ガールズ&ガンダム   作:プラウドクラッド

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投稿期間が前後しましたがこの話はアンチョビ外伝を読んだ後に読んで欲しいです(特にPHASE-03とFINAL)

時系列的にアズラエルがまほに会いに来た時よりも前の話になります

今回もよろしくお願いします


おまけ 木星帰りの少女

 地球、BC自由学園理事長室にて─

 

 

「フンフ〜ン♪ンッン〜♪」

 

 BC自由学園の理事長、ムルタ・アズラエルは部屋に置かれた姿鏡に向かい鼻歌を唄いながら身支度を整えていた。すると突然、片手に扇子を持ち一点のシミ一つ無い純白の軍服に身を包んだ一人の少女がノックもせずに部屋の中へと入ってきた

 

 

「ムルタ〜いたかしら〜?」

 

「あ゙?ゲ、マリー様じゃないですか·····。こんな所に何をしに来たんですか·····」

 

 アズラエルは自室に突然入ってきた少女、マリー・タイタニアの姿を見て顔をしかめた

 

「何って私もここの生徒さんなのだから登校してて当たり前じゃない?相変わらず皆喧嘩してるみたいだけど」 

 

「ウチの生徒になりたいと言うから許可しましたけどねぇ·····地球圏(こっち)に帰ってから今まで登校どころか一度たりとも地上へ降りてこなかったじゃないですか。正直貴女みたいなややこしい人が生徒にいると色々面倒なんですよ·····」

 

「あら酷いわね。学生という身分も色々と役に立つんだからいいじゃない。それに貴方の欲しがってた変形機構のデータ、せっかくジュピトリスから持ってきてあげたのにどうしようかしら?」

 

 マリーは懐からROMディスクをおもむろに取り出すとアズラエルへ見せびらかした

 

 

「·····それ本当ですか?まさか本当に完成させていたとは·····」

 

「残念だけど意地悪するなら渡せないわ。ねぇ、ムルタ?」

 

「これは失礼しましたマリー様。久々の友人との再会を喜んだあまり少々舞い上がっていた様です」

 

「ふふっ、それでいいのよムルタ」

 

 

 マリーはにこやかに微笑みながらアズラエルにディスクを手渡した。モビル道及び連合軍が兵器として使用されているMS達において変形機構を持つ機体の開発は未だに達成されていなかった。そもそも大昔のアニメに登場していたメカを完全に再現し実兵器として導入するなど夢の様な話であったがそれらは現代の科学技術力、そしてマリー・タイタニアの様な"一握りの天才"の存在によって実現可能のものになっていた

 

 

「これで僕達ブルーコスモスは今よりも優位な地位に立てます。それともしかしてマリー様がテストしてくれていたモビル道の新型も降ろしてくれたんですか?」

 

「あのガンダムタイプのこと?新型も何もあれって昔モビル道で活躍してたんじゃないの?」

 

「今まで何処ぞの鬼ババが母親の乗っていた機体を封印するために僕ら開発企業や連盟を抑えていましたからね。そんな機体をまた新しく組み上げたのでせっかくだから新型と呼んであげようと思いまして」

 

「ふーん·····残念だけどあれはジュピトリスに置いてきたわ。地球へ降りたのも()()()()を迎えに来ただけだったから」

 

「うーん残念です。どうせなら今日会いに行った際に彼女のもとに届けたかったのですが·····」

 

「·····誰かに差し上げると言っていたわね?一体誰なの?」

 

 

 問いかけるマリーにアズラエルはその質問を待っていたと言わんばかりに口角をつり上げた

 

 

「先程言っていた鬼ババの娘、西住まほさんです。丁度この後彼女に会いに黒森峰へ行く事になっているんですよ。僕が彼女を宇宙で拾ってあげた事は以前お話しましたよね?」

 

「ふーん·····だからそんなにご機嫌だったのね。西住まほさん·····彼女にあの機体のパイロットを·····」

 

 

 西住流の長女にして次期跡取り、そしてモビル道において最強のエースパイロットと呼ばれるまほの存在を聞きマリーは笑みを浮かべた

 

 

「ねぇ、ムルタ。この世界を導くに相応しいのは男ではなく女の子であるべきだと思わない?」

 

「な、何ですかいきなり·····?」

 

「欲望に忠実すぎる男達に世界を任せてしまっては人々はずっと争い続けることになる。そんな事をもう終わらせるためにも強い力を持った女の子によって世界は·····人はより良く導かれなければならないの」

 

「だったらマリー様が指導者になればいいじゃないですか?そうすれば世界は貴女の思うがままにですよ」

 

「それは無理ね。私は所詮歴史の立会人に過ぎないの。だから私ではなくまほさんの様な強いお方に支配者として立ち上がって貰いたいわ」

 

「·····確かにまほさんは凄まじい実力を持ったお方です。けれどだからといって彼女に世界を導くなんて事できるとは思いませんね。貴女みたいな怪物とは違って案外普通の女の子なんですよ?」

 

「怪物だなんて失礼ねっ。·····なら傷付いた彼女を支えてあげるのが私の役目ね。近いうちに私も彼女に会いに行かせてもらうわ」

 

 

 マリーはそう告げると踵を返し部屋を出て行こうと扉に手を掛けた

 

 

「·····念のために言っておきますが彼女は僕のプロチームに参加するという形でこちらへ迎えるつもりです。ジャミトフ閣下からもまほさんの事は僕に一任されているのであまり派手に動かないでくださいよ?」

 

「ええ、そんなに心配しなくても大丈夫よ。それじゃあもう帰るわ」

 

 

 マリーは去り際に邪気を含んだ笑みを微かに浮かべていた。部屋を出ると廊下にBCの制服を着た少女が二人、静かにマリーが部屋から出て来るのを待機していた

 

 

「待たせたわねレナ、ルカ。それじゃあ行きましょうか」

 

 

「「ハイッ!」」

 

 

 待機していた安藤レナと押田ルカの二人はマリーの後を彼女の傍らを固める様に歩き始めた

 

 

「マリー様、ショコラティエより報告です。我々は宇宙へ上がった西住みほの防衛に向かうとの事です」

 

「あら、ティターンズでもないのに彼はよく頑張るわね。確かに妹さんをルナリアンの皆さんに差し上げると面倒な事になりそうだから助かるわ」

 

「それとマークJの事ですが如何されますか?約束通りマリー様がいない間ずっと大人しくしていましたが·····」

 

「ふふふっ、あの子ったらちゃんとお行儀よく待っていられたのね。そうね·····今度まほさんを迎えに行くついでにあの子も拾ってあげようかしら。とにかく今日の所は地球の美味しいケーキ屋さんを楽しもうじゃない。早く行きましょうか」

 

 

 安藤と押田は火花を散らすように互いに睨み合いながらマリーと共に校舎の外で待機していたヘリコプターに乗り込んだ

 

 

(そう、確かに感じる·····世界が、時代がこの私を必要としているということを。そのためにも貴女の力、私のために活用させて貰おうかしら。西住まほさん·····)

 

 

 木星帰りの少女、マリー・タイタニア。5年に及ぶ木星という僻地での生活は彼女に新たなる能力(チカラ)を目覚めさせた。そして彼女は自身の使命を果たすため、その有り余る才能を世に示すためその手で弱りきったまほの全てを掌握し手駒として利用しようと動き始めたのであった··········

 

 

 




読んでいただきありがとうございました

当ssのマリー様は原作に登場する本来のマリー様と遥かかけ離れたキャラクターになっております。というのもガンダムのラスボスキャラにおいて最も最悪なあの男をマリー様に演じて貰おうと思っているからです。詳しくはこちらの方をご参照いただけると助かります【https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=224589&uid=260037


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