ!西住みほに入るんじゃなかったのかよ!」

 

 

「確かに始めは私もそのつもりだったけどね。みほさんが私と同等のニュータイプになりつつある事がわかったからね。計画の為にも私が彼女に入るより彼女自身が私達の仲間になってくれる方がいいだろう?」

 

 

「でも美香お姉ちゃん·····愛里寿ちゃんは計画の為じゃなくて··········ただ美香お姉ちゃんに戻って来て欲しいだけなんだよ·······?」

 

 

「··········それじゃ駄目なんだ。私の生命が()()()()()()()のはその為じゃなくこの世界を救う為に生かされたんだ········だから皆には悪いがもう少しだけ待ってて欲しい。また衛叔父さんから酷い目に合わされるかもしれないけど··········本当にすまない」

 

 

「美香·············ううんそんなの大丈夫だよ!それに叔父さんのお仕置きなんてもうへっちゃらだもんね!」

 

 

「はぁ·····おまえがそう言うなら仕方ねぇな。もうちょっとだけあのドクズ野郎の遊びに付き合っててやるよ」

 

 

「ありがとう··········いつか必ず衛叔父さんをやっつけて·····この世界を人類皆が幸せに暮らせる世界に変えてみせるから」

 

 

それこそ私がこの世界に残る事を許された理由。それこそが私に与えられた最後の使命。必ずやり遂げてみせる···············だって妹達の事を誰よりも大切にするのがお姉ちゃんなのだから··········

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハッハッハッ!私は知波単の騎士マシュマー・セロ!何?いつも次回予告を頑張っていたクマのぬいぐるみを持った女の子は何処に行ったかだって?本編を見てわかる通り今日はお休みだ!·····何だゴットン、早く次回予告をやれだと?それもそうだな··········」

 

「突如現れた4機のガンダムを見事撃退したマシュマー達!しかし救援に現れた開花の名を持つガンダムから降りてきたのは鬼も喰われる程怖そうな女性だった············しかしあの様に美しい意味を持つガンダムはハマーン様にこそ相応しい·····嗚呼ハマーン様·····私の熱きファンレターを読んでくれただろうか··············何だゴットン!何!?もう時間が無いだと!?ええい貴様のせいだぞこのアンポンタン!」

 

次回!機動戦士ガンダムダブルゼー··········失礼!次回ガールズ&ガンダム! 『母の住む星』

 

ニュータイプの修羅場が見れるぞ!

 




読んでいただきありがとうございました

話がちょっとシリアス目だったので次回予告をあまり活躍させれなかったマシュマーにやらせてみました()

本当はまほも出したかったのですがあまりにも長くなりそうだったので次回におまけとして書こうと思います


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