本編全然進捗率10%くらいなので先に元々組み込もうとしていた内容を投稿させていただこうと思います。新年早々酔っ払いながら書いたのでかなりエスパーな内容になってます・・・ごめんなさい・・・
黒森峰女学園の学園艦に建つ学生寮にて───その夜、そこで暮らす黒森峰の女子生徒達は、モビル道の隊員達は何処か慌てどよめいた様子で食堂に集まっていた。というのもこれまで誰よりも規律に厳格で他の生徒の模範とされていたまほが校則違反だというのにも関わらず他校の生徒を自室へ上げたからであった。まほが異様な仮面を付け始めたというのもあり他の生徒の間では他人事ではありながら動揺を隠せなかったようであった
「まほさんがまさか他校の生徒を連れて帰って来るなんて・・・こんなの西住師範が知ったらただじゃ済まないんじゃ・・・」
「ていうかあの子何者なのよ!?BCなんて弱小私達と何の親睦もないじゃない!」
「もしかしてかなり偉い家柄の人か、黒森峰の出資者の令嬢とかなんじゃ・・・いずれにせよあのまほさんと対等に居ようとするなんて身の程知らずもいい所。あの安斎みたいに家元に排斥されるに決まっているわ」
突如としてまほと共に侵入してきたマリーに対し寮内の生徒はひそひそと様々な憶測を交わしていた
だが耳に聞こえてくるそんな彼女達の、
「何が可笑しい?」
「ふふふ、ごめんなさい。何でもないわ。まほさんも大変なのね、こんな場所で今まで生活することを強いられていたなんて」
「・・・今まで食べることと寝ることに困ったことはない。それよりもいい加減聞かせてもらおうか。君が一体何者なのか、何故この学園に一体何の目的で来たのかを」
まほは寛ぐマリーを仮面の奥から高圧的な視線で見下ろした。半ば強行的に寮長を説き伏せマリーを部屋へ上げてみたものの、まほ自身彼女が何のために此処へ来たのか掴めていなかったので問い詰める必要があったのだ。まほは常人では身を竦ませてしまう程の気迫を仮面越しから放っていたもののマリーはまるで意に介していないのか、そもそもまほ程の人物であろうとも下に見ているかの様に余裕に振る舞いながら言葉を返した
「それじゃあ改めまして自己紹介でもさせてもらうわ。地球連合軍のマリー・タイタニア大佐です。以前までは木星探査船団の指揮者として木星へ行っていました。ただ今日は休暇で貴女のために此処へ来たというのも本当のことなの」
「連合軍だと!?・・・・・・そうかわかったぞ。以前お父様が軍内にみほと同じ年齢でありながら階級の高い娘がいるといっていたがそれが君だということか!大方私が西住流の跡取りだから連合軍のMSパイロットとして引き抜こうというつもりだったんだろう!」
マリーが連合軍の者であると名乗った時まほは彼女に対しての構え方を一変させ声を荒らげた。彼女に対し緩みときほぐれていた意識が完全なる警戒心からなるものへと変わったのだ。それは母親のしほから現在の腐敗し切った地球連合軍に属する者が私的に接触してきた時は必ず拒絶し追い払えと常々言われて育ってきたからであり、たとえまほ自身が母に反しようとしていることにかかわらず反射的に母の教えのままにマリーへ警戒の意思を向けていた
「・・・駄目ねそんな感じ方では。今の貴女はまるで他人を頼ろうとしていない、自分一人の力で全てをねじ伏せ解決しようとしている。けれど今の貴女はその感じ方を変えない限りいつまでも勝つことはできないわ」
「黙れ!軍の人間が知った様な口を聞くな!最終的には勝利してみせるさ・・・お母様を超え、私を貶めたプラウダを討ち、そして私を見限ったみほと安斎を取り戻す!そのために私は力を示すんだ!」
この時まほは激情に駆られていたのか、半ば無意識に赤裸々なまま自身の心中をマリーに暴露していた。だが自分が居ない間に大洗へ転校したみほと自分の傍へ戻ってきてくれなかったアンチョビを取り戻そうとする意志は固くマリーへぶつけたものそのままであった
「・・・なるほど。そういうことなのね」
するとマリーは突如立ち上がり、まほの顔を覆う漆黒の仮面を掴み彼女の顔から外し部屋の隅へ投げ捨てた。あまりにも突然のことだったのでまほは抵抗できず、仮面が外れた素顔を腕で覆い隠した
「なっ・・・何をする!?」
「よくわかったわまほさん。気づいてあげれなくてごめんなさい・・・今の貴女に必要な物はこれなのよ」
マリーはその言葉を告げると共に、仮面が外れ素顔を露にしたまほの顔を抱き寄せ自身の胸へ埋めた。ただでさえ仮面を脱がされ動乱する中、自分よりも小柄であるにも関わらず彼女が突如腕を回し抱き寄せられたためまほは驚愕し無意な反発をすることしかできなかった
「・・・!?は、離せ!何のつもり・・・」
「貴女はただ優しくしてもらいたかった。愛して抱き締めてもらいたかった。けれど貴女のお母様や求めることしかしない世俗は貴女に西住流の後継者としての姿を望み続けた。皆に応えるため貴女は例え自分が望むことでなくとも絶対的に強くならなければいけないと感じていた。いつかお母様に認めてもらいもう一度抱き締めてもらうために」
「そんな・・・また適当なことを・・・」
「でもその遠い未来への理想だけでは貴女の寂しさは埋まらず日々募っていくばかり。だからこそ母親の様に貴女を抱き締めてくれた友人はかけがえのない存在だった。失う訳にはいかなかった・・・」
マリーの言っていることが彼女の本心からの言葉なのかはわからない、だが今自分を暖かく抱き締め暖かい言葉をくれる彼女にまほは心を揺さぶられていた。先程まで彼女は軍人であるから関わっていけない、そう思っていたはずがかつて自分を抱き締めてくれた母や親友と同じ温もりと暖かさ、愛が彼女から伝わってきたのだ
「けれど敗けた貴女は宇宙へ捨てられ何ヶ月間も彷徨わされた、絶望的に孤独だったに違いない。そして折角帰ってきてもそのことを知らないお母様や友人、妹さんは貴女が甘えることを許してくれなかった。誰一人として貴女の傍には居てくれなかった。寂しかった、辛かったわね・・・」
「・・・・・・だから力を示すしかないんだろう・・・みほや安斎を取り戻すためには・・・。世に力を示し私が弱くないことを示さなければ何も取り戻せないんだ・・・」
「でも人は一人では生きれない。誰かからの優しさと温もりを忘れた貴女が今のままならば勝つことはできない。だからこの私が貴女へ力を貸してあげる。貴女が世俗とお母様を見返すために、力無き貴女を見捨てた妹さんと友人さんに戻ってきてもらうために必要な力を私が与えてあげるわ」
「私に・・・力を・・・?」
「ええ。だからもう寂しがることはない、これからは私が貴女の傍に居てあげる。そして貴女が失った全てを取り戻すため私に協力させて欲しいの」
マリーはまほを更に深く、優しく抱き締めた。まほは自分への想いが込められたマリーの言葉、その抱擁から伝わり染み渡る温もりに知らずの内に彼女の胸の中で涙を流していた。かつて親友がそうしてくれた様に、自分を分け隔てなく一人の人間として向きあってくれたことが嬉しかった。こんな自分を救うためにこれ程まで尽くそうとしてくれることが、自分にもまだ寄り添おうくれる人がいたことがまほにはただただ嬉しかった
「君はどうして・・・こんな私にそこまでしようとしてくれるんだ?とても軍の人間とは思えないな・・・」
「私も貴女と同じ。親に愛されないまま、抱きしめて貰えないまま育ってきたわ。確かにとても寂しかった。だからこそこれ以上私達と同じ様な子達が世界にいてはいけない、そんな世界にしないために人々を変えていかなければならないと感じている。だからもし良ければ私と一緒に来てくれないかしら?世を導くのはまほさん・・・・・・いいえ、
「・・・わかった。君が私へ力をくれるというのなら、私もできる事があるなら幾らでも君へ力を貸そう。だからもう少しだけいいか・・・?」
マリーを完全に信用するという旨と共にまほは彼女の背を掴み赤子の様に彼女から離れることを拒んだ。まだ感じていたかったのだ、彼女から感じるかつての母と同じ温もりと暖かさを
「ふふっ、もちろん。好きなだけ抱き締めてあげる。・・・・・・だからずっと私の胸の中にいるといいわ、まほ・・・」
マリーに促されまほは彼女の胸の中で静かに涙を流しながら抱きついた。この先どうなるかはまだわからないが母や親友と同じ温もりを感じさせてくれる彼女が例え母が警視する連合軍の人間だとしても信用しない理由がなかった。マリーが自分に寄り添い力を与えてくれるのならばその返礼に彼女の望むことを果たそうという所存にまでまほの心は変わってしまっていた、今日会ったばかりの一人の少女に完全なまでに全てを呑れようとしていたのであった
みほとアンチョビに見捨てられたと思い込み全てを取り戻せる力を渇望し自棄になっていたまほ。そんな孤独に悲しみ傷つき弱りきったまほを暖かく抱き締めてあげたマリー・・・・・・だがまほを胸の中で抱くマリーの眼は冷たく、一片たりとも彼女へ対する温情など宿らせていなかった
その眼が見据えるは西住まほを世を導く
マリーは胸の中で泣き沈むまほをその眼で見下ろしながら邪なる嘲笑を浮かべていた・・・
読んでいただきありがとうございました
前回マリー様とまほさんに関してシロッコ×レコアさんとほぼ同じと言いましたがもう少し適正な例がありました。最近ホットなSWにおけるパルパティーンとアナキン、当ssにおけるマリー様とまほさんの関係はこの二人の関係と近い感じになっていくと思います。本当に最悪なことになります
次章まで二人の出番があまりないので予告させてもらうとまほさんは宇宙世紀において最も最悪な法規部隊のプロパガンダに近い存在として全国大会に参加することとなります。本当にろくでもない目にあいます。ファンの人にぶん殴られてもおかしくないくらいろくでもないことになります。ただその上で知って欲しいのがガルパンにおいてメインとなる女の子達、その女の子にとっての大敵パプテマス・シロッコがガンダムシリーズにおいて最も最悪な人間であるということなのです