ガールズ&ガンダム   作:プラウドクラッド

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今回は時系列的に前回愛里寿達が撤退した時と同じ頃の話になります。おまけのつもりがめちゃくちゃ長くなったので申し訳ございません

最近コクピットではなくコックピットが正しい事に気づいてしまいめちゃくちゃ恥ずかしくなりました()どっちが本当に正しいのかもまだわかってないのですが、ちょっとずつこれまでの回を色々編集していこうと思います。コクピットじゃなくてコックピットなんだ···············

今回また僕の大好きなキャラを登場させます申し訳ありません()


bgmはガンダムooより『SPIRIT』でよろしくお願いします


おまけ まほの仮面

宇宙へ上がった大洗女子学園が島田ファミリーとの戦闘を終えた頃地球、黒森峰女学園学園艦にて·····

 

モビル道の訓練が終わり年相応の女子高生の様な会話をしながら帰路に着く者、残ってシュミレーション訓練をしようとする者、メカニックと共に機体の整備を行う者等いつも通りの隊員達の姿を2年生ながら隊長を任されたエリカは眺めていた。だがそのいつも通りの風景の中、一人だけいつもと全く様子が異なっていた者がいた···············まほであった。

つい先週半年に昇る修行から帰ってきた彼女であったが昨日一昨日と訓練に姿を見せなかったためエリカは何があったのかと心配したが今日になって彼女が来てくれたようでよかった···············そう思ったのもつかの間何故か彼女は顔を隠す様に漆黒の仮面を付け制服の上に陣羽織の様な服を羽織って訓練に現れたのであった。いつもとは明らかに様子の違う彼女の姿に皆様々な衝撃を受けていたが決してそれを本人に面と向かって言うことはなくエリカもその内の一人であった

 

 

「ねぇエリカちゃん········西住たいちょ··········西住副隊長どうしちゃったのかな?イメチェンしたのかな·····?」

 

 

皆と同じくまほの変わり様に衝撃を受けていたエリカの幼なじみの楼レイラが小さな声でエリカに話し掛けてきた

 

 

「私だってわからないわよ··········でもあのまほさんの事だから何か意味がある事なんじゃ··········」

 

 

「確かにエリカの言う通りイメチェンではなさそうな気がするぜ」

 

 

すると3年生の先輩が二人エリカ達の元へやって来た

 

 

「先輩達って確か高等部の3年間まほさんと同じクラスでしたよね?」

 

 

「そうだけど··········あんな格好してるまほさんを見るのは初めてだよ··········」

 

 

「元々おしゃれとか興味無さそうな人だからな··········家元からあれを着ろって言われたりでもしたのかなぁ·····」

 

 

「·····なら同じクラスなんですし直接聞いてもらえませんか?もしかしたら何か悩み事でもあるのかも··········」

 

 

「えっ·····いやいやモビル道の事ならまだしも友達でもない私達があのまほさんにそんな事聞けるわけないよ·····」

 

 

「そりゃ3年間同じクラスだったけどよ··········私達みたいなただの一般人があのまほさんに気安く話し掛けるなんて無理に決まってるぜ········」

 

 

先輩二人は気を落としながらそう語った。自分もまほとは普段そういう話は全くしないがここは勇気を出して聞いてみよう··········そう思ったエリカはまるで何かを待っているかの様に腕を組んでゼフィランサスに寄りかかっていたまほに声をかけようとした

 

 

『西住まほさん。BC自由学園の理事長様がお見えになりました。至急談話室までお願いします』

 

 

突如放送が響きそれを聞いたまほは体を起こし談話室へと歩き始めた。エリカはハッとなり駆け足でまほに近づき声を掛けようとしたが彼女の後ろ姿から放たれる刺されるような雰囲気に当てたれ声が詰まってしまい結局何も聞けないまま終わってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まほは渡り廊下を抜け談話室を目指し歩いていた。談話室が見えてくるとドアの前にガラの悪そうな同世代ぐらいの少年が3人門番の様に立っており、彼女の存在に気づくと睨み付ける様に視線を送ってきたがまほは少年達を意に介する事無くドアを開けて談話室へ入った

 

 

「失礼します。モビル道部隊副隊長、西住まほです」

 

 

「やぁまほさん!しばらくぶりですね」

 

 

部屋に入るとブロンドヘアの頭に白スーツを身に纏った男が椅子から立ち上がりまほを出迎えた

 

 

「ご無沙汰しておりますアズラエル理事長」

 

 

「嫌だなぁまほさん。僕と君の仲じゃないですか。ムルタと呼んで欲しいですね」

 

 

男はたしなめるようにまほに言ったがまほは表情を変えることなく言葉を返した

 

 

「いいえ。私にとってアズラエル理事長は命の恩人。その様に扱う事はできません」

 

 

「命の恩人ね·········あの時は本当にびっくりしましたよ。お宝かなと思って漂流してたポッドを回収したら中に貴方が入っていたのですから。確か4ヶ月あそこに入っていたんですよね?」

 

 

「はい············あれは西住流の者として、モビル道を嗜む者の一人としてはあまりに弱く情けなかった自分への罰だと私は思っておりす」

 

 

表情··········元々和風な仮面に隠されて見える事はなかったが何一つ変えることなく淡々と話す彼女を見てアズラエルは口元を緩めた

 

 

「それにしてもその姿·····大変よく似合ってますね。送ったマスクも付けてくれて嬉しいです。まるで西住流"二代目"そのものだよ」

 

 

「ありがとうございます。·····それで今日はどのようなご要件でいらしたのですか?」

 

 

「おっとそうでした。今日は貴方に伝えたい事が二つあって来たんですよ」

 

 

まほが尋ねるとアズラエルは持ち込んでいたタブレットを取り出し操作するとまほへ手渡した

 

 

「その動画は先月ウチに所属してる企業のチームと月のνA-LAWS(ニュー・アロウズ)と行われた試合でね。まぁとりあえず見てみましょうか」

 

 

「νA-LAWS···············島田流ですか··········」

 

 

動画は艦の光学カメラで撮影された物のようでいきなりνA-LAWS側のMS部隊が襲来した場面からスタートした。アズラエル側の艦隊は大量のMSと共に展開していたがそれに対してνA-LAWSは10機程のMSだけで攻め込んでいた。しかし戦況はνA-LAWSのMS達が圧倒的物量で勝るアズラエル側の大部隊を蹂躙していくという信じられない展開になっていた。特に指揮官機と思われる3機の高機動型ゲルググ達による連携攻撃が艦隊とMS部隊に大打撃を与えていた

 

 

「この3機のゲルググは?」

 

 

「確か"アロウズの3M(スリーエム)"とかいう3人組だったかと。何か心当たりでも?」

 

 

「いえ··········昔見た事がある様な気がしたので」

 

 

結局その後もアズラエル側のチームが蹂躙され続けたまま試合が終わりνA-LAWSの圧勝という形で幕を閉じた

 

 

「全く情けない話ですよ。仮にも世界中からスカウトやドラフトで捕まえた選手ばかりのプロチームがお子様も混じってる様なチームに完敗だなんて」

 

 

「·····アズラエル理事長は何故私にこれを見せたのですか?」

 

 

「まほさん。貴方には"四代目"としてウチのチームに来て欲しいのです。今の貴方はかつてモビル道の黄金時代を築き上げた"二代目"と同じ様な志しを持っている。そんな方がトップに立ってくれれば後に続く者達の指揮も高まるというものです。それにニュータイプだなんて馬鹿げた世迷い言を研究してる月の連中にいつまでもデカい顔されるのも癪ですからねぇ」

 

 

「その程度の事でしたら喜んでご協力させていただきます。私の力を示す為にも月の戦士達は超えなければならない存在なので··········」

 

 

まほは先程の映像を見て動揺するどころかむしろ仮面では隠し切れない程の闘志を放っていた。そんな彼女をアズラエルは嬉しく思い先程動画を再生していたタブレットを手に取り再び操作し始めた

 

 

「いやぁ嬉しいですよまほさん。しほさんは貴方と違って二代目のファンである我々に当たりが強かった物でね。母と娘は常に相反する存在という事なのでしょうか··········」

 

 

「お母様は二代目のモビル道を受け継ぐ事なく自分の信ずる道を西住流とし三代目として伝承してきました。ならば私も同じ事をするまでです」

 

 

「··········へぇ、いいお考えですねそれ。そんな貴方の為にこんな物を用意させていただきました」

 

 

アズラエルが再びタブレットをまほに手渡すとそこには()()()M()S()の画像が映し出されていた

 

 

「この機体は·····BCの新しい機体ですか?」

 

 

「その新型··········確かに今は僕の学園のMSですがこれから貴方の物になるんですよ。まほさん」

 

 

「そちらでは導入しないのですか?こんな高性能のMSを他校に譲るなんて聞いた事がありません」

 

 

画面に映るMSのデータが通常の機体とは破格の数値を示していた為他校である黒森峰に、何よりアズラエル自身が理事長を務めている学園に導入しない事をまほは疑問に思った

 

 

「そうしたい所なのですが男子の方は乗りこなせる子がいなくてですね··········廊下に立ってたあの子達なら行けると思ったのですがイマイチ気に入って貰えなく、女子の方も年柄年中喧嘩しっぱなしで話になりませんしテストパイロットを務めてくれた子もモビル道には興味無いと言って導入を断ってきたのでね··········せっかく作ったのに腐らせてしまうのも勿体ないのでどうせなら確実に乗りこなせる人に渡そうかと」

 

 

「それが私、という事ですか?」

 

 

「ええ。あのとんでもない修行を耐え抜き二代目と同じその仮面を付けてくれた貴方が誰よりも適任かと」

 

 

「··········わかりました。ありがとうございますアズラエル理事長。必ず乗りこなしてみせます」

 

 

まほは感謝の意を表してアズラエルに頭を下げると彼もそれに応えるように返礼した

 

 

「いいんですよまほさん。我々"ブルーコスモス"は西住流"四代目"の貴方を全力でサポートさせていただきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリカはまほのいる談話室へ早足で向かっていた。先程まほに声を掛けることができなかった自分を腹立たしく思ったのと、隊長としてまほに接する事ができなかった自分が情けなく思い改めて彼女に声を掛けようと考えていた

それに加えまほを訪ねに態々黒森峰女学園の学園艦まで出向いたBC自由学園の理事長··········気になって何者なのか調べてみると、地球上の大企業や財閥が集まって構成されている地球自然保護団体"ブルーコスモス"。その巨大組織に若くして盟主たる任に着いていた青年こそBC自由学園の理事長[ムルタ・アズラエル]であった

そんな物凄い大物がどうしてあのまほさんに··········とも思ったが世界中から門下生が集まる西住流の次期後継者である彼女がそんな人と知り合っていてもなんらおかしい事はなかった

 

とはいえモビル道関連の兵器産業も手掛けているブルーコスモスのトップが来ているという事なので自分もモビル道部隊の隊長として挨拶しなければ、と思いエリカは緊張しながらも談話室へ向かった。すると談話室のドアの前で門番の様に待機している3人の少年が見えてきた。少年達はそれぞれ読書をする者、床に座り込んでゲームに夢中になってる者、ヘッドホンを掛けて自分の世界に入っている者と別々の趣味に没頭しておりそんな風紀もクソもない三人を見てエリカは唖然としていた

 

すると読書をしていた黄髪の少年がエリカに気づくと睨み付けてきたので、エリカも負けじとメンチを切り返すと少年は驚いた様に目を剥き座っていた赤髪の少年にヒソヒソと何か話し始めた

 

 

(オイ、やべーぞクロト。なんか怖そうな女がこっち睨み返して来やがった!)

 

 

「うるせーぞオルガ!··········誰アイツ?」

 

 

「おまえらうざい··········え?」

 

 

「貴方達!読書ならまだしも廊下でゲームと大音量で音楽聴くなんてどうかしてるんじゃないの!?」

 

 

我慢できなくなったエリカは三人組に叱る様に怒鳴った。三人組は全員豆鉄砲を喰らったかのようにポカンとしていたが我に返った黄髪の少年が挑発する様に他の二人を煽り始めた

 

 

「だから静かに待ってられるように本貸してやろうかって言ったのによ!ホント馬鹿だよなオメーらは!」

 

 

「あぁ!?バカはオメーだろオルガ!てか僕なんて音量消してゲームしてたしうるさかったのはシャニだけだろ!」

 

 

「はぁ?今のおまえらの方がよっぽどうるさいしうざいんだけど?」

 

 

三人組は箍が外れたかの様に互いに睨み合い今にも喧嘩が勃発しそうな雰囲気になっていた。すると突然談話室のドアが開かれた

 

 

「君達うるさいよ。どうして大人しく待っていられないんだか··········おや、ひょっとして君は隊長の逸見さんかな?」

 

 

「は、ハイ!黒森峰女学園モビル道部隊隊長、逸見エリカです!今日は遠路はるばるご苦労さまです!」

 

 

「ははは、悪いね態々挨拶に来てくれて。一応ここにはお忍びで来た訳で僕の存在を知ってるのも君とまほさんくらいなものだから気にしなくてもよかったのに」

 

 

するとアズラエルに続いてまほも談話室から出てきた

 

 

「まほさん··········」

 

 

「エリカ、私はこれからアズラエル理事長の見送りに行ってくる」

 

 

「わ、私も行きます!」

 

 

アズラエル達の見送りに行こうとするまほの後にエリカも続いて行った

 

 

 

 

 

 

学園内のヘリポートに着くと既にブルーコスモスのヘリコプターが待機しておりアズラエルは助手席へ、三人組の少年は後部座席へ乗り込んだ

 

 

「それではまほさん。新型は近いうち送らせていただきます。··········全国大会楽しみにしてますよ」

 

 

「はい。四代目として恥じぬ戦いを約束します」

 

 

まほはアズラエルに敬礼しながら言うと彼を乗せたヘリは飛び去って行った。そしてまほもその場から立ち去ろうとしたのでエリカは彼女に何故その様な格好をしているのか聞こうとした

 

 

「あ、あのまほさん!今日はどうしてその様な格好を··········」

 

 

「エリカ。私は今日から自分のモビル道を極める事に集中する。だから副隊長の任は私から他の者に変えてくれ」

 

 

思いもしなかった言葉がまほから放たれエリカは耳を疑った

 

 

「え!?·····何を言っているんですか!あなたは西住流の次期後継者なんですよ!?ただでさえ私よりも隊長であるべき貴方が一隊員に成り下がるなんて事は··········」

 

 

「私が四代目になる事とそれは関係ないだろう。私はもうお前達と同じ道を進む訳にはいかない。それでは次期後継者としての器も実力もあまりに不足しているんだ」

 

 

「で、でもまほさんは··········」

 

 

「その代わりに来月から始まる全国大会。全試合私をフラッグ機として出場させてくれ。最も私を試合で使うかどうかも全ておまえが決める事だがな」

 

 

まほはそう言い残すとエリカに背を向けて歩き始めた。エリカにはわからなかった········彼女が変わったのは風貌だけでなくその心までもが昔とは全く異なる物になっている様なので何が原因でまほが変わってしまったのかエリカにはわからなかった··········

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はお疲れ様ですアズラエル理事長。如何でしたか黒森峰女学園は?」

 

 

「あのねぇ、別に観光に行った訳じゃないんだから」

 

 

黒森峰女学園の学園艦を飛び去ったブルーコスモスのヘリの中で操縦士の男性が助手席のアズラエルに話しかけた

 

 

「では本当にあの西住まほさんに会いに行っただけなんですか?一体どうして··········」

 

 

「·····何考えてるか知らないけど下心とかは全く無いからね?君は西住まほさんが最近何をやらかしたか覚えてるかい?」

 

 

「ええっと··········確か去年の全国大会の決勝戦後に優勝校の隊長を殴ったせいで6ヶ月間謹慎処分を受けたとか··········でもようやくそれも解けて復帰できたんですね」

 

 

「復帰ねぇ··········彼女、去年の全国大会が終わった後分家の人達と修行という名目で宇宙へ上がってね。その時しほさんは忙しくてまほさんの事は分家の人達に任せっきりだったらしいんだけど·········それが原因でまほさんにとってはかなりハードな事が起きちゃってね」

 

 

「··········何があったんですか?」

 

 

操縦士の男性は息を呑んでアズラエルの方を見た

 

 

「こらこらちゃんと前を見なさいよ。···············聞くところによると西住流には二代目が考案した修行の中でね、それ専用のMSのコックピットポッドに入って宇宙空間で1ヶ月過ごすという物があってね」

 

 

「なんですかそれ··········そんな訓練にどんな意味が··········」

 

 

「二代目の意思としては1ヶ月間外部との連絡も一切遮断し、ポッド内でひたすらシュミレーション訓練に励むと同時に宇宙空間という絶対的な闇の中を独りで過ごす事で精神力を極限まで高めようという目的があるらしいんだ」

 

 

「外部との連絡を一切遮断されてるとは··········私なんて3日持つのかも怪しいです··········」

 

 

「僕もだよ。だがそんな正気じゃない訓練を二代目は世界中に広めて娘のしほさんにもやらせてたらしいよ。とはいえあまりにも危険だからしほさんは三代目に襲名されてからその訓練を禁止する様各地に呼び掛けたらしい。その甲斐あって今じゃどこの団体もやってないみたいだね」

 

「··········それでその訓練と西住まほさんと一体どのような関係が·····?」

 

 

「·····まほさんの育成を担当した人は根っからの二代目派の人でね。しほさんが三代目になる事もずっと反対していた程らしいんだけどあの人が継いでからは大人しくなったみたいで誰もその人を警戒してなかったんだ。

それで謹慎が始まってからその二代目派の人と宇宙へ上がったまほさんは例の修行の為にコックピットポッドに入れられて、西住流が所有してる宙域へ投げ出されたのさ。

 ただ問題はそこからだった。本来1ヶ月間しか行わないはずの訓練なのに何故かポッドに括り付けられた食料は2ヶ月分ほどあって酸素も4ヶ月分ほどあったらしくてね。質問しても何も答えて貰えないまま訓練は始まってしまい、まほさんは取り敢えずシュミレーション訓練に勤しんだらしい。

そして外部との連絡手段も無い極限状態の中、まほさんはひたすら訓練と寝る事でその現実から逃避し続けようやく1ヶ月経った···············しかし修行が始まってから1ヶ月の日だというのに迎えは一向に現れる気配も無く、結局誰も迎えに来ないまま日本時間でいう次の日になったらしい。そこからが彼女の地獄の始まりだよ」

 

 

アズラエルが淡々と話す中操縦士の男性は静かに聞いていた

 

 

「結局誰も迎えに来ない為まほさんは再び訓練を再開した。真面目に取り組んでいればきっと迎えが来る·····ちょっと多めにやらされているだけ·····そんな希望を持って彼女は訓練し続けた。しかしそれから何週間か、数ヶ月経っても誰も迎えに来ない為まほさんは自分の置かれている状況を真の意味で理解したらしい···············もう確実に迎えは来ない·····皆自分の存在を忘れている·····とね」

 

 

「そんな馬鹿な······誰も不審に思わなかったのですか··········?」

 

 

「らしいね。二代目派の人が定期連絡で偽の報告を続けてたらしく誰もまほさんが宇宙のど真ん中で放置されてるなんて思わなかったさ。それから彼女はポッドに供えられた食料を節約し始め、なるべく長く生きようと努力したらしい。闇に囲まれた世界の中で恐怖と孤独に耐えながら彼女はずっと助けを待っていた。想像できるかい?僕は正直この話を本人から聞いただけで暫く宇宙へ上がりたくなくなったよ」

 

 

「····················すみません·····そんなに酷い事があったとなんて知らず···············」

 

 

「それで結局迎えは来ないままポッド内でずっと独りで待ち続けてその中で新年も迎えたらしいよ。その後僕らが新年会の後近くの宙域を高速シャトルでぶっ飛ばしてたらやけに空のコンテナが周りに散らばってるコックピットポッドを見つけてね。何かオカルトめいた物を感じて拾って開けてみたらね··········中に全てを拒絶し遮断するかの様にうずくまっていたまほさんの姿があったんだ

 その後彼女を保護した僕らはブルーコスモスの支部がある低軌道ステーションまで行って彼女の回復に努めたよ。彼女を保護してから2ヶ月後ぐらいにようやく話せるレベルまで回復して彼女から事情を聞き出したという訳さ。でも凄い事にあの中にいた間、ずっとかけがえのない妹や友人の事を思っていたらしく彼女達が自分を待っていると信じる事で何とかその精神を保っていたらしい」

 

 

「凄いですねまほさんは··········本当に強い方なんですね··········」

 

 

「··········そのまま順調に回復してくれてついに謹慎が終わる時が来たんだ。僕も二代目派の人も捕まえようと刺客を送ったんだけどね、見つけた時はもうこの世から逃げた後で遺書には『復讐は実った』と書かれていたよ。まほさんは家族に迷惑はかけたくないからこれらの事は僕との秘密にして欲しいと言うもんだから、しほさんにすら伝えないまま彼女は黒森峰へ戻って行った」

 

 

「三代目にすら伝えないままですか··········それを私なんかに話してよかったのですか?」

 

 

「·····別に君に話した所で何も起こらんだろうし、君にはまほさんがどういう人か知って欲しかったからね。これはさっき聞いた話だけど、その後まほさんは高等部へ上がらず他の高校へ転校して行った親友の元へ向かってね。何とかその親友に黒森峰へ戻って来れないかと説得しようとしたらしいけど、当たり前だけど聞き入れてもらえずそれが原因で激しい口論になってそのまま帰らされたらしい·········

更にモビル道が嫌になって転校したはずの妹さんも転校先で新しくモビル道を始めたらしくてね··········彼女は言ってたよ。結局戻って来ても自分は独りのまま。あの時の孤独も何もかも初めから自分の弱さが原因で引き起こされた物。全ては初めから力を持っていなかった自分のせいだとね··········」

 

 

操縦士はアズラエルの話を聞き心を締め付けられる様な感覚に陥り口を閉ざした。アズラエルはそんな彼を察し話を終いにしようとした

 

 

「だから僕達ブルーコスモスは西住流を尊ぶ者として··········これから新たに誕生する四代目の為に全面的に協力して行くつもりさ」

 

 

「その為にあの新型を············何だかわかる気がします·····」

 

 

「別に同情してる訳じゃないからね?今のまほさんと伝説の二代目が重なって見えちゃってついつい熱くなってるのかもね··········それに新型の名前も『わがままな美女』と来た。今の彼女にピッタリだと僕は思うね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今や世界中から門下生が集まる西住流。それの次期後継者であるまほと友達になろうなどと畏れ多い事を同世代の生徒達にできるはずもなく、まほは学園で友人を作る事ができなかった···············ただ一人誰とでも分け隔てなく接する彼女を除いては。

彼女はまほが周りとは別格な存在だと知った上でまほと真正面から接し、語り合い共に同じ刻を過ごしてくれたかけがえのない存在だった···············だから彼女が自分の道の為にまほの元を去った刻、まほは初めて『孤独』という物を知った。その後彼女と一切の交流が無かった訳ではないがそれでも、彼女が傍にいないというとても受け入れ難い事実がまほを蝕んだ。最愛の妹、みほだけは失いたくない··········だが現実はまほを許容せず、結果として自分が居ない内にみほは黒森峰を去ってしまっていた

 

何故かつての親友は自分の願いを聞き入れず戻って来てくれないのだろうか。何故最愛の妹は自分を捨て新たな仲間達と新たな道を進もうとするのだろうか。何故自分はこれ程までに淋しい想いを募らせているのだろうか。·········答えはもう決まっている

 

 

「私が()()()()()()。私に()()()()()()()()。そうだろう?みほ、安斎··········」

 

 

ならば手に入れてみせる·········おまえ達が私を無視できない程の高みを········おまえ達がまた私を頼りにしてくれる程の力を········いつかまた私の傍に戻って来て欲しいから··········

 

 

まほは心の中に改めて決意を込め、これまでの弱かった自分を否定する為の仮面を深々と付け直した

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました

大好きなキャラはガンダムSEEDに登場するムルタ・アズラエルでした。いっやったあああああああああ!本当にごめんなさい()
アズラエルと3馬鹿はその内外伝で登場させると思います

今回登場した"二代目"西住流という存在。割と重要な単語になってくるかもしれないのでよかったら頭の片隅に置いといてください。多分重要になってくるかと思います()

今回まほの重ための話を書いて大分辛くなりました
ただ当ssのラスボスで且つ仮面キャラなので何とか頑張りました。次回はまた本編に戻ります
わからない事があったら何でも答えますのでコメントお待ちしております


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