ガールズ&ガンダム   作:プラウドクラッド

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前回のおまけでブルーコスモスが登場しましたが当ssではSEEDの設定程過激な事をする団体にはしないと思います()

今回もよろしくお願いします


12話 母の住む星

 

 

大洗女子学園の救援に駆け付けた知波単学園と純白のペイルライダーを駆って現れたマクギリス、そしてGP00 ブロッサムに乗ったみほの母、西住しほが突如介入した事によって、みほを連れ去ろうとしていた島田愛里寿達を何とか撃退する事に成功した

4機のガンダムが撤退した後ホワイトベースとビーハイヴはエンジン部に多少の被害が出ていた為自力での航行が酷なものとなっていた。よって絹代率いる10隻程の艦で構成された絹代・フリートの戦艦にホワイトベースとビーハイヴは牽引され、一行はMSと戦艦を修理できる場を目指し出発する事となった

 

 

ホワイトベースのMSデッキへみほ達の機体が帰還し沙織を初めとするブリッジクルーはデッキへ駆け足で向かった。MSデッキに着くとペイルライダーやリック・ドムII、ブロッサムといった見慣れないMS達や損傷した大洗女子学園のMSの収容作業が行われており慌ただしくなっていた。すると量産型ガンキャノンから麻子がふらふらと降りてきたので沙織は駆け寄って行った

 

 

「麻子!どうしたの!?何か変な事されたの!?」

 

 

「沙織··········今は一人にさせてくれ············」

 

 

麻子は弱々しくそう言って沙織を振り払うと再び歩き始めMSデッキから艦内へ入って行った。沙織は麻子を心配に思い後を追おうとしたが大破したガンダムからみほが降りてこっちへ来ている事に気づいた

 

 

「みぽりん!みぽりんも怪我とかしてない!?」

 

 

「うん、私は大丈夫だよ。···············沙織さんもあの声が聞こえてたの·····?」

 

 

"あの声"··········沙織にもみほと同じく先程まで謎の少女の声が頭の中に響いていた

 

 

「うん·····あれって何だったの?あんな誰かの声が頭の中に聞こえてくるなんて初めてだったよ··········」

 

 

「··········もしかして沙織さんも·····」

 

 

 

みほが何かを言いかけた時、ブロッサムのコックピットが開かれ、中からしほが現れ周囲を見渡してからロープに足を掛けてデッキ内へ降りてきた

 

 

「おいあれって··········!西住流の家元じゃねえか!あんなすげぇ人が助けに来てくれたのか!」

 

 

「え、あの人西住ちゃんのお母さんなの?」

 

 

「··········おまえ何言ってんだ?誰が誰のお母さんだって?」

 

 

杏の言葉を聞きロックオンは目を点にして聞き返した

 

 

「何って··········ニールちゃんがあの人の事西住ちゃんのお母さんって言ったんじゃん?」

 

 

「···············いやいやそんな訳ないだろ。あの西住が西住流本家の娘な筈ないって。第一家元と全然似てないし··········」

 

 

「·········もしかして教官殿は本当に知らないのですか·····?」

 

 

「嘘·····ですよね········?」

 

 

どうやらみほが西住流本家の子である事を知らない様子のロックオンに桃と柚子は困惑した。するとブロッサムから降りて来たしほがロックオンの方へ近づいて来た

 

 

「貴方が教官さんですね?あそこにいる私の娘を少し借りてもいいでしょうか?」

 

 

「え、も、もちろんでございます!いくらでもお貸しします!煮るなり焼くなりお好きにどうぞであります!」

 

 

ロックオンが敬礼しながらそう言うとしほは踵を返してみほの方へ向かって行った。しほが近づいて来る事に気付いたみほは怯えるように俯いた

 

 

「みほ。なんで貴方がここに居るのか聞かせてもらおうかしら」

 

 

「···············。」

 

 

「ここは少し騒がしいので着いて来なさい。·····貴方は?」

 

 

「わ、私はみぽりん·····みほさんの友達の武部沙織です!」

 

 

「そう。悪いけどこの子と二人きりになりたいから貴方はここで待っててもらえるかしら?」

 

 

沙織はみほを一人にさせるのはマズい··········そう思ったがしほの威圧感が込められた視線に気圧されて言葉を返す事ができず、しほは彼女達の有無を聞かないままみほの手を引いてデッキ内から出て行ってしまった

 

 

「ちょっとニールちゃん!やばいじゃん今の西住ちゃんと西住ちゃんのお母さんを会わせちゃったら!」

 

 

「··········オイ········あの西住が黒森峰から来たってのは知ってたけどよ·····本家の娘なんて聞いてないぜ········せいぜい分家の人かと思ってたのによ··········」

 

 

杏がロックオンの方を見ると彼は静かに涙を流しながら力尽きたかの様に倒れ込んでいた

 

 

「てか教官さんなら西住ちゃんの事ぐらい知ってる筈でしょ!?すっごい有名人だったんだよ!」

 

 

「いや女子のモビル道は興味無かったせいで全然チェックして来なかったからよ·······まさか家元の娘がウチに居たとか·····短かったな·····俺の教官生活··········」

 

 

「えー!教官さん辞めちゃうんですか!?」

 

 

力無くそう呟いたロックオンに佳利奈は驚きの声を上げた

 

 

「だって西住が誘拐されそうになったし皆を危険な目に合わせたんだぜ·····?当然だけど全部事前に防げなかった俺の怠慢として処理されるだろうからクビは確定·······もしかしたら牢屋にぶち込まれるかも··········」

 

 

「·····確かに西住ちゃんのお母さんにバレちゃった訳でだからやばいかもね。それはそうとして私もちょっと行ってくるよ。このまま西住ちゃんを連れてかれる訳にも行かないからね」

 

 

「わかりました。どうか気をつけてください·····」

 

 

杏はそう告げるとしほとみほの後を追って行った。ロックオンは変わらず死んだように地面へ伏せっており赤ハロが喝を入れようと声を掛けていた

 

 

「ロックオン!ゲンキダセ!ファイト!」

 

 

「ハロ·····皆の事を頼む·····」

 

 

「状況が状況だったのでそこまで大事にはならないんじゃ··········」

 

 

力無くハロに全てを託そうとするロックオンを柚子達は気の毒に思う事しかできなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほはしほに連れられて艦内の人気のない廊下に連れてこられ母と二人きりの状態となっていた

 

 

「こうして会うのは久しぶりね··········どういうつもりなの?どうして貴方が転校先の大洗女子学園でまたモビル道をやっているのかしら?」

 

 

「え············」

 

 

「もう二度とモビル道と関わらないからと転校させろと言ったのは貴方なのよ?全て母を騙す為の虚言だったとでも?」

 

 

「···············」

 

 

みほは何も言い返す事ができなかった。実際母の言っている事は事実であり自分は黒森峰を出る為に二度とモビル道をやらないと誓って大洗女子への転校を許してもらった。それなのにMSに乗って宇宙にいたというのだからこうして責められるのも仕方ない事であった·····

 

 

「モビル道が無い学園だからと油断してましたがまさかこんな事になるなんて········やはり転校を許したのは失敗だったわね」

 

 

「わ、私には········黒森峰のモビル道は合わなかったから新しい友達と新しい道を見つけたくて··············それに黒森峰には私の事普通の子だって思ってくれる人なんていないから··········」

 

 

「·····だとしてもよ。貴方は西住の血を引く者なのだから本来私達の流派を受け継ぎ、後世に伝えて行く為に努めなければならない·······家族の伝統、家元としての使命とも言える物を忘れて身勝手に他の道を進もうなど許されるはずがないの」

 

 

わかっていた··········強豪校とも練習試合をし全国大会にも出場すると決まっていたのだから新しい学校でモビル道を始めた事がいつか母の耳に入る時が来る·········いつかその時が来るとわかってはいたがこんなにも早く母と衝突する時が来ようとは思いもよらなかった··········

 

 

「とはいえ黒森峰でモビル道をやれと言うのも無理な話ね。先程知波単学園の皆さんに私の星へ進路を取るよう連絡しました。これからは私と共にあそこで働いて貰うわ」

 

 

「そんな··········嫌だよ!せっかく新しい友達もできたのに···············もうお別れしなきゃいけないなんて·····!」

 

 

「私との約束を破っておいてまだわがままを言うつもり?·······それに先程貴方を攫おうとした連中がまた現れるかもしれないのよ。やはり私の目の届く所に居てもらわないと困るわね」

 

 

「ハイハイ待ってくださ〜い!西住ちゃんを勝手に連れてかれると私も困っちゃいま〜す!」

 

 

すると二人を追ってきた杏がしほに向かって声を掛けた

 

 

「か、会長!」

 

 

「会長·····貴方が大洗女子学園の生徒会長さん?今まで廃止していたはずのモビル道に私の娘を参加させるなんて一体どういうつもりなのかしら?」

 

 

しほは怒気を孕んだ声を放ちつつ杏に迫り険しい表情で見下ろした。だが杏はそれに怖気づく事なくしほの顔を真っ直ぐ見返した

 

 

「確かに嫌がる西住ちゃんにモビル道を始めさせたのは私です。どうしても彼女の力を借りなければならない事情があるもので」

 

 

「そう·······それは残念ね。貴方達にどんな事情があるかは知りませんがこの子はもう大洗女子からは退学させます」

 

 

「お母さん!私は··········」

 

 

「貴方は黙っていなさい。この艦は今私の星『シュヴァルツ・ファング』へ向けて航行しています。彼女はそこに残ってもらうので貴方達が地球へ降りてから退学の届け出を送るのでよろしくお願いしますね」

 

 

「よろしくお願いします·····と言われましても当の本人があからさまに嫌がっているというのに親の意向だけで退学を受理しろと言うのはちょっと認める訳にはいきませんね」

 

 

「········どうしてもみほを手放したくないようですね。こんな時期にモビル道を復活させて··········彼女の知名度を利用し自分らの学園の名を売るつもりなんでしょうけどそんな事を私が許すとでも思っているのかしら?」

 

 

「いやぁ〜確かに西住ちゃんの知名度に甘えようってのも間違いじゃないですね〜。けど西住ちゃんはもう大洗女子学園の一員です。せっかく新しい居場所を手に入れた彼女を無理矢理連れて行こうだなんて··········そんな事私も生徒会長として許せませんね」

 

 

あのいつもぶっきらぼうに振舞っていた杏が意外にも自分を守る為に母と正面からぶつかり合っていた。あの恐ろしい母の前でも怯む事無く自分を曲げずに対面している彼女をみほは素直にすごいと思った。だがしほもそう簡単には折れなかった

 

 

「先程貴方達を襲った連中·····あれが再びみほを狙ってきた時貴方達だけでは到底みほを守れるとは思えないのですが」

 

 

「西住ちゃんを狙うって·····さっきの人達の事知ってるんですか?」

 

 

「何者だったのかは大体見当はついています。あれはこれまでもみほを狙って黒森峰に間者を送って来た事がありました。事実貴方達だけだったならみほはあのまま連れて行かれてただろうし、最悪他の生徒さんにも危険が及んでいたのかもしれないのよ?」

 

 

しほのその言葉を聞き流石の杏もたじろいだ。確かにあの時母どころか知波単学園の人達とマクギリスが来てなかったら自分は確実に連れて行かれた··········最も頭の中に語り掛けてきた少女は私の体だけを頂くと言っていたが··········

 

 

「·····今回は初めての宇宙という事もありあの様な予想外の事態を想定する事ができませんでした。これに関しては課外授業として独自に宇宙へ上がってしまった私の想像不足です。

ただあの様な人攫いに近い存在は他の学園の皆さんにとっても十分危険であると思うのでそれこそ連盟や警察組織の方々が私達を守る為に動いてくれると信じたいです」

 

 

「あれを捕まえるために警察が動いてくれるならとっくの昔に解決してるの····わかって貰えないかしら?」

 

 

「·····でしたら尚更そんな訳のわからない連中の為に西住ちゃんが学校を辞めなければならないのはおかしいと思います。それにあの天下の西住流が自分達に屈したと思われ余計に付け上がらせるのでは?」

 

 

「先程からああ言えばこう言って··········なんだろうとみほは私との約束を破り西住流以外のモビル道を進もうとしました。モビル道をやるなら西住流の後継者として努めるのが我が家の掟·····したがって私の元へ還してもらいます!」

 

 

しほは目元に青筋を浮かべ感情を更に込めた声を杏に張り上げた。母が本気で怒っている事を察したみほは恐怖のあまり青ざめていた·······しかし杏の方は冷や汗をかきながらも僅かに笑みを浮かべていた

 

 

「お言葉ですが西住ちゃんのお母さん··········家元さんは西住流の娘として生まれたなら西住流のモビル道に準じるべきと仰りたいのですね?しかしその西住流という物 は家元さんが自ら信じ選んだ道であって娘だからと西住ちゃんにも同じ道を選べと言うのはちょっとあんまりだと思います」

 

 

「家族と同じ道を歩むのは当然の事!貴方にはわからないかもしれないけど本来受け継ぐべき道から外れた道を進めばその果てに待つのは歪んだ結末しかない!そんな物を次の世代に残す訳にはいかないのよ!」

 

 

「家元さんが西住流の将来を案じているのもわかります。という訳でここで一つ提案なのですが、私達大洗女子学園も今年のモビル道全国大会に出場します。もしそこで私達が優勝できたら西住ちゃんが大洗に残る事を許す、というのはどうでしょうか?」

 

 

杏の言葉を聞きみほは耳を疑った。優勝するという事は母の西住流のチームとも言える黒森峰を倒すと宣言する事と他ならなかったからだ

 

 

「·····何をふざけた事を言っているの?つい最近モビル道を始めたばかりの学園が全国大会で優勝だなんて·····馬鹿にしているの?」

 

 

「いえいえ馬鹿になんてしてませんよ。けど私達大洗女子は西住ちゃんの西住流率いるチームです。そんな私達が優勝すれば家元さんにも西住ちゃんの選んだ道と私達の強さを認めて貰えると思いまして。ねっ!西住ちゃん!」

 

 

杏はそう言ってみほに向かってウィンクしみほは母に怯えながらも頷いた。優勝しなければいけないという条件はかなり酷な気がしたがそこまでしなければ母も納得してくれないと思った。しほはそんな娘を見て思考するために黙り込んだ

 

 

「··········己の道を示す為母に立ち向かおうとするのは結構です。ただ今の貴方達に他の生徒さん達は着いてきてくれるのかしら?」

 

 

「そ、それは·····」

 

 

「ましてやみほ。貴方はまほと違って一人では何もできないじゃない。周りから孤立した位で転校して··········そんな貴方と共に戦いたいと望む人はいるのかしら?」

 

 

「いるよ!··········じゃなくて、ここにいます!」

 

 

突然杏の後方から廊下中に響き渡る程の声が聞こえそこには息を切らした沙織の姿があった

 

 

「沙織さん····!」

 

 

「貴方は·········」

 

 

「私は·····私達はみぽりんと一緒に戦います!確かにみぽりんは淋しがり屋だし一人じゃ何もできない子かもしれないけど、それでもすっごい優しいし私達の事とても大事に想ってくれてるから······だから私達はみぽりんと一緒に戦って一緒に進みます!だってこれからもずっと友達でいたいしずっと一緒に居たいから!」

 

「····················。」

 

 

沙織の言葉が心に優しく染み渡る様な心地がした。こんなにも自分の事を思ってくれている人がいる事がみほはとても嬉しかった。

沙織の声が響いてからしほは顎に手を当てて先程と一転して黙り込んだ。沈黙が当たりを包んでいたがしほはフッと沙織の方へ近付いて行った

 

 

「··········貴方はみほがどういう子で何故黒森峰から転校して来たのかも知っているのね?」

 

 

「は、はい!」

 

 

「そう··········みほとお友達になってくれてありがとうございます。これからもあの子をよろしくお願いします」

 

 

しほは柔らかく微笑みながらそう言って沙織に頭を下げた。思わぬ行動に沙織は驚きながら慌ててしほにお辞儀を返した。しほは顔を上げると次に杏の方へ向かった

 

 

「生徒会長さん··········正直貴方の事は苦手ですがいいでしょう。私西住しほと西住流は貴方の挑戦を受けて立ちます。とはいえ全国大会は毎年猛者ばかりの学園が参加する大会です。今の貴方達ではかなり苦しいかもしれませんが必ず勝ち上がって来なさい」

 

 

「··········ありがとうございます!どんなに強い相手が来ようと西住ちゃん達の居場所を守る為に私も全力で戦います」

 

 

「·····その西住ちゃんというの。私も西住なので良ければ辞めて貰えないかしら?」

 

 

「確かに被っちゃってますね。じゃあ家元さんの事は今度からママ住さんって呼ばせて貰いますね!」

 

 

「ママ·······やはり貴方の事はどうしても好きになれそうにないわ·····」

 

 

杏とそんな会話を交わしつつしほは最後にみほの前に立った

 

 

「お母さん··········」

 

 

「みほ·······貴方はどうやら私に似た様ね···············私は貴方が大洗でモビル道をやる事を認めた訳ではありません。自分の道を進みたいならば勝ち取りなさい。かつて私が二代目からそうした様に貴方も自分の西住流を勝ち取る為に戦いなさい·····!」

 

 

「··········うん!」

 

 

厳しい口調ながらもしほの言葉に込められた想いを汲み取りみほは力強く頷いた

 

 

「では私はこの艦のブリッジに行かせてもらいます。教官さんにも来てもらうよう伝えて貰えるかしら?」

 

 

「わかりました·····あのー、今回の事件の事なのですがあれは私達の教官さんも予想だにしてなかった事だったので···できればあんまり責めてあげないで欲しいと言いますか·····」

 

 

「わかっています。あの連中の事は連盟でも知らない人の方が多いはずだから無理もないわ。·····けれど貴方達を危険な目に合わせたという点に関しては少しだけ責任を問わなければならないわね」

 

 

しほはそう言い残すとブリッジを目指し歩き去って行った。しほが居なくなってから杏は全身から力が抜けた様にぺたんと座り込んだ

 

 

「ふぃ〜〜〜何とかなったね〜超緊張したよ〜」

 

 

「沙織さん会長さん··········私のために本当にありがとうございます··········」

 

 

「いいっていいって!··········けどみぽりんのお母さん超怖かったなぁ·····」

 

 

そう言って沙織もよたよたと床へ座り込んだ

 

 

「ははは、正直武部ちゃんが来てなかったら危なかったよ。正直私だけでママ住さんを説得できる自信なかったからね〜」

 

 

「けど全国大会で優勝しないとみぽりんは······いや!こうなったら何がなんでも優勝しなきゃ!」

 

 

「その意気だよ武部ちゃん。どっちにしろ優勝しなければ何もかも無くなっちゃうし気合い入れていかないとね〜」

 

 

「何もかも無くなる·····ってどういう事ですか?」

 

 

みほは杏の言葉が気にかかり聞き返してみると杏は「しまった」と言う様な顔になったがすぐさま話題を切り替えようと口を開いた

 

 

「··········そういえば西住ちゃんがどおりで強い理由。何となくわかっちゃったかもしれないよ」

 

 

「私が強い·····理由ですか?」

 

 

「確かに西住ちゃんは家元さんですっごい天才だっていうのもあると思うけどさ··········何よりお母さんから愛されてるから西住ちゃんはとっても強いんだよ」

 

 

「お母さんが私を?···········そんなはずは·····」

 

 

「いやいや西住ちゃんの事大切だと思ってなきゃ無理に連れ戻そうともしないって。家族に愛されて育った子は強いからね〜羨ましい〜!」

 

 

その場凌ぎという形で言ったが嘘や冗談ではなかった。杏はしほと言葉を交わした事で彼女がどれだけみほを想っているのかがよく理解する事ができた。みほは杏の言葉が本当なのかにわかに信じる事ができなかった··········がしほが今までみほの事を自身の星から見守り続けていたというのもまた紛れもない事実なのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後みほ、沙織、杏もしほが向かったとされるホワイトベースのブリッジへ向かった。ブリッジに到着するとそこにはロックオンとしほの姿があった

 

 

「角谷·······西住と武部も来たのか·····」

 

 

「ニールちゃん····他の皆はどうしたの?」

 

 

「あいつらは食堂か自分の部屋にいると思う·····」

 

 

「見えてきたわね」

 

 

するとブリッジから黒く巨大な構造物が見えてきた。『シュバルツ・ファング』·····黒くカラーリングされたコロニーが一基連結された小惑星をしほはモビル道の訓練地として運営しその星の所長の任を自ら務めていた。この小惑星には連日訓練のために世界中のプロチームや学生達が多く訪れていた

 

 

「何あれ!なんかでっかい石ころに煙突みたいなのが刺さってる!」

 

 

「あら、コロニーを見るのは初めてかしら。と言ってもモビル道用なのであそこに人は住んでいませんが」

 

 

「ママ住さん·····よかったらさっき私達を襲ってきた連中の事教えて貰えませんか?さっきあれが何者か知っていると言ってましたよね?」

 

 

杏がそう言うとしほは僅かに表情が険しくなりロックオンも少しだけ苦い顔を浮かべた

 

 

「·····先程教官さんにはお話しましたが···············まぁいいでしょう。貴方達には話しても大丈夫そうね」

 

 

「その話、私にも聞かせてください」

 

 

すると突然ブリッジの中に麻子が入ってきた

 

 

「麻子さん!」

 

 

「麻子!·····その、もう大丈夫なの?」

 

 

「··········わからない。ここに来て自分の事がよくわからなくなってきた········あの人達は西住さんだけでなく私も連れて行こうとしていた。だから私にもあれの正体を教えて欲しいです」

 

 

「貴方も連れて行こうとしていたですって·····?教官さん、この子は何者ですか?」

 

 

「彼女は冷泉麻子といいます。彼女はただの普通科の生徒なはずなのにどうして奴らが連れて行こうとしていたのかは全くわかりません··········」

 

 

「そうですか··········まず今回貴方達を襲ったのは恐らく月の研究機関所属チーム『νA-LAWS』。貴方達が訓練しようとしていた宙域はおそらくνA-LAWSが独自に所有している物だった為今回乱入してきたのでしょう」

 

 

しほは腕を組んで壁にもたれかかってから話し始めた

 

 

「でも訓練しようとしていただけの私達を妨害するなんて··········そんなの犯罪になるんじゃないんですか?」

 

 

「·······おかしな話だけど彼女達にはそれが許される特許の様な物を持っているわ。νA-LAWSは自分達が所有している訓練宙域を基本的に無償で使わせて、その代わり訓練中に野良試合を仕掛ける等の乱入行為を行うなどある程度の勝手が許されているのよ··········」

 

 

そうとは知らずνA-LAWSの訓練宙域を手配してしまったロックオンはそれを聞き更に表情を曇らせた

 

 

「·····けれどもしニールちゃんが他の訓練宙域を選んでたとしてもあの連中は西住ちゃんを攫いに来たんじゃ··········」

 

 

「それもそうね。RX-78NT-Xネティクス·····。νA-LAWSが今まで公式戦で出してこなかった機体があの中にいたというのもあって初めから本気で貴方達を連れて行くつもりだったのでしょう·······」

 

 

「でもやっぱりおかしいよ·······あんな風に私達を怖い目に合わせたのにそれが許されるなんて·····」

 

 

「貴方の言う通り本来こんな勝手な行為許されるはずがない·····にも関わらず誰も彼女達を処罰できないのも全て月の研究所という後ろ盾からの影響があまりにも大きいせいなのよ·····!」

 

 

月の研究所と愛里寿達の所属するνA-LAWS··········後にみほ達と大きく対立する事となる者達の姿が少しずつ現れ始めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しほの星へ到着した大洗女子学園。友と共に過ごすため、大切な場所を守るために再起の炎を燃やし心を一つにしようとする

 

 

次回 ガールズ&ガンダム 『決意の朝』

 

 

その花は母がみほのために用意したガンダム

 




読んでいただきありがとうございました

今回登場したしほの経営してる小惑星シュバルツ・ファング。これの名前はガンダムWのホワイト・ファングを文字っただけなので特に深い意味はありません()

急ピッチで書いたので色々雑な所が多いと思うのでちょっとずつ直していこうと思います

次回はかなり長くなると思いますがよろしくお願いします

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